遥香のライフスタイルブログ Haruka's daily lifestyle

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19Nov
- 21歳で習い事を始める
  今日からピアノ教室に通い始めることにした。というよりも、通い戻ったという言葉の方が適切かもしれない。なぜなら、そこのピアノ教室は幼稚園から小学生の8年間通っていたところだからだ。中学生になると同時に辞め、それ以来戻ったことはなかった。私はその教室が、大好きだった。先生がもう1人の母のような存在で、私のことをよくわかってくれている人だった。本当に負けず嫌いで、どんなに難しい曲でも「あなたならできる」と、私の「この曲が弾きたい」という気持ちを踏みにじった事はなかった先生。私の能力というよりも、私自身を信じてくれていたんだろうな。そんな先生に、もう一度会いたくなった。そして、もう先生の横でピアノを弾きたくなった。今でも趣味として続けていて、結局私は物心ついた時から、ずっと弾いている。おそらくこれからもずっと、ピアノから離れる事はないのだろう。こんなに、一つのものを私の体に染み込ませてくれた先生。人間関係が薄れていくように感じる社会だけど、決して途絶えさせてはいけない関係性がある。そう考えた時に浮かんだ1人の人。教室に入った瞬間、私は小学生に戻ったような感覚に陥り、「ただいま」と言いたくなった。変わらないものを見ると心から安心する。教室の匂い、昔から置かれてあった飾り、大きな黒いグランドピアノ、先生。今日からもう一度、ここの生徒になることに、私は幸せでいっぱいだ。
08Nov
- 公園という別世界
  　ベッドで横になりながら本を読んでいたら、窓から入り込み日差しと暖かい風が、どうも私を外に出たい気分にさせた。あの公園へ行こう。だけどその公園の名前も、どこにあるかも思い出せない。グーグルマップを開き「公園」と検索すると近くにある公園がいくつかヒットし、1つずつ確かめてようやく見つけた。よく車でその公園の横を通るのに、こうやって地図を見て確認しないとわからないなんて、自分の方向感覚には呆れてしまう。寝癖を治し薄く口紅だけ塗って、さっきまで読んでいた本を鞄に入れ、外にでた。最近は一気に寒くなり冬が来たのを感じさせられるような日々が続いていたが、今日は秋の始まりに戻ったような、上着なしで長袖で過ごせるような気温だった。公園が見えるようになると、子供で溢れていて入れる隙間がないように感じたが、子供がいない奥のほうにベンチを発見し、私はそこへ進んだ。ここはわりと広くて、アスレチックのようなものもあるし、少し離れたところにはテニスコートもある。私はテニスコート付近のベンチに座って本を読みながらも、周りの音に耳を済ませていた。公園って、人の声で溢れかえっているな、としみじみ思った。笑い声、怒った声、泣き声、そしてそれら全てが子供のものである。大人が集まった場所で、こんなにもいろんな声が聞こえてくる場所はあるだろうか。大人が泣いている声が聞こえたら、私たちは何か異常なことが起こったと感じる。どうしてだろう？なぜ子供が泣くことは自然なこととみなされて、大人が泣くことは不自然をみなされるのだろう。大人は感情がコントロールできるはずだから？感情のコントロールは泣くことを堪えることなのか？子供よりも大人の方が泣きたい事情は多いはずなのになあ、とそんなことを思っていると全く本が進んでいないことに気づいた。読み始めようとすると、テニスコートに男の子1人と女の子数人が入ってきてサッカーを始めた。女の子1人対その残り、という構図になっていて私はなんだかそれが珍しいと思った。反則をしたのか細かいところは遠くて見れなかったが、1人チームの女の子と男の子が喧嘩をし始め、女の子が最終的に男の子の背中を思いっきり押して男の子がその場に座り込んだ。遠くからでも、その男の子の顔が歪み始めているのが見えた。あー泣く泣く泣くと思いながらその子を見ていると、その子はゆっくりと口を開き「どうしてそうゆうことをするの」と案の定、泣き叫び始めた。「どうしていじめるの」と怒り、泣きながら女の子に訴えていたが、女の子は知らん顔しながら残りの子とサッカーを引き続き楽しんでいてこれには少々驚いた。男の子が泣き叫び、女の子が冷静に言い返すこの構造、大人の世界ではありえるだろうか？彼らは彼らで今辛い思いをしているはずだが、性に縛りを感じないでこうやって人間同士がぶつかり合っているのを久しぶりにみた気がして、私はなんだか彼らの世界を羨ましく思った。ああ、また本から目を離していた。夕方になっても全く寒さは感じられず心地よさを感じていたが、やはりここまで気持ちがいいと何か不都合が起こるのが世界の決まりで、周りに飛ぶ蚊には流石に苛立った。「バイバーイ」と公園の入り口のところで先ほどの女の子が手を振っていて、気づいたらテニスコートで行われていたサッカーは終わっていて静まり返っている。その子に対していろんな子が「バイバイ」と返事をし、大きく手を振ったが、私の近くに入り口の方を見向きもせず砂遊びをしている子がいた。お母さんに「なんでバイバイしないの」と怒られてその子はゆっくり入り口の方に体を向け、とんでもなくどでかい声で「バーイバーイ」と叫んだ。その子がずっと無口だったから声がでかく感じたのだろうか。無口な人がたまに発す言葉に皆が注目するという現象は、子供世界にもあるらしい。　一部の雲はオレンジ色に染まっていて美しい夕陽を演出しているが、よく見るとそれはぶくぶくと吹き出しているマグマのようだ。リードにつながれた柴犬がやってきた。私は犬を飼っていないがもし飼うなら柴犬と決めているから、柴犬を見るとじっと見てしまう。柴犬は落ちていたビニール袋のほうに向かい、それを口で引きちぎり始めた。犬ってビニール袋も食べちゃったりするの？犬に関しては全く知識がない私は、全く止めようとしない飼い主に不安を抱きはじめた。ようやく飼い主はしゃがんでそのビリビリに破れたビニール袋を拾い集めた。なにも遊ぶものがなくなりただ飼い主を見つめている柴犬をゆっくりと撫でた。近くのおばさんが「何歳ですか？」と声をかけ、そこで2人の間で会話が始まった。犬って見知らぬ人との会話のきっかけになるんだ。2人は犬の話でこんなに盛り上がっているのに、この柴犬は今なにを思っているんだろう。「ビニール袋返せ」かな。空を見上げたらさっきのマグマはなくなり、紫色の空が広がっていた。開いていた本に視線を下ろすと、もうこれ以上読み続けると目が悪くなりそうな気がしたから、私は仕方なく本を閉じてもう帰ることにした。ちょうど5時の鐘が鳴った。
06Nov
- 伝え方に正解なんてない
  　なんでもかんでも直接言えば伝わるってもんじゃない。LINEとかメールで言って来るんじゃなくて直接言えと強要するのは、正しくない。台湾には「顔と顔を合わせれば情が3倍沸く」ということわざがあるが、それは確かに正しい。家にいることが多くなった現在、友達とのやりとりはほとんどLINEであり、そこに寂しさは感じる。LINEじゃなくて会って話したいと思うのは多くの人が経験しているだろう。しかし、直接会う方が「気持ちが伝わる」というのはまた別だ。なかなかうまくまとめられずに脳に浮かんだ言葉をポンポンと投げかけるのと、時間をかけて言葉を整理し順序を考えて構成した文章を送るのでは、どちらの方が自分の言いたいことを100%伝えられているだろうか？私は完全に後者だ。私は文字を書いて（もしくは打って）伝える方が得意で、話し言葉は向いていない。結局自分は何言ってんの？となることがよくあるし、これ自分が言いたいことじゃない！と予想外の結果にたどり着いてしまうことがある。さらに決めつけには、なんだ何もわかってないじゃんと自分はしっかり伝えたつもりでも、全く相手に伝わっていなくて落ち込むことだってある。そんな状況に陥った時、書き言葉よりも話し言葉の方が伝わると決めつけてしまっている人は、もう伝えることを諦めるだろう。どうせ言ったって伝わらない、と。私もかつて、というかつい最近までそう思っていた。しかし、「何度言っても伝わらない。でも絶対にこれは伝えなければならない。」とそんな必要に駆られてた時、私は自分の文章力に頼ってみた。レシートみたいな長さになったけど、私は自分の思っていることを100%伝えることに成功した。私はやっぱり、文章派だ。そう再確認することができたのだ。　日本では自殺防止のために、カウンセリングがLINEのやりとりでできる、いくつもの相談用のアカウントがある。私はこのサービスを本当に誇らしく、素晴らしいと思っている。おそらく海外にはこのようなサービスはないだろう。思うことは直接言う主義だから、メッセージでやりとりなんてめんどくさいと感じる人がほとんどであるだろう。相談する側も受ける側もそういった同じ感覚を持っているのだから、問題点はない（はずだ）。しかし、この点に関して日本は欧州のやり方を取り入れてはけない。文化の違いを考慮する必要が十分にある。文章で伝えるのを好む「The 日本人」の感覚を持っている私は、誰かに相談したいとき「言葉じゃなくちゃダメ」と否定されたら、伝えるのが難しくなってしまう。いろいろ悩んでた時期、こういったサービスを利用しようと思ったことがある。考え込んでしまいがちな夜に相談しようと思ったが、遅い時間帯は残念ながら営業時間外だったため、そのときは利用することはできなかった。しかし、その存在があること自体に救われた気分になることだってある。　最後に、「緊張して伝えられない」と「うまく伝えられない」は違う。前者は克服する必要がある。緊張していてもそれは「伝えられない」理由にはならない。後者は「伝えられない」事実が実際にあるのだから「うまく伝えられる手段」を考える方が大切だ。私は最近この発見をして少し心が楽になった気がしている！
04Nov
- 戦う娘
  　円満家族。それって何？いろんな定義があると思うけど、どんなに「形」がよくても、苦しんでいる「個」を放っておく家族は円満ではない。24歳でまだ家にいるのはいいけどお皿一つさえ洗おうとしない兄。そんな兄に傲慢な態度で文句を言われている母を救おうとしない父。私の前で、泣く母。何もできない私。だったが、もうそろそろ限界がきた。バイトが終わり、11時前に家に帰って階段を上がり「おかえり〜」と笑顔で言ってきた父に真顔でブチギレた。あのとき私はどんな顔をしていただろう。もっと怒鳴り散らせばよかった。なんなら兄の部屋まで行って皿でも投げつければよかった。口喧嘩や言い合いをしたあと、いつもああ言えばよかった、ああすればよかったとあとからいろいろ思い浮かぶ。というか、もっと早く言えばよかった。私は何を恐れて今まで黙っていたのだろう。「末っ子」「娘」「女」全てを兼ね備えた自分は家族の中で一番立場が弱いとどこかで感じていて、向き合わなければならない問題から避けてきた。　そういえば、昔住んでいたマンションの隣の家からよく口喧嘩が聞こえてきた。そこの家の父はまさにヤンキーで本当に怖かった。話している時は優しいのだが、絶対に父親にはしたくないと思えるような人だった。そこの子供は私よりもずっと小さく、私が小6の時彼女は小2くらいで、よくマンションの広場で遊んであげていた。奥さんもかなり若く、華奢で、お腹の中に赤ちゃんがいたのを覚えている。そして夜になると、隣の家から「〜だろうがあ！」ってヤンキー父さんの怒鳴っている声がよく聞こえてきた。「こわっ」と私の家族は聞こえるたびに怯えていたけど、私たちはその家族に恐怖よりも驚きを感じていた。どんな怖いお父さんでも、小2の娘が怒鳴り返し対抗していたこと。奥さんがそれ以上にでかい声で（声が高いからまあよく聞こえた）反論していたこと。そしてある日、母親が子供たちを連れて行って出て行った。　彼女たちの強さを見習って、私は反論できる権利を持っている限り対抗し続けたい。おかしいことはおかしいんだから。些細な問題でも、放っておくから大きくなる。私は戦うのを恐れないし、家族内で強弱なんかつけたくない。絶対に、絶対に、「個」が抱えている小さな苦しみを無視したくない。だって私は、自分の家族が大好きだから。
30Oct
- クリスマスまであと55日
  昨日バイトに向かう道で、クリスマスのライトアップの準備をしているところを目撃　　この公園は、毎年この時期になるとどでかい一本の木がピカピカのクリスマスツリーになる。とってもきれいなんだけど、正直言って、寂しい。この一本だけが必死にクリスマスを楽しんでいるようだ。日本のクリスマスは本当に、寂しい。年々、クリスマスを「どーでもいい」と感じる人が増えたせいか、街も全く変化がない。飾りも、光も、減ってきている。もしも、カレンダーなしに12月を過ごすとなれば、私たちはおそらくいつクリスマスが来るのか、はたまたもう既に来たのか、何も気づかずに25日をスルーしてしまうだろう。カレンダーの「25日」が唯一のクリスマスの知らせだ。ディズニーランドとか、都会のクリスマスマーケットに行かないと、私たちは何も特別なものを感じない。　オーストラリアは、この時期夏真っ盛りであるため「夏のクリスマス」が訪れる。サンタがサーフィンに乗っているあの姿が思い浮かぶだろう。私は去年そこにいた。40度まで気温が上がり、夜も大して気温は下がらず本当に暑くて参ってしまうが、やはりクリスマスは街が賑やかになる。あちこがライトアップし、どでかいピカピカのツリー（しかも一つじゃない）やサンタのそりが置いてあったりして、暑さを忘れるほど美しかった。夜、クリスマスの街並み散歩をしようと友達とアイスを食べながらブラブラしたのが懐かしい。何も感じない冬のクリスマスを過ごすなら、楽しい40度のクリスマスの方が全然マシだ。　国民全員が「今日はクリスマスだね」「メリークリスマス」と言い合えるような日が1日くらいあってもいいんじゃないか。街に出るとクリスマスソングが聞こえたり、きれいな景色にうっとりしたり、クリスマスを「祝日」としてみんなが認識して祝う、そんな日であってほしかった。日本の意向に反してでも私は全力で祝うつもりだ！そろそろ部屋もクリスマス仕様にしたい。料理は何にしよう？考えるだけでワクワクする。バイトなんて入ってたまるか。　
29Oct
- 今日生まれた新しい命
