なかしま税務労務事務所 社労士の中嶋有美です。
令和5年11月29日にキャリアアップ助成金の制度変更は発表されています。
1)支給額の増加について
有期労働者 ⇒ 正社員 に転換した場合、57万円支給だったのが、80万円に変更されました。
それに伴って申請方法も変わり、申請回数が2回(40万円を2回)になっています。
今までは、最短で入社から1年経過後に助成金申請できましたが、
今後は満額(2回)受給する場合は、入社から1年半かかることになりました。
採用者を、正社員として長期雇用することが前提の助成金なので、趣旨に合っていることは合っていますが、申請のスケジュールなどの管理する機関が延びたので、注意が必要です。
申請期日を忘れないように。
無期契約 ⇒ 正社員への転換も、28.5万円から40万円に増額されています。
2)対象者の範囲が広がりました。
助成金の対象者が、6か月以上3年以内だったのが、「6か月以上」という要件だけになりました。
これにより、長い期間有期契約労働者だった方も対象となります。
ただ、5年を超える有期契約期間があった方は、「無期⇒正社員」のカテゴリーになりますので、40万円の申請になります。
3)新しく制度を入れた場合の加算
これは新しい制度です。
1事業所あたり、1回のみ 20万円
注意点は、「キャリアアップ計画期間中に就業規則の規程日があること」
です。
例)就業規則に定めた日 令和5年11月1日
キャリアアップ計画期間 令和5年12月1日~令和10年11月1日
正社員になった日 令和5年12月1日
⇒ 対象外
就業規則に定めた日 令和6年1月1日
キャリアアップ計画期間 令和5年12月1日~令和10年11月1日
正社員になった日 令和6年2月1日
⇒ 対象
順番として、「キャリアアップ計画書」の提出 ⇒ 就業規則の規定 ⇒
正社員にする日、という流れです。
金額が大きくなったことばかりクローズアップされますが、その裏で厳格化も進んでいます。
令和4年10月1日に改正となっている、「昇給制度必須」「退職金導入または賞与支給」は、継続しています。
申請期間が1年半に延びたことにより、この2つの要件がクリアされているか?の確認も入ると考えられます。
昇給は、決めた月に行われているか?
賞与の支給月に変更はないか?
キャリアアップ助成金は、有期契約から正社員になることにより、労働条件の改善がされていることが必須となります。
「有期契約の期間は賞与ナシ」と契約書に書いていたのに、実際は支給していた場合など、不支給になる可能性が高いです。
「契約上の形」だけでなく、「実態」で審査されますので、
有期の時と、正社員になった時での、給与・労働条件の差を設けいることがポイントになります。
その他、求人の段階から「有期雇用での募集・採用」「正社員への転換を約束しての雇用をしない」などの要件もあります。
助成金の申請は計画的に!