「働き方改革」で残業代ゼロ | 弁護士の労働問題解決講座 /神戸

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弁護士の萩田です。いつもありがとうございます。
 
日本には産業遺産がたくさんあります。
これは、生野銀山の坑道前(の記念撮影)です。
 
働き方改革法律案要綱の3回目です。
 
今回は、残業代をゼロにしようとしていることです。
これは労働時間の大改悪であり、改革に値しません。
 
<また出た! 残業代ゼロ法案>
残業代ゼロ法案として、高度プロフェッショナル制度導入と裁量労働制拡大の2種類の方法が提案されています。
 
・高度プロフェッショナル制度
(特定高度専門業務・成果型労働制)
残業代や休憩などの労働時間規制の適用が除外することによって残業代をゼロにする制度です。
 
・裁量労働制
長く働いても短く働いても決まった労働時間働いたものとみなす制度です。
時間外手当(深夜・休日を除く)が発生しません。
現在は、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制があります。
 
裁量労働制は、高度プロフェッショナル制度以上に問題が大きい。
年収要件がないからです。

低賃金の労働者でも裁量労働制が導入されれば、残業代はゼロになってしまう。
たとえば、法人担当の営業職は(あ)課題解決型の開発提案業務に当たりそうです。
「名ばかり店長」「名ばかり管理職」は、(い)裁量的にPDCAを回す業務に当たりそうです。
それぞれ残業代がゼロになる可能性があります。
 
<働き方改革と残業代ゼロのセット>
「働き方改革」は、長時間残業を是正しようというスローガンでした。
ところが、残業代ゼロの制度はいくら働かせてもコストがかからないので、長時間労働を命じられるおそれがあります。
 
長時間労働の是正と残業代ゼロをセットで改正しようとするのは、矛盾です。
残業代ゼロ法案は、政府がこれまで導入を狙ってきました。そのつど、国民から批判を浴びて廃案になっています。
今回、多少見栄えのする残業規制と一緒にすることで、何とか残業代ゼロ法案を成立させようと考えているのでしょうか。
 
この「残業代ゼロ」法案が入ったままでは、働き方「改悪」です。