「…また会えましたね!」
重なる偶然につい口から
出てきた言葉だった。
『はい、また会えましたね』
お互い照れ臭そうに
ふふっと笑顔になる。
その後私の右肩についたバッチに
視線を落とした。
『2年生ですか?』
「そうです!そちらは…」
『イテミンです。1年です』
やっぱりあなたが
「テミン君…」
『ごめんお待たせ!』
ちょうど友達が戻ってきた。
私たちはパッと目を反らす。
そしてそのまま
何事も無かったかのように
食事を終えた。
『次の授業に遅れちゃいけないし…
そろそろ教室戻ろっか』
「そうだね」
立ち上がる前に
もう一度あなたの方に
視線を向けてみると
同じように私の方を見た。
ニコッと二人だけの合図。
お互いが心の中で
「またね」と言った。
『どうしたの?笑ってるけど
何か良い事でもあった?』
「え、笑ってた?あはは(笑)」
知らないうちに笑っていたらしい。
そして、また誤魔化してしまった。
もう少しだけ二人だけの秘密にしておきたい。
なぜだろう。
『ていうか!
私の隣にいた男の子見た!?』
「え?」
『あの子が噂のテム様だよ!
やばい…すんごい近かったし…
近くで見てもかっこよかった…!』
至近距離でテム様に
会えて嬉しかったのか
興奮したように話す友達。
『緊張してご飯食べてる場合じゃ
なかったよ(笑)
手震えちゃったし(笑)』
「私は…話に夢中で
あまり見てなかったや(笑)」
というより
私も緊張してあなたの方を
見れなかったの。
目を合わせたいけど
合わせられない…
話したいけど
話しかけられない…
そんな感じ?
あなたと目が合うと
頭が真っ白になって
どうしたらいいか分からなくなる。
『えー!』
「でも雰囲気は…
かっこよかったかな?」
『でしょ!
王子様みたいだったでしょ!?』
うんうん、と私は彼女の話に頷いた。
今まで私に起きたこと全部話したら
なんで黙ってたのって怒るかな…?
でもタイミング逃しちゃったしな…
また今度言えるタイミングが
あれば言おう。
その日の帰り道も
テミン君と一緒にはならなかった。
ー あの日だけあの駅に
用事があっただけなのかな…?
無意識に姿を探しては
「今日もいない」と
少し残念に思っている自分がいた。