小人の一人はそう言った。
その言葉に続けて、他の二十人程の小人達が「そうだそうだ」「その必然性はないよ」と口々に呟くのが、私にはうざったくて仕方なかった。
「つまり…」
と、小人は続ける。
「アンタの代わりはごまんと居る訳で、アンタの存在価値などは所詮その程度のもんだという事だよ」
「その程度だね」「そういう事だ」と、やはり他の小人達が続けた。
それまで大人しく小人達の言葉を聞き流していた私であったが、そこでついに堪忍袋の緒が切れた。
「うるさい。だいたいお前達に、俺の一体何が分かるというのだ。お前達は俺の事を、何も知りはしないじゃないか」
私の反論に、何が可笑しいのか小人達は、お腹を抱えてゲラゲラと笑い出した。
もう我慢の限界が来た私は、ちょうど手元にあった淹れたてのコーヒーを、そのまま小人達にぶちまけてやった。
「ぎゃあー!」「熱い熱い熱い!」と、小人達は甲高い事でそこいら中を転げ回り、逃げ回ったかと思うと、そのまま蒸発してしまった。
後には熱々のコーヒーをぶっかけられ、恐らくは使い物にならなくなったであろうパソコンのキーボードが、ただ静かに湯気をあげていた。
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