"Norwegian Wood (This Bird Has Flown)" | タコさんの庭

タコさんの庭

ビートルズの歌詞和訳に挑戦

"Norwegian Wood (This Bird Has Flown)" 

Writers : credited Lennon-McCartney  ( by John Lennon )

Artist : The Beatles

Recorded : Tuesday1965/10/12 EMI Studios

Released : 

Friday1965/12/03(UK) 「Rubber Soul」A面 2曲目

Saturday1965/12/06(US) 北米オリジナル盤「Rubber Soul」A面 2曲目

1973/04/02 「The Beatles 1962-1966」

1996/03/18(UK) 1996/03/19(US) 「The Beatles Anthology 2」 (Take 1)

2009/09/09 「Rubber Soul」[Remastered]

2023/11/10   「The Beatles: 1962-1966 (2023 Edition)」

 

<歌詞和訳> "Norwegian Wood (This Bird Has Flown)" 邦題 "ノルウェーの森"

      ノーウェジアン・ウッド (その鳥は飛び去っていた)

[Verse 1]

I once had a girl
Or should I say
She once had me

    僕は一度 女友達を誘った 

    それとも僕が言うべきことは

    彼女が一度 僕を誘ったかな

She showed me her room
Isn't it good
Norwegian wood

    彼女は僕に自分の部屋を見せてくれた

    いいよね 

    ノーウェジアン・ウッド

    

[Bridge]

She asked me to stay
And she told me to sit anywhere
So I looked around
And I noticed there wasn't a chair

    彼女は僕に泊まるよう誘った

    そして 彼女は僕にどこでも座ってと言った

    だから 僕はあたりを見わした

    そして イスがないことに気がついた

    

[Verse 2]

I sat on a rug
Biding my time
Drinking her wine

    僕はラグの上に座った

    チャンスをうかがいながら

    彼女が勧めるワインを飲みながら

We talked until two
And then she said
"It's time for bed."

    僕らは2時までしゃべっていた

    そのあと彼女が言った

    「もう寝る時間ね」

 

[Guitar Solo]

[Bridge]

She told me she worked in the morning
And started to laugh
I told her I didn't
And crawled off to sleep in the bath

    彼女は僕に 午前中仕事だったと言い

    笑い出した

    僕は彼女に しないよと言い

    バスルームで寝るために這い出た 

    

[Verse 3]

And when I awoke
I was alone
This bird had flown

    そして 目が覚めた時には

    僕は一人だった

    その鳥はすでに飛び去っていた

So I lit a fire
Isn't it good
Norwegian wood

    だから僕は火を灯(とも)した

    いいよね 

    ノーウェジアン・ウッド

 

 

情報提供元(著作権者)Weblio

参考辞書 英辞郎goo辞書

(引用できない英辞郎goo辞書を使って訳した場合は、その単語や慣用句を太字斜体にしてあります)

once一度、一回、一倍、(ただの)一度も(…しない)、一度でも(すれば)、いったん(…すれば)、昔(ある時)、かつて(は)

have 〔+目的語(+副詞(句))〕〈人を〉(客などとして)迎える,招いて(…に)来てもらう 《★進行形は近い将来のことのみを表わす; 受身なし》.
    例文 We had a lot of visitors. 来客が多かった.

girl 
or  [肯定・疑問文に用いて] または,あるいは,…か…か 《★【用法】 動詞は近いほうの主語に一致する》.
           例文 “Shall we go by bus or train?"—“By bus." 

      「バスで行く? それとも電車にする?」「バスにしましょう」 

should …であろう、…するぞ、…しましょうか(と言う)、…すべきである、するのが当然だ、したほうがいい、…すべきであった(のにしなかった)、…する(のは、とは)、…する(ように)

show 見せる、示す、(…が)見せる、(…を)見えるようにする、(…を)現わす、目立たせる、出席する、現われる、(共進会などに)出品する、展示する

Isn't [Isn't it …の形で修辞疑問文に用いて] …ではないですか.
       例文  Isn't it beautiful! すごく美しいではないですか.

