【旅する占い師】ロジウラブックス営業雑感 -28ページ目

【旅する占い師】ロジウラブックス営業雑感

北海道から鹿児島に移住して10年経ちました。
☆旅する占い師!☆
鹿児島市 名山町バカンスを中心に県内各地のイベント等に出店しています。
タロット占い10分程度¥1000~

父の突然の告白 - 「俺も昔、スピリチュアルにハマってた」

営業が終わり、店を閉めて帰宅した夜。
実家を出てからは、連絡も必要最小限にしていたが、この日はふと両親の顔を見たくなって、久しぶりに実家へ寄ることにした。

夜8時を過ぎた頃、インターホンを鳴らすと、玄関先に出てきた父の顔が思ったより元気そうで少しホッとした。
 

「……おお、ユウスケか。珍しいな、どうした?」

「たまには顔出そうと思ってな」

「まあ、上がれ」

久しぶりのリビングは変わらず落ち着いた空間で、母が用意してくれたお茶の香りがほっとする。

「テレビでお前見たぞ」

父がいきなり切り出した。

「へぇ、見てたのか」

「お前、いつの間にか面白いことやってんだな。料理に占いだなんて、バカバカしいようで面白い」

「だろ? でも意外とお客さんウケてるんだよ」

「時代だな……」
 

父はしばらく静かにお茶をすすっていたが、やがてぽつりと呟いた。

「実はな……お前に話してなかったことがある」

「なんだよ、改まって」

父がこんなに慎重に話を切り出すのは珍しい。

「俺も昔、スピリチュアルにハマってたことがあるんだ」

「……え?」

一瞬、自分の耳を疑った。

「……親父が?」

「そうだ」

父は少し気恥ずかしそうに笑った。

「若い頃、仕事でうまくいかない時期があってな。毎日が不安で、将来のことばかり考えて眠れなかった時期があった」
 

俺は驚きながらも、静かに耳を傾けた。

「そのとき、たまたま会社の同僚に誘われて、怪しげな自己啓発セミナーに行ったんだ。最初は半信半疑だったけど、不思議と話を聞いているうちに気持ちが軽くなったんだよ」

「へぇ……親父がそんなことを」

「“言葉が現実を作る” とか、“意識を変えれば未来が変わる” なんて、今思えばどこかで聞いたようなことを言っていたな」

まるで、タフティメソッドと同じことを言っている。

「それからは、しばらく毎朝、自分で『俺は成功する』『絶対うまくいく』って唱えてたよ。バカみたいだろ?」

「いや……」
 

俺は頭の中がぐるぐる回った。

「でもな、不思議と、その頃から少しずつ仕事が好転したんだ。不思議だと思ったよ。もちろん、全部が順調ってわけじゃなかったけど、少なくとも前向きに生きられるようになった」

「親父が、そんなことを……」

「ただな……」

父の顔が少し曇った。

「やりすぎて、周りから変な目で見られるようになったんだ。『宗教にハマってる』とか『洗脳されてる』とか言われてな。それが辛くて、結局やめた」

「……そうだったのか」

「それ以来、スピリチュアルな話題は家の中で避けてきたんだよ。だからお前がタロットを始めた時も、心の中では応援したい気持ちと、『また同じような道を辿るんじゃないか』って不安が入り混じってた」

