気まぐれ厨房「親父亭」落語編その⑳~猫の災難 | 気まぐれ厨房「親父亭」

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落語に見る食の風景~鯛料理
     腐っても鯛・・・鯛は魚の王様
     高貴な人が食べる高級魚の代表
  
すぐれた素質や価値を持っているものはどんな悪い状態になっても、本来の価値を失わないたとえで「腐っても鯛」。仮に腐ろうとも鯛は鯛であり、魚の王者に変わりはないということでしょうが、腐っちゃあ食えません。
それよりも三枚におろして身を食べて残った頭やアラでも立派なご馳走になるんです。
当ブログにはアラで作った鯛めしも紹介しています。
http://ameblo.jp/bendream/entry-11199697075.html
 
落語では「目黒のさんま」「ねぎまの殿様」など高貴な人が下魚を食べるという噺があります。
逆に「寄合酒」や「猫の災難」など庶民にとってなかなか口にできない鯛を題材に、面白い噺に展開していきます。
「寄合酒」では長屋の連中が集まって飲むときに、何かアテとなるものを持ち寄るということに。
タダでせしめた鯛を調理させているときに犬がやってきて睨むので「どうしよう」と言うと、兄貴分はぶったたいて追い払えと言う意味で
「頭くらわせ」「尻尾くらわせ」「胴体、どーんとくらわせ」と答えます。
調理の男はそのとおりに、頭も尻尾も身の部分も全部犬にやってまうという馬鹿げた噺。

さて「猫の災難」はというと、主役は文無しの熊五郎。
仕事が休みで、朝湯から帰って一杯やりたいと思っても先立つものがありません。隣のかみさんが熊五郎に声をかけたので、見てみると大きな鯛の頭と尻尾を抱えています。
隣の猫がこのところ具合が悪く、鯛を見舞いにもらって身を食べさせた残りで、捨てに行くところだといいます。
「捨てる?冗談じゃあない。頭は眼肉がうまいんだから、あっしにくださいな」ともらい受けます。頭と尻尾を並べて上からすり鉢をかぶせると、立派な鯛が1匹置いてあるように見えるから凄い!
そこにちょうど訪ねてきた兄弟分が「おめえと一杯やりたいので誘いに来た」。
すり鉢からはみ出ている鯛の頭と尻尾を見て「なんでえ、冷てえじゃねえか。こんないい鯛があるんだったら俺が酒を買ってくる」と酒を買いに出て行きます。
困ったのは熊公で今さら「隣の猫のお余りで、頭と尻尾だけ」なんて、いえません。兄弟分が酒を抱えて帰ると、三枚におろした身を隣の猫がくわえていったとごまかします。
「それにしても、まだ片身残ってんだろ」「それなんだ。片身口へくわえるだろ、そいでもってもう半身あるとわかったら、爪でひょいと引っかけると小脇ィ抱えて」
「何?」「いや、肩へぴょいと」
嘘もここまでいえるとたいしたもんです。日ごろ隣には世話になってるんで我慢してくれと言われ、兄弟分は不承不承今度は鯛を買いに行きます。
朝から飲みたいでたまんなかった熊公。目の前には大好きな酒が・・・。
冷のまま湯飲み茶碗で早速一杯。「どうせあいつは一合上戸で、たいして飲まないから」と高をくくって一杯。また一杯。
兄弟分にとっておこうと、徳利に移そうとした途端に酒をこぼしてしまい、もったいないと畳をチューチュー吸う始末。
徳利の中にも1合ほどしか残っていないので、これっぽっちじゃやっぱり隣の猫のせいにするしかない。
「猫がまた来たから追いかけたら座敷の中を逃げ回って、逃げるときに一升瓶を後足で引っかけて、全部こぼしちまった」
と言いわけすることに決め、結局徳利の残りも全部飲んで、ついうとうとと寝てしまいます。
鯛を仕入れてきた兄弟分、酒が一滴もないのを知って仰天。
「この野郎、酔っぱらってやがんな。てめえが飲んじゃったんだろ」
「こぼれたのを吸っただけだよ」
「よーし、おれが隣にどなり込んで、てめえん所は猫に食うもの食わせねえからこうなるんだって文句言ってやる」
そこへ隣のかみさんが現れて「ちょいと熊さん、いい加減にしとくれ。さっきから聞いてりゃ、隣の猫隣の猫って。家の猫は病気なんだよ。お見舞いの残りの鯛の頭を、おまえさんにやったんじゃないか」
それを聞いた兄弟分「この野郎、どうもようすがおかしいと思った。やい、おれを隣に行かせて、どうしようってえんだ」
「だから、猫によーく詫びをしてくんねえ」

鯛(真鯛)はつややかな色や貫禄のある姿形から「魚の王様」といわれ、昔から祝い事には欠かせぬ魚とされています。
赤ん坊の「御食い初め」、結婚式や新築祝い、大相撲の優勝力士が大きな鯛を掲げ持つ姿もおなじみですね。
天然物の真鯛は春が旬、近年は養殖物が大量に安定してありますので、年中店頭に並びます。
まずは刺身でよし。脂がのった身は焼いてよし、煮てよし、蒸してよし。他にも吸い物、酢の物、しゃぶしゃぶ、カルパッチョなど食べ方はいろいろ。
徳川家康は鯛の天ぷらを食べて亡くなったという話がありますが、これはどうもあやふやです。
ただ江戸時代から鯛の唐揚げなどは、料理本に残されています。
鯛の茶漬けもおススメです。
http://ameblo.jp/bendream/entry-10988170784.html
  
ちょっと変わったところでは、アラを使って揚げ出し団子なんてのもあります。
http://ameblo.jp/bendream/entry-11027481472.html
  
鯛は魚の王様、いろんな楽しみ方があります。