あなたの頭の中は、剛構造? 柔構造? | 小学校の先生~なるまで、なったあと~

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先生にとって必要な思考とは何か?

 

今回は、そんな話です。 

 

剛構造 と 柔構造

 

先日、建物の造りの考え方を例にし、体幹トレーニングの間違いを指摘するという番組を見ました。

 

建物の造りの考え方として、

 

剛構造 と 柔構造 の2つがあります。

 

剛構造とは、太くて強い柱や壁、梁で建物自体の強度を高めた構造。

 

柔構造とは、しなやかで柔らかい構造。

 

地震が起きた時、

 

剛構造は、震度の低い場合、その強度の高さからビクともしません。しかし、強い震度になると崩れてしまう。

 

柔構造は、弱い震度でも揺れるが、強い震度(剛構造が耐えられない)でも揺れるだけで崩れることはない。

 

 

最近、ブームとなっている体幹トレーニングですが、腹筋周りや体幹の筋肉を強く固めるトレーニング、つまり剛構造の身体づくりを行っている方がたくさんいるそうです。

 

しかし、必ずしも↓のような「バキバキの筋肉=体幹の強さ」ではありません。

 

理想の体感トレーニングは、筋肉の柔らかさ・しなやかさを保ち、可動域をひろげたバランスの良いトレーニング(柔構造)です。これによって、本当の強い体(フィジカル)を手に入れることができます。

 

 

思考も剛構造だと限界がある

 

先生になる人、先生を目指す人は、まじめな方が多いです。

 

まじめであることは大切なことですが、それが、

 

「まじめすぎる」

 

と、少々問題が出てきます。

 

ルールとは何のためにあり、誰のためにあるのか? でも書きましたが、学校や学級のルールを徹底する時に、剛構造の考え方では歪み(無理)がでてきます。

 

 

ある小学校の若手教師の話です。

 

最近、授業のチャイムが鳴り終わってから教室に入ってくる子が何人かいたので、今月の学級目標を「チャイム前着席」にしました。

 

チャイム前着席の正当性や大切さを子どもたちに説き、子どもたちも全員で目標を達成させようとやる気になっていました。

 

先生も「絶対にチャイム前に着席するようにしよう!」と力を入れて指導しました。

 

1週間後には、1日を通して全員がチャイム前着席をすることができるようになりました。先生はその状態に満足し、継続して「引き続き、必ずチャイム前着席しましょう!」と子どもたちに言いました。

 

ある日の放課後、何人かの先生から、次のような指摘を受けました。

 

○○先生のクラスの子、休み時間に教室に戻る時、ものすごい勢いで走っていくんですよ。

 

○○先生のクラスの子、校庭から戻ってくる時に、混み合ってる下駄箱で他のクラスの子を強引に押しのけて教室に戻っていくんですよ。

 

○○先生のクラスの子、休み時間に委員会で集めた時、作業の途中なのに「チャイム前着席だから」と言って片づけを他の子に押し付けて、チャイムまで5分以上あるのに教室に帰って行っちゃうんですよ。

 

先生は、「あれ? 子どもたちに間違ったことは言っていないのに、なんでそんなことになっちゃったんだろう?」と頭を悩ませていました。

 

次の日、先生は子どもたちに

 

「なんで、廊下を走ったり、下駄箱で人を押しのけたりしてるんだ!」

 

「なんで、委員会の仕事を最後もまで責任をもってやらないんだ!」

 

と指導しました。子どもたちは戸惑いの表情を浮かべていました。ある子が次のように言いました。

 

「先生、ごめんなさい。でも、チャイム前に教室にもどらなくちゃいけないから・・・。委員会の仕事を最後までやっていると間に合わないんです。どうしたらいいですか?」

 

先生は、

 

「時間内に委員会の仕事が終わるようにすればいい話でしょう」

 

と言いました。その子は、「え・・・」という一言を残し、下を向いてしまいました。

 

その後、チャイム前着席に限らず、そのクラスは学級経営全般がうまくいかなくなってしまいました。担任の先生は、「何も間違ったことを言っていないのになぜ?」という思いでいっぱいで、子どもたちと良い関係を築くこともできなくなってしまいました。

