道はレンガの石畳で、イタリアの街並みのような雰囲気のある大きな通りを、人を探すように一人で歩いている。
誰かに何かを伝えなきゃいけない……。
それがどんな事なのか分からないが、誰か人に会えば言葉が自動的に口から溢れるように仕組まれているような感覚だった。
人を探して辺りを見回しながら走りだす。
突然「ドンッ!!」と衝撃を受けてフラつきながら横を見ると、トレンチコートを着て背中を向けているオジサンが立っていた。
『すいません!!』と謝りながら、やっと会えた人物に向かって顔を上げる。
振り返ったオジサンは、人の質感に近いマネキンのような感じで、表情は木彫りの腹話術人形のような顔つきをしていた。
その奇妙さに驚いて私が息を飲むのと同時に、ソレはニカっと笑ってまるで首振り人形のように首を左右にカコカコと揺らし始めた。
私はゾッとして、すぐさまその場を走り出した。
しばらく全速力で走っていたが、少しづつ速度を落として背中越しで様子を見る。
付いてくるような気配が無かったので、ホッとしつつ、またキョロキョロと人を探し始めた。
人気のない街並みをあてもなく走っていると、遠くの方に人影を見つける。
花壇の花を見ているように立っている女の人に近づいて、切れる息を整えながら、半ば…助けを求めるような気分で『あのぉ…』と女の人に声をかけた。
………
カタカタカタッ……
その音を聞いた瞬間、嫌な予感が全身を走る
ソレは、さっき会ったオジサンと同じ奇妙な笑顔を浮かべて首を左右にカクカクと揺らしながら、カタカタと音を立てて振り返った。
どこを見ているのか分からない視線と「ニタァ〜」と笑った表情が不気味さに拍車をかける。
一歩後ざすってから、ふと走ってきた方を振り返ると、遠く離れた場所にトレンチコートのオジサンがこちらを向いて首をカタカタ揺らしている姿が見えた…。
そして正面にも今まさにカタカタ震えてるソレがいる…。
どうしたらいいんだ……。
なんなんだこれは………。
ここは 何処なんだ………。
…………。
これが 初夢か…………… 。 と思った。