今ぐらいの季節には、まだ猫が布団の上にやって来る。
もうちょっと暑くなってくると、奴らは畳の上とか廊下の板の間とか、上手に涼しい場所を見つけて夜を過ごすようになるので、少し寂しい。
奴らのゴロゴロいう不思議な喉と、しなやかな毛並み。そして顔に光る緑色の二つの宝石と、鋭い爪と柔らかな肉球のアンバランス。
…そんな奴らのフォルムに見とれていると、その視線に気付いてか、大抵奴らは‘にゃあ’と鳴く。
まるで自分達の魅力を熟知しているかのような、その厭味を感じさせない媚び方に、いつもながら僕は感服してしまう。