"Day Tripper"
Writers : credited Lennon-McCartney (by John Lennon )
Artist : The Beatles
Recorded : Saturday1965/10/16 EMI Studios
Released :
single double A-side Friday1965/12/03(UK) A-side "We Can Work It Out"
single double A-side Monday1965/12/06(US) A-side "We Can Work It Out"
single double A-side Saturday1966/01/15(JP) A-side "恋を抱きしめよう"
Manday1966/06/20(US, CA) 「Yesterday and Today」B面5曲目
1966/12/10(UK)1967/02/05(JP)「A Collection Of Beatles Oldies」(Compilation Album) 1987年アルバムのCD発売に伴いビートルズのカタログから削除される
1973/04/01 「The Beatles 1962-1966」
1988/03/07 「Past Masters Vol.2」2009/09/09 [Remastered]
2000/11/13 「1」
2023/11/10 「The Beatles: 1962-1966 (2023 Edition)」
1966年来日東京ヒルトンホテル(現キャピトル東急ホテル)での写真
<歌詞和訳> "Day Tripper" 邦題 "デイ・トリッパー"
一日だけのトリッパー
[Verse 1]
Got a good reason for taking the easy way out
Got a good reason for taking the easy way out, now
楽な道を選んでいるそれなりの理由があった
今楽な道を選んでいるそれなりの理由があった
[Chorus 1]
She was a day tripper
One way ticket, yeah
It took me so long to find out, and I found out
彼女は一日だけの旅行者だった
片道切符で yeah
見破るのにこんなに長くかかったけけど 正体を見抜いた
[Verse 2]
She's a big teaser, she took me half the way there
She's a big teaser, she took me half the way there, now
彼女はとても思わせぶりな人 そこに行く半ばまで僕を連れて行った
彼女はとても思わせぶりな人 今そこに行く半ばまで僕を連れて行った
[Repeat Chorus 1]
She was a day tripper
One way ticket, yeah
It took me so long to find out, and I found out
彼女は一日だけの旅行者だった
片道切符で yeah
見破るのにこんなに長くかかったけど 正体を見抜いた
[Guitar Solo]
[Verse 3]
Tried to please her, she only played one night stands
Tried to please her, she only played one night stands, now
彼女楽しませようとした 一夜限りのスタンスを彼女は取っていただけだった
彼女楽しませようとした 今夜限りのスタンスを彼女は取っていただけだった
[Chorus 2]
She was a day tripper
Sunday driver, yeah
It took me so long to find out, and I found out
彼女は一日だけの旅行者だった
日曜ドライバーさ yeah
見破るのにこんなに長くかかったけど 正体を見抜いた
[Outro]
Day tripper, day tripper, yeah
Day tripper, day tripper, yeah
Day tripper
デイトリッパー デイトリッパー yeah
デイトリッパー デイトリッパー yeah
デイトリッパー
情報提供元(著作権者)Weblio
参考辞書 英辞郎、goo辞書
(引用できない英辞郎、goo辞書を使って訳した場合は、その単語や慣用句を太字斜体にしてあります)
good reason : 大義名分
good reason :
take the easy way out :
a day : 一日
tripper : 軽快に歩く人、つまずく者、人をつまずかせる人、(短い)観光旅行者、幻覚剤使用者
find out : (調査などをして)(…を)見つけ出す、発見する、考え出す、解く、知る、見つけ出す、(…の)正体を見抜く、見つける、見破る、暴露する
it takes someone long :
例文 it takes someone a long time to
take : 〔+目的語+副詞(句)〕〈ものを〉(…へ)持っていく; 〈人・動物を〉(…へ)連れていく; 〈乗り物・道が〉〈人を〉(…へ)運んでいく.half :
teaser : いじめる人、悩ます人、男をじらす女、難問、ティーザー
tease :please : 喜ばせる、楽しませる、満足させる、(…の)気に入る、喜びである、したいと思う、好む、自分の好きなようにする
only : 唯一の、ただ…だけの、無比の、最適の、たった一人の
play : 〔+補語〕〈…に〉ふるまう.
stand : (問題に対する人の明確な)立場,見解,態度.