isn't it ではないですか、のではないか、意外でしょ?、じゃないか。It's you!で「君じゃないか!」という意味になる。、ですね、ですね;でしょうね

Norwegian 

wood 

ask 〔+目的語+to do〕〈人に〉〈…するように〉招く,誘う.
He asked me to dine with him at his club. 彼は私をクラブでの食事に招いた.

stay (場所に)居残る、とどまる、(場所に)とどまる、ゆっくりして(…に)付き合う、滞在する、客となる、(…に)滞在する、宿泊する、家に泊まる、(…の)ままでいる

tell 告げる、話す、語る、言う、述べる、(…を)告げる、伝える、(…と)言う、知らせる、命じる

anywhere どこにでも、どこへでも、どこ(へ)でも…する所に、どこへも(…ない)、どこにも(…ない)、どこかに、…から…のあたり
so 

look around 見て回る、見てまわる、見回す、見まわす、見廻す、左右を見る、きょろきょろする、周囲を見回す、辺りを見回す、見回す; 見向く

notice 〔+(that)〕〈…ということに〉気がつく.

bide (…を)待つ

bide one's time 時節を待つ

bide one's time 
talk 話す、しゃべる、口をきく、人語を話す、口まねしてものを言う、話をする、話し合う、相談する、うわさ話をする、(強迫されたりして)自白する

and then んで、其れと、其れから、で、而して、〈…したら〉・たら、〈さらには〉・さては、それから、次に、次いで

and then 

time for bed 

in the morning 朝のうちに、午前中に、明朝(に)

start to 〔+to do〕〈…し〉始める

crawl off どの辞書にも載っていませんでした

crawl (のろのろ)はう、腹ばっていく、のろのろ走る、徐々に過ぎる、そろそろ歩く、こそこそ歩き回る、(取り入るために)ぺこぺこする、へつらって入られる、うじゃうじゃしている、(虫がはうように)むずむずする
off から(離れて、隔たって)、…を離れて、それて、からそれて、(視線などを)…からそらして、…の沖に、から降りて、…をはずれて、からはずれて

sleep 眠る、(…に)泊まる、寝る、永眠する、葬られている、活動しない、静まっている、おさまっている、静止しているように見える、澄む

bath 

awoke awake の過去形・ 過去分詞

awake 目が覚める,起きる.

alone ただひとりで、孤独で、ひとりで、孤立して、ただ…だけ、…のみ

bird 、猟鳥、(バドミントンの)羽根、シャトル、(クレー射撃の)クレー、人、やつ、娘、女の子、ミサイル

flown flyの過去分詞

fly (空中を翼や機械を用いて)飛ぶ :、飛ぶ、飛ぶように走る、(飛行機で)飛ぶ、飛行する、(宇宙船で)宇宙飛行をする、大急ぎで行く、矢のように過ぎ去る、飛ぶようになくなる、(風などに)飛び上がる
lit lightの過去形・過去分詞

light a fire  火を灯す

wood 材木、木材、木質、まき、森、(酒の)たる、おけ、(道具などの)木の部分、木製部、ウッド

 

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ポール・マッカトニー著 ポール・マルドゥーン編集 の「The LYRICS」の "Drive My Car" の欄に、 "Norwegian Wood (This Bird Has Flown)" のことが書いてありました。

ポールとジョンが作った曲の中で作詞に最も悩んだのは "Drive My Car" だが、主人公が決まるとストーリーが出来上がりその作業は "Norwegian Wood (This Bird Has Flown)" の場合と似ているという内容でした。

ポールが話していることを、少し引用させていただきます。

あの曲の場合、主人公は誰かの家を燃やそうとしていて、彼女の家にはノルウェー産の木のオブジェがふんだんに飾ってある(覚えている人は少ないかもしれないけれど、そういうことが当時流行していたんだ)。だからそれを燃やしちゃおう。そして火をつけるまでは風呂場で寝ていることにしよう……という感じの設定だったよね。

 

"Norwegian Wood (This Bird Has Flown)" の歌詞で、燃やしてしまったのは家ではなく、

ノルウェー産の木のオブジェっだったことを、ポールは教えてくれたのでしょうか??

