韓国語無料講習、あるいは海苔巻天国
2012年11月19日(月) 今月から韓国語講習に週2回通い始めている。 ソウル市内だけでも7ヶ所あるGlobal Village Centerという国際交流機関が無料で提供しているもので、テキスト代は自己負担だが受講費用は無料の講習である。ハングルも読めない完全な初級クラスから中級の上くらいまでのクラスと、ビジネス韓国語やメディア・ニュースというクラスがあり、私の参加しているクラスではソガン(西江)大学の語学講座のテキストを使用している。 1クラスの生徒数は10名程度で1回の授業は1時間15分(これが週2回)と語学を短期的に習得するためには決して充分とは言えないものの、無料で韓国語を学ぶことが出来るのだから仕方ないだろう。1学期は約4ヶ月、完全な初級から始めて中級の上まで順調に進んだとしても1年半以上かかることになる。 私はレヴェル・テストの結果、一番やさしいクラスの一つ上に入ることになり、正直言ってもう少し上のレヴェルではないかと秘かに思っていた「根拠なき自信」をいとも簡単に崩されてしまった。実際、文法などは退屈なまでに低いレヴェルではあるのだが、こと会話となると教師が話している言葉をぼんやり聞き流していると理解できないこともあり、冷静に判断するならばこれが実力相応のレヴェルなのかも知れないと思ってもいるところである。今年2月からほぼ毎日コツコツと独学してきた「成果」は、40代半ばの余りやる気のないロートルであることもあってか、所詮この程度なのかも知れない。 生徒の国籍はタイ、インド、ベトナム、モロッコ、ブラジル、カナダ、アメリカ、日本などで、夕方5時からという時間帯もあって主婦や学生が中心ではあるものの、会社員(駐在員)や私のような無職の人間もいて様々であるが、2週目で早くも脱落したり入院したりした人もおり、今後もどうなることやら分らない。文法的には新たに学ぶことは余りないものの、上に書いた独学の方は最近すっかり興味をなくしてもう2ヶ月近くサボったままなので、韓国に住んでいることが全く無意味にならないようにせめてこの無料講座くらいは続けて行きたいと思っている。 話は変って、倹約のために外食は出来るだけ控えるようにしているのだが、以前から何度か採り上げてきた「粉食」を実際に店で食べてみたいと思って先日家族と一緒に行ってみた(ただし以前紹介したのとは別の店である)。 「海苔巻天国(김밥천국 キムパプ・チョングク)」という名前の店で(「キム」は海苔、「パプ」はご飯の謂)、これは韓国各地に店を構えるチェーン店の名前であるはずなのだが、どうやら今回入った店は外装などからして名前だけ勝手に借りて営業している個人ベースの店のように思える(実際はそうではないのかも知れないが、以前入ってみたことのあるチェーン店とは様子がなにもかも異なっている)。店内には50代くらいのおばさんが一人いるだけで、注文してからも奥の厨房でこのおばさんが一人で調理するらしくそこそこ時間もかかって、ファースト・フード店を模したチェーン店というより、普通の食堂に極めて近い。 今回注文したのは上からトンカツ海苔巻(4,000ウォン=約300円)、野菜入りトッポッキ(3,500ウォン=約270円)、手製スジェビ(=すいとん。海苔巻とのセットで6,000ウォン=約460円)で、しめて13,500ウォン(約1,040円)である。 トンカツ海苔巻というのでどんなものが出てくるのかと期待していたのだが(天むすのように中にトンカツを入れたものかと思っていた)、おそらく冷凍食品のトンカツにただ海苔巻を添えただけのものだった(トンカツがソースに漬かっていると言ってもいいほどたっぷりとかけられたソースは中途半端に甘ったるく、あまり美味しくない)。トンカツは韓国では極めてポピュラーな食べ物であり、どこのスーパーマーケットでも揚げるだけで食べられるパン粉をまぶした豚肉や冷凍食品、トンカツソース(ただし日本のものとは微妙に違う味付けのようである)などが売られている。トンカツのハングル表記は「돈가스(トンカス)」、「돈까스(トンッカス)」、「돈카츠(トンカチュ)」などばらばらで一定していないところも如何にも韓国らしい(音が日本語などより複雑であることもあるが、人名や地名のアルファベット表記なども極端に言えば人によってそれぞれ異なることが多い)。 韓国風海苔巻の具は、上の写真にもあるように、たくあん、卵、ハム(あるいはスパム)、青菜、人参、牛蒡の漬物などで、海苔には胡麻油が塗ってあることが多く、日本の海苔巻の方が具もシンプルで味があっさりしている。 前にも紹介したように、トッポッキは韓国風の米で作った餅を甘辛いソースで野菜やオデン(練り物)などと一緒に煮込んだもので、日本のものよりも固い餅は煮込んでも溶けたりせず固い食感を保っている。 スジェビというのは日本のスイトンのようなもので、小麦粉を水などで練ったものを塩味のスープに入れて、野菜などと一緒に煮込んだものである。スジェビは日本のスイトンより薄く、中味のない厚めのワンタンのようなものだと言った方が近いかも知れない。 それなりに空腹は満たされるものの、これらはどれも決して美味しいというほどのものではなく、値段も上記の通り、韓国の庶民的な外食にしては必ずしも安くない。今回のように一人あたり6,500ウォン(500円強)も出せば、普通の食堂でソルロンタンやチゲなどの食事を充分摂ることが出来、味そのものもより美味しいものにありつけると言っていい。やはりこうした粉食店はしっかりと食事をする(満腹する)ためではなく、ちょっと「小腹」がすいたときに海苔巻やトッポッキ、ラーメン(ただし市販のインスタント・ラーメンに卵などを入れてくれるだけのもの)をおやつ代りに食べるために利用するのが手かも知れない(そうすれば200円程度で済む)。 せっかくの外食にしては今回もケチったために満足度は余り高くなく、また次の外食の機会を楽しみに倹約に励むしかない。いつものことながら、ケチな私はいつも「安物買いの銭失い」を自ら実践しているに過ぎないのかも知れない。仕事のストレスから解放された「自由な生活」も、当然のことだが、決して楽なばかりではないのである。