学問の自由はこれを保障する | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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護士の萩田です。いつもありがとうございます。

日本学術会議の会員の任命について、学術会議が推薦した学者を首相が任命しないという前代未聞の事態が起こりました。

政府に対して批判的な学者を排除したと言われています。

これに対して、学問の自由を侵害するという批判が起こっています。
このような批判に対して、元市長の弁護士タレントなどが、いつものように政権を擁護する発言をしています。


学問の自由は、これを保障する

日本国憲法23条です。
5・7・5の読みやすい簡単な条文で、学問の自由をうたっています。

憲法が保障する他の自由権と決定的な違いは、条文の中に、たとえば「公共の福祉に反しない限り」などの制限が一切ないことです。
絶対的な自由が保障されているといわれるのはこのためです。

絶対的な学問の自由を保障していることによれば、その人の学問傾向によって、人事権で差別をすることは、憲法違反といえると思います。
学問研究を侵害していないから学問の自由を侵害しないという批判はまちがっています。


裁量行為と羈束行為

任命権が首相にあるから任命されない学者が出ても違法ではない、という人もいます。

それも間違っています。

たとえば、課税権が税務署長にあるからといって、この人の税金は高くこの人の税金は安くするというように恣意的に課税することは許されません。

つまり、権限がある人のさじ加減で行政処分を決めてはいけません。
法律用語で「羈束行為」(きそくこうい)といいます。

日本学術会議の人事は、会議の推薦に基づいて首相が任命しており、これまでも推薦どおり任命されていたから、任命は羈束行為です。
首相の裁量の余地があるとしたら、学問研究を考慮することにほかならないので、結局は学問の自由に対する干渉です。

結局、今回の日本学術会議の任命拒否は、違憲、違法の問題になるといえます。

感覚的に考えても、おかしい。

一国の首相が自分の気に食わない人を排除しても良い場面と悪い場面があるのは当然です。
内閣を構成する大臣の人選は、首相が自由に選んでも問題ないでしょう。
しかし、裁判官や学者など、政治と一定の距離おき公平性や中立性も必要な場面で、気に食わない人を排除するようなことはおかしい。

検事総長のときと同じようなことが繰り返されているのが残念です。

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