※ Gが出てくる話です。気分を害する可能性がありますので 苦手な方はスルーしてください。
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外出から家に帰ると、リビングに姉の後ろ姿が見える。
部屋に入ると姉は必死にシューシューッとカーペットに向けて殺虫剤を吹きかけている。
1缶使いきるんじゃないかと思う程、力強くある一点に向かってスプレーを吹きかけていて、その部分のカーペットの色がじっとりと薬液を含んで変色している。
変色したカーペットを見て『あぁーぁ…』と心の声がもれた、次にノズルの先に目を凝らす…。
すると割と大きいサイズの○キがいるのが見えて一気にドッキンと心拍が上がる。
しかしカーペットの湿り具合を見て『そこまでかけてたらもうほって置いても平気だよ! カーペット使えなくなっちゃうからもう止めよ!』と姉に向かって声をかけた。
すると姉は『いや、まだダメだよ全然!生きてるもん!!』と言って噴射の手を止めなかった。
私は[ 煙いし…カーペットの変色もあるからハッキリとはよく見えないけど…どうなっているんだろう ]と気になり、一旦噴射をストップしてもらい部屋の反対側に回り込んだ。
すると、ペタッとして動かなかったソレは 突然足を伸ばして……ゆっくりと二足立ちをした。
しかも、ソレは 立ち上がると共に少し大きくなっている……
それを見て驚いた姉は『いやぁぁぁ!!』と叫んで、ソレめがけてまた薬液を噴射した
私は予想外な出来事に「どうしよう…」と困惑しながら、足元に視線を落とした。
そこにはいつの間に現れたのか、姉が持っているものと同じ○○ジェッ○が置いてあった
私もとっさに○○ジェッ○を手に取った
すると二足立ちしているソレは…白い煙のたちこめる中…ゆっくりと私の方に振り返った
シュワちゃんのような逞しい風格を纏い、BGMにターミネーターの音楽を携えているソレとしばらく見つめあったのち……
「本当はこんな事したくないけど…ごめん!!」と 歯を食いしばりながら私もソレに向かって○○ジェッ○を噴射した。
…………
かなり長いこと噴射し続けた。
両サイドからの攻撃を真っ向に食らっているはずのソレは一向に倒れる気配がしなかった…。
私達は様子を見るために噴射の手を止めた。
辺りに立ち込める白い煙が少しづつ薄くなってくると、二足立ちしていたソレが近くにあったテーブルの端に掴まっている姿が見えた
なんとなく…また形が変わっているように見える…
姉は『生きているか…確認しよう…』と言って、ここに来て何故かソレを恐る恐る触ろうとした。
『ちょっと!やめなよ!! 何かあったらどうするの!!』と咄嗟に大きな声を上げて、姉の手を止める。
『なんか後ろの方…ギザギザの長い尻尾みたいになってない?! 』
『こんなに胴体長かったっけ?!』
と 言い合ってると、ソレはピクリと動いた。
驚いた私達は、また慌てて○○ジェッ○を吹きかけた。
暫くすると、モワモワの真っ白い煙の中からピョンっと30〜40センチほどのカラフルなトカゲの姿をしたソレが飛び出してきた。
主体は緑色をしていて背中のギザギザの棘はピンク、顔の周りは黄色で、紫色がポンポンと全体に散らばっていて、目は青い。
そんなカラフルで不思議なトカゲに変容したソレはジロリと大きな目で私達を見つめてきた…
完全に押されている空気に後ずさりながら、
「あぁ、どうしよう、これ絶対 死なないやつだ…」そう悟ったものの、今まで浴びせた殺虫剤への仕返しが怖くて固まっていると『かけるしかないよ!!』と姉の叫ぶ声に、私もまた殺虫剤を手にとって不思議なトカゲめがけて噴射した。
ソレがいる事が怖いのに
だから早く終わらせて安心したいのに
一方では『あぁ、いやだ、こんなに薬かけられてすごく苦しいんだろうな、可哀想だな、こんな事したくないな』と言う思考がグルグルと回っていた。
…………
しかし、またしてもソレは白い煙の中からヒョコっと現れてくるのだ。
もう、きっと、コイツこの星のものではないんだろうな…。
…… やっぱりコレはマズイな…。
と、思っていると私の近くにガラスのボウル型の容器が置いてあることに気づき、咄嗟に器を手に取りソレの上にボンッと被せてしまった。
窮屈な器の中で身動きが取れなくなったソレはとても苦しそうだった。
『よし、このまま外にさえ出してしまえばもう終わりだ!! 外に出してしまえばもう大丈夫、どっちにしてももう終わりだ!!』と終止符が打てる事でやっとホッと息をついた。
『えー?! それじゃ多分甘いよ!! そこの中に薬噴射するんだよ』と姉が言う。
そこまでする必要は果たしてあるのだろうか……と流石に思う部分と、もしかしたら野に放しちゃマズイのかもしれない、と不安になる思いとで 私の気持ちはグラグラに揺れた。
言われるがまま隙間から薬液を噴射してみる。
動きが取れないから分かりにくいが 少し苦しんでるように見えた。
心がいたたまれなかった。
こんなのまるで虐待のようじゃないかと思った。
ソレは瞬きを繰り返しながらこちらを見ていた。
私は ソレを外に出すことにした。
お椀の中から出ないように 器を被せたまま下に薄い板を挟んで持ち上げ、家の外に持って行って道路の真ん中に置いて器を取ろうとした。
すると近所の人達がガヤガヤと周りに集まってきて、ソレを見るや口々にどう仕留めるかを話し合い始めた。
誰かが『その器にさらに被せるように大きな筒をかぶせてから、ソレめがけてバルサン焚いたらどうだろう!? 』と意気揚々と案を出すと『おお!それがいい!』と周りの者たちもその案に賛同した。
私は『もうそこまでやらないでいてあげてほしい』と言ったが、誰の耳にも届くことはなかった。
そして私もまた周りに流された。
てんやわんやしながら筒の中にソレとバルサンを入れて火をつけると、シュゴーッという音と共にすごい速さで筒の中は真っ白になった……。
今度ばかりはダメかもしれない…。
と ソレに少し肩入れしている自分がいた。
みんなが固唾を飲んで見守っているが 空気の抜けがない筒の中の煙は、どれだけ待てど 一向に消えることはなかった…。
その煙が薄れるのを待ちながら…
きっと、アレは宇宙人か宇宙生物だったんだろうな……。
やっちゃったな…… と、思っていた。