  やっと世界に出てきたのに、顔の三分の二覆い隠し、二つの目だけを見せた人間が僕を囲い、どこから声が出てるかも分からないのにひたすら声をかけてくる。この人たち笑っているの？でも、笑顔ってなに？表情ってなに？何も見えない。「New Normal 」ってみんな言うけど僕たちNew bornにとっては、全てがNormalなんだ。顔を隠すのが当たり前らしい。人に近づいたらいけないらしい。どこに行っても体温を測ることが求められるらしい。ぜんぶ、コロナっていうバイキンのせいなんだって。何なんだろうね、それ。よく分からないけど、僕はそんな星に生まれてきたらしい。言葉を話せるようになったから、マスクをしてちょっと大人に聞いてみよう。「マスクをしないで顔を出し、人との距離も考えず、そうやって過ごせる時代なんてあったの？」「あったよ。」「それは、いい時代だった？」「いい時代だったよ」「その時代に生まれてこなくてよかった、街で顔を出すなんてなんか恥ずかしいから。」「恥ずかしいとも思わなかったよ。学校は楽しい？」「席の隣の女の子と話すのが楽しい」「その子のマスクとった顔、見たことある？」「昨日初めて見たよ、インスタグラムで。」「そう。好きなんだ？」「好きなんだ。」「いつから？」「ずっと前から。」今日生まれてくる子たちは私たちの新しい生活様式を、当たり前の生活様式として迎える。未来に真っ暗な気分になっているのは、瀬戸際に立っている私たちだけなのかもしれない。彼らを闇に引きずり込んではいけない。大丈夫。この星はそんな悪くない。
26Oct
- 新宿で見えるもの
  　新宿で得るものは新しい服だけではない。社会の格差の認識が得られる、それが新宿である。もちろん他の地域にもあるだろうが、私が出入りする地域の中で新宿が一番顕著に表れているということだ。土日の新宿の通りはいろんな声、無数の音のざわめきで溢れ返り、それが逆に全てを消し去ってしまい、私たちは何も聞こえず、何も見えない。ここにいる人はただ歩き、歩き、目的地まで歩き、真横にいるホームレスの人のことを見向きもせず無視して過ぎ去る。まるで彼らが存在が消されたように。　Newomanの前の横断歩道では、信号が赤の間に人が溜まりに溜まって、青になった瞬間、お風呂の栓を抜くように一斉に人が流れ出す。信号を待っている人を狙ったピエロのような格好をしたり、少し変わった格好をした大道芸人が、毎週それぞれの芸を披露してお金を集めている。赤信号によって歩くことを一時停止させられた私たちは、立ち止まって彼らの芸に目を向ける。変わった芸に惹かれ財布から小銭を出そうとするが、信号が青になると私たちはまた前を向いて歩き出す。昨日は、また違った人がそこに立っていた。その人は芸を持っている様子ではなかった。持っているものは、メガホン一つ。汚れた服を着て、何をするかと思えば、彼は大声で叫び出した。「Go Toキャペーン。何万もする高級ホテルに安く泊まれる。いいですよね。でも貧乏人は、私たは、2000円で泊まれる宿を探しています。日本政府は、ワクチンを、、」ここで信号が青になって、私は重い足を踏み出した。あの人はおそらくその後、日本がワクチンに巨額の支出をしたことに異議を唱えたのだろう。私もそれには同じ意見を持っている。イギリスやアメリカではワクチンの開発が進んでおり、日本はそれらをすでに大量に買うつもりだ。（もう既に買ったのかは分からないが）可能性のあるワクチンはとりあえず買う。全てはオリンピックのために。Go Toキャンペーンでさえ、医療設備が首都圏ほど整っていない地域から批判の声が上がっているのに、本当に来年オリンピックを開催していいのか？結核にはワクチンはあるが、エイズやマラリアのはまだ開発されていない。本当にコロナウイルスはワクチンで予防できる病気なのか？通常開発に10年以上もかかるワクチンが、1年ほどで世に出回ろうとしている。日本が買おうとしている他国会社のワクチンの臨床試験で、ブラジル人の被験者が死亡した。誰がそのワクチンを信用して接種するのか？分からないことが多すぎるものに、可能性を信じて、あんなにも巨額の支出をする必要性があるのか、私にはわからない。　ワクチン大量購入など大ごとを成し遂げる人々は、多数ばっかりを気にして足を止めて話を聞くことすらできない我々は、新宿の街で毛布をくるまって冬を過ごしたりあの道路で叫んでいた人のような少数の存在を、忘れる。その国の文明度を測る唯一の基準は、弱者に大してその国がどのような態度を取るかだ。ああ、昨日も今日も明日も、腐った社会だ。キャッシュレスが進んでいる社会だけど、道でお金を集めそれを収入としている大道芸人の人たちの人生は、どうなるんだ？
24Oct
- 恋愛話しか盛り上がらない、なぜ？
  「で、最近はなんかあるの？」これが意図するのは、最近彼氏（彼女）ができたか、もしくは気になる人ができたかどうかで、つまり恋愛トークに突入するサインである。もし私がここで、「あ、最近ねKALDIで美味しいマロンのお菓子見つけた！」と言ったらどうなるだろう。一気に冷めるだろう。ぜひ今度実験してみたい。ただ私が疑問に思うのは、どうして私たちは恋愛話をする必要があるのだろう？2人で会話しているのに、どうして第三者の存在が最も熱く盛り上がるのだろう？しかも面白いのは、こういった話は大抵会話の終盤にくる。会話し始めて20分以内は、必ずと言ってもいいほどこの話題を避ける。そしてある程度時間が経ち、ひと段落したところで私たちは気づく。「ああ、来るな。」と。まるで、それまで話していたことはあくまで助走で、その後のメイン話題（恋愛）の背景説明だ。この序盤の会話での相手の反応は大体、「あ〜そうなんだ！」「へ〜」「すごーい」だろう。大して意見を言ってこないし、共感しようとしてくるから大して盛り上がらない。しかし、メインに入ったとき、反応は見事に変わる。アドバイスすらしてくる。「それはやだ〜」と反対意見も出してくる。そりゃこの話題が盛り上がるのは当然だろう。だって、意見が飛び交うから。「会話」とは、意外と難しいものである。共感と同情（この２つは私は同じことだとは思っていないが）にまみれた会話は全く面白くない。しかし、人生は十人十色であり正解はないのだから、人の選択に対していちいち反対意見をするのもおかしい。言われた本人は嫌な気しかしない。じゃあ人はどうして恋愛話にぐいぐい入って議論したがるのか。「私そういう駆け引きとか苦手」「よくずっと連絡とってられるね〜」とか、どうして人の恋愛の仕方に対して平気で否定体制に入れるのか。私の推測として、おそらく私たちは恋愛話を恋愛話として見ていない。恋愛「相談」話として見ているのではないだろうか。つまり、気づかぬうちに恋愛話を聞かされている者は「聞き手」から「相談役」になっており、そうなることでどんな反対意見を言うことも許される。気付かぬうちに議論が始まっており、ここで私たちは気づく。「ああ、私たちは今お互い心を開いたんだ。」と。これが間違ってるとか間違っていないとかはここではどうでもよく、私なりに生み出した（一部の人の）会話のロジックである。一つも証拠はない、全て勘だ。
18Oct
- 日曜日こそ早起き
  唯一目覚しが鳴らない日曜日。なんだけども、目が覚めたのは7時前だった。平日と土曜日は毎朝6時に起きているから、体が早起きすることに慣れてしまっているのだろう。では、平日もう少し遅く起きればいいのでは？一限目の授業も9時から始まるんだし、10分前に起きても間に合うじゃない。そもそも一限に授業があるのは週に2日なんだから、他の日も目覚ましをセットしてまで、目をこすりながら起きる意味は何？と、他の人は疑問に思うかもしれないけど、理由は簡単。この家で、この部屋で迎える朝が好きだから。カーテンを開けた時、この上なく幸せを感じるから。目覚まし時計の音が鳴ってるのに、二度寝なんてしたくない。もちろん眠いな〜と思う日もあるけれど、美しい朝の景色を見逃す訳にはいかない。大きく深呼吸して布団から出る。やっと、朝がきた。水を一杯のみ、歯を磨き、着替えて、スキンケアをする。そして、バリスタでコーヒーを入れ、自分の部屋に持っていく。窓は開けたままにし、少し寒さを感じるくらいがちょうどいい。コーヒーの温かさが身に染みるから。そして、読書を始める。この時間が私にとっては至福のひと時である。そして、普段だったら9時から授業が始まるが、なんていったって今日は日曜日。このまま継続して本を読んでいられる。ああ、幸せだ。と同時に、もし6時に起きていれば好きなことができる時間がもっと増えていたのに、とその1時間を惜しく感じる。だから私にとって、日曜日こそ無駄にできない日なのだ。もっと寝たい、なんて悠長なことは言っていられない。睡眠は疲労を回復するものであって、何時間もかけるのはもったいない（7時間あれば十分！）。さあ、7時とはいえまだ今日が始まったばかりである。好きなことをしよう。毎日見ている大学のホームページも見ず、課題もやらない（基本的に金曜日に終わらす）。24時間のインターバルをしっかりとろう。今日の朝は一段と寒く、冬が感じられる。どんよりとした天気で、キラキラした日差しが入ってくる朝とは真逆だが、こんな朝も私は好きだ。
11Oct
- 82年生まれ、キム・ジヨン（ネタバレ注意）
  　今日は韓国でベストセラーとなった『82年生まれ、キム・ジヨン』を見に行った。女性の生きづらさを描いた作品であると同時に、一人ひとりの幸せが、人々が共通して持つ幸せの形に必ずしも当てはまるわけではない、というかそんなことは絶対ないと教えてくる作品だった。　　女性は出産・育児のため仕事を辞め、家事に没頭する。家庭に閉じ込められた女性は段々と心が壊れていく。だから、女性に仕事を与えてあげる機会をあげよう。この作品は、そういうことを伝えたいわけじゃない。女性の心が壊れていくのは、もっと前からだ。ジヨンの場合は、中学生のときバスであったあの被害と父の対応、いやもっと前の幼少期の頃の母との会話で、自分のせいで母はやりたいことを諦めてしまった、という罪意識を感じたときからかもしれない。出産・育児は最終の（もしくは途中の）決定的な女性の精神的バランスを壊す（しかねない）ものであり、決して最初のきっかけではない。子育てというものは1人の人間を育てることであり、それは出産で終わるものでもなければ、1人でできるものでもない。1ミリも苦労を感じずにこなせる人がどこにいるのだろうか？　デヒョンのお母さん、どうして家庭内で、それもほとんどが女性1人で、それを背負うのが正解なのだろうか？デヒョンさん、保育園もしくはベビーシッターに預けることは愛情不足でしょうか？ジヨンが、自分も1人の人間であることに気づき再就職を決断して、前の上司と会う日の朝、鏡の前に写った自分をみたあの表情。私はあのジヨンが、映画の中で最も輝いて、生き生きとして、美しいジヨンであったと思う。息子が仕事で活躍することが親の夢、自分たちの子供を妻に愛情いっぱい育ててもらうことが旦那の夢、ではジヨンの夢は？「あなたが幸せだったら、僕も幸せ」とデヒョンは渋い表情で言いました。私は、それに対して言いたくなりました。「遅いよ」と。私は映画の旦那さんを素晴らしいと思いました。なんとかしないと、という思いが行動と連動していて思わず応援したくなるような存在です。ただ、彼が「ジヨンのために」動こうとしていることがなんとも残念で、さっきの言葉は「あなたが幸せだったら、僕はそれでいい」に変換できてしまい、どうしても2人の関係に悲しく感じます。一人ひとりが「2人のために」動くことが、大切なのではないのでしょうか。　社会は分単位、秒単位で変わっている。これから敵は見えるものから見えないものに変わっていくであろう。ジヨンの家族の形が逆にめずらしくなってくるのかもしれない。逆にそうであって欲しい。性役割分担にとらわれない社会になって欲しいし、私自身も社会が持つ幸せを目標とせず、自分の幸せの形を形成していきたい。この映画をこれからもたくさんの人にも見てもらいたい。
04Oct
- 会いたい人
  会いたくて、会いたくて、たまらない。もし会えたら、私は涙を流してしまうだろう。「会いたかった」って声を大にして伝えるだろう。こんなに素直に気持ちを伝えているのに、「あなたが恋しい」って、「会いたい」って、去年の今頃、家族に、友達に、会いたくて会いたくて、何回空を見上げてぼ〜っとしただろう。何回力一杯奥歯を噛み締めて、涙をまぶたにため込んだだろう。そのとき、そばにいてくれたあなた。今は、あなたのことを思う。会えるなら、会いにいく。会えないから、会いたい。私の友よ、遠い海の向こうからでも、愛している。
26Aug
- 東北１週間旅行最終日　　　
  Morning（Yamagata 山形）酒田　起床　5時半、6時半と1時間おきに目が覚める。もうこれ以上寝れないと思って時計を見たら7時だった。時間があり余っている。ホテルから駅は徒歩1分くらいで、電車は9時30分にくるから今日はゆっくり起きるつもりだった。もう一つ時間の早いのに乗ることもできそうだが、これが始発なので待つしかない。朝番組を見ながらゆっくりと準備をする。今日の牡牛座は「年上の方との年代間の差で会話でズレが生じてしまうかも。言葉選びには慎重に。ラッキーアイテムは、小さな看板の店。」今日に限って占いの内容にドキっとした。今日の占いは、私の行動をすべて把握しているようなことを言う。小さな看板の店か、、、。今回の旅では、小さな看板の店のほとんどが閉まっていたが、ラッキーアイテムと信じて期待していいのだろうか？どんなにゆっくり準備をしてもさすがに時間が余った。ホームに行ったら電車が待ってるはず、と思って予定より早めにチェックアウトを済ませた。自動ドアを通ったとき、少し湿ったようななまぬるい風が押し寄せた。そうだ、ここは港街なんだ。最上川　舟下り　舟乗り場まで、はっぴを着たおじさんについていく。「舟下り、涼しいと思うでしょ？まったくですよ。風向きと同じ方向に進むからね、風感じないのよ。出し風っつって、背中からしか感じないんよ。背中で感じても涼しいと思わないでしょ？」今のところ、東北で関東並みの暑さを感じるところはなかった。日向にいても我慢できるところがほとんどだった。でも山形の昼の暑さは、、。雲ひとつない炎天下の中で1時間か、と思うとくらっとした。船を操作するおじさんが偉そうに奥の先端にどしっと座っている。私は前から2番目に並んでいたから、その人のほうへ奥へと進み、舟のいちばん後ろに座った。ゴーという音が舟の底から聞こえ、ゆっくり動き始めた。舟の先頭にはさっきのはっぴを着たおじさんがいて、挨拶をし始めているが、マスクをしているし船と川の音で声が途切れ途切れになっていて聞き取るのが難しい。どうやら自己紹介をしているようだ。20年以上東京に住んでいたが、ここが地元で帰ってきたらしい。東京では役者の仕事をしていて、仕事があれば東京に戻り、ないときはここで舟を運転する、船頭役者だと言う。驚いたのは、テレビで活躍するあるオネエの再現VTRに出演したことがあるらしい。　「見てください、この緑！きれいでしょう。」この人はずっとこうやって観光客に事務的に言っているはずなのに、力強く言うものだから本当にそう思っているのだろう。