渚の誓い | ありのままにいきたい

ありのままにいきたい

M男の生態と女性崇拝について。
性的な表現、非常に不快な気分にさせてしまう恐れがあります。
興味本位でも全く構いませんが、自己責任でどうぞ。

  祐子とは、学生時代に知り合った。
私は修士の1年目で、彼女は新入生だった。
同じ敷地内ではあったが、看護学校だったので、たまに会うと嬉しかった。
知り合ったのはサークルの新歓だった。
既にOBになっていたが、オブザーバーとして新入生をみていた。
今時、新入生といっても化粧の上手な娘も多くて、そのまま飲み屋で働けそうなのまでいた。
祐子は友達に陰に隠れているような娘だった。
活動内容を説明していたら、みるみる目に光が入るのが分かって、嬉しかった。
その晩、食事会を兼ねた飲み会に皆で出かけた。
いい加減、ふらふらになるまで飲み続け、アパートに帰ろうとしたら、友達と2人で祐子も部屋に上がってきた。
あとで祐子に聞いたら、第一印象は熱い先輩だったそうだ。
祐子は私のことを先輩と呼んだ。
それはその夏のフィールドワークに参加して、ごく親しくなってからも変わらなかった。
祐子は少女の愛らしさと少しずつ女への扉を開きかける、変なたとえだが、さなぎから羽化するアゲハチョウのように思えた。
祐子がまぶしかった。
祐子と始めて接吻したのはフィールドワークを終えて、町に戻ってから、私の部屋で内容を振り返っていた時だった。
不意に抱き寄せたら、びくっと驚いたような仕草をみせ、それでも私がより強く抱きしめると体の力を抜いていた。
美しい、可愛い、そんな形容では表せないほど感激した。
祐子の髪の匂い、胸元の匂い、すべてが幸せだった。
祐子の二十歳の誕生日に私達は結ばれた。
現実にはそんな美しいものではなく、なかなか挿入にいたらず、挿入後は祐子があまりの痛みに涙を流し、修羅場のようだった。
それでも本当の幸せというものを味わった。


 私は修士の2年目になり、博士課程に上るつもりはなかったので、いよいよ学生生活最後の年になった。
祐子は病院実習も始まって少しずつ大人の女になっていった。
祐子とは会うたびにセックスをし、私は様々な体位を試してみた。
たまにH本を2人で眺めて、それを実践した。
フェラチオを初めてしてもらった時は喉まで当たって吐気まで催していた。
クンニもさせてもらった。
とても恥ずかしがり、布団をかぶって、暗闇の中でする事になった。
茂みに顔を埋めて、息を吸い込んだ。
埃っぽいような酸っぱいような匂いがした。
舌を這わせると即座に反応があり、頭を手で押して逃れようとする祐子に私は意地でもあそこから顔を離さないように押しつけたりした。
それから私は69に興味を持って、早速行ってみた。
祐子のお尻が眼前にあった。
お尻の割れ目の中心にはおちょぼ口のような肛門があった。
 その時私はフラッシュバックした。
中学生の頃、公園に捨ててあった小振りなH本を見た時だった。
SMという言葉が目に入った。
女の人が縛られていた。
すごく汚らしい世界に思えた。
ところで、中程のページを見ると今度は女の人が男を組み敷いて高らかに笑っていた。
この世界は何だか懐かしい。
はっきりそう感じた。
どうして中学生が、SMの描写を懐かしいと感じたのかは分からない。
でもどこかで経験していて、その世界に自分は身を置きたいと願っている気がした。