父の言葉を聞いて、胸が締め付けられる思いがした。
 

「でもな、今のお前を見て思うんだ。きっとお前は、俺とは違うやり方でその力を活かしてる。テレビで楽しそうに話してるお前を見て、やっとわかったよ」

「何が?」

「お前は、もう大丈夫だってことだ」

俺は不意に涙がこみ上げそうになった。

普段は不器用で厳しい父。
口では強がるけど、本当はずっと心配してくれていたんだ。

「親父……ありがとう」

「何だよ、気持ち悪いな」

そう言いながら、父は照れくさそうにお茶をすすった。
 

「でもな、これだけは忘れるな」

「ん?」

「お前が信じた道なら、最後まで貫け。ただ、誰かに押し付けたり、依存したりするんじゃない。自分で決めたことなら、自分で責任を取れ」

「わかってる」

「それができるなら、占いだろうがスピリチュアルだろうが関係ない。お前の人生は、お前が作るんだ」

「……ああ」

その晩、帰り道の夜風がやけに優しく感じた。
 

俺の中には父から受け継いだものがあった。
それは「信じる力」と「行動する勇気」。

今の俺がやっていることは、ただの奇をてらった商売じゃない。
自分の人生を自分の手で創り直すこと。

それを、父もかつて夢見ていたのだ。

「親父……やっぱり、俺も親父の息子だよ」

思わずそう呟きながら、夜空を見上げた。

月が静かに光っていた。
その光が、少しだけ自分の背中を押してくれているような気がした。

元彼女との再会 - 「あなた、変わったわね」

ランチタイムが終わり、喧騒が一段落した午後。
厨房で仕込みをしていると、ナオキが厨房の入り口で小さな声で言った。

「ユウスケさん……ちょっと、ホールに来てもらえます?」

「どうした?」

「なんか、すごい美人が来て……“ユウスケさんに会いたい” って言ってるんですけど」

「美人?」

一瞬、心臓が跳ねた。

いや、まさかとは思いつつも、その直感は当たってしまうことがある。

俺はエプロンを外し、手を拭きながら店内に出た。

入口近くのテーブル席に、見覚えのある横顔。
忘れようと思っても忘れられない、あの人だった。

元彼女の麻衣。
 

彼女は少し痩せたように見えたが、その横顔は変わらず気品があり、美しかった。

気づいた彼女がゆっくりと顔をこちらに向ける。

「……ユウスケ」

「ああ……」

俺は短く答えるのがやっとだった。

「久しぶりだね」

「……本当に、久しぶりだな」

店内は一気に静かに感じられた。
さっきまで賑やかだった店内の空気が、二人の間だけ時間が止まったように感じた。

「少し、話せる?」

「……もちろん」

俺は彼女を奥の個室に案内した。


二人だけの空間

「なんか、すごいお店になってるんだね」

彼女がそう言いながら、メニューを開いた。

「偶然テレビで見たの。びっくりしたよ。まさかあんたがこんなことしてるなんて思わなくて」

「……自分でも驚いてるよ」

「タロットと料理を組み合わせるなんて、ユウスケらしい発想だね」

「そうか?」

「うん。昔から不器用だけど、どこか一つにかけて突き抜けるタイプだったもんね」

昔話を振り返ると、少しだけ胸が締め付けられる。
彼女と別れてから、自分の人生が壊れたように感じていた。
でも今、彼女が目の前で笑ってくれている。
 

「正直……驚いてるんだ」

「何が?」

「あなた、変わったね」

「変わった?」

「前はもっと……何て言うんだろう。諦めてる顔してた」

彼女は俺の目をまっすぐ見て、少しだけ優しい笑みを浮かべた。

「でも今は、違う。目が生きてる」

胸の奥に、じんわりと熱いものが広がった。

「こっちが負けそうなくらい、エネルギー感じるよ」

「……そうか」

「何があったの?」

俺はしばらく黙ってから、ゆっくりと話し始めた。

「実は……色々あったんだ。母さんが倒れて、父さんも弱って、仕事もなくて……。どん底だったよ。でも……何もないところから、もう一度やり直してみようって思えたんだ」

「それで、この店?」

「そう。最初はただ料理をやるだけのつもりだった。でも、ある時ふと、“占いと料理を組み合わせてみよう” って思いついた」

