糸魚川ジオパークでも人気のあるジオサイトの一つが弁天岩ジオサイトです。約100万年前の海底火山が噴出した岩石で出来た岩がこれで、火山角礫岩からなっています。弁天岩の向かいの白山社の社叢になっている尾山も同質の岩石からできています。弁天岩をよく見ると西側に地層が傾いているのが判ります。堆積層の川詰層の間に噴火した火山噴出物ですので、地層の隆起に伴い、弁天岩の堆積した岩石も傾斜してきました。この付近にはこの様な岩礁が続いてみられます。
五月節句の弁天岩には鯉のぼりがはためきます。↑
弁天岩から能生海岸一帯は久比岐県立自然公園に指定されていて風光明媚な海岸です。
能生地区の他、白山神社地区・谷浜地区・春日山地区・南葉山地区が自然公園区域に指定されています。
新潟県の地図によると県内には13の自然公園が設定されています。
弁天岩を構成する岩石はゴツゴツした火山噴出物の集合した岩石↑
対岸の尾山も同質の岩石で出来ています↓
海岸付近にはゴツゴツした岩が連なり魚礁としても利用されています。海藻も根付き、当地の海洋高校ではマコンブの栽培などにも利用されマコンブの粉末を混入した「まこちやんうどん」はのど越がつるつると良く、糸魚川お土産の一つになっています。
海藻の生えた海岸の浅瀬↑
真昆布の粉末が入っているうどんは海洋高校の考案した人気商品↑
弁天岩に架かる赤い橋は曙橋と称し、現在は永久橋になっていますが以前は木橋でした。昭和60年に立派な橋となりいつでも渡ることが出来るようになりました。
橋の手前には野口雨情の詩が刻まれています。雨情が昭和初期に能生の小学校に講演に来た時の作品です。
「能生の弁天岩どんと波おいて いつも弁天様どんと波みてる」雨情・・・能生弁天岩の童謡
弁天岩の付近は弁天浜と称され、昔から北前船の寄港地で栄えました。その為か、航海の安全を祈願する神様・弁財天が弁天岩の中腹に祀られています。弁天様は「市杵島姫命」のことで「イチキシマヒメノミコト」と言い神社名も「厳島神社」です。
江戸時代には北前船が活躍した(模型マリンミュージアム)↑
この岩の上には灯台があって航海の目印となっていました。糸魚川エレジー(山川康三作詞・作曲)の一節に「能生の灯りよ招くな呼ぶな,呼んでみたとてせんもなや・・・」と歌っていますが、近年は国の事業仕分けにより廃止となり、糸魚川市が引き取ることとなりました。更に昨年には日本ロマンチスト協会が海と日本プロジェクトの中の 「恋する灯台プロジェクト」の一つとして脚光を浴びることになり、名所の一つに加わりました。
全国にある恋する灯台のある所(2016年)↑
この橋を舞台に祭りが毎年挙行されます。大臼祭りの一環で灯台を背に曙橋が恋の道となりいにしえの大国主命と越の国の奴奈川姫の恋物語が繰り広げられます。毎年この役には新婚のカップルが勤めることになっていて恋する灯台に相応しい企画がなされています。
糸魚川市の広報(2016.9.12号)に記載された記事です。↑
灯台の灯りの高さは岩の上にあるため29mの高さがあり、昭和26年11月に初灯されたもので5600カンデラの明るさがありますが名立の鳥が首灯台に比較しても小さな灯台の一つです。
夏の花火の時季には花火大会は此所で行われ糸魚川地方の花火では最大のものです。
曙橋には五月節句の時季には多数の鯉のぼりが泳ぎ、これも優れた景観の一つです。
弁天浜は夏には海水浴場として賑わい多くの海水浴客が訪れています。
弁天浜の海水浴場↑
曙橋の入り口付近にある地質の説明板。日本海・フォッサマグナとこの地域の関係を説明しています。この付近はフォッサマグナの領域に入り、自然が埋め立てた歴史が図示されています。