 ふと我に返り、祐子が私のものを口に含んで、刺激してくれていた。
私はその快感に酔いながらも祐子のお尻をみつめていると何だかそこに吸い込まれそうな幻覚に捕らわれた。
顔を上げて祐子のお尻に埋もれてみたいと思ったが、届かなかった。
そこで、舌先でかわいらしく窄んだ蕾を刺激してみた。
祐子が驚いたように振り向いた。
フェラチオも止めて、私の方に向き直った。
「どうしてそんなとこを舐めるの。」
「、、、可愛らしかったから。」
「だってね、そこってね。」
暫し沈黙したあと
「そこって、排泄するところよね。」
排泄いう言葉に頭を雷に打たれたような気がした。
排泄いうのは医学用語なんだろうけれども、連想するのは赤ちゃんの体だったから、幼児どころか乳児まで退行したような感覚を抱いた。
その日以来、私は祐子とのセックス以上にお尻に事にばかり興味が行っていた。
是非祐子のお尻に顔を埋めてみたかった。
いきなり顔を座ってくれとは言えなかったから、膝枕をしてもらった。
何とかしてお尻の下に潜り込もうとしたが、そう簡単にはいかなかった。
胸の上に座るところまではこぎ着けたので、あとはだましだまし、顔面まで下がってもらうほかなかった。首のすぐ下まできて、思い切って頼んでみた。
「そのまま顔に座って。」
「どうしてそんなことをするの。」
そういわれても困ってしまうよ。
理由などなかったが、そうして欲しかった。
かなり躊躇していたが、割り切ったように顔に座り直してくれた。
すごいボリューム感だった。
暖かさと顔の骨にずしりと重みも感じた。
結構容赦なく体重をかけてきた。
お尻の中心線に顔をずらし、やっと息がつなげそうだったが、パンティとタイツ越しとはいえ、かなり厳しい、刺激的な匂いを吸うことになった。
ああ、今自分は祐子のお尻に敷かれ、そして匂いを嗅いでいるんだ。
頭がくらくらしそうだけど、嬉しかった。
そして何とも懐かしい気分がした。
何度も深呼吸した。
ふと顔からお尻が挙がった。
「先輩何してるんですか。」
「暖かくて、柔らかくてすごく嬉しかった。」
「本当に。」
「すごく安心できる感じだった。鳥の雛になったような気分だった。」
祐子は微笑んだ。
最後のせりふは不意に出たのだが、我ながらヒットだった。
「僕が祐子を守ってあげなきゃならないのにごめんね。」
これは祐子の母性本能をくすぐったようだった。
それ以来、会うたびに顔面騎乗してもらえるようになった。
後ろ向き、前向き、たまに斜めにも座ってもらった。
前向きは密着して良いのだが、とても息苦しくて、顔が熱くなって、長時間は無理だった。
横向きは息はし易いが、お尻の骨が顔に当たりとてもいたいのとさすがに密着度が低くて、満足できなかった。
やはり一番は後ろ向きに座られることだった。
この姿勢は座られている間、ずっとお尻のボリュームに包まれていられること、お尻の匂いが漂いやすいし、嗅ぎやすいなど良いことばかりだったが、それより何より、祐子をしゃがむ動作は、それはそのまま祐子がトイレにしゃがむのと同じであることが感激であった。
怖いもの見たさも手伝ってか、いつの間にか私は祐子のトレイになる妄想を抱いていたのだった。
それは自分で買ったSM雑誌にも載っていた事であった。
女が男の口に直に放尿しているシーンを見て、そこに祐子と自分を重ね合わせてみた。
祐子は看護学生だから、尿を扱うこともあっただろう。
それだけに触りたくもないだろうから、そんな物を人にかけたり、まして飲ませたりという行為は、全くの想定外だっただろう。
雑誌にはSMクラブの案内もたくさんあったが、そんなものに興味はなかった。
平気で男の口の放尿する女なんかに魅力は全く感じない、むしろ罵倒してやりたいくらいだった。
さて、顔面騎乗はごく普通にしてもらえるようになった。
鳥の雛作戦大成功であった。
さて、どうやってオシッコを飲ませてもらったらいいだろうか。
変態じゃなく、オシッコを飲むといったら、はたと気づいた。
砂漠で遭難した際には泥水を飲むよりは尿の方が良いと聞いたことがあった。
サバイバル実践のためというのはどうだろうか。
でもサバイバルの演習は良いとして、そこまでする道理がなかった。