「思いつきじゃなくて、あんたの中でずっと繋がってたんじゃない?」

「かもな」

彼女はコップの水を一口飲んで、少しだけ目を細めた。
 

「私ね、別れたとき、ちょっと後悔したんだ」

「え?」

「ユウスケって、不器用で頑固で……でも、どこかで“いつかきっと何かやる人” だと思ってた」

「でも、あの時は……」

「そう。あの時は、私にも余裕がなかった。未来が見えない人と一緒にいるのが不安だったんだよ」

彼女の言葉は素直で、痛いほど刺さった。

「でも、今ならわかる。人生って、一度ダメになっても、そこからが本当の始まりなんだって」

俺はゆっくりと頷いた。
 

「それは……俺もようやくわかり始めたところだ」

「ユウスケ、応援してるよ」

「ありがとう」

「昔みたいに支えることはもうできないけど……」

「わかってる」

彼女は立ち上がり、バッグを肩にかけた。

「私も、自分の人生をちゃんと歩いていくつもり。ユウスケも、もう大丈夫そうだね」

「大丈夫かどうかはわからない。でも、前に進むことだけは決めたよ」

「その顔なら大丈夫」

彼女は笑い、ドアに手をかけてから振り返った。

「……また、どこかでね」

「おう。またな」

扉が静かに閉まる音がした。


余韻

部屋に一人残った俺は、しばらく動けなかった。

胸の奥が温かいような、寂しいような、不思議な気持ちだった。

「あなた、変わったわね」

その言葉が、心の中で何度もリフレインしていた。

昔はただ流されるだけの人生だった。

でも今は、自分で舵を取っている。

その違いを、彼女は見抜いたのだろう。

俺はゆっくりと厨房に戻り、仕込みの続きを始めた。

タロットカードを引く手が、少しだけ軽やかになっている気がした。

未来はまだまだこれからだ。
自分が選んだスクリーンに、どんな映像を映すか。

それを決めるのは、俺自身だ。

シンクロニシティの加速 - 考えたことが次々と現実になる

テレビ取材を受けた翌日から、店はにわかに活気を帯び始めた。

開店直後から数組のお客さんが訪れ、ランチタイムは満席状態が続いた。

「テレビ、見ました!」
「タロットで決めるおすすめメニュー、面白いですね!」
「今日はどんなカードが出るんですか?」

そんな声が次々と聞こえてくる。

店の中は、明るい笑い声と楽しげな会話であふれていた。
厨房に立ちながら、その空気を感じるだけで胸が熱くなった。

「考えたことが現実になっていく……」

本当に、そんなことが起こっているような気がした。


予感が現実になる瞬間

営業が終わり、店の片付けを終えたころ。

「ユウスケさん、ちょっといいですか?」

ナオキが声をかけてきた。

「なんだ?」

「実は……」

ナオキはスマホの画面を俺に見せた。
そこには、ある有名なグルメブロガーの記事が表示されていた。

【話題沸騰! 「運命が味わえるレストラン」潜入レポ】

「このお店、ただの料理屋じゃない。タロットカードで“本日のおすすめ”を決めるという、ユニークなスタイルが話題だ。
私も体験してきたが、料理も本格的で大満足。
しかも、その日のカードが“星”だった私が注文したレモンハーブチキンは、まさに希望と爽快感を感じる一皿だった」

記事は絶賛の内容で、すでに何百件もの「いいね!」がついていた。

「……マジかよ」

「すごいでしょ? ユウスケさん!」

「いや……こんなこと、あるか?」

頭の中が混乱した。

ほんの数週間前までは、無職で孤独で、将来に絶望していた自分がいた。

でも、今はテレビ取材を受け、グルメブロガーに絶賛され、店は大盛況。

何より不思議なのは、この流れを俺が“どこかで”予感していたことだ。

タフティメソッドを知ってから、「お店が話題になる映像」をスクリーンに映していた。
あれはただのイメージトレーニングだと思っていたが……

「いや、もう偶然なんて言葉じゃ片付けられないな」

俺は厨房の隅で、そっとタロットカードを取り出し、一枚引いてみた。

──「魔術師」

「……始まりと可能性」

魔術師は、潜在能力を現実に引き出すカード。

「もうこれは、偶然じゃない」


次々と現れる“偶然”