 

 

バリー・マイルズ著 「ポール・マッカートニー/ メニー・イヤーズ・フロム・ナウ」翻訳 竹林 雅子 "Drive My Car" の話しのあとに以下がありました。363ページ

 彼女のアパートが燃えて終わるという内容の "ノーウェジアン・ウッド" にも、同じくブラック・ユーモアが込めらている。1965年2月、妻シンシアとジョージ&ジュディ・マーティン夫妻と共にスキー休暇に出かけたスイスのサン・モリッツで、ジョンはこの曲を書き始め、休暇後に自宅でポールと共に完成させた。ビートルズお得意の言葉びで始まるこの曲も、自然に出来上がった作品の一つだ。

ポール「僕が訪ねて行くと、ジョンは once had girl or should I say, she once had me という素晴らしい書き出しを作っていた。でもそれだけで、他にはタイトルも何も出来てなかったよ。『ふむ、ここまでか』。そしてその後は、自然に出来上がった。 素晴らしいアイデアさえあれば、あとは自然に形が出来る。僕が第2ヴァースを繋げて、物語が出来た。ジョンが女の子を引っかけようとする浮気の歌なんだ。ジョンはプレイボーイ誌に、タイトルの由来は皆目見当がつかないと話しているけど、僕には分かってる。当時の流行で、ピーター・アッシャー(ポールの恋人ジェーンの兄です)は部屋の内装を全部木造にしていたんだ。ノルウェー産の木材で。安物の松の木さ。でも "安物の松材" なんて歌のタイトルにならないだろ。つまり、あれはノルウェー産の木材で作った部屋に住んでいる女の子を冷やかした歌なんだ。僕にとってはまったく想像だったけど、ジョンは自分の浮気を基にしていたんだよ。ただし、誰かの家をモデルにしたわけじゃない。あれは僕らの創造だよ。彼女は男を風呂場で眠らせる。だから最後のヴァースで、復讐としてノルウェーの材木に火をつけることを僕が思いついた。皮肉だろ。彼女は自分から男を招き入れておいて、『お風呂場で寝てちょうだい』と言うんだよ。僕らの考えでは、男は何かしらの復讐をするべきだった。『暖を取るために火をつけた。何て素敵な部屋だったんだろう』

――という解釈も成り立つかもしれないけど、実はあれは復讐として燃やしてしまったんだ。 物語はそこで終えて、次にインストゥルメンタルに進んだ。
 インド音楽に興味を持つようになったジョージが、初めてシタール・ソロを試みた。四分の三拍子のワルツみたいな、アイルランド民謡風の変わった曲で、ジョンは気に入ってたよ。みんな気に入ってたけどね。それでジョージのシタールはそのまま収録された。ジョンのアイデアでジョンの曲だったから、六対四でジョンの作品だ。でも歌詞は僕が手伝ったし、火をつけるというアイデアも出したから、僕の功績もあるよ。 それとミドル・エイトも僕だから。ジョンは自分でミドル・エイトを作らないんだよ」。

 

「ジョン・レノン&オノ・ヨーコ プレイボーイ・インタビュー1980完全版」

デヴィッド・シェフ著 山川真理訳 311ページ

―― <ノーウェジアン・ウッド(ノルウェーの森)〉。
ジョン: 〈ノーウェジアン・ウッド〉は完全にぼくの曲だ。ぼく自身が体験した情事について歌ってる。とても慎重に、異常なほどに気を遣った。妻のシンに、家庭の外でほんとうにそんなことが起こってるなんて知られたくなかったからね。ぼくはいつも何らかの形でそういう関係を持っていたから、それを題材に曲を書くときは表現をうまく工夫していたんだ。これだけ煙幕を張っていれば、ばれなかったと思うよ。ただ、ここで歌ったのがどの女性のことだったかは覚えていない。

―― タイトル自体についてはいかがですか。

ジョン: いったいどうやって〈ノーウェジアン・ウッド〉なんて思いついたんだろうね。わからないよ。

 

 

以下は妄想です。

ジョンには妻シンシアがいましたが、女友達に誘われたジョンは、下心ありありで彼女の家に行きました。

彼女の部屋はノルウェー産の木材の良い香りがしました。

ポールの恋人ジェーンの兄ピーターの部屋がノルウェー産の木材で改装された時、ジョンもその部屋を見ていました。なので、彼女の部屋の内装を見た時に「いいよねノーウェジアン・ウッド」と彼女の家を誉めました。彼女の部屋はノルウェーの天然木の壁の他に、当時流行っていたノルウェー産の木のオブジェがふんだんに飾られてていました。

