CD250Uの足回り整備~フロント編(タイヤ・ステム) | びじばいげんりしゅぎ!

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ホンダの小排気量二輪車「ベンリィ」に関するブログ(日記やヤフオク観測)です。

 

当社CD250Uの現在の問題として、

・タイヤが古い(2016年)

・手を離すと振れる

・フロントブレーキをめいっぱい握るとステムがカクッとクリック感がある

 

つまりフロント全バラシの必要があるのですが、

ここらへんの作業手順、ビジバイらしくインターネットには殆ど残されていません。

そこでまとめてみました。

 

なお、CD125TとCB125Tは本車と構造的に近く、これらの整備記録をネットで探すと幸せになれるかもしれません。

 

●タイヤ編

 

浮かせる前に、締め付けトルクが大きい箇所を先に緩めておきましょう。倒したら悲しいので。

・アクスルシャフト(17mm/22mm)

・メーターギア

・フォーク割り締めボルト(下12mm/上12mm 各2)

・ディスクブレーキのキャリパー(14mmx2)

 

 

メーターギアはおなじみの+ネジ。大体めっちゃ固着してるんですよね。

ドライバーでは開かないので、ソケットハンドルで体重掛けると良いです。

 

 

こんな感じで。

私はTONEのドライバ型ハンドルにドライバービット/ビットソケットアダプターをつけて、ソケットハンドルで体重掛けながら回してます。スーパー固着マン以外は大体いけます。

 

 

緩めたらジャッキアップ。

メーターワイヤーを外し、アクスルシャフトを引っこ抜きます。

これでタイヤが外せます。

キャリパーも外します。吊るさないようにどっか置いといて下さい。

 

 

ホイール。なかなかの錆です。残念ながら穴も空いてる……。

穴に関しては、何年後か知りませんが、次の作業時にリムもスポークも張り替える事とし今回はお手軽補修(いうて1時間以上掛かったが…)で済ませます。問題は先送りするに限る。

グラインダーで軽くサビを落とし、振れの確認に移ります。

 

 

横0.9mm、縦1.3mmでした。

一般的な規定値は2mm以内、1mm以下あればまず体感出来ません。

ハンドルがぶるぶるする時、大体は振れなのですが、今回は別の要因にあるということです。

振れに関しては素人が頑張って出来るのは0.5mmくらい(縦が難しいんだよね…)。今回は既定値内なので放置します。

 

 

お次はステム。

フォークの上下割り締めボルトを完全に緩めます。抜かなくてもいいよ。

 

 

ハンドルを外します。なんかメクラついてて邪魔ですね…。

中身は六角穴付きボルト6mmです。4本のうち一部緩かった。不穏だ。

 

 

フォークを外します。

トップボルト(17mm)をソケットハンドルやらスピンナハンドルやら何やらで押し込みつつ回すと抜けてゆきます。

CD125Tと同じ構造です。

 

 

フォークが抜けたらステムを外します。トップナットは29mm。なんか体感15Nくらいのゆるさだった。あやしい。

ちなみに調べたらCD50・90と部品は全て同じでした(125Tは見てない)。

※ ※ ※

当社では、CD50などの横型スモールエンジン搭載Tボーンフレームをその元祖に敬意を表して「SS50系フレーム」と呼んでいるのですが、過去に「SS50系フレームのステム・フォーク部品供給状況」と称して部品を調べまとめてあります。

こちらをどうぞ。参考に使えると思います。

※ ※ ※

 

 

トップナットを外したら、トップスレッドをフックレンチで緩めるとステムが抜けます。

ボールベアリングが落ちるので注意。とはいえどうせ錆びているのでケチケチせずに新品買いましょう。

写真の通り、ボールレースは軽い打痕があります。

50用に予備部品を持っていたのと、「どの程度ならだましだまし行けるのかわからない」ので、悩みましたが全て交換します。

 

 

まずはステム側から。ボールレースが圧入されています。

ボールレースの下側からタガネを当てて少しずつ抜きます。面倒です。

 

組むときは、ワッシャ・Oリングは必ず新品に交換してください。

またボールレースを圧入するときは、外したボールレースをひっくり返してあてた上で、塩ビパイプなどで叩くと新品レースを傷つけずに済みます。

あと、ちょっとずつ圧入しないと、Oリングの全体がレースに挟まらない(叩き込んでいるうちにOリングが動いて位置がずれる)ので注意。

 

 

ステムはM22 P1.0です。

amazonでクソデカダイスが買えるので、作業中に不注意でネジ山を傷つけてしまったら無理せず修復しましょう。

 

 

続いてフレーム側。

ボールレース撃ち抜き奴」でレースを打ち抜きます。

ストレートの25mm~の奴がいいです。

奴を差し込んだら反対側から棒とかソケット(17mmがいい感じのサイズ)をあてがってクソデカハンマーでぶっ叩く。

 

 

ちなみに外す前にノギスでレースの圧入深さを測っておくと取付時の参考になります。

「奥まで入ると音が変わる」とよく言われますが、シロートなのでよくわかりません。

 

 