 夏のフィールドワークの前に私の部屋で計画を立てながら、酒を飲んだ時のこと、自衛隊の話からサバイバルの話になった。
元々キャンプが好きで、テントや寝袋も部屋にあったし、コッヘルやマナスルもみせたことがあったから、それなりに話は弾んでいた。
「キノコがあった。虫食いがあったからそれは毒キノコではない。マルかバツか。」
そんな質問をしながら、いよいよ核心に迫っていった。
どうしても水が欲しくなったらどうするか。
木の根を掘る、わき水を探す、もし塩水だったらどうするか。
祐子に尋ねたら雨乞いをすると答えた。
生き延びるためなら尿を飲むという選択枝もあるそうだと如何にも科学的根拠でもあるかのように言ってみた。
「そうかもしれないわね。」
祐子は冷静に判断したようだった。
「出たばっかりの尿って、無菌なのよ。知ってた。」
「無菌でも飲みにくいだろうね。」
「飲むものじゃないから、そうね。」
「自分でも嫌だな。」
「死ぬほど喉が渇いたらどうかしらね。」
「究極の選択っていうやつだね。」
「尿って腎臓で濾過されてるからきれいだと思う。」
「きれい?うーん。」
「やっぱり無理ね。吐きそうになる。」
「俺、祐子のだったら飲めそうな気がしてきた。」
「嫌よ。」
「だってきれいなんだろう。自分のなら哀しすぎるけど、祐子のなら飲んじゃいそう。」
「もう止めて。」
再びフィールドワークの計画に戻って、あれこれ話し込んでいった。
飲んで飲んで、尿意を催してトイレに立った。
「祐子が変な話するからオシッコしながら本当に飲めるのかなと考えちゃったよ。」
「嫌ね。」
テレビを付けてみた。
くだらない番組ばかりで、すぐに消してしまった。
「私もトイレ。」
祐子が立ち上がった。
私に突然勇気が湧いてきた。
勇気というより言う気か。
「なあ、祐子。さっきのこと確かめてみないか。」
きょとんとしたままたたずむ祐子にだめ押ししてみた。
「俺、本当に祐子のオシッコ飲めるか、自分を試してみたい。」
「何言ってるのよ。」
「本気だよ。自分のでも嫌だけど、この世でたった一人だけ、祐子のなら飲めるんじゃないかと思うんだ。」
「病気になっちゃうよ。」
「さっき、濾過されてきれいだっていったじゃないか。」
「そういう問題じゃないの。」
「どうしてもだめかい。」
「どうしてもだめよ。」
祐子はトイレに立った。
「何だか今日は変ね。」
すっきりした表情の祐子は必死で流れを変えようとしていた。
私もさすがに押しすぎたと反省し、その日は計画を立て終えて、休むことにした。
キスをしてベッドに入った。
セックスをするには酔っぱらっていたので、クンニだけいつもより丁寧にさせてもらった。
いつもより発酵した匂いが強くて、このまま口にしてくれたらなと思いながら眠りについた。


