彼氏と自転車に乗って何処かへ向かっている。
途中、彼の歯医者に立ち寄ったり、甥っ子と姪っ子に遭遇したりしながら、気づけば甥っ子達も加わり四人で自転車を走らせている。
彼が先頭で 私が一番後ろで、路地をウネウネと走っていると、何本かの細道が伸びる岐路にぶち当たった。
先頭にいる彼が何言うわけでもなく選んだ道を進んで行き、曲がり角を曲がると、先頭から『ごめん!!』と声が聞こえる。
角を曲がった道は 途端に細くなり石段の縁のようになっていて、驚いてバランスを崩した自転車は大きく段になった道から外れて落ちた。
前を走っていた姪っ子に『大丈夫?』と声をかけられながら、自転車を立て直して皆んなの後に少しばかり苛立ちつつも着いて行く。
しばらくして、またもや現れた曲がり角を曲がると 先頭からの『ごめん、ここ◯◯だったー』の声が響き、それと共に視界がグンと高くなり、自転車は大きなお寺の塀の際 を走っていた。
視界の下には、何かの門のようなものが見えたがあまりの高さに頭がフラついて『落ちる!』と思った時にはハンドルのバランスを崩しグラッと傾いた自転車ごと空に放り出されてしまった。
地面に衝突するかと思われたが、怪我ひとつなく無事に地面に着地することができた。
フーと息を整え顔を上げると、目の前に 上で見た木の扉で出来た門…とでも言うのだろうか…別世界の入り口のような扉が目の前に立っていた。
それまでのコンクリートの路地とはまるで世界観の色が違う空間が目に飛び込んでくる。
木の門の左右には、お茶目な顔をした狛犬さんが鎮座していて、扉の先、左手に髭の長い小さなお爺さんがチョコンと立っていて、彼がそのお爺さんの所で何やら話をしていた。
一歩中に入ると空気感が変わる…。
地面は明るい色の板になっていて、左右には花壇があり、花の代わりに草木が生えていた。
中はとても長ーい坂道になっていて、坂の手前から水色に透き通る水が足を包み膝下くらいの高さまで浸かるようになっている。
長い坂道の地面(板)には、色あざやかな絵が いつくも描かれていて、絵巻物のような絵が光を含んだ水色の水の下でより存在感を増していた。
(イメージ)
そして、その坂道を沢山のお坊さんがバタフライのように泳いで 下からこちらに向かって登ってきている…。
私も、水の道にそっと足を入れてみる…
暖かい…
そしてなんて美しいのだろう
足元に描かれている、今にも動き出しそうな美しい絵に目を奪われる、神仏のお話であろう絵もあったりする…。
水の水圧抵抗はなく、とても軽い。
波のプールみたいに奥から波が一定のリズムで流れてきて一番高い波の位置は私の頭を少し超えるくらいの高さがあり、お坊さん達は その波が自分の所に来た時に地面を蹴り上げ波に乗り泳いでいた…。
道は緩やかな坂道になっていて、私は心地いい気持ちで ゆっくりと下っていく…。
ある程度して道半ばに差し掛かった頃、右手側の花壇が途切れ 別の入り口が現れた。
キラキラと華やいだ大きな竜宮城のようなお城が立ち、赤・ピンクの煌びやかな色を輝き放ち、お祭りのような雰囲気を出していた。
そこへ立ち寄っていく人もチラホラといて、私も入ろうかとなと思った時、下から呼ばれているような気がして、後ろ髪をひかれながらも通り過ぎた。
しばらく進み、なんとなく後ろを振り返ると、お坊さんだけでなく、二メートルを超える彫りの深いブリキの兵隊さんみたいな大男が私と同じ方向から歩いて来ていた
(イメージ)
予想外の出来事にビックリして固まるが、お坊さん達は一切気にかける様子もないので、とりあえず前を向き直し 下へと降りていった
木の門が見えて来て、外へ出る。
苔の生えた石段を降り狛犬さん達を見る…。
狛犬さん達は、お茶目な顔をしつつも じっと黙って私を見ていた。
背後には塀に囲まれたシンデレラ城さながらな、大きなお城が建っている。
門をくぐり、中へ入っていくと まるでディズニーランドにでも居るような気分で、その先にあるオペラ座のような煌びやかな建物の前で、母と姉が私を待っていた。
入り口の扉の横には、白塗りの彫刻に扮した四人の人が、時々動いては 近づく人を驚かせていた。
