十勝の大地を形成した大昔の噴火が、真っ黒なガラス質の石を生んだ。磨かれたその硬い黒い鏡のような物質を見た時に私がこれはお墓ですよね?とガイドさんに尋ねると、そうですね。これもよく使われています。と笑って答えてくれた。
父と祖父が眠るお墓は数年前に祖母が自分も入るときのためにもと作り直した200万円もする立派なものだった。周囲にある少し白っぽい墓石の中で、このお墓だけは真っ黒に高貴に光っている。自分が死んだあとの家のようなものですら、立派であって欲しいものかと、そのとき私は祖母を軽蔑した。なぜなら母は、この家の全部を自分一人で背負っていたというのに祖母ときたらそんな母のことを悪く言っていて、ずっと父がいなくなったあとの自分の心配ばかりしていたのだ。
100均で買ったダイヤモンドヤスリで力まかせに削った部分は細かい粉を巻き上げながら、白くなる。この作業をどれだけ続ければあの真っ黒な輝きに辿り着くのだろう。根気のない私がこれをあの墓石のように黒光りさせられる日が来ることが到底信じられないのだった。
縄文時代の人達はこれを削って、刃にした。黒曜石でできた刃物は、野生動物を捕らえるための鏃になったり、他の国では人身御供のための生贄をつくるための身体に使う祭事用ナイフとして使われたのだという。そして人々の身体を飾る宝飾品にもなった。
同じ材質で出来た石が、命を奪い、同時に魂を鎮めたり、美しさを競うために使われていたことがただただ不思議だった。
石は永遠だ。
時間に囚われる生物である人間がここに永遠を見出していたのだと思った。
悲しみや喜びや祈りが人の手が加わってさまざまな形になっている。
黒曜石はオブシディアンとも呼ばれている。
そして石言葉は摩訶不思議。
目の前にある人や物があることで、こんなにも揺らされる心というものが込められてきたこの石になんてぴったりの言葉なのだろう。
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光を吸い込み、熱に変えるそのどこまでも深い闇。
アステカ文明が栄えたのは、この黒曜石の鉱脈を征服したからでもあったという。
日々、どうしようもなく揺らされる心。
形が見えないのに他愛もないことで簡単に傷がつくこの心。
摩訶不思議。