上のサイトの吹き出し💭に、ジョンやポールの言葉がいくつか載っていました。
DeepL logo 無料翻訳ツールを基に少し変えたり、訳されていない部分を補いましたが、信じないでください。
ジョンの言葉
‘Day Tripper’ was [written] under complete pressure, based on an old folk song I wrote about a month previous. It was very hard going, that, and it sounds it. It wasn’t a serious message song. It was a drug song. In a way, it was a day tripper – I just liked the word.
-John Lennon
"Day Tripper"は、僕がが1ヶ月ほど前に書いた古いフォークソングをもとに、完全なプレッシャーの中で書かれた。とても大変な作業だった。それはそんな音がする。深刻なメッセージソングではなかった。ドラッグの歌だった。見方によれば、それはデイトリッパーだった。この言葉が好きだった。
-ジョン・レノン
That’s mine. Including the lick, the guitar break and the whole bit. It’s just a rock ‘n’ roll song. Day trippers are people who go on a day trip, right? Usually on a ferryboat or something. But it was kind of – you know, you’re just a weekend hippie. Get it?
-John Lennon, 1980
それは僕のものだ。リックもギターブレイクも全部含めてね。ただのロックンロールの曲だよ。デイトリッパーって、日帰りで行く人たちでしょ?普通はフェリーボートか何かに乗ってね。でもそれは、なんというか......週末ヒッピーだったということだよ。わかるかな?
-ジョン・レノン, 1980(『プレイボーイ・インタヴュー』の本の原文だと思います)
ポールの言葉
(バリー・マイルズ著 『ポール・マッカートニー/ メニー・イヤーズ・フロム・ナウ』の原文だと思います。)
That was a co-written effort; we were both there making it all up but I would give John the main credit. Probably the idea came from John because he sang the lead, but it was a close thing. We both put a lot of work in on it.
-Paul McCartney
この曲は共作で、僕たち2人で作ったんだけど、僕はジョンの功績を称えたい。おそらくアイデアはジョンから出たんだろう、リードを歌ったのはジョンだったから。だけどやっとできたんだ。僕たちふたりは、この曲に多くの労力を費やしたんだ。
-ポール・マッカートニー
‘Day Tripper’ was to do with tripping. Acid was coming in on the scene, and often we’d do these songs about ‘the girl who thought she was it’… But this was just a tongue-in-cheek song about someone who was a day tripper, a Sunday painter, Sunday driver, somebody who was committed only in part to the idea. Whereas we saw ourselves as full-time trippers, fully committed drivers, she was just a day tripper.
-Paul McCartney
"Day Tripper"はトリップに関するものだった。当時はアシッドが流行し始めていて、僕たちはよく "彼女はそんな子だったと思う女の子 "について色々な歌を作っていた......でもこの曲は、デイ・トリッパー、日曜画家、日曜運転手など、その考え方に部分的にしか身をゆだねない人についての、まさに皮肉たっぷりの曲だった。僕たちが自分たちをフルタイムの旅行者で、完全に身をゆだねるドライバーだと考えていたのに対し、彼女はただの日帰り旅行者だった。
-ポール・マッカートニー
書き込んだ人の言葉
そして以下は、その吹き出し💭を書き込んだ人の言葉だと思われます。(文の最後にジョンとポールの名前がないので)
The song was a knowing reference to the burgeoning drugs-based counterculture of the mid-1960s. ‘Day tripper’ was a slang term for someone who failed to fully embrace the hippy lifestyle.
この曲は、1960年代半ばに急成長していたドラッグをベースとしたカウンターカルチャーを意識したものだった。"Day Tripper"とは、ヒッピーのライフスタイルを完全に受け入れられなかった人を指す俗語だった。
Lennon and Harrison had both been introduced to LSD by 1965, although their use wouldn’t peak until 1967. McCartney later admitted the song was about drugs, though The Beatles' clean-cut image at the time meant that the references were well hidden to all but those in the know.
