列車の中、窓際に座っている
対面座席には自分以外にも知った顔が並んで座っていて 列車の中は混み合っている。
しかし、みんなが皆んな進行方向に背を向け 後ろ向きに座っていて、進行方向側の窓際はどの席もガラガラに空いていた。
そして、もちろん私も後ろ向きに座っている
すごい速さで景色が変わって行く…。
その外の景色をボンヤリ眺めていると、耳元で誰かが囁いた。
これが皆んなが向いてる方向だ…
誰もが過ぎた過去しか見ていない
未来を後ろで受け取っているようなもんだな
だから誰も未来を知らないんだ…
よって見えるものは過去だけ。
私は『なるほど』と思った。
その声は更に続ける…
向きを変えればいい
正面から未来を受け止めれば良いだけの話だ
というと、私をポンと向かいの席に座らせた
すると、今まで見えなかった、私達が向かうこれから先の景色が広がった。
田園風景の中に似つかわしくない、大きな一つ目の二足歩行のロボコンみたいな巨大な鉄のロボットが草原に沢山点在していて、足まで伸びる手をビュンビュンと振り回しては 逃げ惑う人を次々と捕らえていた。
所々から黒い煙が上がっている中で、運悪く捕まった人は握り締められたまま…そのままビュンビュンと振り回されている。
たった一瞬の出来事がとてつもないスローモーションの中にいるように感じて、これから起こる未来が恐ろしいものだと打ちふるえながらも、必死に今見たものを列車の乗客達に説明をしようとした。
なにか手立てはないだろうか…と。
しかしながら、誰も知らない少し先の未来の話を 見たまま伝えることが上手くできない。
見えてるものを語源化する事の難しさと、それを見てないものに伝える事のまた難しさ。
誰もが、何を言ってるのかよく理解できない… と言った感じで、私の言葉は宙に浮くのだった。

