次の日、案の定
朝から廊下に人が集まっていた。
また気持ちが重たくなる。
そんな状況から逃れるため、
机に突っ伏した。
休み時間のほとんどを
そうやって過ごした。
授業中、休み時間、
目を閉じると浮かぶのは
昨日見た君の顔だった。
脳裏にはっきりと焼き付いて
頭から離れない。
それと同時に
触れた手の感触、胸の鼓動が
あの時と同じように押し寄せる。
同じ学年かな、先輩かな…
どこに行けばまた君に会えるんだろう。
何て呼べば君を探し出せるんだろう。
その日は1日中
そんな事ばかり考えていた。
今日も廊下で会えないかな…?
少しの期待とともに
昨日と同じように
教室で時間を潰していた。
ガコッ
掃除当番の男の子が戻ってきた。
昨日と同じ子だ。
きっと週替わりなんだろう。
立ち上がって帰ろうとした時だった。
『待って!』
振り返ると僕の方を見ている。
『良かったら一緒に帰らない?』
「え?」
『嫌じゃなかったら一緒に帰ろうよ』
突然の出来事で戸惑う僕の手を取り、
さあさあ!と笑顔で引っ張る。
返事をしないうちに
教室から連れ出され、
結局一緒に帰ることになった。
『家どの辺?』
「西町の方だけど…」
『じゃあ一緒に帰れるのは駅までか』
僕はまだこの状況を受け入れきれていない。
『突然の事でびっくりした?
俺誰にでも話しかけちゃうからさ(笑)』
「びっくりしたけど…大丈夫(笑)」
どうしよう。
思いっきり愛想笑いになってしまった。
『昨日なんで教室に残ってたの?』
「初日だったから
ちょっと疲れちゃって…
人混みを避けて帰ろうと思って…」
『そっかそっか。
そりゃあ疲れるよなあ~。』
『転校したこと無いから分かんないけど(笑)
ははっ(笑)』
「(笑)」
駅までの15分間、
僕たちは他愛もない話をした。
すぐに緊張がとけて
今日初めて話したことも
忘れる程だった。
きっと彼は僕が人見知りなことも
人付き合いが苦手なことも
気付いていたんだろう。
その日僕に新しい友達ができた。