レノンとハリスンは1965年までにLSDに出会っていたが、その使用は1967年までピークに達することはなかった。マッカートニーは後に、この曲がドラッグに関するものであることを認めた。けれども当時はビートルズのクリーンなイメージからその言及は、知っている人以外には隠されていた。
上記の書き込みを読んで、"Day Tripper" についてイメージしました。
主人公はジョン。「she」はジョンの妻シンシアを妄想して訳しました。
以下は妄想です。
「僕にはドラッグをやる理由があった。現実から逃げたかったんだ。シンシアに一緒に体験して欲しかった。でも君は一方向の考え方しかしない。君が思う正しいことしか考えない。僕は君を喜ばせようとしただけなんだ。君はただのデイ・トリッパー。フルタイム・トリッパーになって、僕と同じ体験をしようとはしない。長い時間がかかったけど、君の本性がわかった」
[Verse 1]
Got a good reason for taking the easy way out
Got a good reason for taking the easy way out, now
楽な道を選んでいるそれなりの理由があった
今楽な道を選んでいるそれなりの理由があった
曲を通して、主人公の1人称は1度もでてきませんが、
「Got a good reason for taking the easy way out」の主語は主人公だと思い訳しました。
[Chorus 1]
She was a day tripper
One way ticket, yeah
It took me so long to find out, and I found out
彼女は一日だけの旅行者だった
片道切符で yeah
見破るのにこんなに長くかかったけけど 正体を見抜いた
「彼女はデイトリッパーだった。一方的なおあつらえ向きな考え方。見破るのにこんなに長くかかったけけど 正体を見抜いた」
one way : 一方向(だけ)の、片道の、一方的な
ticket : [the ticket] 《口語》 正当[当然]な事,本物,おあつらえ向きの事.
例文 That's (just) the ticket. それはちょうどおあつらえ向きだ, そのとおりだ.
ticket : 〔the ~〕((略式))(…に)適切な[あつらえ向きの]こと[もの]≪for,to≫;よい考え
「One way ticket」を英辞郎で調べると、
〈米〉片道切符[乗車券]◆【同】〈英〉single ticket
と、イギリスでは片道切符のことを「single ticket」と言い、「One way ticket」と言わないと思われることが書いてありました。
そして同じく英辞郎で…
「one-way ticket to」という形では、イギリスでも使われるとありました。
《a ~》〈米〉~への片道切符
《a ~》〈比喩的〉~への片道切符◆主に悪い事態について「必ずその事態を招く行動や選択」を指す。◆この表現はイギリス英語でも使われることがある。
とあり、例文も書いてありました。
one-way ticket to disaster《a ~》災難[災害]への片道切符
one-way ticket to hell 〈比喩的〉地獄への片道切符◆「非常に悪い結果を招き、やり直しが利かない選択」の例え。
ふたつとも、悪い事態を招いています。
イギリスで「one-way ticket」が使われたら、それは悪い事態を招くイメージなのでしょうか。
"Day Tripper" で、彼女が持っている切符「One way ticket」は、主人公(ジョン)にとっては「悪い事態」への片道切符を意味しているのかもしれません。
[Verse 3]
Tried to please her, she only played one night stands
Tried to please her, she only played one night stands, now
彼女楽しませようとした 一夜限りのスタンスを彼女は取っていただけだった
彼女楽しませようとした 今夜限りのスタンスを彼女は取っていただけだった
「one night stand」を英辞郎で調べると、
一夜限りの興行[公演]
〔一夜限りの興行の〕開催場所
〈俗〉〔性的な〕一晩だけ[行きずり]の関係
がありました。「one night」は「一夜限りの」と訳そうと決めました。
「stand」をWeblioで調べ、その中の
(問題に対する人の明確な)立場,見解,態度.
