本当にこわい「高度プロフェッショナル」 | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
 
安倍内閣は「働き方改革」一括法案を国会で成立させようとしています。
報道では強行採決論もでているので、危険です。
 
とくに危険なのが、「高度プロフェッショナル制度」の導入です。
 
正式名称、「特定高度専門業務・成果型労働制
 
(1)高度の専門的知識を必要とし、時間と成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定められる業務で、
(2)年収が平均給与額の3倍を相当程度上まわるものであるときは、
(3)労働基準法の労働時間規制を適用しない
 
というものです。
 
この法律の定義から問題点を明らかにします。
 

<問題点>

 
(1)から分かる問題点
・職種は厚生労働省がかってに決めることができる
 →対象者がかぎりなく広がる
 
・時間と成果との関連性が通常高くない
 →「成果型賃金」と報道しているが、大ウソ。
  成果と賃金とは法律上は、なにも連動していない。
  成果型の労働でなくても広がっていく。
 
(2)から分かる問題点
・とりあえず年収1075万円と計算している
・「残業代など」も含めた年収が1075万円以上なら導入可能
 →総額1075万円の要件はそれほど高くない
・さらに低くすることも検討中(アメリカを参照)
 
(3)から分かる問題点
・残業代などが払われず、労働時間の上限もない
 →24時間働かせることができる
 
いったん導入されると、おそろしい制度です。
事務関係の仕事はすべて、高度プロフェッショナル制度が導入されるおそれもあります。
 
実際にアメリカがそうです。
おそろしい制度のため、アメリカでも見直しの議論があります。
 
本当にコワい高度プロフェッショナル制度。
だから、労働組合などだけではなく、弁護士会なども反対しています。
 


<会社側の弁護士も嫌がる高度プロフェッショナル>

 
実は、会社側の弁護士も高度プロフェッショナル制度の導入を心配しています。
 
もし、制度を導入したのに、要件を満たしていなかった場合どうなるでしょうか?
結果は、残業代請求訴訟のラッシュです。
しかも高額の残業代請求になるでしょう。
 
これは、かってに心配しすぎではありません。
 
たとえば、管理職や営業職の残業代請求のことを考えてみましょう。
一昔前は、
「管理職であれば残業代は発生しない」、
「営業職であれば事業場外のみなし労働時間制が適用されて残業代が発生しない」

と言われていました。
 
しかし、最近は裁判所が厳しく限定するようになり、管理職や営業職でもバンバン残業代支払いの命令が出ています。
 
会社側の弁護士は、このような事態をおそれているのです。

だから、
だれもが嫌がる高度プロフェッショナル制度は、導入するべきではありません。