 フィールドワークはとある島の人々の健康調査だった。
公民館に泊まることにして、日中は各戸を回ってアンケート用に記入していった。
夕方にはその日の予定を終え、皆で自炊をした。
夕食後港まで祐子と歩いてみた。
「フィールドワークもこれが最後ね。」
「来年は忙しくて来られないだろうな。」
島の漁師さんの船に乗せてもらい、我々は島をあとにした。
祐子は帰省すると言っていたが、後かたづけやら何やらで、結局帰り損ない、私の部屋で総括することになった。
明日が休みということで、安物のワインを買って相当な勢いでボトルを開けていった。
「少し休もうかな。」
飲み過ぎてしまった。
祐子がテレビを見ている横で、私は天井を眺めていた。
「祐子、顔に座ってくれないか。」
「気持ち悪くなって寝たんじゃなかったの。」
「いや、大丈夫だ。ちょっとだけ休ませて欲しい。」
「甘えん坊さんね。」
祐子は雛を守る親鳥になって、私の顔に座り込んだ。
この温もり、柔らかさ、そしてこの匂い、私にとって祐子の肉体を一番近く感じる瞬間だった。
祐子は親鳥が雛に与える安心感以上にお尻を嗅がせるという攻撃的な行為を自覚していたのだろうか。
もしそうなら座ってはくれなかっただろう。
そんなことを思っていたら、必死に私を守ろうとしている祐子に堪らない愛情を感じた。
「だいぶ落ち着いたよ。」
「顔真っ赤よ。」
「祐子に座ってもらうと顔ポカポカだもん。ありがとう。」
私は小用に立ち、部屋に戻ると祐子もまたトイレに立とうとしていた。
「何だ、連れしょんできたのに。」
「何いってるのよ。」
私は祐子を不意に抱きしめた。
「なあ祐子、さっきは本当にありがとう。祐子に座ってもらうと祐子の優しさや愛情を全身で感じるんだ。でもその後不安になるんだ。祐子はどう思っているのかって。」
「私は別に。」
「だって、俺だけが幸せに浸って、祐子は本当は嫌なんじゃないのかい。」
「そんなことないわ。鳥の巣のことを想像していたわ。」
「俺も祐子に愛を示したい。証明したいんだ。」
「証明って何。」
「笑うなよ。前に話したこと憶えているかい。」
「フィールドのこと。」
「茶化さないでくれ。深い愛情のことだよ。祐子、トイレに行きたいんだろ。」
「あっ。」
「俺に飲ませてくれよ。どうしてもそれを祐子にみて欲しいんだ。」
「だって、そんな。」
「俺の愛のすべてを表現したいんだ。だから祐子も俺に愛を注いでくれよ。」
トイレは狭くて、祐子は泣き出しそうだった。
100円を入れて使う簡易シャワーに入ることにした。
他の学生は皆帰省してしまっているし、ちょうど祐子にシャワーを使ってもらうこともできるから、と説得した。
私はパンツ一丁で床に跪いて待ち、祐子はすべて脱いでシャワーを浴びる体制をとった。
電気を消したいと懇願されたが、私が飲むところをちゃんとみていて欲しいと言った。
祐子の黒い茂みを口に受け、私はその時を待った。なかなかその時は訪れなかったが、ふと身震いしてから、口中に暖かな水流を受けた。
必死で飲んでいった。
飲んでも飲んでも勢いは続いた。
もう胃が一杯になってきたが、まだ飲み続けた。
やっと流れが止まった。
息を整えてから見上げると涙目で祐子を見下ろしていた。
2人とも言葉は出なかった。
祐子の茂みの滴まで啜りとった。
何の感情も湧かなかった。
達成感なんてその時は感じなかった。
シャワールームから出て、祐子が浴びる音を聞いていた。
うがいした方が良いか、歯を磨いた方が良いのか、それともこのまま待っていればいいのか判断がつかなかった。
私の胃から祐子の尿が吸収されて、体に染み渡っていくのを感じた。
うがいもせず、ワインを飲んだ。
体が熱く感じられた。
やがて祐子がスエット姿で戻ってきた。
お互い最初の一言が浮かばず、薄ら笑いを交わした。
考えてみても言葉が浮かばなかった。
このままだと祐子が泣き出してしまうのではないかと不安になった。
「ありがとう。」
これがすべてだった。
祐子は明らかに無理しながらではあったが、わらし出しそうな表情を作って言った。
「美味しかったですか。」
「ハイ。」
と土下座してみせた。
「よろしい。」
これでまた元の会話に戻り、その日は休んだ。
翌朝、祐子は私の体調を気遣った。
私は体調変化もなく、むしろ達成感に浸っていた。
「お加減は如何でしょうか。」
「ハイ、絶好調でございます。」
「それは何よりでした。」
自分の体の中に祐子が入っているような気がして、嬉しかった。