を選びました。
そして、その「立場・態度」を「スタンス」に変えました。
Oxford Languagesの定義
スタンス 1.野球・ゴルフなどで、球を打つときの足の構え方。
2.ある行動をとる際の、姿勢や立場。
結果、「stand」が違う単語「stance」になってしまいました
[Chorus 2]
She was a day tripper
Sunday driver, yeah
It took me so long to find out, and I found out
彼女は一日だけの旅行者だった
日曜ドライバーさ yeah
見破るのにこんなに長くかかったけけど 正体を見抜いた
Sunday driver : 〔他の車の邪魔になるほど〕低速に運転するドライバー
Sunday driver : 休日だけ自動車の運転をする人。また、そのために運転技術の未熟
「Sunday driver」は、
日曜日だけ慎重に、仕方なくトリップするシンシアを妄想しました
シンシア・レノン著
「素顔のジョン・レノン」江口大行、シャーロット・デューク共訳
シンシアが書いた本「素顔のジョン・レノン」に、
私には、シンシアが"Day Tripper" という曲についての想いを書いたのではと思える部分がありました。シンシアにはシンシアなりの理由があった(Got a good reason) のだと思いました。
そして、ジョンなりの理由(Got a good reason)もその本から垣間見れました
長くなりますが引用させていただきました。
209ページより
思うに、私たちの生活に、きわめてじっくりとしたスピードでちょっとずつ忍び込んできた、ハッシッシのたぐいやLSDが、私たちの健康な生活を腐らせていった。四人の才能に溢れた感動的ファッション・リーダー達は、蔭でドラッグを扱う連中の恰好の的だった。ビートルズは、人間が生活で欲しいあらゆるものを持っていた。成功、富、家族、愛してくれる真の友達。しかし、まだまだ何か新しいもの、手に入らないものに向う人間の性向と、与えられたものは何でも経験してみようという若さもあった。恐ろしい程のスピードでの狂気のような成功だったので、毎日の生活の中にスッポリ抜けたものがあった。昔やってた普通の生活の仕方というものの中から、準備もなしに、私たちがコントロールできないような生活環境の中に押し出されていた。ジョンは自分の音楽や作詞作曲を楽しんでいたし満足していたけれど、だんだんジョンが考えないで買い込んだ高価ないろんな道具やらゲームやら骨董品のたぐいで溢れてきていた。運転手のアントニーは、しょっちゅう、法外な値段のものを買いにやらされたが、いつも一度ぐらいしか使われずにホコリを被って放り出されていた。何を手に入れても、満たされることのない感情だけを残すひどい状態だった。生活に必要な本物の部分が見つからない。探すだけでクタクタに疲れてしまった。
イギリス中、何処へ行こうと昔ほど魅力を感じることもなくなった。恒例になってしまったコンサートでは、ただ何千人もの狂ったようなファンの前での操り人形を感じるだけで、昔のように感激することもなくなった。喚声で自分たちの弾いてるのも聞こえなかったし、モップ頭の四人組の出来上ったイメージの役割の繰り返しで、ヒット曲を何度も何度も演奏させられるだけだったので、ステージの創造性も満足もなかった。
私がジョンと付き合い始めた頃、彼のユーモアはグロテスクで、特に体の不自由な人や白痴の真似がそうだった。彼は自分が不自由になる恐ろしさに取りつかれていたし、自分より不自由な人に会えば悲しんだり恥じたりしていた。彼の描くものの中で、そういう自分の心の中にある恐怖や醜いものに取りつかれているのがさらに強調され現われていた。冗談や漫画は、自分の中の恐怖をまぎらわすことだった。ジョンは自分のユーモアの中心になるものに恨みはなかった。が、ビートルズが人気者になればなる程、病人や体の不自由な人たちにとっての救い主や希望の光の立場に置かされた。演奏が終わってくたくたになって控室に戻る度に、小児麻痺や、もう助かる見込みのない病人の車椅子の列が待っていた。