お世辞では決してでない、本当に感心したような声に、私は我に帰る。山の側面は木々で埋め尽くされ、緑の壁がずっと続く。「どうしてこの山に繋ぐ橋がないと思う？」たしかに川の前方、後方を見ても橋は一つもない。「人が誰も住んでいないからです。」単純だが、納得した。ところどころ山の上から滝がちょろちょろと流れている。どれもここにある自然は人間の手が一ミリも加わっていない。大昔のいつかにこの木々の生命が誕生し、成長し、すべての人が美しいと思う自然の形を作り、それを維持している。自然の力はすごい。「たまに、熊が泳いできます。」熊って泳ぐんだ。なるほどここにいる熊はあの蜂蜜を食べる熊じゃなくて、魚をはらわたから食いちぎる熊だ。川は浅くなってきているらしく、それならばこの川を渡って反対側の岸に簡単に行けるはずだ。こういうところでニュースでよくみるあの熊と人間の事件が起こるのか、と思う。　少し経つと、なぎ倒れる木々が見えた。緑の壁が壊れ茶色い土が見える。最近の大雨で川のが氾濫したのが原因らしい。長い木が何本も倒れている。「水位7mも上がりましたからね！」7mとはどのくらいだろう。水による震災をまだ体験したことがない私にとっては、イメージするのが難しかった。最上川舟下り白糸の滝　「えらいねえ、どこからきたの？」私の何を褒めているのだろうと疑問に思いながら「神奈川です」と答える。「えらいわあ、1人でだなんて。今日帰るの？2泊くらいしたの？」1人で行動できることを褒めてくれるようだ。「東北をくるっと一周してて、今日が最終日です。山形駅から夜行バスで帰ります。」「ああそう、えらいわ。コロナで大変な時期なのに。山形暑いでしょ。まあそっちに比べるとましかな。」仙台から来たこのおばちゃんは、私のことをずいぶん感心してくれているようだ。若い女が1人で旅をすることに対しては賛否に分かれる。別れるのはだいたいおじちゃんとおばちゃんであろう。もしくは父と母。「あぶない」と一点張りで外の世界に出させないのと、リスクをしょってでも経験をすることを勧めるタイプ。後方は、おそらく私のように旅をする価値をわかっている人だ。昨日のタクシーのおじちゃんは前方で、このおばちゃんは後方。心配も愛の一つに変わりはないが、後方タイプの私はこのおばちゃんに勝手に親近感を抱いた。「危ない」「辞めなさい」「だめ」を子供（特に女）に言うのが当たり前になっている人に言いたい。初めて経験することで、危険なものを危険だと判断する能力がつくんだ、と。このおばちゃんともう少し話したいし、私からも質問攻めしたいくらいだったが(おすすめの旅行先は？とか)このご時世若者から年寄りに話しかけることは顰蹙であろうと思い、聞かれたことだけ答えてバスに乗った。Afternoon（Yamagata 山形）新庄駅　山形行きの電車まで、1時間。ここ新庄駅でそばを食べる予定だった。さすが山形と思うほど、ネットには駅周辺にたくさんの蕎麦屋が出てきた。しかし、ほとんどが徒歩15、20分したところだ。１時間では間に合わない。もしくは水曜定休(コロナで休業も)。残った店は駅から徒歩9分先のところにある。そこへ向かおうと足を急がせた。旅をしている間で、私は勘が磨かれてきているのだろう。歩いて5分したくらいで、今向かっている店も休業している気がする、と突然思った。だんだん足のペースが遅くなり、この炎天下で休業の店に行くのは体力が無駄だ、山形駅につけばもっとおいしい、確実に営業している店がある、と思うと足が方向先は駅に戻り、涼しい待合室で山形駅周辺の蕎麦屋を探した。ちょっと高いが、いい店をすぐに見つけた。ここが休業だったら私は間違いなく落ち込むと思い、電話をかけ営業していることを確かめた。安心して、からからな喉に水を流し込み、ホームへ向かう。山形駅　朝からなにも食べていないのに、お腹があまり減っていない。暑い中ずっと外にいると神経が鈍って空腹を感じなくなるのか。でも私はあきらかに疲れている。何か口にすべきだと思い、山形駅に直結しているデパートに入る。この中に、山形でとれたもぎたてのフルーツを使ったパフェやスムージーを売っている店があることを知っていた。入った瞬間、右手にそれらしき店が突然現れた。メニューを見て「季節のフルーツパフェ」という文字を見た瞬間に朗読して注文する。カウンターで待ってると、店員さんが中で色んなフルーツを切っている。届いたパフェには、りんご、桃、ブルーベリー、オレンジ、キウイが飾られられ、ソフトクリームは半分白くて半分ピンク、さくらんぼの味がほんのりした。フルーツを順番ずつに攻めてから、ソフトクリームを存分に楽しんだ。糖分と水分が体に吸収され、パワーが出てきた。山形博物館も、文翔館も着く頃には閉まっているだろうと思ったが、一応目に収めてくることにし、山形周辺を散歩することにした。HATAKE cafe 季節のフルーツパフェ文翔館　夜行バスに乗るときは、その前に銭湯に行って汗を流すのが私の決まりだ。駅周辺に銭湯はなかなか見当たらなく、唯一見つかったが、徒歩では行けそうにない距離だったのでバスを使って行くことにした。大きな駐車場がある。山形ナンバーの車がずらーと並んでいて、地元では人気なようだ。チケットを買って、支度をし、浴場に行くとかなり広かった。天井が高く、男性の浴場とは一枚の壁で仕切られている。話し声が筒抜けなような気がするか、ここまで広いとあちこちから会話が聞こえ、「声」というよりざわざわした「音」だ。「イオン水で肌すべすべ！」というポスターが色んなところに貼られていたが、この旅で入ってきた温泉と比べると、、、いや比べるのはよそう。１時間しないで風呂を出て更衣室で着替えながら準備をしていたら、何人かの主婦っぽい人たちが「今日も疲れた〜」と言いながら入ってきて、中にいる人たちに挨拶を交わし始めた。どうやらみんな地元の知り合いのようだ。青い森鉄道にいた母娘ほどではないが、ここにいる全員の山形の方言もなかなかのものだった。集中しないと何を言っているのかわからない。ただ、「コロナ」「東京」というワードがちらほら聞こえ、数メートル近くにいる私が神奈川から来たことを知ったら腰を抜かすのではないかと思った。一言でも何か口に出したら山形出身ではないとバレそうで、「ありがとうございます」も「すみません」も言わずに済むように壁にバリアを貼るようにして、そそくさと更衣室を後にした。　18:30か、、。もしかしたら歩いていけるかもしれない、と思い蕎麦屋さんまで歩くことにし進み始めた3分後、「今日の分、終わりなんです」と言われるのを想像した瞬間、本当にそれが起こりそうな気がしてバス停方面に方向を変えた。小走りでバス停に向かい、着いたことにはじんわり汗がかいていた。無駄な汗を流してしまった、と思いながらバスを待つ。夕食　　バス停から5分くらい歩いた先に「そば　庄司屋」の大きな看板が見えた。ふと今日の朝占いを思い出した。「ラッキーアイテムは小さな看板の店です」目の前の看板は、、、大きい。営業終わってたりして、、と思いながら入った瞬間、なまぬるい雰囲気が漂っていた。換気しすぎてエアコンが効いていないのか、かいた汗は肌に付着したままで、なんだか気持ち悪い。私以外誰もいない、店内の奥にいた店員さんが「そちらの席どうぞ」と言った。まず営業していたことにほっとした。グルメサイトではかなり評価が高く、上位にランクインしているから、この静かな店内は私の予想と全く違うものだった。早速女性が飲み物を持ってきた。喉がからからだったのと、あまり涼しさを感じられない店内だったので、一瞬でお冷やを飲み干してしまうだろうと思っていたら、女性が持ってきたのはそば茶だった。湯呑みを触るとあったかい。またじんわり汗をかいた気がする。口に近づけると穀物の香りふわっ広がり、食欲を誘う味がした。メニューには写真がなく文字のみで、ネットで見た写真がどれを指しているのかわからなかった。こういう時は店員さんを呼んだ方が手っ取り早い。おすすめを聞くと、いろいろな説明をしてくださり最終的には「板そば」を指した。「ただ、量があります。」「かなりですか？」「でも、ほとんどのお客様は全部食べられますよ。もし量がそんないらないようでしたら『板せいろ』がいいですね。天ぷらの量はそのままで、おそばは少なめです。」一瞬迷ったが、私はその「ほとんどのお客様」に入れる気がした。旅の最後のデザートだ。苦しいと感じるほど食べてこの旅を締めよう。　出汁、薬味と次々に運ばれついに板に乗った大盛りのそばがきた。予想をはるかに超える量で「おお」と声が思わず漏れる。まずは何もつけずに麺の味を楽しむ。「あ、すごい。」上と下の歯が跳ね返されるような弾力。この濃いそばの味。次に出汁を絡めて食べる。昆布の風味が加わってさらに美味しさが増す。そして最後に薬味混ぜて。蕎麦の味を楽しんだら今度はてんぷらに箸をつける。かぼちゃ、いんげん、しそ、ナス、最後にえび。10秒持っているだけでもずっしり詰まっている実の重みで手が疲れる。思いっきり「あ」と口を広げないと入らないほどえびが太い。海老の食レポでは「プリプリです！」と言いたくなるけど、なんて言ったらいいんだろう、それ以上を感じる。会計のときに、普段は言わないのに気づいてたら口走ったていた。「すごくおいしかったです。また来ます。」そう言って、旅の最後の食事が終わった。そば処　庄司屋板天　夜行バスは22：15発。スタバで2時間ほど時間を潰す。今回の旅でお金計算したり、レシートをまとめていたら思い出に浸る時間がないままバスの時間になった。「家に帰るまでが旅でございやす」最上川のおっちゃん最後に言っていた言葉だ。カーテンは閉められ外の景色は見えないけれど、この７日間で見た景色を目蓋の裏で思い出しながら、東京に帰ろう。東北、また帰ってくるね。
25Aug
- 東北１週間旅行 6日目　　
  Moring （秋田 Akita）起床　起きてすぐ顔を洗い、タオルを持って浴場へ向かう。起きてすぐにホテルの廊下へ出たけどまだ脳が起きてなくて、頭の中がもや〜とした気分。浴場に着くとスリッパが2、3組すでに並んでいた。寝ている間にかいた汗をシャワーで流し、露天行きのドアを開けると、冬を感じさせる寒さが体に吹きつけ一瞬で冷えた。湯船につけた爪先から電気が流れるように体がしびれる。昨日はぼんやりとしかわからなかったこの乳頭温泉特有の濁った白いお湯も、今ならその色がはっきりとわかる。ミルクのような白いお湯に体が包み込まれながら、夜とはまた変わった景色に癒される。見上げた先に長くそびえ立っているブナの木々の隙間から差し込む朝日は、昨日の夜空に浮かんだ何万もの星の光とさほど変わらないほど眩しかった。まるで朝の星のようで。朝の散歩　昨日は夜の散歩では素晴らしいものを目に収めることができたから、朝の散歩にももちろん参加することにした。集合場所に集まっているのは私と2、3回り年上の方が10人ほどだった。従業員の方がそそくさと林の方へ突き進む。一瞬入るをためらってしまうのは、森の中を突き進むのは抵抗を感じてしまうからだ。１週間前に登山した際、足首がぶよにさされ、草むらには敏感になってしまう。しかし林に一歩踏む入れた瞬間、足元の土が湿っているのと、少しも蒸し蒸しした暑さが感じられない風通りの良さ、ひんやりとした気候に気持ちよさを感じた。こんなにもマイナスイオンを感じさせるのはきっと、私を囲んでいる木々が全部、ブナの木だからかもしれない。「ブナはたくさんの水分を必要とします。そして吸収した水分を体内に溜め込み、冬にはそれが凍ります。凍ると、その重さに耐えきれなくなり『凍裂』という現象が起こって、真ん中に裂け目ができるのです。」確かにブナの木は高さはあるものの竹のようにまっすぐ伸びていない。ぐねっと曲がったり、一つの大きな幹から分かれている形をしたのもある。すべての形に意味があるらしい。一歩一歩進むたびに正面からの風を受けているのは私だけではなく、ブナの黄緑色の葉も揺らさている。いや探検隊じゃないんだから、とツッコミたくなるほどの草むらも突き進むと（というか突き進むしかなかった。）その先には透明な水が溜まった、さほど大きくない池が待っていた。この池がどうも神秘的に感じ、カメラを用意しようとすると、服が濡れていることに気づく。グレーのスウェットには濡れて濃くなった染みが点々とついている。さっき草むらを通っているときに、朝露で両サイドの木々が雨上がりのように濡れていたことを思い出した。せめて黒のスウェットにしたらよかった、と思っていたら「皆さんには、餌やりをしていただきます。」と言われ、池を見ると魚がいるのがわかった。太陽に反射してさっきは気付かなかったが、よく見たら何匹もの魚が泳いでいた。すべてはいわな。臭いが少しキツめな餌を手に乗せ、パラパラと落とす。ほとんどのイワナは初めに餌を投げた人の方へ集まっていて、私が投げた先には一匹もいなかった。「あの、この餌結構臭いがきついと思うんですけど、手に残ります。しっかり洗ってくださいね。」私の餌はゆらゆらと池の底へ沈んでいく。手、臭くなっただけじゃん、、。ブナの実森の中イワナの泳ぐ池Afternoon （山形 Yamagata）鶴岡駅到着鶴岡駅に着き、早速到道博物館へ向かう。行くまでの道で、最近テレビでよく見るあの張り紙を見つけた。関東からの来客拒否だ。東京に感染者が多いのは確かだが、それと同時に感染していない人が多くいるのも事実である。関東在住だからという理由で拒否されるのは快く思わないが、一概に責めることはできない。今年の3月ハワイから東京便の飛行機に乗るため空港にいたときであった。私の近くに中国人観光客がいた。彼らが中国人だと分かった瞬間、私はマスクをつけた。まるで彼らがウイルスを持っているかのように。当時はコロナウイルスが武漢で発生し、まだ日本にはそこまで浸透していなかったため、コロナウイルス＝中国のイメージが強くあった。あんなに広い面積を持っている中国だから、もちろん感染していない人だって多くいるはずなのに。先入観が邪魔をして一人一人を見れなくなることが差別につながってしまうというのに、それを止めるのは本当に難しいし、人間の恥だ。だからこの張り紙を貼ってる店の方々の気持ちが痛いほどわかるし、「それはいけない」という一言も発する勇気がない。そんな思いで歩いていると、少し先に八百屋さんがあるのが見えた。こんなにも暑い中、ドアもない無人店のようなところだが、お婆さんが腰を曲げながら野菜を並べている。横を通ると私を見たお婆さんが「こんにちは」と声をかけてくれた。ちょっと前まで差別されたような気分で落ち込んでいたのに、お婆さんの一言で私は一瞬で元気がでた。蔑視されないことがどんなに素敵なことか、私はこの街のたった10分間の出来事で思い知った。その後は、昔の店がそのまま残されたような街並みを楽しみながら目的地へ向かった。