 それから3月の私の修了までの間、祐子から排尿を受けることを楽しみにしていた。
雑誌で見たお聖水という言葉を祐子にも伝え、お聖水拝受と何だかとても気高い行為のように呼び合っていた。
結婚の意識することもあったが、祐子が看護師として飛び立つところも見届ける義務があると感じていたので、それは封印した。
セックスもお聖水拝受もお尻への愛撫も私にできる限りの愛を祐子に送ってきた。
4月になり、私は学生の頃とは比較にならないくらい多忙な日々を送っていた。
東京出張では先輩に怪しい店にも連れて行かれ、合コンの魔力にも魅せられていた。
祐子とつきあいながら、ほかにもセックスを交わす女友達ができていた。
祐子とゴールデンウィークに一緒に旅行に出かける約束をしていたのが、電話をしても留守が多くて、ついに予定の前日になってしまった。


 私の携帯が鳴り、祐子から突然の別れを宣告された。
理由を聞いても生きる世界が違っちゃったからとか、理解しきれない内容だった。
彼氏でもできたのかと尋ねると無言のままだった。
私も心は許していないと言いながら、セックスフレンドをもつふしだらな男であることに酔っていたので、止める言葉も見つからなかった。
「じゃ、元気で。お互い頑張ろうね。」
さわやかな青春ドラマみたいに幕を引きたいと思った。
その晩、車で海まで走った。
潮騒がとても心を締め付けた。
このまま海に入ってしまいたい、そんな気持ちまで湧いてきて、恐ろしくなり、町に戻った。
飲みに行こうにも飲んだら泣いてしまいそうで、結局自室に引きこもった。
就職して部屋を移り、学生時代の荷物も大半は処分するか後輩にくれてやっていたが、祐子との思い出の品は数多く残されていた。
アルバムを取り出して、祐子の写真をすべてはぎ取り、祐子からの贈り物もすべて袋にたたき込んだ。
今すぐ燃やしてしまいたい。
それも叶わず、ゴミ袋に入れて口を縛り、ベランダに放り出した。
焼酎をあおり、ベッドに潜り込んだ。
眠とうとしても思い出すのは祐子のことばかり。
優しかった祐子、まじめだった祐子。
辛くなるばかりで、祐子の嫌なところを思い出そうとした。
見あたらなかった。
嫌なところか、可愛い顔して、強烈な尻の匂いを嗅がせやがって。
でも無理矢理嗅いだのは自分だろう。
新しい彼氏に言ってやろう。
「この女は男に自分のションベンを飲ませたんだぞ。」
それは無理矢理飲まさせたんだろう。
そうだ。すべて俺が悪いんだ。
俺は最低の男だ。
自分の愛情を証明するなどと言ってすべては祐子の愛、慈悲に縋っただけだろう。
そう思うと情けなくて、生きていることを恥ずかしくさえ思った。
惨めで情けない男に残されたものはなんだろうか。
俺は必死で、祐子のお尻に匂いを思い出そうとした。
「お尻に包んだまま眠らせて下さい。二度と目覚めなくて良いですから。もし目覚めたら、どうか女神の慈雨をこの私に下さい。」
そう呪文のように繰り返しているうちに眠りについていった。


 翌朝、最低の連休の朝を迎えた。
二日酔いで後頭部がずきんずきんと病む。
ベランダのゴミ袋を手に車に乗り込んだ。
焼却場はどこにあるんだろうか。巨大なシュレッダーでも良いんだが。
穴を掘って埋めようか。
それも叶わなかった。
映画なら海か川に流すんだろうけど、大好きな海や川を汚したくはなかった。
結局持ち帰り、ゴミの日に出すことにした。
「君のおかげで、ゴミの日を守る大人になったよ。」
連休も終わり、忙しい日々に戻った。
忙しいことが心の救いだった。


