民法改正3-退職届の無効・取消 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
 
2020年4月1日から改正民法が施行されます。
民法改正が労働事件に及ぼす影響の3回目です。
 
今回は、退職届の無効・取消です。
 
退職強要をされる場合、会社は、あの手この手を使って労働者をやめさせようとします。
たとえば「このままでは解雇するしかないが、今じぶんから退職すれば傷つかずにすむ」などと言われて、そうなのかと誤解して「それならば退職します」と退職届を出したとします。
 
これまでの民法であれば、動機の錯誤があるということで無効を主張(民法95条)していました。
 
ところが、改正民法のもとでは、無効ではなく取消をすることしかできなくなります。
 
無効と取消は何が違うのか?
理論的にいえば、無効というのは意思の欠缺(無い)を差し、取消というのは瑕疵ある意思表示(間違い)を指します。
 
しかし、取消も無効も似たようなものです。
そこで改正民法では、無効ではなく、取消を主張することに変更されました。
 
ただし、実務上重要な影響があります。
無効の主張は理論的にはいつでも主張できます。
ところが、取消の主張は5年間という期間制限があるのです。
 
会社を辞めてから5年後に裁判で争うような事態はあまりあり得ないので、実務上の「影響はほぼない」ような気がします。