鶴岡駅　　到道博物館に着いた時にはすでに15時であった。ここまで歩いて30分以上かかったことを思い出し、16:30の電車に乗れるかどうか一瞬ひやっとする。荷物は預けて早歩きで一周回ることにしたが、早速最初に目に入った建物に見惚れてしまった。綺麗なブルーの色、これが警察署だなんて思えなかった。　博物館を後にし、庄内藩校到道館、大鳳館、カトリック教会の前を横目に駅へ向かう。どんなに早く行きたくても10kgくらいの荷物を背負った状態だと限度がある。後ろから誰かに引っ張られているように足が進まない。携帯のマップを右手に、駅までの青色のルートをなぞるようにして歩く。まだかまだかと思いながら、1分に1度のペースで携帯をチェックする。ここで道に迷ったりしたら確実に電車を逃す。ふと顔をあげると駅前のあったアパホテルの高いビルが見えた。周りにビルがないおかげで一層際立っている。ずっとマップをみて歩いてたから全く気づかなかった。あれを目印に歩いてきたらよかったのか。到道博物館①到道博物館②電車　余裕で電車に間に合った。電車一本のために、これだけ時間厳守に行動したことはあっただろうか、今まで。逃してもすぐに次がある都会、ときには乗客1人しか乗っていないバス、無駄遣いが多いのでないだろうか、と考え込んでしまった。向かいの席に座っている体操着を着てスポーツシューズを履いた子の子たちはおそらく中学生だろう。鶴岡から乗って、まだ乗っている。鶴岡公園の隣にあった中学校に通ってるのならば、すごい登下校距離だ。駅から徒歩20はかかるだろうし、もしこの子たちが酒田で降りれば電車で30分以上ゆられることになる。小学校を卒業しどこの中学校に進学するかを決める手段は二つ、お受験で私立中学か地区分けで決められた公立中学。私は徒歩30分で行ける近場の中学校に進学したが、この子たちはどうなっているんだろう。お受験しない場合は、隣の町の中学校に電車で長い時間かけて登校。もしも一本電車に乗り遅れたら２時間目にも間に合わないだろう。酒田駅　到着　18:00までには山居倉庫に行きたかったのでタクシーを乗ることにした。タクシーに近寄る私に気づくとすぐにドアを開けて「どうぞ」と微笑んでくれた。山居倉庫までと伝える。案の定、お客さんどこから？と聞かれた。「神奈川です、今東北一周してるんです」と言うと、運転手さんは仕事上車であちこちへ行ったことがあるらしく、色んな場所の話をした。今回の旅で東北の地名をたくさん覚えたから、話が弾んで楽しい。続けておじさんが言った、「でもなあ、女の子1人って気をつけなきゃだめだよ。たまに脳にガソリン入ったおかしな男もいるからよ。おじさんがお嬢さんくらいの歳の娘がいる父親だったら、誰かと一緒に行けって言うなあ。」心配してくれる有り難さと父を侮辱されたような気でごちゃごちゃだ。まず変な男の人を脳にガソリンが入った男という表現に引っ掛かった。酒が抜けてない男ということだろうか？世の中には表現の仕方があ増えれている。まあそんなことより、女だからという理由で「気をつけて」「だめ」「やめなさい」という教訓には反対だ。一人旅でもなんでも、私にチャレンジさせてくれる両親が私の両親で良かったと、心底思う。申し訳ないが、こういうおじさんの娘になるのはこっちからごめんだ。安全な場所に引きこもっていると、もちろん危険なことに遭遇することは少ないだろう。しかし、危険に遭遇するから人には判断力がつくのではないだろうか。あれは危険だ、これは安全、とか。判断力がないことが私は一番危険だと思っている。そのような人生において大事な判断力を女の子に養わそうとしない考えは、間違っている。その後もずっと話しかけてくれる運転手さんだったからあっという間だった。680円か、と思った瞬間に最後の最後で200円ぐんと上がる。時間がある場合は目的地に着く前で降りる方が賢いかもしれない、と思いながらお金を払って外に出た。　山居倉庫の中を入ったり外の回りをぐるぐる歩いた。日が沈んでからライトアップが始まるらしいがふとさっきの運転手さんの言葉を思い出した。「脳みそにガソリンの入った男」酔っぱらった男、よりもなんだかインパクトがあるこの言い回しがどうも頭から消えない。最近ここで事件でもあったのだろうか？いろいろ考えた末、ライトアップまでここでじっと待つことはやめて、真っ暗になるまでにはホテルに向かうことにした。しかしまだ暗くなるまでには時間はあるから。もう一つ行きたかった酒田湾のほうへ向かった。もちろん市場はすでに終わっているが、ただここ酒田は山形唯一の港町だから、その場を目に収めたかった。海洋センターを通って港にでた瞬間、「とびまる」と書いた船と、オレンジ色に輝く夕陽が目に入った。思わず、わあと声が漏れた。また絶景と出会ってしまった。山居倉庫酒田湾ホテル　　お腹が空いた。ホテルへ向かう道にどこかしら食べるところはあるだろうと思ったが嫌がらせのように全てがしまっている。空いているのは居酒屋だけだ。居酒屋のつまみというよりは、もっとがっつりしたものが食べたい。何だったら牛丼屋とかでもいい。いつ肩の骨が砕けてもおかしくないほど肩が痛くなってくる。早く食べたい。ホテルに行きたい。結局先に現れたのはホテルだった。もうコンビニで買って持ち込もうかと考えたが、どうも気が進まない。ホテルの一階に居酒屋が入っている、もうここしかない。個室に案内されると、テレビがついていた。1人で居酒屋に入るのは生まれて初めてだったが、優雅に長居できるしなかなか気に入った。あ～今日は昨日みたいな露天風呂には入れないな、と部屋までとぼとぼチェックインするためのロビーへ向かう。
24Aug
- 東北１週間旅行５日目　　　
  Morning （青森 Aomori）起床　　起きたらじんわり汗をかいていた。もっと早く起きて朝風呂行けばよかった、、。今日も秋田の温泉が有名なホテルに泊まるから、朝はいいかなっていうのと、この旅で1番楽しみにしていたリゾートしらかみで仮眠したくないという理由で、朝はなるべく遅く起きる予定にした。とはいっても、6時だ。今回の旅ではノーメイクだし、髪も１つに束ねているだけだから、普段の準備時間の３分の一ほどしかかからない。7時半にホテルから駅行きにバスに乗る、7時からロビーの売店で30分間買い物をする、と逆算して1時間前の6時に起きることにしたが、すべての準備を終えたところで時計を見ると6:30。やはり早すぎたかあ、。私は時間が余ることが苦ではないし、暇だと思ったことも大してない。読書は永遠に終わらないし、こうやってブログを書くという新しい趣味もある。普段から書いている日記もあるが、この旅ではブログを書くのに精一杯で、日記を書く時間がない。書いていたらあっという間に時間は過ぎ、最終的には慌てて部屋を出ることになる。大鰐温泉駅　基本的に駅にはnewdaysか何かしらコンビニが隣接しているが、この大鰐温泉駅には、ない。「やまざき」と書いてある店が道路を挟んで反対側にあるが、電車に乗る乗客（もしくは降客）のための店ではないだろう。普通の、家兼店ってやつだ。店内は暗く、ラジオが流れてていて、値札は紙に手書きで書かれている。おもちゃも売っているが、埃かぶっていた。店の奥から誰かがご飯を食べている音が聞こえる。何も買う予定はないのに、私の気付いたら食事の途中でも「いらっしゃい」と来てくれるかもしれない、と思うとなんだか申し訳なくなり、そっと店を後にした。外にでるとヘルメットをかぶった中学生が自転車で私の前を過ぎ、交差点で立っている通学路の交通安全を任されてるおじいちゃんに朝の挨拶を交わしてそのまま去っていた。どうしてか、私もかつては通学路のおじちゃんに「行ってきまーす」とか言いながら学校へ行っていたのに、今目にした光景は私の小学校時代よりももっと前、私のお母さんが子供の頃くらいの時代の懐かしさが感じられる。もちろん私はまだ生まれてないのだが。この懐かしさは、私の過去と重ならない。見たことがない昔を見ているようだ。五能線リゾートしらかみ　出発　今回の旅で1番楽しみしていた5時間にわたる鉄道の旅が始まった。パン屋で買ったクロワッサンとハムとチーズのサンドイッチを発車と同時にぱくぱくっと済ませ、景色に集中する準備を作る。一駅一駅、青森の違った景色を味わう。板柳駅から、田んぼの緑から違う緑になる。りんご畑だ。まだ実は緑だが、こぢんまりとしたりんごがいくつも木にくっついている。これが青森の代表するりんごなんだ。左を見ると、堂々とそびえ立つ、大きな岩木山あった。田んぼの中にひとつだけぽんと置かれたようなこの巨大な山は、富士山ほど高くはないだろうが同じくらいの迫力がある。ここでラグノオのりんごスティックを食べる。昨日のアップルパイといい、このりんごスティックといい、、青森のりんご美味しすぎる！りんごってこんな美味しかったっけ？朝ごはんに皮をむいてぱくぱくっと食べるのがもったいない、3時のスイーツとして食べるほうがふさわしいんじゃないかと思う。　私のおすすめリンゴスイーツ（右：りんごとチョコのクッキー　左：ラグノオ　りんごスティック）　りんご農園が少なくなり、岩木山がだんだんと見づらくなってきた五所川原駅を過ぎたところで、私のいる車両の後ろの方でなにかの演奏が始まった。津月三味線の生演奏だ。電車にゆられ、ふらふらしながら近くにいった。二本の糸がピンと張られていて、右手でお好み焼きをひっくり返すやつみたいな板で二本の糸をを押さえたり離したりしている。左では上部に添えて、まるでギターを演奏しているかのように器用に指を動かす。作りはギターよりも幾分簡素なのに、どうしてこんなにもたくさんの音を奏でられるのか、不思議だ。それにしても、客の旅をいいものにしようとする日本のおもてなしは、この国に生まれてきたこと心から誇りに思わせる。津軽三味線の生演奏　　突然、海が見えた。日本海だ。見えたのは一瞬で、森の中に戻ってすぐに駅のホームへ突入した。鯵ヶ沢駅。ここは何が有名なのかとパンフレットを見ると、あの有名な「ブサカワ犬」わさおが住んでいた街だ。てっきり秋田犬だから秋田に住んでいたのだと思っていた。　ずっと窓の外の森を見ていたら、突然森が開けブルーの景色に変わった。目の前に日本海が広がっていた。息をのんだ。日本が島国なせいか、毎回海を見るたび私はこの海の先にはなにがあるか思う。マップは、ロシアをさしている。もうすぐもっと絶景ポイントの千畳敷駅に着くらしく、そこで15分間停車するので外に出て波打ち際まで歩いて行っていいとのアナウンスが流れた。生まれて初めてみる日本海の絶景が待っているこという高揚感と、乗り遅れないようにしなきゃと焦りの思いで、胸がざわついた。千畳敷駅は、巨大な岩石が目印にどんと置かれ、岩のカーペットが引かれている。でこぼこのそのカーペットをつまづかないようにおそるおそる歩き、海がしっかり見えるほうまで進む。初めて見た、日本海だった。千畳敷駅からすぐの海辺太宰治文学碑リゾートしらかみ　　轟木から追良瀬の区間、海のすれすれを電車で走る。よくポスターでみる光景の中にいま自分がいる。もう少しスピードを落として！と言いたくなるほど、この絶景を堪能するには1分では短すぎた。心臓がどきどきしている。写真に収めたい！自分の目で見たい！短い時間で両方をするために私は震える手でカメラのシャッターを素早く切り、ついでに動画も！と動画のボタンを押したつつ目はレンズでなく窓の外に向けた。海すれすれを快走中（轟木から追良瀬）　　深浦駅。なんだこの岬は。まるで夕焼けの色を塗ったようなオレンジ色だった。どっからどの角度で撮っても伝わるこの絶景を、私は通り過ぎたあとも窓に額をつけて目で追っていた。深浦駅過ぎた後の景色Afternoon （秋田 Akita）　角館駅　到着秋田の街もずっとたんぼが連なっているが、コンビニはどこにあるのだろうとぼ〜っと窓の外を眺めていたら、スーパーさえひとつも見当たらないまま「次は角館」というアナウンスが響く。電車を降りたら堂々とある「小京都」という文字を目にして、こんな田舎の中に小京都があるのか？と懸念しながら改札を通ると、一瞬で雰囲気の違う街が広がっているのを感じた。黒い屋根の白い壁をした蔵造りの店が並んでいた。たしかに小京都を匂わせる雰囲気だった。ここも静かで、私のような観光客はいない。15分くらい歩いた先の武家通りへ向かう。古びた喫茶店や、看板が錆びてしまっている電化店があるが、営業中か準備中か閉店中かもわからない。角館駅　武家通りの方で2軒くらい良さそうな店があったけどどちらも閉まっていた。というより、店の人が奥でテレビ見ながらお昼ごはんを食べていたのでおそらく準備中（休憩中？）だ。駅のすぐ隣に、秋田の郷土料理店がやっていたのを知っていたからすぐにそこへ向かった。頼んだのは稲庭うどん。透明で細いめん。唇に当てた瞬間ひんやりする。そして人参と玉ねぎ、ネギえびのかきあげをかぶりつく。かき揚げって何を一緒にあげても美味しくなりそうだが、この店のかき揚げは格別美味しかった。　店内のおりがみで作られた花火がいくつか飾ってあった。大曲の花火大会だろう。ここまで見えるのだろうか？ビルが全くないこのような街が続くかぎり、大曲の花火は秋田のどこにいても見れるのではないか。武家通り駅近のお店で食べた稲庭うどん田沢湖　この景色、なにかに似ていると思った。ハワイのあの牧場だ。日本にもハワイと重なるところがあるなんて思ってもみなかった。しかももしこの周りの山々に木が生えてなくて雪が積もったいたら、ここはスイスといってもばれないのではないか？と思った。ここは日本のアルプスなのかもしれない。　まっすぐバスが進む先を見ると、夕日の光でまぶしくて目を開けるのが大変だが、間違いなく水が見える。海？と思えるほど広大なのがわかる。田沢湖。光が差し込み水面に反射して目に入る。田沢湖は水深400m以上あるらしく、東京タワーがすっぽりと入るらしい。ルビー色の水は幻想的だけど、波一つ立たないこの静かさが逆に不気味な印象も与える。とんでもなくでかい生き物潜んでいたりして、なんて考えてしまう。　口よりも先に足が動いた。後ろの席から運転手さんに駆け寄り「すみません！一瞬写真撮ってきてもいいですがか？」いいよっと軽く答えてくれた運転手さんにお礼をして走ってバスの外に出た。田沢湖の後ろに山、そしてその山に夕日が隠れようとしている。夕陽は1日の中で最も美しい瞬間だと思っている。なぜだか、生き返る気がする。あえて嫌なこと、辛いことを思い出して、「おし、大丈夫」と自分に言い聞かせるとほんとに大丈夫になる気がするから。毎日これを見ている運転手さんはもう見飽きて私の背中を見ているだろうか？それとも私のようにうっとり眺めているのだろうか。走ってバスに戻っていった。バス乳頭線の途中で見える絶景乳頭温泉郷休暇村　チェックインの際に、「本日は20:00からナイトハイクがございます。