お坊さんの後について、長い石畳の道を歩いている。
一定の間隔で、石の灯篭のような柱が左右に立っている森の中を、ただひたすらに黙って歩く。
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ずいぶん長いこと歩き続けると、前方に大きなお寺が現れた。
そこは日本のお寺のようであり、色鮮やかな装飾が施されていたりと、何処か外国のお寺のような雰囲気も醸し出していた。
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お坊さんは黙ったまま歩き続けていたが、お寺の少し手前でその足を止め、体を左に向け少し頭を下げる。
石の柱で良く見えなかったが、そこに年配のお坊さまが立っていて『よく来られました』と若いお坊さんに声をかけて手を差し伸べた。
手を差し出し、少し言葉を交わした後、お坊さんは また前を向いて歩き始める。
私もまたその後について歩き出した…。
年配のお坊さまが見えてくる…。
その人はジッとその場から動くことなく立っていて、和かな表情を浮かべて通り過ぎる私を見た。
お寺の前に辿り着くと、お坊さんは振り返り『此処にはとてつもなく強いお方がおられます…』と言って私の目をジッと見つめた。
私は「とてつもなく強いお不動様がおられるのだろうか?」と思ったりした。
『では、わたしは儀礼がありますのでここで…』と言い、お坊さんは正面ではなく横の小さな扉の方へ歩いて行った。
石畳を歩いているときは、私達以外に人は居なかった筈なのに、ここに来て背後から、お婆ちゃんやおじさん、おばさん…ポツポツと色んな人が私を追い抜いて中に入っていく。
建物の石階段を様子を伺いながら登り門をくぐると、正面に丸いお線香の焚くやつがあり、そこで煙を浴びる。
奥の本殿の扉が開かれていて、皆靴を脱いで中へと上がっていく。
私も中へ入ろうとするが…「どうしよう、中での作法が分からない…」と、靴を脱ぐのを躊躇っていると、その姿を後ろで見ていたおばさんが話しかけてきた。
『どうしたんだい? あんた分からないのかい? まず あんたが持ってる手荷物を全部この袋の中に入れなさい』と言って白いビニール袋を渡してきた。
私は携帯や財布、持っているものを全てその白いビニール袋の中に投げ込んだ。
『後は、中に入って座っていればいいから』と、急かすように中に入る事を促した。
私は言われるがまま 本堂の中に入り、真っ赤な絨毯の上に座り込んだ。
ガランとした何もない広い部屋に、それなりの数の人が座っている。
その場のピンと張った空気感になんとも言えない不思議な感覚を覚えた。
「ここ…何処かで見たことあるような…なんだか一度来たことあるような…」
「あ…そうだ、ここやっぱり来たことある、この後、祈祷が始まって…大きな仏様がたくさん現れて…その後となりの部屋に行けるようになって…ここ他にも沢山仏様が居られて、ちょっと怖くなる所だ…」と、過去に夢で一度来た時の事を思い出した。
ザワザワと人が増えたフロアの奥から『◯◯!』と、名前を呼ばれてるような気がして振り返ると、先程のおばさんが入ってきて『あんた、こっちだよ!こっちおいで!』と私を呼んでいた。
私は呼ばれるがまま、おばさんの隣に移動した。
『あそこ見てごらん』と 部屋の右端のとても大きな石の箱のような台を指した。
(中が窪んでいて、長ーいお風呂みたい)
それは10メートル弱ほどある長さで、フロアに居る人の大半がその近くに集まって中を覗いていた。
石箱の背後の壁は吹き抜けになっていて、大きな白い柱が天井を支えている。
なんだろう…と不思議に思って私も近づいて中を覗いてみる、石の箱の中は、私の想像を遥かに超えていた。
石の中は草原になっていて、沢山の白い花が咲いている、蝶々が優雅に飛び、白い鳥達が寛いでいる。
そしてその中央に、白い布を袈裟のように纏った大きなインドの男の神様が仰向けで横たわっていた。
まるで涅槃像のよう……な感じだ。
(なぜ、インドの神様だと思うか と言うと…お顔が、バーフバリにソックリだったからである)
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ビックリして見ていると、後ろからおばさんが声をかけてきた。
『すごいじゃろ、こん方は今は眠っておいでだけども、そのうちにお目覚めになる、そしたら…』と言った時、その神様の閉じられてた目がスッと開いた。
私は心臓が止まるかと思った。
それと共に背筋が凍るような緊張が走る。
なぜならスッと開かれた目は私を見ていたからだった。
(目が開いてから見てきたのではなく、最初から私を見ていたから…)
後ろで説明していたおばさんも言葉が止まり、少しの沈黙の後 喜びに震え、その場にいた全ての人が歓喜に沸いた。
石の箱の草原から沢山の鳥達が外の世界へと飛び立っていく。
男の神様の姿は見る見る内に小さくなっていき、私達と同じ人のサイズになった。
石の中から外に出てくると共に、フロアにいた人達はバーフバリ似の神様の側に寄っていく。
バーフバリ似のその方は、直ぐに駆け寄って来た一人づつに指示を出し、その命を受けた人はペコリと一礼をした後にその場を去っていった。
気がつくと、おばさんもバーフバリ似のその方の元へ行って指示を出されていた。
私は、自分の番になる前に、素知らぬ感じでスッとその場から離れようとした…。
しかし、『◯×☆◯☆♡◎◇×◯』と背後から言葉と取れない、まるで音の羅列のような呼びかけで、呼び止められてしまった。
振り返ると、おばさんの側に立つバーフバリ様が私を見て手招きをしていた。
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