その週末、また驚くことが起きた。

「ユウスケさん、宅配便です!」

受け取った小包を開けてみると、中には高級な調味料やスパイスのセットと手紙が入っていた。

「以前、占いでお世話になった○○です。テレビでお見かけして感動しました。これからの挑戦に、ぜひ使ってください」

思わず胸が熱くなった。

占いをやめると決めた時、自分には何も残らないと思っていた。

でも、こうして誰かの心に残っていた自分がいた。

「……すげぇな」

さらに次の日。

「ユウスケさん! 予約が10組入りました!」

ナオキが笑顔で報告してきた。

テレビ効果もあるのだろうが、SNSや口コミで「行ってみたい店」として話題になっているらしい。

すべてが、思った通りに動いている。


自分で決めた“未来”がやって来る

営業が終わり、夜の厨房で一人になると、俺は自然と深く呼吸をした。

あの老人が言っていた言葉を思い出す。

「人生を再編集しろ」
「意識のスクリーンに映したものが現実になる」

たしかに、それは起こっている。

思えば、ナオキとの再会も、メディア取材も、グルメブロガーの記事も、全て俺が「こんなふうになったらいいな」とスクリーンに映していたものだ。

最初はただの妄想だった。

でも、今はそれが現実になっている。

それは偶然か?

いや、もう偶然なんて言葉は使えない。


次の夢を描く時

ふと、思った。

この勢いをさらに加速させるには、どうしたらいい?

俺は再び目を閉じ、心のスクリーンに映像を描いた。

──行列ができる店。
──お客さんが笑顔で「また来ます!」と帰っていく光景。
──地元だけでなく、遠方からも訪れる人々。
──「運命の味を体験できる店」として知られる存在に。

その未来が、鮮やかに浮かんだ。

「それを手に入れた自分として、今ここに立て」

本の一節が脳裏によぎる。

俺は、未来をただ思い描くのではなく、すでにそうなった自分として行動し始めていた。


加速する流れ

翌朝、店の前に長蛇の列ができていた。

「なんだこれは……」

信じられない光景だった。

「ネットで見て、どうしても来たくて!」
「ずっと楽しみにしてました!」

次々と入ってくるお客さんたちの顔は、期待に満ちていた。

厨房に立ちながら、俺は覚悟を決めた。

もう後戻りはできない。

これは、俺が自分で選んだ未来だ。

流れは、もはや俺の手を離れて加速している。

だが、それは俺自身が呼び込んだもの。

シンクロニシティは加速している。

そして、これからもっと大きな“流れ”がやってくることを、俺は感じていた。

思わぬメディアの取材 - 「ちょっと変わった店」として地元メディアに紹介される

タロット占いを取り入れた「本日のおすすめメニュー」

これは、ただの思いつきだった。

でも、これが意外なほどお客さんの反応を呼んだ
 

「へぇ、今日の運勢で料理が決まるんですか?」

「面白いですね! じゃあ、今日は“太陽”だからスパイシーチキンカレーなんですね!」

「占いもしてもらえるんですか?」

最初は興味本位だったお客さんが、どんどんリピーターになっていった。

ランチタイムに並ぶ人が増え、店の売上も少しずつ上がってきた。
 

「ユウスケさん、これヤバくないですか?」

ナオキが厨房で興奮気味に言った。

「正直、ここまで反応があるとは思わなかったな……」

「占い好きな人って、こんなにいるんですね!」

“食事”と“運勢”を結びつける発想 が、意外なニーズを引き出していた。
 

「今日は何を食べよう?」 という日常の選択に、ちょっとした占いの要素が加わるだけで、食事の時間が楽しくなる

これは、俺自身がタロットをやっていたからこそ生まれた発想だった。


ある日、突然の取材依頼

そんなある日、店に一本の電話がかかってきた。

「はい、○○レストランです」

ナオキが電話を取ると、しばらく沈黙した後、俺のほうを見て驚いた顔をした。

「えっ……!? 取材ですか?」

俺は思わず包丁を持った手を止めた。

取材?