星がきれいなのでぜひご参加ください。」せっかくだから参加することにした。時計を見るとまだ針は18時をさしている。先にお風呂へ入ってさっぱりしようと、部屋につくなりすぐにお風呂の支度を始めた。日本一と言われる乳頭温泉。楽しみで仕方なかったのでお風呂までの道でどうも早歩きになってしまう。服を脱ぎ捨て大浴場へ続くドアを開けると、あの温泉特有の硫黄の匂いが一瞬で鼻の奥までつんと届いた。今すぐにでも風呂にダイブしたいところだったが、まずは体を洗わねば。シャンプーの泡が目に入らないように目をつむっていたのでどこにいるのかはわからないが、独り言の激しい人が1人どこかにいるのがわかった。洗い終わって目を開けるとその人は眼鏡をかけた中年くらいのおばさんで、内風呂に足をちゃぽんと入れているところだった。先に内風呂入るタイプかぁと思いながら私は体を洗い続ける。シャワーで体についている泡をすべて流したあと、露天に向かいドアを開けとうとすると、そのおばさんも内風呂から上がって、露天に入るタイミングが重なる。もうすっかり外は暗くなっていたが、風呂の色は白く濁っているのがわかった。爪先からゆっくり入れると、そこまで暑くないのでそのまま肩まですとんとつかる。「あ〜気持ちい〜」と思わず声が出る。おばさんもテンションが上がったのか、また独り言を炸裂し始めた、と思ったがこちらの方を向いて話しているので、私に話しかけているころがわかった。ばりばりの秋田弁で。どうやら常連らしく、先月も来たばっかりだから本当は次回は涼しい時期に来たかったんだけど息子と旦那のスケジュールがねーと。あとは売店のソフトクリームが18:00まででショックだったとか、話の内容よりもものすごい勢いの秋田弁にどうも興味がいってしまい、とりあえず色んなリアクションのパターンを使っていかにも聞いている雰囲気を出しといた。「じゃ、お先に」と話は済んだようだ。私の返事を待たずにそそくさと出て行った。ふうと私は1人になった静けさに一瞬寂しさを感じたが、あまりにもちょうどいい温度とこの温泉の匂いに一気に癒され、夜空を見上げた。　20時にロビーに行ってナイトハイクに参加する。案内してくれるのは私より5、6歳くらい上の若いお姉さんだった。「ここから5分くらい歩いた先にある星空がよく見えるスポットに行きます。着くまでは、皆さんなるべく上を見ないようにしてくださいね。では行きます。」スタスタと森の中へ進むお姉さんの後ろをついて行く。はぐれる心配はないが、やはり夜の森は心細い。途中でお姉さんが「おお」とぼそっと言った。今日は星がよく見えるらしい。「もう見ていいですか？」「まだです！」どんだけじらすのよ〜と言いたくなるが素直に「はーい」と言ってとぼとぼついて行った。着いたところはもう使われなくなってテニスコートのようなアスファルトが広がる場所だった。「では、ここで星を観察しようと思います。皆さんでカウントダウンしましょう。せーの、、」5、4、3、2、1、、「ひゃーすごい！！」自分でもびっくりするくらいでかい声をでた。「すごい、すごい、きれいすぎる！」なんでこんなに口からぽんぽん言葉が出るのか。私は心から感動しているようだ。この星が散りばめられた夜空に。もはや黒い面積よりも星の相対面積の方が広いのではないか。「あ、流れ星！」声が漏れるというより、叫んでしまっている。もうそこは、プラネタリウムだった。あれが何座で～と詳しくお姉さんが説明してくれたが、あれがどれを指しているのかわからずとりあえず色んな星座が今混在しているらしい。写真に収めたい。すぐさまレンズの準備を用意するが買ったばかりでまだ使い方に不慣れなせいで、夜空を撮るときの設定がうまくいかない。もうやーめよとカメラはしまい、45度に首が痛くなるほど曲げ続け、この星空を目に焼き付けた。私はおそらく5年生のときに八ヶ岳で見たときと同じ反応をしている。いつ見ても星を見た時の気持ちは変わらないらしい。
23Aug
- 東北１週間旅行４日目　　
  Morning (青森 Aomori)起床　目蓋が異常に重い。今朝3:30くらいに一度目が覚めてしまったのが原因だろう。6:40の電車に乗るから6:30にチェックアウトを済ます予定だったけど、思ったよりも早く準備ができたので6:15くらいには外に出れた。建物も少ないし、朝だからか人も車も少ない本八戸駅。私の住んでいる街の駅ではこの時間帯にはすでに人がいっぱいで、せかせかと歩くサラリーマンとおそらく朝帰りの若者で賑やかである。夜9時に寝て朝5時に起きるという生活に憧れがある。そんな生活を送るためには、朝が静かな街を探す必要がありそうだ。ここのような。　東北のあらゆる駅には自動改札機がない。その代わりに駅員さんがいる。だから早く行ってホームで待っていたくても、駅員さんが来る10分前にならないと入れない。10分前になってアナウンスが流れる。改札で駅員さんに切符を見せ、階段を登ると、冷たい風が吹いた。ホームから街が見渡せる。少し階段を登っただけなのに、自分がとても高いところにいる気分になった。333mの東京タワーでも低いと見なされ634mスカイツリーがたった東京。ここは対地高度10mくらいだろうか。青い森鉄道に乗って青森駅へ　人の話を盗み聞きするのは良くないが、福島にいるときから近くにいる人たの会話に耳をすましている。東北のなまりを聞きたいからだ。福島、宮城、岩手で聞いた東北のなまりは、本で見た文字通り濁点が多く語尾が上がるもので、おじさん同士の会話でもかわいらしいと感じてしまうものだった。向かいの席に母娘が乗ってきた。本を読んでいるふりをして、こっそりふたりの会話に耳をすます。ん？日本人じゃないのかな？と眉を潜めるほど集中しても、何を言っているのかわからない。いや、「なに」とか「すっきり」とかぽろぽろ知っている単語が出てきた。日本人だ。お父さんがこう言っていたのを思い出した。「青森県民のなまりは本当に何を言っているのかわからない。」確かにその通りだった。日本人は語学の天才とある本が言っていた。各地域に方言が存在し、少しのなまりから聞き取れないほどのなまりが存在する。こんな小さな島国でたくさんの言語が飛び交うようだ。それを私たちは理解できる。（青森の方言は極めて理解するのが難しいが。）イギリス英語とアメリカ英語のイントネーションの違いより、日本の方言の差は多彩である。ふと思った。こってこての青森県民と沖縄県の会話は成り立つのだろうか？へたしたら通訳が必要な気がする。青森駅　到着　8:50に着き、55分発にのるためホームから足早で改札を通り、バス停に向かう。ちらっと横目に海が見えた。あ、これが津軽海峡？二度見する暇もなくバス停へかける。思ったより広いバス停に、三内丸山行きのバスがどこにあるのか目を光らせる。ちょうど来たようだ。走って向かって滑り込む。三内丸山遺跡　10時からのガイドツアーまでに30分あるので、それまでの間展示スペースに行き、縄文土器や槍、道具の勉強をした。ガイドツアーの集合場所に向かうと、ガイドのおじちゃんが1人待っている。3分前にも関わらず他の客は見えない。1人の客のために暑い中回らないといけないのか、とこのおじちゃんはアンラッキーに感じているかもしれないが、私はラッキーに感じた。先生を独り占めできる。自分の理解度のペースに合わせてくれて質問もし放題だから、という理由で個別を選んだことを思い出した。　遺跡のガイドツアーが始まって数分すると途中からポロポロと客が合流して私を含めたいろんな人の質問が飛び交う。中に「あのあそこにあるあれって、、」っと先へ先へ行こうとするせっかちなおばさんには、ここれから説明してくれるからちょっとおだまり、と言いたくなった瞬間もあった。それにしてもすべてに質問に難なく応えるこのおじちゃんは何者だ。「この太い栗の木、実はロシアから持ってきているんだよ」「この縦穴住居も高床倉庫も、あくまで想像で作られてる。この高い建物もどのように使われたかはわからないんだ。」本当はわからないことがいっぱいらしい。それを学者たちが、土にかかった圧力から木の重さ、高さを推測し建物の柱を復元しているんだって。最後におじちゃんは「いま現在も発掘は行われていて、明日また新しいものが見つかるかしれない。だから、また来てね。」1年後に、5年後にもう一回行ったら、ここはまた変わっているかもしれない。そのときはまたこのおじちゃんのにガイドしてもらえたらいいな。三内丸山遺跡青森市立美術館　あおもり犬Afternoon（青森 Aomori）青森駅　　14:05の弘前行きまでは時間がある。バスから降りて海が見える方へ行く。函館湾と書かれているおおきな船があった。そうかこの海の先には北海道があるんだ、と思って海の先を見ると、山と街が見えた。近すぎではないか？と思い、青森の地形が蟹のような形をしていることを思い出し、つまり私が見えている海の先の街は蟹の足、下北半島であった。ということは、目の前に広がる海は陸奥湾で、津軽海峡はこの下北半島の先。青森もずいぶんと広い面積を持ったものだなあ。陸奥湾　八甲田丸　駅の近くで音楽が大音量で流れ、そこに人が群がっているのが見えたので向かうと、30くらいの屋台が集まったフェスティバルが開催されている。電車に乗るまでまだ時間はある。入ろうと思って入り口を通ると検温、消毒をされる。ここまではいつも通りだが、「列にお並びください」と言われ、入場した全員に住所を書くことが義務づけられた。ここでゆっくりするつもりはないんだけどなと、時間もないし一瞬書くことを躊躇ったが、もし誰かが私のことを見ていたらどうしようと思った。私のようないかにも旅人スタイルの人は見当たらないので、私のことを誰かが注目して見ているかもしれない。そして私がここで記入しなかったら何か言われるかもしれない、と思って怖くなった。私の番になり記入する前にちらっと上に書かれている人たちの住所を見ると、青森青森青森、市内市内市内と続く。並んどいてよかった。ここでコロナ陽性がでたら一発で私が狙われるんじゃないか？　喉の水分がほとんど奪われていたので、なにか飲み物だけ買って帰ろう。りんごジュース的な、地産の飲み物ないかな、と探していたら「自家製ジンジャーエール」が目に入る。400円という張り紙に、水4本買えるじゃんとツッコミたくなったが、なにか喉に刺激が欲しくてたまらなかったので引き付けられるようにして近づき、「ジンジャーエール１つ。」と頼む。フェスティバルを後にし、ホームに着くまでの道で飲み干してしまった。甘さは無く、生姜の味が強い。飲んでいるときはごくごく飲んでしまったが、飲み終わると急に喉が焼けたような感じがした。思っていた以上に喉に刺激を与えたようだ。駅近でやっていたフェスティバル弘前駅　到着　何も張り紙はないけど店の外に漂う空気でわかった。今日は休業のようだ。ドアが二重になってて、1個目を開けたらもうひとつのドアがあり、置いてあるメニューが書かれた黒板にclosed という飾りがぶら下がっている。雑誌にもグーグルマップにも、いくつかのグルメレビューサイトにも水曜が定休日だと書いてあったのに！お昼は弘前のここで食べると決めたいたから、今日は朝から何も食べなかったのに。あ〜もう、近くにあったびっくりドンキーにしようかな、とトボトボ歩き始める。目の前にきたが、ここまで来てびっくりドンキーにするなんて妥協だな、、と思ってしまい足が進まない。弘前に来たら訪れたい他の場所をすっかり忘れていた。一旦「空腹」ということを忘れて観光しようと思い、青森市立図書館へ向かう。近くに行ったらまた嫌な予感がした。パイプで覆われている、、工事中、、、。双塔の八角形ドームが印象的な洋風な図書館を見学するのを楽しみにしていた。お腹すいた。隣の旧東奥義塾外人教師館の中は入れたので見学したが、文字を見ることも考えることもできないくらい私の体にはエネルギーがなかった。まだ行きたいところはあったが、レストランを探すことにした。旧第五十九銀行本店本館　青森銀行追手門広場　ミニチュア建造物　一歩ずつ踏み出すにつれてパワーが抜けていく。スイーツは空腹なときに食べる物じゃない。ほんとにお腹がぺこぺこなとき胃が最も欲しがっているのはがっつりしたものだ。ラーメン、カレー、丼もの、。ここで誤魔化してスイーツを胃に放り込んでも私の胃は満足しないだろう。シャッター並びに喫茶店の看板を見つけた「2F」と書いてある。メニューには、、私の胃が欲しているものが書かれている！階段を見上げた先には窓があり、店内のおじさんと目があった。こわい顔してるな〜と思ったが階段を駆け上がる。ドアを開けると、「お好きな席どうぞ」と高校生だろうか、私とそんなに歳の変わらないだろう女の子が言う。レトロな雰囲気が漂う店内にはたくさん机があるのに、いるのは1組のカップルとおじさんのみ。この街の日曜日はみんな何をしているのだろう？店がやっていないから家にこもるのか、家にこもるから店が閉まっているのか、、。　シーフードカレーにするかナスとトマトのカレーにするか迷う。考えるのに時間を潰すのがなんだかもったいない気がしたから、店員さんを呼んだ。「シーフードとナス、どっちのカレーが人気ですか？」彼女はメモの紙とペンを下ろして、う〜んと少し迷ったあとに「どっちもおいしいですよ」にこっと微笑んで言った。まさかここでどちらともと言われるとは思ってもいなかった。結局大事なことは自分で決めるしかないのだろう。まあこれがきっと彼女の素直な回答だ。「ん〜じゃあナスのほうで。」　10分後にお皿なみなみにのったカレーを女の子が届けに来た。水で口の中を潤してから、スプーンにルーとご飯が半々になるように乗せ、もくもくと口のなかへ何度も運ぶ。ゆっくり味わって食べなくてもわかるこのコク。ごろごろあるナスは噛んだ瞬間じゅわっと水分がでる。こっちのカレーにしてよかった。あのときびっくりドンキーに入らなくてよかった。　外に出るのが惜しいくらいこの店を好きになった。甚平をきたおじさん(店主だろうか)が厨房から出てきて、店を行ったり来たりしている。そのあと椅子に座って、さっきの女の子ともう1人のアルバイトの女の子たちが楽しそうに話している。世間の（一部の）おじさんはどうして若い女子と話すことが好きなのだろう。若い男子じゃダメなのだろうか。少し視線をそらした先に、アルバイト募集(女子)の貼り紙が目に入った。そこまで拘るか。　元気いっぱいになったことだし、駅までの間弘前をもう一度満喫して、今日の宿に向かおう。煉瓦亭　ナスとトマトのカレーle bourgeon　洋梨のタルト大鰐温泉駅　到着　　まるで「ここは温泉の街です！」と言っているように、駅を出た瞬間、足湯があった。2日間シャワーだったから温泉に入るのが楽しみで仕方ない。ホテルまでの道は、またタイムスリップしたような気分にさせた。アップルパイをいれたビニールのカサカサという音しか聞こえない。10mくらい先の向かいの歩道で歩いている女の人が、こちらの歩道の一つの家から出てきたおばさんに「こんにちは」と声をかけていた。近所の知り合いという雰囲気だったが、女の人は私を越えて遠くへ歩いて行った。家はもう少し先のようだ。私の中での近所は隣の二軒までだが、ここの街での近所はどこまで含めるのだろう？大鰐温泉駅　早く温泉、温泉。チェックインも素早く済ませ、軽く荷物を整理し、浴衣に着替え露天風呂へ向かう。すべてを早送りしているようなスピードでこなす。体を洗って、露天風呂へ続くドアをガラっと開けた瞬間、ひやりと寒い風が無防備な私の体へ吹き付ける。ここからはスローモーションのようなスピードで爪先からゆっくりと肩までつかる。全身がつかったところで、しゃがんだ体制でベストポジションに移動する。はあ〜とため息をついた瞬間、疲れがふわ〜と逃げていった。伸ばした足の先からも疲れが逃げた。今日は青空晴天なのに星が少ないなと思いながら、ずっと空を見る。露天風呂に入っている時、必ず上を見るのはどうしてなんだろう。曇天でも晴天でも。室内の時計とか、近くにいる人とか、誰かが忘れていったタオルとか、空以外のものを見てしまうと、脳はそれについて考えてしまう。「まだ18:30かあ、、」「この人はどこ出身なんだろう。」「誰がこの落ちているタオル拾うんだろう。」とか。でも人は、少なくとも私は、空を見ているとき「自分」のことしか考えれなくなる。これが「無になる」ということなんじゃないだろうか。今日の夜の空の糸は黒というより、深い青の空だった。部屋でのんびり　部屋に戻るとまだまだ寝るまで時間があることに嬉しく思う。テレビをつけ、チャンネルをポチポチ操作すると「このチャンネルは登録されてません」と表示。24hテレビがラッキーなことに映った。あ、と冷蔵庫からアップルパイをだし、今日のレシートを整理しながら口に頬張る。リンゴの甘さに思わず「うまっ」と声が漏れた。今私は至福のひと時の最中なんだ。