その姿がさっき見た、ブリキの兵隊さんみたいな人にすごく似ていて『あぁ….きっとこのために降りて来てたんだな』と一人で納得した
ショーはディナーショーになっていて、テーブルに着くと前菜が運ばれてくる。
ステージでは、当時の道化師に扮した人がマイクを持ち前座を務めていた。
それを見ながら、私は…どうしても、もう一度あの坂に戻りたくなって『少しだけ席を外すけど、すぐに戻ってくる』と姉に伝えてその場を離れた。
そして、苔の生えた石段に座る狛犬さん達の元に走っていって『もう一度入ってもいい? 少しだけ』と言うと「仕方がないなぁ…」と言う顔をしてくれた
石段を上がり、木の門を通ると、サーと暖かい水が足に触れる。
はじめて下から見た景色は、それはまた違う美しさがあった。
全ての絵が正面から見ることが出来て、物語として意味がある事に気づく…。
波のリズムに乗りながら、ジャンプをしてスイスイと上に進みながら、スマホのカメラでその絵を撮影していった。
その時…
『この絵の意味を知った時、理を知る事になる』と 頭の中で誰かが囁いたように、声が響いた。
三分の一ほど登り、一つの絵物語をカメラに収めきった後、上まで登りきらず戻る事にした。
ほんの僅かな時間だった気がしたが、母達の元へ戻ると既にショーは終わっていて、大型モニターに[今日のハイライト]的な映像が映っていた。
『梨のシャーベットが美味しかったですね』と司会者が言っていて『あ…それは食べたかったな…』と思いつつ、隣にいる母と姉を見てちょっぴり苦い気持ちになった…
会場を出ると、今度は彼が立っていてバトンタッチするように母達と別れて、隣の会場へと進む。
赤い絨毯の広い部屋には沢山の椅子が並べられていて、一番奥には握手会と物販販売が一緒になっている感じで長テーブルが連なっている。
『誰だろう?』と列を進んでいくと、知らない韓流アイドルで、ニコッと笑い掛け合いながらも特に買い物をすることなく、私達は次のブースへと進んだ。
ただ、友達の大好きだった「ジョンヒョン」はやはりその場に居なくて、彼のグッズは置いてなかった。
『じゃあ、SHINeeのチョコにしよう、ミンホの所で買おう』と手前に並んでいる数種類のチョコを選んで、行ったり来たりしていると、一番端に立っていたミンホから『何を探してるの?』と声をかけられた。
『友達がジョンヒョンの事がすごく好きだったから…お土産のチョコを選んでるんです』と言うと、『あ、 一般の分はもう売れちゃって無いんだけど、前から予約が入ってたんだ、これかな?』と言って、ジョンヒョンモデルのお菓子の箱を裏から出してきた。
予約票の紙が付いていて、そこに書かれている文字を盗み見ると、友達の名前が書いてあった。
私が代わりに受け取って、そのまま届けに行こうかと思った時、後ろに同じく SHINee 好きの共通の友達がいる事に気付いた。
「あ、代わりに受け取りに来たんだな、じゃあ余計なことをして混乱させてはいけないな」と思い『それは私じゃないよ』と言った。
すると『あぁ、そうだったんだね』と言って、彼はそのお菓子を後ろに下げた。
私は友達と自分用に二つチョコを選び、それを彼に渡した。
お会計もそのまま彼がしてくれたのだが、現金をクレジットカード払いに… 金額を3つ打ち間違えてしまい 『あ、違う…』と彼は慌てながら『ごめんね、今直してくるから少し待っててもらえますか?』と急いで裏へと入って行ってしまった。
後ろで、待っていた彼が『まだ? もう随分と時間経ってるよ、早くしないと待ってるよ』と声をかけてくる。
『あと少しだから待って』と返事をし、裏からミンホが出てくるのを待つ。
………
あれ?
なんか違和感が………。
なんだろう……
そうだ !!
顔が違う……
ミンホじゃないんだ
あの顔は ジョンヒョンだ!!
今までやりとりしていた人が、ジョンヒョン本人だった事に気づき、やけにドキドキして ジョンヒョンが入っていったカーテンをジッと見つめた…
会場にまばらに残っている人は 誰もその事に気付いていないようだった。