ジョンは、正に自分の恐怖の対象と面と向い合わされ、また自分がそれに対して何もやってやれないのを感じ、もの凄く悲しんだ。何とかしてやろうとするにもジョン自身苦しみが強すぎた。自分たちが純心だとかキリストのように扱われること自体が完全に間違いだと。彼自身、そんなに敬虔な人間じゃなかったし、欠点やら我慢できないことも自分の中に多かったし、だからある種の救世主のように思われるのがつらかった。今までは何とかごまかすことも出来たが、こういう状況ではそれもジョンには出来なかった。本当に四人の若者にとっては荷が重すぎた。彼らは、人々がこうあるべきと思う期待像に閉じ込められて、あるがままでいられなくなっていた。どんな小さなことでも、彼らが言ったりしたことは噂され、新聞に書かれ、分析された。自分自身でありえた自由は、すでに遙か昔の贅沢に思われた。そういった悩みから抜け出るために当然行き着く所は、ドラッグとか頭の中が自由になるようなものしかなかった。
私も当然ビートルズ狂気の状況の中に入ってたけれど、自分だけは常に脇に立っている感じでいたかった。そうでなければ生き残れそうもなかった。幸いにも私はいろんな出来事の渦に巻き込まれず、頭もフラフラにならず観察することができた。状況がエスカレートして私たちを摑えるのを感じたし、混乱したメチャクチャな将来になる予感がしたので恐かった。ジョンはあまりにものめり込みすぎていたので、自分を外側から見ようとすることができなかった。その上性格上、何でも一度やってみる方だった。ジョンが渦の中心に巻き込まれそうになる度、私は遠くから引っぱり戻そうとした。互いにだんだん距離が生まれ、理解がむずかしくなった。私は現実の生活をけんめいに守ろうとし、ジョンは現実から逃げようとしていた。彼は目前の現実を超えていくような体験をしたがった。そういう彼の気持はよく解ったが、彼と一緒については行けなかった。
ビートルズにはマリワナが面白かった。それで彼らはリラックスできた。問題なのは、そこが何処であろうと、やれると思うと喫い始めた。 二番目の映画ヘルプ (Help) のロケで、レコーディングのスタジオで、家で。現実に触れぬよう、自分たちの立場に向ってくる圧力や責任からマリワナで逃避した。 一服し、起こる気分を凄く楽しんだ。くつろいだ気分は互いを笑え、何もかも笑えた。一服は、生活の中で回転し続けるものを一時なりとも止め、世界を陽気にしてくれた。問題はドラッグのような法律違反につきものの、運び屋、売人やらが寄り集まることだった。ブライアンやビートルズは、儲けを狙うそういう人間の恰好の餌食だった。実際、ローリング・ストーンズ (Rolling Stones) や、ジ ミー・ヘンドリックス (Jimmy Hendrix) のようなミュージシャンやアーティストの大物が彼らの狙いだった。法律に反いて楽しみを得るぐらいの金のある連中が対象だった。ハッシッシなどは、ポップスの連中には日常茶飯事だったし、そのもの自体はそれほど有害な遊びではなかった。けれども、私に関しては、ドラッグは完全な時と金の浪費にすぎなかった。やっても気分が悪くなり、眠くなるだけだった。私にとっては全然重要なものではなく、無くても良いものだった。彼らは別で、もしリラックスさせてくれるものがなければもっと狂ってしまったろう。
ドラッグの所持、売人との接触が、私の生活の中で心配事の中心になってしまった。この時の彼らは評判が良かれ悪しかれ気にもせず、現実を離れた滅茶苦茶な生活をしてた。自分たちは特別だから捕まるはずもないと信じ、すごい危険性も背負っていた。ハッシッシを喫うパーティもごく普通になり、そういう状態から起きるゴタゴタを受け入れることも生活の一部になった。
