映画【禅と骨】中村高寛監督作品 | べっぴん典ちゃんのブログ

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こんばんは😉

日を跨いでしまいました。

センチュリーシネマにて、中村高寛監督作品【禅と骨】を鑑賞致しました🙋

画像は、お借りしました🙇



ドイツ系アメリカ人の父リチャードと新橋の芸者の母の間に1918年に横浜で生まれたヘンリー・ミトワのドキュメンタリー映画。


彼は、京都の天竜寺の禅僧であり、茶道や陶芸等の日本文化に精通している。文筆活動にも熱をいれており、80歳の頃【赤い靴】の映画製作を念頭に入れ資金集めや協力者を求めて奔走していた。


中村高寛監督と知り合い、話を進めていくが資金繰りが思うようにいかないし、赤い靴の女の子は、実際には異人さんに連れられてはいなかった。


それよりも、中村高寛監督は、ヘンリーミトワという禅僧というにはあまりにも人間的で生々しくも飄々とした自由人としての生き方が映画製作として魅力があるのではと踏んだ。


でも、ヘンリーミトワの並々ならぬ【赤い靴】という映画製作への意欲を形にするべく協力する中で、二次的にヘンリーのこれまでの人生のドキュメンタリーを記録していた。


しかし、赤い靴を製作に向けての構想中にヘンリーは、この世を去った。



ヘンリーの父はチャップリンの映画の興行会社に勤めていて、幼い頃は裕福な生活であった。しかし、父と兄が渡米するが世界恐慌の煽りを受け日本への送金がままならず、日本に残された母とヘンリーは極貧生活を余儀なくされる❗

母は、自宅で花札の賭け賭博の会をして子供を養った。


やがて、ヘンリーは、アメリカに渡り現地でピアニストの妻と出逢い結婚する。


アメリカでの家庭生活やエンジニアとして仕事に打ち込み、日本へは母親が亡くなってからの帰国になった。何度も母からの手紙を受け取っていたが。


ヘンリーは、そんな母への贖罪の気持ちが常に頭の中にあった。


彼は、「妻よりも母というのは絶対無二の存在」だと言い切る‼

映画の中では、ヘンリーと彼の娘さんとの日常的な喧嘩などの映像も回している。普通は編集でカットされるべきの所もノーカットだ。



最後にヘンリーは病に倒れ病院のベッドでの娘との然り気無い言葉のやり取りも印象的だ。


禅僧であっても、彼の自室は、親類縁者や親しい者達の多くの骨壷を並べて置いてあった。


そして、性的な事に関しても隠さずに気持ちを話す。男としての顔も覗かせる。枯れていない。もの作り、飾らない日常を過ごす姿は、正に粋なお方。


彼は、自分のルーツを掘り下げて先祖の家系図の作成する。よくも、まぁ、ご先祖さまを何代も遡って解ったものだと感心する❗


かなり昔のアルバムも大切に保存してある。当時の人達は、 写真を撮るという習慣も浸透していなかった時代。やはり、此所でも彼は、自分の存在理由を確信したかった。


この映画の後半でヘンリーがこの世を去り火葬され骨になったシーンがあった。


骨壷に入れられ、それまでヘンリーの自室に保存されていた親類縁者の骨壷の中の骨も一緒に集められお墓に納められた。なんともこんな事は、初めて知ったしショックでした。驚きと共に、ヘンリーの心がやすらげる故郷に帰って来たのだという温かさも感じられる。


ヘンリーは、愛したい人であり、愛されたい人でもあった。この世に生まれて金銭欲にもほぼ興味が無く、好きなように生きた。そんな彼を妻は黙って支えた。素晴らしい事に妻から愛されていた。生活は、ほぼ妻が支えた。子供達の養育も。


彼の周りには、愛が溢れていた。


中村高寛監督、ヨコハマメリーから、11年。ドキュメンタリーの主人公であるヘンリーとの関係で途中仲たがいにも似た感じのリアクションをヘンリーが仕掛けた時にも冷静に謙虚に対応されていて素晴らしかったです。


劇中ドラマのヘンリー役のウェンツさん。母役の余貴美子などの豪華俳優陣。


中村高寛監督の生きる真摯な姿勢にも感動致しました🙇


凄く凄くおすすめの映画です。心豊かに人生を考える秋に致しましょう🎵



最後までおつきあいくださいまして有難うございました🙇