 6月に上京した際に初めてSMクラブに行ってみた。
コスチューム姿の女王様は雑誌で見たままだった。
鞭を激しく受け、蝋燭で固められ、ハイヒールでえぐられた。
痛みは突き抜けたが、心まで届くことはなかった。
顔面騎乗もしてもらった。
言われるがままくんくん鼻を鳴らしたが、尻の匂いなどせず、汗くさいような生臭さだけだった。
小水もコースに含まれているからと言われたが、目の前で放尿するのを見るだけにした。
アンケート用紙に希望を書いていたので、〆は生のお尻での顔座りであった。
「アヌスをお舐め。」
と言われ舌を伸ばすと少し緩んだシワシワの部分に触れた。
中まで舌を差し込んで舐めてみた。
味も何もなかった。
お礼を言って店を出た。
泣きそうな気分だった。
祐子以外の女の尻を舐めてしまった。
もう祐子の愛らしいお尻の蕾の舌触りも忘れてしまいそうだった。
そんなことを考えていたら、新しい彼氏とのことまで思いを巡らしていった。
まさか、祐子は新しい男に飲ませたり、嗅がせたり、舐めさせたりしていないだろうな。
祐子がセックスするのは許せる。
でも祐子が男の口に注いで喜んでいたら、俺は卒倒するだろう。
お尻に敷かれて、悶絶している男がいたら、俺はそいつを殺してしまうかもしれない。
やや狂気じみてきて、なるべく祐子のことを考えないようにしていた。
7月になって、フィールドワークの仲間からはがきが来た。
今年の総括をするからOBもきて欲しいとのことだった。
連中も俺と祐子のことを知っているはずなのに酷なことをと思った。
それでもその日は念のため空けておくことにした。
飲み会は10人ほど集まった。
最終学年ということもあって、祐子が積極的に発言をしていた。
私は気のない素振りをしてただ酒を飲んでいた。
飲み会がお開きになり、祐子と顔を合わさないようにそそくさと店を出た。
祐子に呼び止められ、少しだけ話した。
彼氏は同学年で、来年2人で沖縄の病院に勤めるつもりだと言っていた。
ということは結婚しちゃうんだな。
独り言を言ってみた。
もう会うこともないだろう、そう思ったら格好良く別れる気など吹き飛んでしまった。
「今でも祐子の尻に敷かれて、犬みたいに匂いを嗅ぎ回ったり、便器に使われる夢を見るんだ。」
祐子はぎょっとしていた。
「俺は死ぬまで祐子の尻の穴を舐めて、そして便器に使われる奴隷でいるよ。」
祐子は言葉も出ないようだった。
「だから約束してくれ。彼氏にお尻の穴を舐めさせたり、オシッコを飲ませたりしないって。祐子のお尻の穴とお聖水だけは俺のために封印してくれ。」
あっけにとられた祐子を残し、俺は走った。


 これで俺は祐子の呪縛から逃れられる、代わりにあいつに俺の怨念を背負わせ続けられるんだと思った。
俺がこれだけいたい思いをしているんだから、それを少しでも味わえ。
祐子はトイレにしゃがむ度、用を足す度にふと俺のことを思い出すだろう。
ばあさんになっても忘れるな。
 俺はそれから2年して8才年下の女と出会い、結婚した。
すぐに子供も生まれ、2人で過ごす時間はなくなった。
結婚してみて、嫁さんに無茶をさせようとは思えず、さりとて、たまにわき起こる顔面騎乗や聖水の願望は抑えきれないものだった。
現実にそんなことをする事はもうないだろうから、夢の中で祐子に尻に敷いてもらっている。
祐子に最後にあった際に呪縛みたいなことをしたことを後悔した。
あのあと勢いで、プロの女の尻を舐めてしまったが、プロ相手だったことで許して欲しいと思っている。
お聖水は生涯ただ一人、祐子様だけからしか頂きません。
この誓いだけは守って生きていこうと思っている。