ジョンはチャンスを伺いながら、彼女が勧めてくれたワインと会話を楽しみました。その時点でジョンは大きな勘違いをしていました。彼女は「ゆっくりしていってね」と言っただけなのに「泊まっていってね」と言われたと思ったのです。

「ビートルズ英語読解ガイド 増補版」秋山直樹著

She asked me to stay の stay が話者の誤解を深めることになる。女は「ゆっくりしてね」という意味で言ったのだが、話者は「迫っていいわよ」と解釈したこと が、後で分かる。

stay 〔+前置詞+(代)名詞〕〔…まで〕とどまる,ゆっくりして〔…に〕付き合う 〔for,to〕.

   例文 Please stay for [to] dinner. 夕食までゆっくりしていてください.

stay とどまる
   例文 "You should have stayed longer." "I had work to do." 

     「もっとゆっくりしていってくださればよかったのに」「仕事がありましたもので」

stay 〔+with+(代)名詞〕〔人の〕家に泊まる.   

夜中の2時になり彼女が「もう寝る時間ね」と言いました。彼女にしてみれば、もう帰って欲しかったのかもしれません。でも「帰って」とは言えませんでした。そうとは知らずジョンは、彼女のベッドに横になりました。それを見た彼女は「明日、午前中仕事だったわ」と苦笑いをしました。

拍子抜けしたジョンは、「しないよ」と言って、ベットから這い出てバスルームで寝ました。

ジョンが朝目が覚めた時、彼女はすでに仕事に行っていていませんでした。

ジョンは、彼女の家にたくさん飾ってあったノルウェー産の木彫りの人形をひとつ暖炉に焚(く)べました。「いいよねノーウェジアン・ウッド」。

そして午前中で帰ってくる彼女を待ちました。?? 

 

ジョンとポールが笑いながら曲を作った姿を妄想しましたキラキラ

 

 

[Bridge]

She told me she worked in the morning
And started to laugh
I told her I didn't
And crawled off to sleep in the bath

    彼女は僕に 午前中仕事だったと言い

    笑い出した

    僕は彼女に しないよと言い

    バスルームで鎮めるために這い出た 

 

「ビートルズ英語読解ガイド」秋山直樹著さんの本を読み、妄想をがふくらみました。

and crawled off to sleep in the bath の crawl は、 「はって行く」 とか 「ゆっく 「進む」という意味だが、 「離れて」 とか 「去って」という感じを出す副詞 off が 付いていることに注目したい。 私は話者が女のベッドからはい出る姿を想像する。

そうか、「I」は彼女のベッドに一度、横になったのかも。

だから「crawled off」とい言葉を使ったんだと思いました。

 

「crawl off」という熟語を辞書でみつけることはできなかったのですが、

「crawl」には以下のような熟語がありました。

crawl from one's bed ベッドからはい出す
crawl in bed ベッドに潜り込む
crawl into ~の中に潜り込む、~の中にはって行く
crawl into bed ベッドに潜り込む

情報提供元(著作権者)英辞郎

「crawl off」を「這い出る」と訳しました。秋山さんありがとうございます。

 

 

[Verse 3]

And when I awoke
I was alone
This bird had flown

    そして 目が覚めた時には

    僕は一人だった

    その鳥はすでに飛び去っていた

 

bird」には「女の子」という意味もあるのですね。

bird 、猟鳥、(バドミントンの)羽根、シャトル、(クレー射撃の)クレー、人、やつ、娘、女の子、ミサイル

 

 

 

映画「Help!」の撮影でジョージが出合ったシタール

ウキペディア ノルウェーの森より

本作ではリードギターを担当しているジョージ・ハリスンが演奏するシタールが特徴となっており、レコード化されたポップ・ミュージックで初めてシタールが使用された例とされている。

バリー・マイルズ著「ビートルズ・ダイアリー」松尾康治訳

 

