チャットGPTと裁判 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。

チャットGPTなら法律素人でも裁判書類を作成可能に 本人訴訟で活用例 AIの波、司法の世界にも

という神戸新聞の記事が載っていました。

チャットGPTは、人間の指示に基づいて文章などを作成するAIの一種です。
大学の論文作成などに悪用されるなどと危惧されています。

このチャットGPTを裁判書面の作成で活用するというお話らしい。

なるほど有効な使い方です。
この記事の中で知り合い弁護士が、落とし所などは弁護士が必要だろうとおっしゃっています。
しかし、将来的には、単に訴訟技術的なレベルでいえば、弁護士が本当にいらなくなるかもしれません。

それはネットやAIなどによって登記や税務について専門家が徐々に必要でなくなってきているのと同じ話です。

私としては、訴訟は純粋に勝敗の問題であれば、どうぞAIを使って下さい、という感じです。

ただし、裁判なり司法の問題は、民主主義を支える国家機構の一場面でもあります。それを完全にAIに代替していくというのが、はたして人類共通の利益という大所高所から見て本当にいいのでしょうか?
 

また裁判は、勝ち負けにかかわらず人間の感情の発露の場でもあります。アメリカの陪審裁判も昔は地方の一大イベントのようになっていたという話も聞きます。つまり、裁判は人間くさい面を強く持っています。
 

さらに、裁判は自分の抱えている問題・紛争を解決する場です。その本人が機械に依存し(弁護士に完全に頼りきる場合も同じかもしれませんが)、自分が主体性をもって解決しようとしなくなるのは、人間としての自己否定に繋がりかねない。
 

人類の進歩の中でできあがった裁判制度が、AIによる無味乾燥なものになってしまうのは寂しすぎませんか?