親の財産処分と成年後見 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。

労働事件ではありません。
最近たてつづけに、認知症の親の不動産の売却について相談を受けました。

親とはいえ、他人の持ち物です。その財産処分をしたいのはなぜでしょうか?
案外、いろいろなケースがあります。
相談を受けたケースとは全く違いますが、父が自宅不動産を持っている例で考えましょう。

1 両親とも認知症。施設入所の費用を捻出するため自宅を売却したい

2 母が認知症で施設に入っている。施設費用は父の年金から払っていたが、父も病気になり、先が長くない。父が亡くなったあと、母の施設費用を支払えないので自宅を売却したい

3 両親とも認知症。子どもの生活を支えているのは両親の年金だが、施設に入ると年金だけでは足りなくなるので、自宅を売却して生活費に充てたい。


このようなケースでよくある質問が「認知症になった人に成年後見人をつけた方が良いでしょうか」です。

しかし、成年後見人は、後見される人(認知症になった人)の財産を最大限保全する制度です。成年後見人をつけると、家族の実態に即さないケースも出てきます。

典型的なのは3のケースです。
成年後見人は、認知症・後見となった両親の財産を保全することを最大の目標とします。両親の財産(年金・不動産)で子ども生活を支えるというのは、結局認知症の方の財産を減少させることになるので、後見人のスタンスからすると筋違いとなります。
ここの誤解を解いてもらわないといけません。

また、2のケースも、施設のお金という経済的問題だけであれば後見人をつけなくても良いかも知れません。たとえば、父に公正証書遺言を書いてもらい、自宅を売却処分して代金を母に相続させる、というかたちにすれば、後見人を立てるような手間暇は不要で、遺言執行によって速やかに施設費用を捻出できます。

損得勘定ぬきに家族が支え合っているケースでは、成年後見人をつけると杓子定規になってかえって面倒になるケースもあるのです。


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