 

 

 

確かに、この先生が言った「チャイム前着席」は間違っていません。では、どこが良くなかったのでしょうか。

 

一番の過ちは、「チャイム前に着席しなくてはいけない」ということのみを指導したことにあります。

 

おそらく、子どもたちの思考は、「何が何でもチャイム前に教室にもどらなくちゃ」でいっぱいだったのでしょう。

 

1つのルールを守るという意識だけを強化してしまっていたのです。

 

これは、まさに剛構造です。

 

極端に言えば、チャイム前に着席することが絶対で、そのためには何をしてもいい、そんな雰囲気に陥ってしまったのです。

 

担任も子どもたちも剛構造の考え方だと、ちょっと失敗したり、間違った方法で実践したりするだけで、簡単に学級は崩れてしまいます。

 

 

先生に求められるのは、柔構造の考え方

 

では、どうすればよかったのか。

 

簡単です。

 

①例外事項をあらかじめ子どもたちと考えておくこと

 

②チャイム前着席するための方法を子どもたちと考えること

 

③実践していく中で、定期的に子どもたちと話し合っていくこと

 

この3つだけです。つまり、正当な逃げ場を作っておくことです。

 

先生も子どもたちも、「絶対にチャイム前着席をしなくちゃ」 と強迫観念に近い思いで行動する(剛構造)のではなく、

 

チャイム前着席をすることを柱にして、「チャイム前着席をするためには、どうしていけばいいんだろう」「どうしようもない状況の時には、どう行動したらいいだろう」と考えを深めて行動に移していくことが大切なのです。(柔構造)

 

最初に述べた通り、先生はまじめな方が多いです。しかし、あまりに一つの考え方(指導)ばかりを強化して実行してしまうと、問題に直面した時に崩れやすい状態になってしまいます。

 

剛構造の建物が、強い揺れがあった時に崩れてしまうようにね。

 

そうではなく、様々な状況を想定したり、例外事項や対立事項、関連事項について考えたりすることで、結果的にその考え方を強化できるということを忘れてはいけません。

 

当時の私は、↑の若手の先生に次のように言いました。

 

「ぶっちゃけた話さ、チャイム前着席をさせることより大切な事ってあるよね。教室に戻る途中で1年生が転んで泣いてるのを見た時に、チャイム着席しなくちゃと知らんぷりして教室に戻る子どもと、当たり前のように1年生のお世話をする子ども、どっちに育ってほしいの?」

 

先生の思考が剛構造だと、子どもも剛構造になりがちです。

 

このルールは絶対正しいなんて思っていることがあれば、それは危険です。

 

先生は、しなやかで柔らかさをもった思考(柔構造)をもつべきなのです。

 

 

「強さ」をどうとらえるか?

 

「強い」と聞くと、一般的には「固」「堅」「剛」「勇」「力」などのイメージはありませんか?

 

「柔」「退」「知」「優」「絆」はどうでしょう?

 

 

 

体が大きい人  力が強い人  発言力がある人  声が大きい人  リーダーシップを取れる人    

 

これらは、「強さ」から連想しやすい人です。

 

しかし、、、、

 

体が柔らかい人  他人を思いやれる人  人の話を聞ける人  知恵をもっている人  努力できる人  謙虚な人  分け隔てなく人と付き合える人  

 

こんな人も「強さ」をもっていると思いませんか?

 

 

子どもたちに指導する先生は、「強さ」を持っていなくてはいけません。ただし、それがどんな「強さ」であるべきかは、常日頃から十分に考えなくてはいけないのです。

 

意識的にも、無意識的にも、人は何かを教える時に「自分の思想」を反映させます。そして、人は誰かに何かを教わるときには、「その人の思想」に大きな影響を受けます。

 

先生であるあなたの考える「強さ」や「考え方」は、確実に子どもに伝わります。

 

あなたの「強さ」は剛構造ですか? 柔構造ですか?

 

あなたの思考は剛構造ですか? 柔構造ですか?

 

 

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PS

「時間内に委員会の仕事が終わるようにすればいい話でしょう」と先生に言われた子が、「え・・・」という一言だけで下を向いてしまったのはなぜか、想像してみてください。

 

 

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