オカメインコといいますと
頬に赤くて丸いチークパッチが
あるのが大きな特徴です。
うちのぴーちゃんは、
ホワイトフェイスという品種なので、
その赤い丸は顔にありません。
しかし赤い丸がない白いお顔は
それはそれで、
なんだか上品にも見えるのです。
頭の上にはりっぱな冠羽が
そびえ立ち、
身体は白とグレーのシンプルな二色。
こんなにかわいくて、
凛々しい鳥がこの世にいるだろうか。
いや、いない。
いつも息子とぴーちゃんよりも
かわいい鳥の種類のことを
話し合うのですけど、
全然、思いつかなかったのです。
ある日のこと。
いつもするように
ぴーちゃんは鏡にたずねました。
鏡よ鏡。
この世で一番かわいい鳥は
だあれ?
(↑フィクションです)
ちょうどポケットサイズの
野鳥図鑑を広げていた
息子が言いました。
この世で一番かわいい鳥は
北海道の森や林の中にいる
シマエナガという小鳥ですよ!
ああ。なんということでしょう。
故郷のオーストラリアの
オウムやインコたちの
カラフルな仲間たちよりも
もっとかわいい鳥が
こんな近くにいるだなんて!
小さくて丸いフォルムの
つぶらな瞳をしたこんなにも
愛らしい子が!
(妄想終了。)
大変、残念です。
いくらぴーちゃんでも、
この子には適いません。
10人にぴーちゃんとシマエナガの
写真を見せたら、
きっと10人全員がシマエナガの方を
かわいいと言うと思うんです。
息子と二人でそんなことを話しながら、
いろんな角度でぴーちゃんを
眺めてもみるんですけど、
ほんとうは私たちだって、
分かってるんです。
ぴーちゃんが本当は
ブサイクなんだってことを。
だから、最近息子は、
ぴーちゃんのブサイクな顔ばかり
写真に撮って、
なんならそれをLINEの
アイコンにしています。
放鳥したらすぐに
リビングにある家具や家電の中で
一番高さのある冷蔵庫の上に
ぴーちゃんはとまるのですけど、
そこから私たちを見下ろす顔が
ブサイク過ぎて笑えます。
ああ。どうしてでしょう。
ブサイクと思えば思うほど、
この子のかわいさを心から
理解できるのは
私たちしかいないのだと思う。
この傲慢で独善的で
ともすれば非情とも言えるような
自己愛に満ちた私に
見返りのない愛というものを
教えてくれた。
いえ。見返りのない愛など
私には信じられない。
愛を注げばなんらかの反応がある。
それはどんなものであっても
立派な愛の見返りなのだから。
ぴーちゃんは私たちのぴーちゃんです。
所有する欲望で彼は
私たちのエゴを満たす。
ありがとう。そして、ごめんね。
となぜか思うんです。
それは感謝と罪悪という
二つの矛盾でできた愛おしさでした。