ジュリアン(ジョンとシンシアの息子です)の立場が、こういう新しい生活の仕方の中ではすごく心配だった。誘拐の恐れありと近所の警官から知らされたり、眠れぬ夜が続いた。昼も夜も護衛つきだったし、警察が学校であろうと家であろうと監視した。幸いにも、ジュリアンはそういう危険に気付いて性格が変わるほどの年になっていなかった。有名ゆえに経験しなければならない酷いことがまた持ち上ってきていた。ジョージの友人が私たちにLSDをくれた時、私はついに私だけが頼りだと気付いた。一生忘れられない恐い経験だった。不思議の国のアリスになったような、世界の底が抜けたような気分だった。私が気狂いになりそうになったのはその時と、ジョンがどうしてそんなに素晴しく感じるのか理解しようと何度か別に試した時だった。
私の心の中には、恐れや不安や、悪い予感が積ってきていたが、まだ黙っていた。あの頃の私は、ジョンにとって理解あるポップ・スターの妻というより、退屈な普通の典型的な主婦という印象だったろう。私は自分の性格を変えることはできないが、新しい生活の仕方に合わせ、理解するためにちょっと自分を曲げた。誤解しないで欲しいのは、沢山のパーティや催しに行った時は楽しんだし、ショー・ビジネスのスターや名士に会った時も楽しめたのだ。例えば―― 略
バリー・マイルズ著
「ポール・マッカートニー/ メニー・イヤーズ・フロム・ナウ」 287ページ
以下は竹林 雅子さん翻訳の「ポール・マッカートニー/ メニー・イヤーズ・フロム・ナウ」です。
この時期、ポールとジョンはソングライターとしての自信を深め、セックスやドラッグに対する個人的見解を歌に盛り込むようになった。しかし殆どの場合は、ジョージ・マーティンすらもそのことに気づいてはいなかった。セックスとドラッグへの見解を織り込んだ曲のいい例が、その次のシングルとなった"デイ・トリッパー"だ。これは一九六五年十月、ケンウッドで共作された曲である。
ポール「この辺りから僕らのサイケデリック時代の幕開けとなって、イギリスの大衆には分からなくても、友達や仲間にだけは分かる表現を使い始めたんだよ。
"she's a big teaser (*あの娘は男を惑わす女)"も実は "she's a prick teaser (*あの娘はチンチンをいじる女)"の意味なんだ。お父さんお母さん連中は分からなかっただろうけど、子どもたちには分かったはずさ。歌うときには、殆ど本当の歌詞で歌っていたよ。"デイ・トリッパー"はドラッグのトリップについての歌だしね。シーンにアシッドが登場した頃で、『私こそとんでる女よ』と思い込んでる女についての曲だったんだ。こういう歌を作る原動力は、大抵ジョンから出て来たね。そんな女に何人も出くわして、ジョンは憤慨していたんだ。"シー・セッド、シー・セッド"もそういう歌。でも、これはちょっとした皮肉の歌だよ。デイ・トリッパーとか、日曜画家、日曜ドライヴァーみたいに、ちょっとだけ手を出してその気になってる人たちに対して皮肉ってるだけ。僕らはフルタイム・トリッパーであり、完全にコミットしたドライヴァーだけど、彼女は一日だけのトリッパーだとね。これも共作で、二人で一緒に作ったけど、どちらかというと主導権を取ったのはジョンだね。彼がリード・ヴォーカルだから、アイデアは彼が出したんだと思う。二人ともあれは苦労して作ったよ。"prick teaser” なんて言葉を入れたら愉快だなと思いながら作ったのを覚えてる。二人で突つき合ったり、ウィンクしながら作れるのがコラボレーションのいいところ。一人だったら、そんな歌詞は入れないかもしれないよ "I'd love to turn you on" の部分も、お互いに見つめ合って、「おい、ほんとにこれでいく?」なんて視線を交わしてさ。こんなフレーズを入れるそんな瞬間がいいんだよ」。
"デイ・トリッパー "は次のシングルに予定されていたが、その数日後に録音された。"恋を抱きしめよう"("We Can Work It Out"です)の方がシングル向きではないかという話になった。ジョンが声高に反対したので、結果的にこの二曲は両A面扱いで発表されたが、レ コード店の報告では"デイ・トリッパー"よりも"恋を抱きしめよう"を求めて買いに来るお客の方が断然多かったという。
ジョンが声高に反対し、"Day Tripper" と "We Can Work It Out" は両A面になったのですね
突つきあったり、ウィンクしたり、視線を交わして、二人で曲づくりをしている様子。いいですね