1965年4月5日
 ビートルズはトウィッケナムのインド・レストラン 「ラジャハマ」でのシーンを撮影した。
 ジョージ:「ぼくらはそのレストランで、数人のインド人のミュージシャンたちがバックで演奏する中、男がスープの中に投げ込まれるシーンを撮影しようとしていた。その時ぼくはシタールを手に取ってみて、「変な音がするなあ」と思っていた。そして偶然なんだけど、その後ラヴィ・シャンカールの名前をよく聞くようになっていた。 3回目に彼の名前を聞いた時には「何とも奇妙な偶然だな」と思った。そしてザ・バーズのデヴィッド・クロスビーと話している時、彼もまたラヴィ・シャンカールの名前を言ったんだ。 ぼくはすぐにラヴィのレコードを買いに行った。 彼のレコードをかけて聞くと、説明しにくいんだけど、ぼくの中のある部分が強く揺さぶられるのが分かった。 なぜかとても親近感を覚えたんだ。あえて説明するなら、ぼくの知性は理解していなかったんだけど、ぼくの中の残りの部分はなぜかそれと一体化していたという感じかな。ぼくはその音楽に呼ばれていたんだ。
 それから数カ月が過ぎてアジア・ミュージック・サークル協会の人がぼくにこう言ったんだ。 “実はラヴィ・シャンカール(インドのシタール奏者です)をディナーに招いているんだ。 よかったら君も来ないか?” で、ぼくは彼に会ったんだ」

 

 

ノルウェー産の木のオブジェ

「1960年代 ノルウェー オブジェ」で検索すると、Henning(ヘニング)製の木彫りがでてきました。

次に「henning(ヘニング) ノルウェー 木彫り」で検索すると、

トロールやヴァイキングや漁師のかわいい木彫りの置物を見ることができました。

著作権があるので載せませんが、皆さんも検索してみてくださいね。

ポールが「The LYRICS」の本で言っている「ノルウェー産の木のオブジェ」は、この木彫りのことを言っているのかなと妄想しました。

アマゾンより

▶Henning Engelsen(ヘニング・エンゲルセン)1918–2005 ノルウェーSandefjord(サンデ フィヨルド)生まれ。1947年ノルウェー東部Toten(トウテン)でHenning(ヘニング)社を設立し木彫りの作品作りを始める。動物や神話、ノルウェーの民間伝承を題材にした作品は非常に人気となり世界中に輸出されるようになります。1988年まで続いたHenning社は現在、彼の子供達によるワークショップが彼の作品を継承しています。

 

 

タイトルについて

タイトルについて英語版ウキペディアには書いていないことが日本語版ウキペディアに書いてあります。日本人だからこそ、知ることができたと思いました。

原題の"Norwegian Wood"が何を意味するか歌詞中に明確に描かれていないため、「ノルウェーの森」や「ノルウェー製の家具」などと訳されている。

大津栄一郎によれば、"wood"という単語は、"the wood"と定冠詞がつく場合以外の単数では森を意味しないという。「森」は語学的におかしく、「ノルウェイ材の部屋」のような訳の方が正しいのではないかとしている。ただし一方で、「ノルウェーの森」の方がタイトルとしてははるかに良いということも述べている。この説はアルバート・ゴールドマンによるレノンの伝記にも登場する。

また、村上春樹は、「ジョージ・ハリスンのマネージメントをしているオフィスに勤めているあるアメリカ人女性から『本人から聞いた話』」として、"Knowing she would"(オレは彼女がそうすると(俗的に言えば「ヤらせてくれる」と)知って(思って)いた)という言葉の語呂合わせとして、"Norwegian Wood"とした、という説を紹介している。

「ノルウェーの森」という邦題は、当時東芝音楽工業でビートルズ担当のディレクターだった高嶋弘之が付けた。高嶋は知っている単語で適当に歌詞を訳してから曲を聴き、自分で閃いたところでタイトルを付けていた。ハリスンが弾くシタールと、レノンの靄がかっているような物憂げな声に"wood"なので、なんの疑いもなく「ノルウェーの森」に決めたという。

なお、日本での発売当初の邦題は「ノーウェジアン・ウッド」で、以降の作品では「ノルウェーの森 (ノーウェジアン・ウッド)」や「ノーウェジアン・ウッド (ノルウェーの森)」と表記されている。