抜きました。

ベアリングレースは撃ち抜き奴を必ず使いましょう。

タガネなんか使うと斜めに抜けてしまい、フレームに打痕がつくことになります。

私は2回つけたことがある。

 

レースを斜めに抜くとフレームがひどく傷つき、

レース挿入時にどうやっても斜めに入ってしまうことになります。

打痕、段付きはリューターなどで削るしかないのですが、それでも斜めに入るし、そもそも圧入部分を削るのは良くないです。

斜めったら必ず戻す!気合でやらないのが大事です。私は二度ほど無理やり外して終わりました。

 

 

レースを抜いた後、「新品レースの厚み」と「レースが入る場所の深さ」を測っておくのも良いです。

CDUの場合、ベアリングレース6mmに対して、

・上部深さ ざっくり7.5-8mm

・下部深さ ざっくり14mmくらい

 

ベアリングレース挿入後の「ヘッドパイプからベアリングレースの長さ」は上部1.5-2mm、下部7.5-8mmくらいでした。

あくまで参考としてご活用下さい。本当に参考にしかならないので。

 

 

新品レースをクソデカハンマーで叩き込んだ図です。

純正SSTを使うのですが、それだけではキレイに入りません。

 

 

純正SST

 

07749-0010000 ドライバハンドルA

07746-0010200 アウタドライバ 37x40

 

「圧入する最初の部分」はSSTだと叩きづらく斜めに入りそうになるので、私は板をあてその上から叩いています。

これでレース全体を叩くことができるはずです。

ベアリングレースがヘッドパイプの中まで入ったら、外したレースをあてがった上でSSTで叩いています。

それでも斜めに入るのは御愛嬌。練度向上に励みます…。

 

ボールレースが入ったら組み戻します。

ステム。上下それぞれスチールボールを21個。たっぷりグリスを塗ります。

 

 

「おそらく」ですが、CD50のあとの方の年式で使われている「21個セットでリテーナリングに収まったASSY」(53210-GS9-003)が使えるはずです。ボールがこぼれ落ちないのでベンリィ。

 

ステムが用意出来たら挿入、トップスレッドを締めます。規定0.6kg・Mです。

 

 

フックレンチもトルクレンチが取り付けられるものがあります。ストレートとかデイトナとか色々出てる。もちろん、トルクアダプター同様のトルク補正は必要です。

計算式:(得たいトルク値+トルクレンチ有効長さ)/ (トルクレンチの有効長さ+フックレンチのトルクレンチ取付部~ツメまでの長さ)

 

私の場合、本車および他車整備マニュアルを参考に、

「一度23N程度でしめつけ、左右に動かしてグリスをなじませた後、完全に緩め、6Nで締める」としました。

23Nというのは確かエイプかなにかの規定だった気がします。

 

手持ちのトルクレンチは5Nからで、補正値を計算すると4Nくらい。一度5Nで締めて、その時の角度を参考にざっくり手締めです。

トップスレッドは「本当に本当にちょっとだけ」締める感じです。角度でいうと15度ないくらいかなぁ。

 

トップスレッドが閉まったらトップブリッジを取り付け、

ステムナットを締めます。7.5kg・mとかなりガッチリ締めます。

この時気をつけないとトップスレッドが一緒に回ってしまいがちなので、動いていないかよく見ながら作業してください。

 

この後、作業のところどころでステムの動きを確認して下さい。

フォークがつく、タイヤがつく、など足回りの部品がついて重くなるほど、ステムは渋くなります。

トップブリッジつけただけの時に良い感じでも、全部組んだらステアリングが重い、という状況はアリ得るので、

ちょこちょこ確認し、必要があれば調整しましょう。

 

ハンドルを戻し、まずはフォークを戻します。

抜いた時とは逆に、下から押し込みつつトップボルトを回します。結構体力いる。

この時、「どこまで戻すか」ですが、

 

 

これはNGです。

 

 

これが正解。トップブリッジと「フロントフォークの上端」がツラになるようにしてください。トップボルトじゃだめです。

この辺もCD125Tと共通。

割り締めボルトは上が2.3kg・m、下が3.0kg・mです。

 

フォークブーツはINSIDE表示がある方を内側に。

 

あとは、フェンダー、タイヤを戻して終了です。

キャリパーのボルトは3.5kg・m、アクスルシャフトは6.0kg・mです。

各部、CD125Tと構造は近いですが、締め付けトルクはやや大きいものとなっています。

 

車両が着地したら、ステアリングの動きを確認するとともに、フロントブレーキを握ってステムの挙動を確認しましょうね。

お疲れ様でした。

 

 

今回の整備で、車両には

・ちょこちょこ部品がない(ワッシャとか)

・ハンドルポストやステムトップナットの締め付けがかなり緩い

・ステムボールレースの段付き、軽度の錆び

という状態が確認されましたので、ステムのカクつきはその緩さから来ていたのかも。

そうこうしているうちにベアリングレースにダメージが入ったり、ワッシャ入っていなくて水分が入り錆が進んだりしたのかも。

 

部品はちゃんと新品を用意しましょう。

 

リア編もやります。