22Aug
- 東北１週間旅行３日目　　
  Morning （岩手 Iwate）起床22時に寝たため十分な睡眠がとれ、アラームの10分前に目が覚める。嫌な音が窓の外から聞こえ、まさかと思ってカーテンを開けると灰色の雲が一面に広がり、地面にいくつもの水溜りが作られていて、水面にはいくつもの波紋が次々と現れる。道理で真っ暗なわけだ。完全に締め切ったカーテンでも、隙間から日差しが入って部屋が明るくなるのが晴れた日の朝。私が目を覚ました時は「まだ４時くらいかな」と感じるほど部屋は暗闇だった。今日はほぼ電車の中だから雨に濡れることはないから大丈夫か、いや電車からの絶景が絶景じゃなくなったらどうする、なんて考えながらぱぱっと準備をし、チェックアウトを済ませ外に出る。傘持ってないから走って駅へ向かわなきゃ、とホテルの自動ドアを出ると、雨は止んでいた。あんなに音がするほど降っていたのに。私は、強運を持つ晴れ女なのかもしれない。三陸トレイン宮古　出発　　9:01発の特急電車に乗り、宮古へ向かう。足を伸ばしても全然余裕がある座席間に、新幹線の窓の5倍近く大きい外全貌見える窓、そして人の少なさ。こんなに快適すぎる車内に2時間もいれるなんて、絶対に寝過ごしたくない。ずっと続く緑に、ときどき現れる川と橋。そしていくつものトンネルを潜る。三田線は緑の中を開拓して作られたのだろうか、盛岡から宮古までは96kmほどあり、電車で2時間。途中に住宅街があってもおかしくはないのではないかと思う。実は日本の土地のほとんどは誰も住んでいない山なのではないか？マップを見ると、白いところ、つまり緑が少なく人が密集している部分の少なさに驚いた。いつか、日本のマップが真っ白になってしまう日が来るのか。「自然を破壊しないで」という言葉を発する人は、日本のどこに緑があるか、日本がどれくらい緑を持っているのか知っているのだろう。だから破壊されていることに気付ける。旅をして、日本の緑の多さに気づいてからやっと、自然破壊をよりリアルにイメージできるのではないか。三陸トレイン宮古からの景色Afternoon　（岩手 Iwate~青森 Aomori）宮古駅　到着　駅を降りた瞬間、雨上がりのひんやりとした空気を感じた。静寂な空気が余計に寒さを増す。東日本大震災で宮古は津波の被害を直に受けた町であったことを思い出し、突然、大きなリュックを持ってカメラを首から下げている自分が恥ずかしくなった。カメラをしまって駅からすぐにある魚彩亭すみよしに入る。瓶に三陸でとれた新鮮な具材を詰め、それをご飯の上に自分でかけるスタイルがあるらしい。わたしもそれを頼んでみた。注文をとりに来てくれたお母さんは一ミリも笑みをこぼさず、注を受けるなりキッチンの方へ下がっていった。客は私を含め3組しかいない。しかもその2組はすでにそろそろ食事を終えるところだから、おそらくすぐにくるだろうと思っていると案の定すぐに来た。お盆に乗っているのは、お米の入った丼ぶり、汁物、魚のフライ、きゅうり、そして具が積められた瓶。圧倒的な存在感を出すこの瓶が、どうも最近の「フォトジェニック」を狙っているようでこの店の雰囲気と合っていないが少し笑えた。お箸でつつきながらお米の上に載せ、ご飯とともに口に運んだ。いつも回転寿司で醤油をしっかりつけて食べる自分は、魚そのものの味を忘れていたのかもしれない。さっきまで生きていたんじゃないか、と思うほど海の味がする。新鮮だ。いくらとウニは苦手分野であったが、なぜこれらを避けていたのか不思議に思えてならない。魚彩亭すみよし　瓶丼　　ぽつりぽつりと歩いているおじいさんおばあさんはわたしのことをどう思うのだろう。「被害にあったこの街を観光だなんて、帰れ。」だろうか。あながち間違っていないだろう。そう思うのは当然である。私は食事処を出るとすぐさま市役所へ向かった。無知のままこの街をうろうろするのは失礼だと思ったからだ。おそらくあるだろうと思って、市役所内に震災についての資料がつまったスペースへ向かい、ひとつずつ見て回ることにした。すぐに「東日本大震災についてのノート」が目に留まり手に取ってみた。そこにはここに住む住民が直筆であらゆる思いを綴っていた。「雪が降る寒い中、家族が心配で6時間歩き続けて自宅に帰りました。外灯の明かりもなく静まりかえった道、家まであと30分くらいのところで主人と再会することができ、我慢していた思いがこみ上げ、涙がとまらなかった。」「心の底から『こわい』と感じた。」「自然災害はいつ起こるかわからない　もしかすると明日起こるかもしれない　自分のことを大切に　自分のことを大切にしてくれる人を大切に　後悔のないように生きてください。」　本や新聞で見るのとは違った。その人それぞれの文字が私の目頭を熱くさせた。これを書いたのはさっきすれ違ったおじいさんかもしれない。車の中にいた女性かもしれない。すみよしの亭主かもしれない。10年近く経とうとしている今、ここで私はその人たちの苦しみが身にしみた。遅すぎた。今はほとんどが復興して瓦礫ひとつも見当たらない街に、人の力の大きさを感じる。しかし、メディアで見た瓦礫だらけの街に変貌させた、あのとき氾濫した閉川の近くまで行ってみると、人間よりもさらに大きい自然の力を感じた。私はその川をじっと見つめた後、駅へ戻った。三陸鉄道リアス線　出発　田老駅に着いたとき、車内のほとんどの人が窓の外の情景に釘付けになった。海が見えなくなるほど高い新たな防波堤が建設されている最中であった。「万里の長城」と呼ばれた防波堤を安易と超えたあの津波を防ぐには、これくらいの高さが必要なのだろう。いや、この高さでもまた津波はたやすく越えてくるかもしれない。さっきのノートに書かれていた「防波堤は避難のための時間稼ぎ」という言葉を思い出した。「どんなに美しい海でも、一変すると人の命を奪うほどとんでもなく恐ろしい化け物になる。」震災後によく耳にした言葉だ。この防波堤が完成する頃には、美しい顔を持った海が見えなくなってしまい、ただ化け物を檻に閉じ込めているような状態になってしまうだろう。私は大震災を味わったことがないから偉そうなことは言えないが、命を守るためには何かを犠牲にしなければならないことがある。それがこの街の場合は、共に育ったきた美しい「海」なのだろうか。　宮古駅から乗ったこの三陸鉄道リアス線は、ところどころ太平洋を一望できる絶景スポットで停車してくれる。今までに海が広がる景色を目の前にしたことは何度もあるが、世界最大の海洋、この太平洋を一望するのは生まれて初めてかもしれない。この海の先の先の先には、アメリカがあるんだ。なぜ海を超えた先に住む人間は私たちと違う言語を使って、異なった肌色を持ち、全く違う文化を持つのだろう。たった目の前に水が流れているだけなのに。太平洋久慈駅　到着　改札をでると、駅直結で弁当を売っているお店がある。「ウニ弁当」が目に留まった。宮古で食べた海鮮丼が全く消化されていないから残念だが今回は諦めたが、駅弁に海の食材が使われているなんていいなぁと思う。久慈は静かで昔の景色のような街だ。ぽんぽんと目に入る喫茶店は、家の近くにほしいといつも願っているような雰囲気のものばかり。駅でもらったマップを片手に、まず土風館へ向かった。旅行雑誌にもネットにも「久慈といえば海女」と書いてあったため、海女について知りたいと思いその展示スペースへ行く。「女が素潜りでウニをとってくる。」「中にはひとかきで2mほど潜る人もいる。」「たまに海藻がからまったりして危険なときもある。」次々に目に入ってくる言葉で、私の中で曖昧だった海女に対するイメージが、具体的なものになっていく。平成の海女という写真の中に私くらいの世代の女の子が写っていた。安全とはとても言い切れないこの作業を、しかも一変したら化け物になる海の中で、私くらいの歳で経験しているんだと思うと、ほとんど室内で自然に触れない暮らしをおくっている私は、ただ安全な方へ逃げているだけなのかもしれない、臆病者なのかもしれない、と思った。　海女の展示コースを過ぎ、歩いていると壁に飾っていた記事の中におもしろいものを見つけた。この地区のとある小学校には、「ふるさと科」という教科があるらしい。自分が育ってきた地域の歴史や文化を学んで、郷土への愛着と将来を切り開くため力を育むための勉強だそうだ。ふるさとの良さを学ぶ機会なんて、私の人生に置いてあっただろうか？このような授業が私の住んでいる街、いや日本中の子供たちにあればいいのにと思った。ふるさとももちろんだが、日本に住んでいるのに日本のことについて知らない人が多すぎる。きらきらした目をして外ばっかり見て「やっぱ海外はいいなあ、日本はつまらない。」と言う人が多いが、知識もなければ面白くないと感じるのは当然ではないのだろうか？海外留学をしたとき、私は恥ずかしい思いをした。あそこにいたあらゆる国から来た留学生は、全員が自分の国を誇りに思っていた。自分の国のここが美しい、あそこが美しい、と。私の国で誇れることは何か？日本人は親切なことか？しょっちゅう犯罪が起こるのにそんな無責任なこと言っていはいけない。ご飯が美味しい？そんなの好みの問題だ。パッと出てこない。おすすめの場所を聞かれたときは毎回京都の写真を見せたが、私は京都の歴史について説明できるか？できない。そもそも日本には京都以外にも美しいところがあるはずだ。ただ、行ったことがないからわからない。そんな日本について無知識な自分に苛立ち、恥ずかしく思った。もし私が今海外生活を始めたら、まるで日本という国から逃げてきたみたいではないか？自分の育った街を、国を誇りに思わないと、知らないと、その上で外を見ないと、そう思っていた矢先にこの記事と出会った。この小学校で育つ子どもたちは、自分の育ちを軸にして外の景色と出会うことになるんだろう。このような取り組みが広まることを願っている。久慈駅出会ったいい言葉八戸線の電車の中　もともと暗かった曇り空がさらに暗くなって、空の色が薄気味悪くなってきた。目の前に広がる太平洋は壮大だが、見ているとだんだんと怖くなってきた。もし今晴天だったら、青い空に海、なんてきれいなんだろうと思うはずだ。どうして暗く灰色になった空の下に広がる海は、恐ろしさを持っているのだろうか。うとうとしていると鮫駅についたとアナウンスが流れた。鮫、、？ここの海では鮫が出没しやすいのだろうか？怖い名前だなあ、と思って外をみると、闇を照らすような白や黄色をした光がそこら中から放たれていた。ここは、工業地帯だ。夜の工業地帯ほど美しいものはない。それはおそらく、昼にみるもの全く違う印象を与えるからだろう。雲がなく晴天なほど、昼の工業地帯は見ていられない。灰色の煙がところどころにある長い煙突からすごい勢いで排出されている。戦後ほどこの灰色の煙の中に有害なものは含まれていないのだろうけど、青い空が汚されていく瞬間を目にすると、自分の心臓の色もどす黒くなっていくような気がする。懸命にそこで働かれている人がいて、私たちの生活はその方々の努力なしでは成り立たないことは百も承知。ただいつか青い空がこの灰色で覆われてしまうのは時間の問題なのではないか、なんて勝手にマイナス思考になってしまうだけである。しかし、夜の工業地帯は異なった顔を持ち美しい光を放つイルミネーションに変わる。遊園地のイルミネーションとは違う。「綺麗」を作っている光とは異なった光を持つ工業地帯のイルミネーション。暗くなったから煙が見えなくなっただけ、と言われればそうなのだが、私にはそれが美しいのだ。見えない煙がそこら中にもくもくと放たれていても、夜がそれを誤魔化して工場を輝かせてる、私はこの景色が好きだ。本八戸駅　到着　お昼にあれだけボリュームのある海鮮丼を食べたのに、小腹が空いてきた。駅から15分くらい歩いたところにあるみろく横丁へ向かう。みろく横丁は建物と建物の間にある細い道の両端に、屋台がぎっしりつまった小さな商店街。一つの店は10人入れるか入れないかくらいの狭さだから、2、3人のグループが3つが入るとその店はすぐに埋まってしまい、狭い店内は各グループの2、3の話題が飛び交っている。ほとんどの店がぎゅうぎゅうの中、1、2人分の席が空いている店はちらほらあったが、そこに押し入る勇気は無かった。どこから来たかわからない旅人と「密」になるのは快く思われないだろうと思ったからだ。商店街に終わりが見えたとき、最後の店にらーめんのちょうちんがぶら下がっていたのがわかった。もしや？と思って店の前に立つと、ここは旅行に来る前に、みろく商店街に行くことになったらここのラーメンが食べたいなと思っていた「味のめん匠」だった。人も少ない。のれんをくぐり「いらっしゃいませ～」とおじさんに言われた瞬間「八戸らーめん、小さいサイズで」と返事のように注文した。目の前でラーメンが茹で上がるまでじっと見つめ、そろそろかな思って割り箸を割ったが、なかな来ない。「お待たせしました。」と目の前に置かれたラーメンからは視界が曇るほどの湯気が舞い、体に汗がじわっとにじんだのがわかった。割り箸と蓮華と持ち替えてまずはスープを飲む。あっさりしていて、胃まで染みているのがわかった。もっと腹がぺこぺこなとき、大のサイズで頼みたい。みろく横丁入り口味のめん匠　八戸ラーメン
