2月読書 「 記憶破断者 」 「 淵の王 」 「 翼ある闇 」 | berobe 映画雑感

berobe 映画雑感

「 映画 」と「 本 」の感想

記憶サスペンス、 人間ドラマ・ホラー、 アンチ・ミステリー の3冊。

 

 

「 記憶破断者 」 小林泰三

 

記憶が 数十分 しか持たない 「 前向性健忘症 」 の 田村二吉 は、

重要な事、気になる事を ノートに 書き込んでいた。

 

記憶が 消えた時、ノートを読み 自身の病気 を知るのだが、

そこには 「 今、殺人鬼と戦ってる 」 との言葉も書かれていた…。

 

 

 

小林泰三 作品は 『 アリス殺し 』 が 面白かったですね。

 

この作品も、ミステリー だと 思っていましたが、

エンタメ・サスペンス でした。

 

「 殺人鬼 なんて いないんじゃないの? 」 なんて

“ミステリー的な 勘ぐり” をしましたが、ちゃんといました。

 

映画でいえば

『 メメント 』(00年) + 『 超能力者 』(韓・10年)な 感じかな?

 


主人公 が記憶障害 なので、
同じような場面が 多いですが、思ったよりも テンポ が良かったです。

 

 

興味深かったのは、

 

“言葉” ではない “動作の記憶”「 手続き記憶 」( 非陳述記憶 に分類)で、 もう少しそこを 掘り下げても 良かったような…。

 


対する 殺人鬼 は、“記憶改ざん”能力 があり、

金を奪ったり、女性を抱いたり、犯罪を なすりつけたりと、やりたい放題で、

 

子供の時から その 能力 を使っていたから か、

“ソシオパス” の傾向が強くて、 共感性が無く、 暴力的で かなり凶悪です。

 

“犯行” の場面も多く、 “記憶改ざん” に 容赦がなくて、かなり

イヤな気分に なりますね。

 

 

展開は 地味め ですが、 記憶障害を 知られないよう 言動に気を付けたりと、なかなか スリリング。

 

後半は そんな上手くいくかな~と、思いましたが、

最終的には だいたい 納得。

( 伏線っぽいのも 一応 あったし )

 

 

謎の人物2人 は、どうやら 短編で 出てくるらしく、

ラストの オチは あまり気にしなくても良いようです。

 

( いろいろ 考えて、イヤ~な オチを 想像してしまった… )

 

 

 

 

「 淵の王 」 舞城王太郎

ホラー・ファンタジー・人間ドラマ?

 

3つの部 ( さおり果歩悟堂 ) で構成されていて、

それぞれの 主人公を 見守る “何者か” の視点で語られます。

 

ミステリー 要素は ほとんどなく、ホラー要素が強いです。

 

各主人公を 見守る “何者か” の正体が 一応ミステリー要素かな?

 

 

さおりの部 」 では、普通の青春・恋愛もの として進むけど、

後半から、「 人間ホラー 」 な展開に。

 

この 日常を壊す、「 理不尽な人間 」 の身勝手な言動が

かなり イヤ~な感じで 楽しいですね。

 

親友を助けようと “悪意” に 立ち向かう 場面は 緊張感があり、

居心地が悪いです。

 

さらに “黒い影” も出てきて 謎が深まりますが、

そこで あっさり終わっちゃう・・・。

 

 

果歩 の部 」 では、目標に向って猪突猛進な 主人公 は読んでいて面白いです。

広瀬 との会話の “温度さ” も 可笑しいけど、チョット切ないな~。

 

これも 途中から “怪談”っぽい 展開に。

 

家に無いはずの グルニエ( 屋根裏部屋 ) の “記憶”“出現”

不条理、幻惑的で 好きですね。

 

 

最後の部 は、悟堂 と 女性2人の “三角関係” の話から、

まさか “呪の話” になるとは…。

 

人を救うためとはいえ、“呪い” を継続する 悟堂 に恐怖を感じるな~。

 

“虫が大量発生” してるようなので、周りの家にも 迷惑掛けているんじゃないの?

 

自分自身が “悪いもの” を作っているような…。

さおり は他人への思いやりが強かった はずなのに…。

 

それで 最後に ハッピーって言われてもな~。

 

でも 結構 面白かったです。

 

 

 

 

「 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 」 麻耶雄嵩

ミステリー作品で、麻耶雄嵩 の デビュー作です。

 

 

依頼を受けたため ヨーロッパの古城のような館、“蒼鴉城” を訪れた

探偵・木更津 と、小説家・香月

 

しかし “蒼鴉城” では すでに殺人事件が 起こっており・・・。

 

 

ミステリーにおける ”探偵の 存在意義、役割”

ミステリーの “定番、お約束” を 上手く使った作品で、

 

密室、 死体装飾、 双子、 血筋 など、ミステリー要素 が てんこ盛り です。

 

 

サブタイトル にある、メルカトル鮎 が登場するのが 後半に入ってからなので、

構成と 展開が なんとなく読めますが、見事に 裏切られました~。

 

 

探偵・木更津 の 自身に満ちた 探偵像は、メルカトル鮎 と 被りますが、

コッチは 衒学的 なところがあり、また別の 面倒くささが ありました。

 

しかも、自信家のわりに どんどん被害者が 増えていくのが ヒドくて、

1部の 最後は 笑っちゃうな~。

 

 

“ヘイスティングス を自認” ( ワトソン じゃない )している 香月

無力感は なかなか切ないです。

でも、これが 後から効いてきます。

 

 

メルカトル鮎 は サブタイトル に 名前があるのに まさかの扱いで、

驚愕しましたよ~。

 

 

終盤の、“名探偵がわかる” 展開は 衝撃的でしたし、

脱力しちゃう 推理 も良かったな~。

 

“その前” も ある意味 衝撃的でしたが・・・。

 

 

アンチ・ミステリー 作品 らしいけど、

パロディ のように 小気味良く、楽しく読みました。