宗教・人間ドラマ 映画 「 沈黙‐サイレンス- 」 「 沈黙 SILENCE 」 | berobe 映画雑感

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「 沈黙‐サイレンス‐ 」 (米/台湾/メキシコ・2016)

「 沈黙 SILENCE 」 (日・1971)

 

原作は 遠藤周作 の小説です。

 

原作は読んでません。

 

16年版の監督は、マーティン・スコセッシ

 

1971年版 ( 以下 71年版 )の監督は、篠田正浩

 

 

 

『 16年版 』は サスペンス な感じでしたね。

 

ロドリゴ 神父( アンドリュー・ガーフィールド )の 独白もあり、

彼の葛藤が 丁寧に描かれていました。

 

奉行の井上イッセー尾形 ) の 飄々とした 言葉や 仕草が、

弾圧との ギャップ を生み、互いの 認識の違いが上手く表現されていました。

 

 

面白く描かれていたのは、キチジロー窪塚洋介 )ですね。

 

背信しては ロドリゴ に何度も 告解を頼む 節操の無さが 人間臭くて

愛らしいです。

 

“絵踏みっぷり” も 堂に入っていて、清々しい。

 

 

拷問、処刑 場面が多く、冒頭の “熱湯掛け” は なかなか エグイ し、海での “磔刑” も 撮影自体が ふつうに拷問でしたね。

 

特に モキチ 役の 塚本晋也 は、死んでも おかしくないくらい

体を ( 命を ) 張ってました。

( 満潮の場面は 撮影プール で撮っていたらしい )

 

ホラー好き としては “斬首”場面 があったのが良かったです。

 

あと、ロドリゴ への 精神的な拷問 も、こっちの方が 上手かったかな。

 

 

 

『 71年版 』 は 淡々と テンポよく 進む感じかな?

ロドリゴ の葛藤は 後半までは 少なめに感じました。

 

 

ここでも キチジローマコ岩松 ) は存在感が ありました。

 

「 聖マリア 」 の レリーフ に唾を吐いた後の、丸山の女三田佳子 )との やり取り、

 

キチジロー 「 私の顔に唾を吐いてください 」

丸山の女 「 気色悪い… 」 ( でも 唾を掛ける )

 

が フェチなプレイ の様だし、 惨めで 情けなくて 滑稽です。

でも 彼には 精いっぱいの 贖罪 なんだよな~。

 

 

海での “磔刑” は 静やか で、『 16年版 』 と違った、寂寥感ある 趣。

ですが こちらも 絵力 は結構ありましたね。

 

 

ロドリゴ“穴吊り” の拷問を 受けていて、

その 拷問の苦しさを わかっているところが “棄教” の説得力を 増していました。

 

 

 

後半の 「 ロドリゴフェレイラ神父 」 では、

 

『 16年版 』 は、フェレイラリーアム・ニーソン で、

淡々とした言葉ながらも “対決”感が ありました。

 

 

『 71年版 』 は、フェレイラ丹波哲郎 なので、緊張感がスゴイ。

 

一言一言 に 威圧( 丹波節 )を感じ、

キリスト教が “日本風に変わっていた” のが、どんでん返しっぽく

表現され(?)、

個人的には かなり 良かったですね~。

 

さらに、“穴吊り” されている信者たちを 救うため “棄教” を促す場面、

 

フェレイラ の 「 キリストも 彼らの為に 転んだだろう 」 の セリフ が、

フェレイラ の顔色の悪さ もあり、“悪魔の囁き” の様で、

胸に迫ります。

 

 

 

両作とも 展開は同じですが、終わり方が違いました。

 

『 71年版 』 は、ロドリゴ棄教後、日本名を得て、日本人の妻を

組み伏せ、抱こうとする ところで終わる、

キリスト教的には、かなり 屈辱的 な 終わり方でした。

 

信仰を持っていようと 人間は弱い ってことかな。

 

 

 

『 16年版 』 は、棄教し、日本名、日本人妻 を得て 天寿を全う しますが、

心の中では 「 信仰心 」 を持っていた、という終わり方で、

キリスト教的には 救いのある 終わり方でした。

 

 

命を救うための “棄教の宣言や証文”、そして 絵踏みも、

信仰の否定 にはならないってことかな。

 

( だから フェレイラ神父 は “淡々と” 棄教 を説いていたのだ・・・

多分 )

 

 

そもそも “神を想起するため” の “像” に依存し過ぎなんだよね。

“像” がないと 想起出来ないってどうなのかな~。

 

 

信仰の話ですが、恐怖心 の話でもありました。

 

キリスト教徒 が感じる 恐怖神への畏怖 も そうですが、

日本の権力者も キリスト教徒 増大 の 恐怖 を感じていました。

 

『 71年版 』 は、OP で簡単に イエズス会の設立( 宗教改革とか )と

共に、

日本の事情も 説明していて そこは良かったです。

 

 

恐怖 は 暴力を生み、

権力は時に 異に沿わないもの ( 権力を脅かすもの ) を弾圧するんですね。

 

 

この作品では 拷問、弾圧 を受けた キリスト教徒 ですが、

 

キリスト教も 他宗教を 弾圧したり、異端審問 や 魔女裁判などを

してきたから、立場が逆転しましたね。

 

 

あと、日本人に “真理” を教える、という キリスト教の 独善性 がイヤだな~。

 

 

 

『 16年版 』、『 71年版 』、双方 違う見所がありました。

 

『 16年版 』 は エンタメ性があり、拷問場面、キチジロー描写 が

面白かったですね。

 

ロドリゴ の 心情説明( 言い訳? )が 多いような気も するけど、原作読んでないんで わかりません。

 

 

『 71年版 』 は 雰囲気が良くて( 16年版は 台湾で 撮影みたい )、

説明過多 にならず、全体的に 良かったです。

こっちの方 が好みかな~。