21Aug
- 東北１週間旅行２日目　　
  Morning （宮城 Miyagi）起床　目を閉じて開いたら朝だった。いつもの「よく寝た〜」というさっぱり起きる朝とは対照的に、「ねっむ」と、あともう少しだけ、、と思い目蓋を再び閉じようとする。高校の部活時代を思い出した。顧問が大嫌いで仕方がなかった時期、朝起きるのが憂鬱だった。なぜ好きでもないことをするために起きる意味があるのか、毎朝不機嫌な顔をして食パンをかじっていた。　　　　　あ、朝風呂。昨日の夜決めたことは寝てしまうと忘れがちだが、このことはしっかり覚えていた。実はこのホテルには2種類の露天風呂がある。昨夜入ったのは川側の方で、今日の朝は山側に入ろうと決めていた。歯磨きと洗顔だけ済ませ、誰もいないことを期待して足早に風呂場へ向かう。山側のほうは内風呂がないため、脱衣室からガラガラっとドアを開けてるともう外である。裸で小道を歩いた先に、緑に包まれた風呂があった。見たことがあると思ったのは、旅行雑誌にこの景色の写真が使われていたからだ。緑の隙間から差し込み朝日と小鳥の囀り、なにかの詩に出てきそうなこの情景に思わずため息が出る。壁の時計を見ると、まだ6時。今日が始まったばかりだというのに、今日一番なのではないかと思うくらいの幸せと早速出会ってしまった。朝は体が火照る前に上がり、朝バイキングがへ向かった。仙台行きのバス停　1時間に1本しか走らないバスを逃すわけにはいかないので、15分前にバス停に到着。昨日のバスの中からは闇にしか見えなかった森が、いろいろな緑に染まり空の青とのコントラストの美しさを楽しませてくれる。汗をかくほど暑くなく、むしろ外が気持ちいい。7:58に来るはずのバスが、来ない。毎回こういったとき、意地悪かのように反対側のバス停にバスが来て、「え、もしかして反対だった、、？」と冷や汗をかかせられ、ベンチに座っていられなくなる。汗、かいてなかったのに。時刻表を見て、いや合ってる合ってる大丈夫、と自分に言い聞かせたとき、バスが来た。2分遅れただけでこんなに焦ってしまうのか。　仙台に着く予定時刻の1分前になっても、駅に着く様子が全くない。松島に行くための電車に乗り換えるために10分必要とみて、早めのバスに乗ったのに、遅れている。松島行きの電車も少ない。予定が崩れるのではないかと、また冷や汗をかく。10時のクルージングは絶対間に合わないから、降りたら時間変更の電話をして、瑞巌寺を先に見て回って、脳をフル回転させ頭の中で計画を建て直す。なんとかなりそうだ。結局バスは15分遅れた。バスの遅れは仕方ないと言われればそうなのだけど、何分の遅れまで許すのが正解なのだろう。Afternoon（宮城 Miyagi~岩手 Iwate）松島　到着　　いくつもの盆栽が浮いているような島々は、亀だったりいるかだったり、それぞれ特有の形を持っている。260ほどこのような島が浮かんでいるらしい。クルージングが始まると、その中でも有名ないくつかの島に近づいて特徴の説明がアナウンスされる。近づくと、この島々に生えている緑が松であることがわかった。日本でも海外でも緑と青の景色は好きだが、でも松島の緑は、松である。それが日本らしさを生み出して、日本の緑と青を作っているようだ。私はこの、1本の松を持つ島と、トンネルを持つ島が気に入った。千貫島鐘島　松島に行ったら牡蠣を食べると決めていて、遊覧船までの道で目につけていた牡蠣カレーパンを一つ頂いた。カレーのスパイシーと牡蠣のあのジュワッと広がる海の味が溜まらなかった、食べ終わるのが切ないくらい。もっと牡蠣を食べたい。カキフライをテイクアウトできる店を発見。(生牡蠣もあったけど旅行中に当たると怖いから断念。) 衣の厚みでごまかしているスーパーのカキフライとは違う。注文を受けてから揚げるため、紙皿からでも熱がすぐに伝わる。猫舌だから少しだけかじっただけでもすぐに牡蠣の味が口全体に広がる。あ〜うまい。パン工房Panseの牡蠣カレーパンげんぞうの牡蠣フライ平泉駅　到着　松島駅から小牛田駅、小牛田駅から一ノ関駅、一ノ関駅から平泉駅にたどり着いた。昨日宮城についたばかりなのに、もう岩手にいる。脳が行動の早さについていけてない。平泉駅の改札を通った瞬間、タイムスリップしたかのような気分になった。静寂で、ビルどころが3階以上の建物がひとつもなくて、蔵造りの店がぽつぽつとある。ベンチで会話している小学生の会話のみ響き渡る。中尊寺行きのバス停に行くと、「乗員数が減って運行困難になったので誠に勝手ながら土日のみ運行します。」の貼り紙がある。貼り紙だけじゃなくてホームページでも知らせてよ、という不満と20分かけて歩いて行くか迷って立ち尽くしていたら、「自転車乗ってくか？」とレンタサイクルのおじちゃんが少し離れた先にある1人しか入れないような小さな小屋の窓を開けて私に向かって声をかけてきた。自転車の手段があることは知っていたが、バスの3倍の値段がすることに納得がいかず選択肢に入れていなかったが、こうなっては話が別だ。「はい！」とかけよって中尊寺まで行きたいことを告げる。「ここ、17時までだから。17時までには帰ってきてね。盛岡行きの電車は17時半が最終だしな。」と言われた。今は15時を少し過ぎたところだ。２時間もあれば自転車がある限り余裕だ。「あと、特別に、、お嬢ちゃんには電動貸してあげる。特別でね。」電動の場合は普通二輪よりも100円高い。「いいんですか？ありがとうございます。17時までには帰ってきますね」マスク越しに笑顔は伝わっているだろうか。ありがとうは笑っていないと伝わらない。「荷物も置いてきな、重いでしょ」おじいちゃんの優しさは身にしみたが、「大丈夫ですよ」と断った。信用できないのではなくて、リュックが体の一部になってきていたから、身から離すのが寂しく思えたからだ。「でも、中尊寺は20分の坂道だよ？」力がないか弱いお嬢ちゃんとして見られているのか、本当に17時までには帰ってこれるのか心配らしい。「私、体力あるんです。」どしっと言った。「そうか。お嬢ちゃん、どこからきたの？」神奈川出身であること、大学生であること、都内の大学に通っていることを告げた。どうやらおじいちゃんはあっちで勤務していたことがあるらしく、私が伝えた地名やらををすべて理解した。おじいちゃんは「俺はね」と盛り上がってあっちで働いていたときのことを語り出す。岩手のなまりが炸裂し、聞き取るには全神経を使う。17時までには帰ってきて欲しいけど話したい、矛盾しているおじいちゃんがおかしくてかわいかった。「17時までには帰ってきてよ〜」と言われ「は〜い」と自転車を漕ぎ始める。行き帰りは飛ばし、20分の月見坂は10分で登って16:30くらいには帰ってこようとぱぱっと脳内で計算した。こんな時期でも暖かく向けてくれるおじいちゃんともう少し話したい。平泉駅月見坂盛岡駅周辺で夕食　サラリーマンだらけで、入るのに勇気がいる。あ、若いカップルが入っていった。つづけて入ろう。盛岡市民に知らない人はいないという50年も続くジャージャー麺の老舗店。雑誌にも載っていただけあって、壁にはサイン用紙がペタペタと貼ってある。私が何を頼むのかすでに知っているかのように、席につくなりエプロンを着た店員はすぐに私の注文をとりにきた。「ジャージャー麺の中サイズで」とおしぼりで手を拭きながら言う。店に入ってから2分も経っていないのではないか？5分もしないうちにすぐにきた。食べ方の説明が書かれてある紙には、「まずはよく混ぜる。そして一口。次にお好みでにんにくとかお酢とか入れてから召し上がれ。」と書かれてあり、初心者の私はその食べ方通りに手を動かす。もっちもちの麺にたっぷり味噌を絡めて、ついでにきゅうりも巻き込むようにして口に入れた。味噌の甘辛さ、シャキシャキのきゅうり、もっちもちの麺、なんだか日本っぽくない独特な味がした。口の中に広がる味噌の風味がさらに食欲をそそる。　カウンターには制服を着た中学生の女の子とスーツを着たお父さんが2人並んで麺を啜っている。テレビで流れてるクイズ番組の答えを言い合ってる2人は、まるでここが彼らの食卓ようだ。周りの客もクイズの答えをぼそぼそ言って、小さな空間に集まったここにいるみんながテレビに夢中だ。麺が食べ終わったら、卵を入れて残った具材とよく混ぜカウンターに出す。そこに店主が味噌と出汁をいれてくれて、ちいたんというたまごスープのできあがり。蓮華ですくい口に注ぐと、味噌味がほんのりかかったたまごが体に染みた。しかもほどよい熱さで、すくっては口に入れる蓮華の動きが止まらない。もう少しみその塩気があってもよかったかな、と思ったとき「味噌多めで」と中学生の声が後ろから聞こえる。私も、、っと言いたいところだが、これは常連の特権なのかもしれない。ここの常連にはなれないけど、次きたときには味噌多めにしてもらおう。ジャージャー麺　白龍店前の雰囲気
20Aug
- 東北１週間旅行 1日目　　
  Morining（東京 Tokyo~福島 Fukushima）東北新幹線やまびこ出発　昔から新幹線が好きである。早めに改札を通って、真っ白な長い顔が来るのを待つ。こぢんまりとしたドアが開き、中に入って席を探す。静かな車内に漂う駅弁の香り。いつなら私もホームでお弁当を買うが、福島に楽しみにしている喫茶店がある。軽食を買い、今回の旅のお供として持って来た本で目的地まで時間を潰すことにした。　新幹線って世界最速の特急電車らしい。中にいてもカメラ越しの景色がぶれるわけでもないから、本当のなのか疑問に思う。外から新幹線を見るとその速さを感じられるのかもしれないが、外から新幹線を見るのはいつもホームにいるときで、スピードを落としてくるあの数秒間だ。電車はホームへ順番で来るのだから、普通の鉄道と並んで走っているところなんて見たことがない。「はやっ」と実感するのは、運動会で活躍する足の速い人と、高速道路で飛ばしてる異常な車くらいだ。柚木麻子のBUTTERと軽食郡山駅　到着　会津若松行きの電車がくるまで40分ほど時間があるから駅周辺を歩いてみることにした。外に出た瞬間、涼しい風が正面から私の体を包み込んだ。朝だからか、と一瞬思ったが時計を見るとすでに9時を回っている。家にいたらエアコンをつけている時間帯だ。歩きながら、数時間前にいた東京と比べて何が違うかふと考えたが、ガラス張りのビルが少ないだけだ。特別建物の作りが違うわけでもないし、それ以外大きくちがうところは見当たらなかった。だけどやはり、空気が違う気がする。駅周辺から、電車の中まで、ベンチに座っている人も。　特に何もすることがなかったので、早めにホームへ行くことにすると20分後に出発する電車がすでにホームで待っている。え、早めに出発するの？いやそんなことは決してない。1日に10本程度しか走らない電車は、走っている時間より待つ時間の方が圧倒的に長い。いつもホームでは人が電車を待ち、ドアが開いた瞬間に人がごそっと出て今度は待っていた人が中へ詰め込むように入り椅子取り合戦が始まる都会。ここでは電車が人を待っているんだ、なんかいいな、と思いながら、誰もいない4人用ボックス席にどしんと腰を下ろし、隣にリュックを置く。こっち側の窓からきれいな景色が見れるといいな、もし通路を挟んで反対側のボックス席からの景色の方ががきれいだったら、そっちに移動しよう、誰もいないし。8人分の席を陣取った気分だった。磐越西線の電車の中　それにしても、眠い。朝4時半に無理やり体を起こさせたから、今になって脳が睡眠の続きをしようとする。カメラのシャッターを切るのがめんどくさくなるほど動くのが面倒になってきた。でも、なぜかどこかに寝ちゃダメだ、と必死に起きようとしている自分がいて、そのもう1人の自分の唯一活動している脳が閉じそうな目蓋を必死に開こうとする。なにか、大事な瞬間を見逃すかもしれない。移動中でさえ、どんなに眠くても神経を張り巡らせ目の奥の方に力をいれ目がカピカピに乾燥しているような気分になるこの症状、旅の最中に必ずと言っても起きる、この症状。地元だったらあと二駅というところでも寝て平気で乗り過ごすのに。電車からの景色Afternoon（福島 Fukushima~宮城 Miyagi）珈琲館　蔵　会津若松駅に着き、早速お目当ての喫茶店を探しに行く。歴史を感じるアンティークな雰囲気で逆に目立っていた珈琲館蔵。こういったレトロな昔風の店は、家具に統一感がなくテーブルと机のデザインがバラバラなことがよくある。カウンターに座るか、丸テーブルに座るか、奥の方に並んでる四角いテーブルの端に座るか、どこに座ろうか迷い入り口付近で立ち尽くす。1人だからカウンターがいいけど、大きなリュックを背負っている私はいかにも「旅人」という感じで、お店の人の近くに座ると警戒されるかもしれない。コロナウイルスの感染が止まらないこの時期、感染対策をしながら東北を回ることを決めたが、ちょっとした行動にも気を遣わなけばならない。奥のテーブルにしよう、と足を進めたが、「すみません、ここの席はこれから掃除するのでここ以外でお願いします。」と言われ、「あ、わかりました。じゃあここで。」と意識もせず腰を下ろした席は、テーブルの高さが少し低めで中央に囲炉裏が付いている6人用のものだった。今すぐにでも後ろの2、3人用の丸テーブルに移りたいと思ったが、もうこれ以上店内をウロウロするのも気が引けるし、すでに店員さんがメニューとお冷やを持ちこちらの方に向かって来ている。すでに頼むものは決めていたので、店員さんが水、おしぼり、フォークを机に置いている間に注文を済ませた。ぽつりぽつりと客が現れ始めたが、その全員は階段を上がって二階へ行った。あ〜2階があったのか、と一番目立つ席に1人で座っていることを一瞬恥ずかしく感じた。常連には敵わない。　少し時間が経った後に店員さんがこちらのほうに向かって来て、トレイに乗ってあるエビパングラタンと紅茶をテーブルの上へガシャンと乱暴に置く。余裕がないのか接客も素っ気なく「お待たせしました」の一言も発しない。無愛想な店員だな、と思って顔を覗こうとすると既にその店員は後ろ姿をこちらに向けスタスタと戻っていった。視線を料理の方へ向けると、呆気に取られた。これ食パン何枚分、、？あれスパゲティもパラパラのってる、、炭水化物のパレードに一瞬焦りを感じた。店員のあの態度とこの料理の見た目の迫力に苛つきと戸惑いが生じ食べる前のテンションがなかなか上がらない。