交通事故の賠償と生活保護の関係 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。

事情あって最近は投稿が減っていました。すみません。


さて、法律相談を受けると、生活保護を受給している方が交通事故に遭った場合の賠償について相談を受けることがあります。

生活保護特有の問題とは何でしょうか?
賠償金額がいくらになるかは、年齢や仕事をしているか、怪我や後遺症がどの程度か、ということで生活保護特有の問題はそれほどありません。単に計算式の問題です。過失相殺なども同じです。

ほんとうに生活保護特有の問題とは、支払いをどうするかとか、お金を受け取るべきかという問題に集約されるように思います。

たとえば、保険会社から「保険でなく生活保護(医療扶助)を使って治療をしてほしい」と言われた、ということがあります。
しかし、交通事故は原則として、加害者側の保険会社が治療費を支払うはずなので、このように言われても拒否するべきです。
ただし、こちら側の過失が高い場合は過失相殺されてしまう恐れが高いこと、そのため保険会社が医療費の支払いを途中で打ち切ることもあり得ます。
そうするとどこかの段階で生活保護に切り替えるか検討しなければいけなくなります。保険会社が打ち切る可能性も考えながら、生活保護課とどうするか話し合うことも必要でしょう。

次に、保険会社から賠償金を受け取った場合は、賠償金のうちの幾らか(全額とは限らない)を生活保護課に返金しなければならない場合もあり得ますし、それでもお金が残る場合は生活保護が停止になることもあります。
弁護士はそのような事態になることは必ず相談者に説明します。「保護課に保険金を支払ったことを申告します。」などという保険会社もあります。
そうすると生活保護を受けている人は、わざわざ賠償請求しない方が良いようにも思えます。
しかし、本来は保険会社が支払うべき治療費や生活補償を、国民の税金である生活保護から支払うのはおかしなことですから、生活保護を受給していた方であってもきちんと賠償請求するべきだと考えます。