放っておけば筋肉は減るばかり
参考文献 IRONMAN
中高年こそ筋トレを!
健康寿命を縮めてしまう大きな要因のひとつに「ロコモ」(ロコモティブシンドローム)がある。
運動器症候群という名の通り筋肉や骨、関節などの運動器が衰えることにより、立つ、歩く、座るなどの日常生活にまで支障をきたしてしまう状態のことだ。
高齢者が要支援、要介護状態になる要因には脳卒中や認知症、老衰などもあるが、じつはこの運動器の衰えや障害をきっかけに要支援、要介護になってしまう人がもっとも多いのだ。
早い人では40代から症状が見られ、予備軍を含めた日本人のロコモ人口は4700万人とも言われている。
もはや「国民病」といっても過言ではないほどだ。
日本人は欧米人に比べて、男女共もともと筋肉量が少ないことがわかっている。
日本人のアスリートと一般的な欧米人の筋肉量が同程度というデータもある。
ロコモの中でもとくに「サルコペニア」は高齢社会における重要な健康問題として取り上げられることが多くなっている。
サルコペニアとは加齢により筋力や筋肉量が低下する現象のことだ。
一般的に筋肉量は30才を超えたあたりから1年に約0.3~0.5%ずつ低下し、60才を超えるとその減少率が極めて大きくなる。
そして80才になると青年期の50%以下にまで低下すると言われている。
放っておけば筋肉は減っていく一方ということだ。
また、ベッドで寝ているだけの生活を送った場合、筋肉量は1日に0.6%ずつ減少することがわかっている。
たとえば、転倒による骨折で3週間入院したとすると筋肉は約12%も減ってしまう。
数週間の入院をきっかけに筋力が著しく衰えそのまま寝たきりになってしまう高齢者が多いのはそのためだ。
サルコペニアは糖尿病の要因となる糖代謝異常も引き起こす。
糖を代謝する筋肉が減ってしまうのでこれは当然のことだ。
では、中高年がアンチエイジングのために行う運動として何がいいのか?
これに関しては国内外で多くの研究がされているが、ウォーキングやトレッドミルなど続けやすい有酸素運動で心肺機能を向上させ、筋トレで筋力、筋肉量を改善するという方法がベストとする見解が多い。
有酸素運動と無酸素運動である筋トレを併用することで、それぞれの効果が期待でき、相乗効果もあるからだ。
中高年の中にはウォーキングやジョギングだけを運動習慣にしている人は多いが、有酸素運動のみを行っていても筋力や筋肉量アップにはつながらず、骨密度の増加も見込めない。
つまり、有酸素運動だけではサルコペニア対策としては十分でないということになる。
筋トレは前述した糖代謝異常による糖尿病や骨折の要因でもある骨粗鬆症の改善にも大きな効果を発揮することがわかっているだけでなく、血管の健康を保つ効果も認められているのだ。
「中高年こそ筋トレを」と断言できるほどアンチエイジングに筋トレは欠かせないのだ。
ただし、定期的に筋トレを行っている人なら2~3ヵ月に1週間程度、完全に体を休める期間を設けるようにしよう。
これにより、疲労が蓄積された関節や神経を回復させることができ、ケガやオーバーワークを予防しながら筋トレを継続させていくことができる。
とくに、3ヵ月以上予定通りに筋トレが行えている人は勇気をもって1週間のオフを設けてみよう。
それにより、何歳になっても進化し続けることができるかもしれない。