弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
経済産業省は、近々、企業の取引先(サプライチェーン)での強制労働がないか調査をするということでした。
念頭に置いているのは、中国の人権侵害を理由に取引を排除することです。
しかし、以前にも述べたとおり、世界には(中国も含めて)、強制労働や児童労働は蔓延しています。強制労働、児童労働は、人権問題、SDGsの問題として、全世界から一掃するべきです。
日本ではそのような取り組みが行われていません。
EUなどは人権問題に敏感に対応します。
たとえばドイツでは、最近、サプライチェーンにおける企業の注意義務(デューディリジェンス)の法律(LkSG)が成立しました。
この法律では、大別して、人権侵害リスク(強制労働、児童労働、ハラスメントなど)と環境汚染リスク(大気汚染、水質汚濁など)を企業の注意義務の対象として、予防軽減策をとることを定めています。
予防軽減策をとるべき注意義務が法律で決められたというのは画期的なことです。
法律で注意義務が規定された場合、注意義務違反=違法、になります。損害賠償責任や刑罰の対象となるということです。
実際、この法律では、最大80万ユーロ(約8000万円)の罰金を科すことができることになっています。
日本の法律は、一般的に、企業の努力義務、つまり、違反しても制裁がない義務を課すことが多く、罰則がある義務でも100万円の罰金が科されることはまずありません。それくらい、甘い。
なので、ドイツのLkSGは、企業にとって厳しい法律といえます。
さて、強制労働、児童労働を取引先から排除するもっとも良い方法は、日本でいえば、生産拠点を国内に回帰することです。安い労働力を求めて生産拠点を外国に移していけば、安い労働力として強制労働・児童労働がはびこるに決まっています。国内ならば人権侵害の監視も可能です。
人権重視ということは、海外展開を見直すことでもあります。
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