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私は、よそのパンは食べないし、行くこともめったにない。

正直、落ち込んでしまうことがあるからだ。


私は自分と違うもの、出来ないことをしている人を尊敬してしまうし凄いと思う。

そして比べてしまう。

さもしい人間に思えてくるのである。


そのさもしさでパンを作るよりも自分の理想を持ってパン作りをしたい。


時代で知る。

世間を知る。


そのためにも、他の店も見たらと忠告してくれる先輩方もいる。

そう言ってくれることが、とても有難いことだと感じている。


と、言うことで少し見て回った・・・。

品揃えと量に圧倒される。

比べるのが自分の店なのだから何とも言えない。

何処の店も、それぞれ美味しいパンを作っている。


洋菓子屋さんのパンがトテモ美味しかった。

ケーキの延長線上の素材で作っているからだろうか?


勝った負けたの評論はしたくないが、どうしても勝てないのは家庭で作るパンだ。

勿論他の料理も含めてなのだが家庭でこしらえるものが1番なのではないだろうか。

家庭料理のよさを表す言葉は色々あるだろうが、換金性の無いことが元になっているような気がする。

利を求めないことが大切なのかも知れない。


最近お客さんが

『○○さんからパンを貰ったら美味しくて』

とか

『パウンドケーキを焼いている』

とか

『パン教室で焼いたパンを切って貰えませんか?』

などなどベイクされている方々がグンと増えている。


スライスした方に手数料代わりにパンを1枚貰って食べたら美味しいのである。

このような拡がりは大賛成である。


私も酵母パンを焼き始めた頃の目標は近世ヨーロッパの家庭で焼かれていたような生命感あふれるパンだった。

それが今では古代のパン作りを目指してパンを焼いている。

これが小麦酵母のパンなのだ。



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休日明けは体調も気分も芳しくは無い。

休日は生活リズムが普段と違うし、睡眠時間が極端に多くなる。

疲れているので眠ってしまうのだろうし、眠らないと体を崩すのだろう。

仕方が無いが、その分体を戻すのに半日くらいはかかる。

現代の消費活動は週末型だと言われるのだから週明けは厳しいということになる。


リズムのある仕事なら苦にはならないが、リズムを出すために、ひと仕事しないといけないようになっている。

些細な事ばかりなのだが、あれこれあると休み明けは辛い。


気持ちを高めて行動することが今とても大切なことになっている。


今週の月曜日の干し柿作りがそのひとつになった。

皮を剥いて糸で結んで棒に吊るしてゆく。

60個あった。

数年前は400個以上作ったこともあった。

後日Tシャツや白衣のお腹の辺りが茶色くなっていたことに気付いた。

何で汚したのだろうか、その時は思いつかなかった。

それは柿渋だった。

後になって、その渋が浮き上がってきたのだ。

洗濯しても洗濯しても落ちる事は無かった。

何時か柿渋を作ってみたいと思っている。

柿の皮を剥いていると何時もそう思うのだが、未だ実現はしていない。


柿渋は塗ってから時間が経つほど味わい深みが出るらしい。

それは身を持って解っている。

軒下に吊るされた柿は陽を浴びていると柿を超えた何かを持っているかのように思えてくる。

だいだい色が炎のように見えて生命力がたぎっている。

陽を受け風にさらされ柿は力を抜かれてゆく。

それによって新しい力を身に付けて変ってゆく。

そして新しい価値や保存性を備える。


いいなぁ。

受け入れることは変われることであり生きることなのかも知れない。




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干し柿を作るために3歳の息子と早朝出掛けた。

場所は金沢の森本の奥の方である。

地名は忘れてしまったが、もうチョッと行けば小矢部である。

JRバス停で時刻表を見ると1日で2本しかない。

何とも声が出なかった。

車が無いと暮らして行けないなあと実感させられた。

切ない気持ちになる。


柿がないかと車を走らせると里山の中に、だいだい色は際立つ。

車を道端に止めて少し登ると柿の木があるのだが見た目より高くて手では採れない。


『採れんねぇ』

私が言うと

『俺に任せろ!』

と柿の木のある斜面を息子は登ってゆくのだが、勿論無理である。


竹の棒を持って再挑戦するが、これも駄目。


少し先に銀杏の黄色が目に入る。

『銀杏も拾ってゆくか』

と息子に言うが、少し拾って飽きてしまう。

どんぐりは山ほど拾ってくるのに何で銀杏は拾わないのだろうか。


田んぼのあぜ道や、その周りを探検したした。

見渡しが良いので、暫く好きにやらせておいた。

その間に私は何とか少しでも柿が欲しかったので竹の棒を使って4個採った。

木に登ろうかとも思ったのだが枝が細かったし木が真っ直ぐではなかったので止めた。


後は銀杏を拾って息子が戻ってくるのを待った。

『びちゃびちゃやし着替えたい』

と息子が言いながら戻ってきた。

膝から下が濡れていた。

『そんじゃ着替えるか』

と車に戻ると、息子は来た道をドンドン歩いてゆく。

『オーイ』

と呼ぶと私の方を見てニヤッと笑う。

私は後をついてゆく。

少し距離を置いて。

道がカーブで見えなくなると私は小走りで息子の横に並んだ。


道端の草を抜いたり小さな路地に入りながら歩いた。

『何か良い匂いするね』

少し私は考えて

『山の匂いか?』

『そうや』


道をそれて下ってゆくと斜面にそって段々と田んぼがあった。

へび苺でもないかと探してみたが無かった。

山ぶどうのような実があったが葉の形が違うし食べてみると独特の酸味もなかったが、赤や黄色の実が成っていた。

穴を掘れば自然薯もあるのだろう。

小鳥も色々さえずっていた。


やんわりと色付く里山の空気は良い匂いである。


もう少し車を走らせて野菜直販所の横の柿の木から小ぶりな柿を50個程採らせてもらって、その日は帰った。



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