ぶっちゃけ、なんか持ってる | 想像と創造の毎日

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  娘がかわいがってるオカメインコのぴーちゃんを「コイツ、童貞ひきニート」と表現した彼女の話がおもしろい。

  厚底メガネのいかにも腐女子の風貌だった彼女は、メガネを取り去り、ちょっとした化粧を施すだけで、小林麻央さん似の正統派美人に変身したことは以前、どこかで書いた。

  なのに彼女の中身は相変わらずで、内面的な色気というものが表情に出ないから、普通にしているととても美人には見えない。

  そんな彼女は本当は、精神科医になりたいのだという。

  娘が、
「え?おまえに診てもらったら、
   余計に病みが悪化しそうだ。」
と言ったら、

「確かに。
   ぶっちゃけ私こそ、なんか持ってる系。」
と答えたのだという。

  私もおかしいけど、アイツはもっとおかしい。と娘はよく話す。

  他人には全然興味の持てないこと(例えばBL)をいつまでも相手が聞いているのか、聞いていないのか関係なしに延々と話し続けるし、下ネタばっかり口にするし、自分は嫌なことを言われたらめちゃくちゃ落ち込むのに、自分が他人にストレートに物申すことに躊躇いがない。

  歳上のクラスメイトにも、おばさんだとか、体力が衰えているだとか、平気で口にするから、娘はハラハラするのだという。

  何かにテンパったときは、
「オレの中のちん○が、勃起した!」
と言い、逆に闘争心のようなものが削がれたときは、
「オレの中のちん○が、萎えた。」
と表現するのだという。

  たぶんこの子は無意識にこう言っていると思うのだが、感覚的にはわかる。と私が言うと、娘は「ママも、病んでるからなー。」
と嘲笑した。

  私は病んでいるに決まっている。
  病んでないやつが、米津玄師の歌詞に共感できるわけがないし、宮沢賢治の詩にじわじわ泣けるわけがない。

  宇多田ヒカルも椎名林檎の歌詞も、人間が根源的に持っている欲望への罪悪感へ訴えられるからこそ、心が揺さぶられるのだと私は思っているのだ。
  生産的な社会に違和感がある。
  いつでも感覚は、そこに反抗的だ。

  ただ美しいだけの情景に心が慰められないのは、そんなふうに今ある現実に折り合いがつけられずに病んでいるからなのだ。

  私はBLが好きではないが(というか、読んだことがあまりないだけだが)、彼女が好きな理由は何となくわかる気がした。
  自分の中にある女と世間が求める女の像に何かしらの違和感を感じているからなのだろう。

  モテる女は、女を演じることができる。
  男が求める虚像としての女を装う技術に長けているのだ。
  そしてそれこそが、自分を生かすための一番手短な方法であり、それこそが実は愛と呼べるものであることも熟知しているのだと思う。

  彼女の家庭環境の背景を聞くと、そのことに対する違和感の理由が少しだけわかるような気がした。

  娘の学校の友達は、なにかしらみんな複雑な背景を持っているのだという。
  だからこそ、自立する道として看護師を目指していることも娘はわかる。と言った。

  街に溢れるモテる技術は、女が男の心理を理解することを求める内容ばかりに見えた。
  生産的な社会は男目線で作られている。

  なぜ聖書では、マリア様が処女でキリストを生んだのか。
  それがずっとわからなかった。
  女に貞淑さを男が求める理由はなんなのか。

  それは狩猟採取社会の時代を調べるとわかる気がした。
  女の体内で男が自分の遺伝子を競争させていた時代は農耕社会に移り変わり、土地や作物を所有する概念が沸き起こったことで、それを自分の次の世代に残す欲望が人類に芽生えた。
  所有する概念を持たない時代は、誰が誰の子供であるのかはそんなに関係がなかったのだろう。
  自然は所有するものではなかったからだ。
  しかし所有したものを確実に自分の次の世代に伝えたくなる欲望が生まれた。
  その発明が、一夫一婦制である。
  男は自分の遺伝子を確実に残さなければならない。だから処女信仰が必要だった。

  だけどそれが女の社会での地位を貶めたのだと、単純には思わない。
  優秀な遺伝子を選ぶことができた乱婚の時代よりも、もしかしたら一夫一婦制の方が多様な遺伝子を残す可能性が大きいのかもしれないとも思うからだ。

  という話をその友達としたい。と娘に言ったら呆れられた。
  「ぶっちゃけ、ママもなんか、持ってる。」
と付け加えて。
  
  人は自分を愛するために他者を、異性を利用するのだ。

  しかしそれは利己的な意味では決してなく、最終的には他者の中にいる自分を意識することで、繋がりを感じ、満たされる感覚をただ味わうためなのだろう。

  私も彼女も自分の中にある男の存在を感じていた。
  そこに自分で自分を満たすヒントがあるのだと無意識の内に思い続けていたのだ。