スプーンでパンを崩すようにすると、中から湯気とともに白いグラタンが溢れるようにして流れて来た。スプーンにグラタンを絡めたパンとエビをのせ、温度を確認しながら口の中にゆっくり入れる。おいしい。今までに出会ったことがあるようでない味。少し焦げかかったパンの耳の部分や、なんともクリーミーなこのホワイトグラタン、白い池から突然現れる赤くて甘いエビ。単独では知っている味だが、これらが組み合わさるとこんな味になるのか、とスプーンが止まらずに動く。喫茶店でよく出会う少しうるさいくらいの組み合わせが、私はとても好きだ。エビフライとハンバーグ定食、ナポリタンとハンバーグ定食とか、こういった濃い組み合わせだ。コース料理なんかはたくさんの味を楽しませてくれてるからそれもそれで好きだが、喫茶店にある濃い組み合わせ料理は、味をしっかり残そうとする。このエビパングラタンの味、私は当分忘れない気がする。　食からパワーを得たら休まずにすぐに動く。あまり体によくはないのかもしれないが、旅中は許してほしい。今すぐにでも次の新しいものと出会いたいから、ここで休憩なんてしてる暇はない。会津若松駅エビパングラタン野口英世青春通り鶴ヶ城仙台駅　到着　仙台に着いたら真っ先に牛タンを食べに「旨味太助」へ向かうつもりだったけど、お昼に食べたエビパングラタンがまだ胃の底に溜まっている。ベストな状態で食べたかった牛タンは、今回はお預けにすることにした。でもせっかく仙台に着いたのだから何かちょっとしたものでいい、「仙台といえば」のものが食べたいと思って浮かんだのが、ずんだ。駅から10分ぐらい歩いたところにずんだのお菓子で有名なお土産やさんがありそこのずんだパフェが絶賛だということをリサーチ済みだったので、迷わず向かった。バスの時間までには戻ってこられるように早歩きで向かったが、「パフェ、18時までなんです。」時計を見るとすでに19時だった。まじか、と一瞬落ち込んだがすぐに元気を取り戻している自分に気づく。店に入るなり、美味しそうなお菓子が並べられているのを見て「パフェじゃなくてもいいかも」とどこかで思っていたのだろう。店内をぐるぐるして悩みに悩んだ挙げ句選ばれた2種類のずんだのお菓子を買い、店を後にした。お土産やさんで自分のためにお菓子を買うのは初めてかもしれない。いつも人のために入るお土産やさん、たまには自分のために入るのもアリなんだ。秋保温泉行きのバスの中どこまで進んだってくらい森の奥へ奥へと進むバス。もうブラックホールだ。もしここで下されたら絶望的だな〜と外の真っ暗な森を眺めていた、あっという間にホテルの最寄りのバス停に到着。ホテルに向かって歩き始めて途端、「すみません！！待ってください！」と後ろから大きな声で誰かが叫んでいるのが聞こえる。なんだと思って振り返ると、同じバス停で私の後に降りた人が出発したバスを追いかけていた。いや無理でしょう、と思って見つめると案の定その人は諦めてとぼとぼ歩いてきた。「大丈夫ですか？忘れ物ですか？」と声をかけたら、「お金、間違えたです。」彼女が日本人ではないということ、おそらくお金を多めに払ってしまったことを瞬時に読み取った。「多めに払っちゃったの？」と聞いたら、口を開けてポカンとした。この人がどれくらい日本語を話せるのかわからないから、どんな日本語を使っていいのかわからない私もポカンとした。なんなら英語で話したい、こういう場のための世界共通語でしょう。「860円だった。だけどわたし、600円、、」一瞬戸惑って「、、え？」と聞き返すが、彼女の真っ直ぐな目からして、言っていることは間違っていないのだろう。おそらく払うべきお金を払わなかったことに罪悪感を感じて、走り出してしまったのだ。彼女の心が透明だとしたら、「ラッキーじゃん！」と咄嗟に口に出てしまった私の心はグレーでしょう。「大丈夫」という言葉はおそらく知っているだろう、私はその言葉を何度も繰り返し不安げな顔をしていた彼女を安心させた。最後に「ありがとうございます。」と言われたが、何も感謝されるようなことはしていないんだけどな。秋保温泉　乱暴にリュックを投げ捨て、着替えだけ取り出し、大浴場に駆け足で向かう。体は念入りに洗い、しっかりと全身に付着した汗を流した。露天風呂につづくドアを開けると、生温い風が押し寄せた。福島に到着したときのことを思い出し、東北の朝は涼しかったから夜は朝以上に冷えるのかと勝手に思い込んでいたが、朝晩でそんなに気温の差は無いようだ。容赦無く熱いお湯に足からゆっくり入る。ここは2階のため、完全にオープンな露天風呂からは下に川、川を挟んで森、上に星を一望できる。目玉をぎょろぎょろ回さなくても、私の視界には美しいものがすべてが同時に入り込んでくる。すでに体は火照ってきていたが、全身からするすると疲れが抜けていくのがわかると後もう少し、となかなか上がれなくなってしまう。
19Aug
- 20代だから
  　20代は最も感性が鋭い時期であると、ある本が言っていた。その通りだと思う。高校を卒業するまで口にしていた「将来の夢」が、「将来」から「目の前」になり、「夢」が「現実」になっていることに気づくタイミングが、20代に突入してからすぐ、つまりこの時期である。なんであんな夢を抱えていたのだろうという絶望と、いやいやその夢が現実になろうとしているではないかという希望を交互に持つ毎日だ。すべてのことにピリピリとし、まるで20代で今後の人生のすべてが決まるような感覚に陥る。（もはや20代で人生が終わるような感覚でもある。）　もちろんそんなことはない。30代、40、50になっても人生は半分以上残っているのに、20代ですべてが決まるなんておかしいではないか。20代を終えた人は言うかもしれない「20代のうちは遊びなさい、そんな深く考えないの。人生は長いんだから。」確かにそうかもしれない。すべてのことに神経質になるのはかえって体力を浪費してしまう。では、人生は短いと考え始めて不安に陥るタイミングは30代が妥当なのか？正しいとは言い切れない。そもそも「人生の大事な時期」とは何か？それが20代であるという風潮が、私たち20代を突然夢から目を覚めさせ、不安で押し潰そうとするのではないか？　「ずっと夢を見させてください。働きたくないんです。」と言っているのではない。いつまでも親から離れないパラサイトでいるつもりも、親の年金に頼るつもりもさらさらない。「人生の大事な時期」という捉え方の問題である。まるで20代以外はただ命をぶら下げて暮らしているだけだと言っているように聞こえるが、人生に大事じゃない時期なんてないでしょう？部活に勉強（ときどき恋愛）に夢中だった10代の頃の自分も、死ぬ気で生きていた。テスト勉強しなくていい大人は楽でいいな、なんて思ったりしてた。（あのとき口に出さなくて良かったと心底思う。）あのときも、今が一番大事だと思っていた。　だけどね、やっぱりわからない。この先の自分がどうなるのかわからないし、「大事な20代」という風潮に半分以上飲み込まれている私は、今も不安でいっぱいだ。30になったら「30代の方が大事だ」って言っている自分が容易に想像つくのに、「20代の方が、、」と思ってしまう。そんな自分にアドバイスを考えた。「人生で捨てていい時期なんてない。『20代』じゃなくて『今』が最も大事な時期だと思って生きていけば、人生の一分一秒を大事に生きたことになるのではないか。」これでいこう。20代から30、40代になったときのそれぞれの「今」を比べるために、過去の自分を見返せる記録をこれからも残していこう。旅行や食べ物、私なりの考えを含めた日常生活をここに詰める。　　10年後の私も「今の方が大事だ」と言って生きていますように。
15Jan
- The coming-of-age ceremony
  I remembered deciding the color of my Furisode from an overwhelming selection as if it was yesterday. On 13 of January, I once again saw the Furisode I chose 10 months ago. It was absolutely gorgeous after all. I had no regards about the color and design I chose. When I wore the Furisode, I became extremely excited about heading down to the ceremony, which would start in less than 2 hours.The coming-of-age ceremony is held annually in order to congratulate people who have reached or will be 20 years old between April 2nd in a previous year to April 1st in a current year. The age of becoming an adult is 20 years old in Japan, so this is the ceremony that celebrates new adults. The coming-of-age ceremonies are usually held at public halls. 6 - 10 thousand people are gathered in each public hall, which means it’s a chance to see old friends again. Girls dress in Furisode, which is traditional clothing of Japan. We have to prepare it at the earliest 1 year prior because if you prepare it only 1 or 2 months prior, you wouldn’t find the best one for you. Many girls would have already taken the most beautiful ones. After we buy them, we store them until the ceremony day. On the day of ceremony we take the dress to a beauty salon to get a Furisode-dresser to dress us and also we have a hairdresser style our hair beautifully in the very early morning on the ceremony day. (In my case, I went to a salon at 6 am. But my friend told me she’d had to go at 4 am. My time sounds late although it was so early for me. haha) I believe it’s the day that women can be their most beautiful self, while also being their toughest day of that year.On the way to the ceremony, I remembered my olds friends who I met elementary school and junior high school. I was wondering who I would meet there. The friend who I fooled around with, the friend I didn’t get along with, the friend I was thick as thieves with and also my first love. Each one of their faces came to mind as I thought of them. I was looking forward to seeing them. The minute I got the venue I was more than excited. All of a sudden, I bump into one of my friends from high school. It was such a pleasure seeing her again. I’m regret not talking to her that much because I had seen another friend and I rushed headlong to see her...As meeting lots of my friends, I felt nostalgic. They seemed like they had all changed, but they were still the people I remember them to be. Everyone had something that never changed, which made me feel delighted. While we were taking a trip down memory lane, I remembered many forgotten memories with each of them. My school life memories came flooding back vividly one after another, which made me feel like I was sent back in time. It was a blast from the past. I feel thankful that they were in my life. Now we are all walking different paths, but I hope someday our paths will cross again. I wish them luck in their endeavors!

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