 

タイムリーにビートルズを聞いていた日本人は、その邦題に懐かしく思うのでしょう。私には味わえない感覚で、羨ましいです。

高嶋弘之が付けた邦題と同じタイトルの小説『ノルウェーの森』を村上春樹さんが1987年に発表されました。まだ小説のタイトルが決まっていない時、「冒頭の飛行機のシーンに出てくる音楽は、やはり "ノルウェーの森" でなくてはならなかった」と村上春樹さんは2011年発行の『雑文集』という本で話しています。

『ノルウェーの森』が出版されたあとに、 "Norwegian Wood" の家具説が出てきたそうで、アメリカ人やイギリス人に村上春樹さんが聞いてもその答えは「森」と「家具」二つに分かれたそうです。

 

翻訳者でもある村上春樹さんは、『雑文集』でこう話しています。

109ページ 

 翻訳者のはしくれとして一言いわせてもらえるなら、 Norwegian Wood ということばの正しい解釈はあくまで <Norwegian Wood> であって、それ以外の解釈はみんな多かれ少なかれ間違っているのではないか。歌詞のコンテクストを検証してみれば、Norwegian Wood ということばのアンビギュアスな(規定不能な) 響きがこの曲と詞を支配していることは明白だし、それを何かひとつにはっきりと規定するという行為にはいささか無理があるからだ。それは日本語においても英語においても、変わりはない。捕まえようとすれば、逃げてしまう。もちろんそのことばがことば自体として含むイメージのひとつとして、ノルウェイ製の家具=北欧家具、という可能性はある。でもそれがすべてではない。もしそれがすべてだと主張する人がいたら、そういう狭義な決めつけ方は、この曲のアンビギュイティーがリスナーに与えている不思議な奥の深さ(その深さこそがこの曲の生命なのだ)を致命的に損なってしまうのではないだろうか。それこそ「木を見て森を見ず」ではないか。 Norwegian Wood は正確には「ノルウェイの森」ではないかもしれない。しかし同様に「ノルウェイ製の家具」でもないというのが僕の個人的な見解である。

かっこいいー。

これを読むまで「Isn't it good, Norwegian wood」を「いいよね ノルウェーの木って」と訳していた私。すぐに「いいよね ノーウェジアン・ウッド」に変えましたアセアセ

 

『雑文集』は村上春樹さんが30年の間に書いてきたものを集めたもので「これは~年、~のために書いたものです」とその背景の説明が添えてあります。

その中のひとつ「ノルウェイの木を見て森を見ず」は「New Rudie's Ciub」という音楽雑誌のために書いたそうです。1994年6月。

 

そして、その「ノルウェイの木を見て森を見ず」の最後に、もうひとつの説を村上春樹さんは教えてくれています。

111ページ 

 この、Norwegian Wood というタイトルに関してはもうひとつ興味深い説がある。ジョージ・ハリソンのマネージメントをしているオフィスに勤めているあるアメリカ人女性から「本人から聞いた話」として、ニューヨークのとあるバーティーで教えてもらった話だ。
「Norwegian Wood というのは本当のタイトルじゃなかったの。最初のタイトルは “Knowing She Would" というものだったの。歌詞の前後を考えたら、その意味はわかるわよね?(つまり、 "Isn't it good, knowing she would?" 彼女がやらせてくれるってわかってるのは素敵だよな、ということだ) でもね、レコード会社はそんなアンモラルな文句は録音できないってクレームをつけたわけ。ほら、当時はまだそういう規制が厳しかったから。そこでジョン・レノンは即席で、Knowing She Would を語呂合わせで Norwegian Wood に変えちゃったわけ。そうしたら何がなんだかわかんないじゃない。タイトル自体、一種の冗談みたいなものだったわけ」。真偽の程はともかく、この説はすごくヒップでかっこいいと思いませんか?もしこれが真実だとしたら、ジョン・レノンって人は最高だよね。

ジョンも村上さんも、二人とも最高です。

 

やはりどちらにしても、"Norwegian Wood" は、 "ノーウェジアン・ウッド" のままがよさそうですね。