「はい、ちょっと確認してみます……」

ナオキは電話を切ると、俺のほうを向いた。
 

「ユウスケさん、地元のテレビ局から取材の申し込みが来てます!」

「……マジか?」

「なんでも、“ちょっと変わったお店”を特集するコーナーらしくて。ウチの“占いで決まるおすすめメニュー”が話題になってるみたいです!」

俺は耳を疑った。

テレビの取材なんて、全く想定していなかった。
 

「いつの間に、そんなに話題になったんだ?」

「たぶん、SNSですね。最近、お客さんが『このお店、タロットでメニューが決まるの面白い!』って投稿してたみたいです」

ナオキがスマホを取り出し、SNSの投稿を見せてくれた。

「“占いと料理の融合” って珍しいし、なんかエンタメ性があるんでしょうね」

確かに、俺ももし客の立場なら、「そんな変わった店があるのか?」と興味を持つかもしれない。
 

「……それで、取材、受けるのか?」

「もちろんですよ! こんなチャンス、滅多にないです!」

ナオキは興奮気味に言った。

「ユウスケさん、タロットもちゃんとやりましょうよ!」

「……俺が?」

「だって、ユウスケさんがこの発想を作ったんだから、そこをしっかり伝えたほうがいいですよ!」

確かに、俺がタロットをやっていたことが、この店のユニークさに繋がっている。
 

もしかすると、俺の人生の中で“占い”と“料理”が交わることは、最初から決まっていたのかもしれない。

俺は一度深呼吸して、ゆっくりと言った。

「……わかった。取材、受けよう」


取材当日

数日後、カメラを持った取材クルーが店にやってきた。

レポーターの女性は明るい笑顔で、さっそく店の雰囲気を撮影し始めた。

「こんにちは! 今日は、“ちょっと変わったレストラン”をご紹介します!」

カメラが回り始め、俺たちはインタビューを受けることになった。
 

「このお店では、タロットカードを使って“本日のおすすめメニュー”が決まるそうですが、一体どういう仕組みなんですか?」

俺は、タロットカードを手に取りながら説明した。

「タロットは、人生の流れを示すものです。食事も同じで、“今日はこんな気分”という直感を大切にすると、より美味しく感じられるんです」

「へぇ〜! では、今日のメニューは何ですか?」

俺はカメラの前で、タロットカードを一枚引いた。
 

「お、これは“星”のカードですね」

「星、ですか?」

「ええ。希望や夢を象徴するカードです。なので、今日は“爽やかなハーブチキン”をおすすめします」

「面白いですね! まるで運勢を味わうみたい!」

俺は少し照れくさかったが、カメラの前で堂々と説明する自分に驚いていた。

57歳、もう人生は下り坂だと思っていた。

でも、今こうして、俺の考えたアイデアが注目され、取材まで受けている。

これは、タフティメソッドの影響なのか? それとも、「運命の輪」 が俺をこの道へ導いているのか?

どちらにせよ、俺は今、新しい未来を歩んでいる。
 

「これからも、このスタイルでお店を続けていきますか?」

レポーターが最後にそう聞いてきた。

俺は笑って、はっきりと答えた。

「もちろんです。これは、私の新しい人生の一歩ですから」

カメラが止まり、スタッフが「ありがとうございました!」と言って去っていった後、ナオキが俺の肩を叩いた。
 

「ユウスケさん、めっちゃカッコよかったっすよ!」

「……そうか?」

「はい! これ、絶対店の人気が上がりますよ!」

俺はふっと笑った。

俺の人生、まだまだ面白くなりそうだ。

 

占い×料理の融合 - タロットのアドバイスを料理に活かす発想が生まれる

「料理長、やってみるか……」

そう決断し、俺はついに実家を出ることになった。

住み込みの部屋は、店の上にある小さなワンルーム。最低限の家具しかないが、久しぶりの**「自分だけの空間」** というだけで、なんだか新鮮だった。

57歳にしてようやく独立。遅すぎるかもしれないが、俺にとっては大きな一歩だ。

「ここから、何かが変わるんだろうか……」

そんなことを思いながら、俺は店の厨房に立った。


初日の試練

厨房に入ると、ナオキが元気よく声をかけてきた。

「ユウスケさん! さっそくお願いします!」

「おう、任せろ」

久しぶりの厨房。だが、手は自然と動いた。やっぱり俺の中には、料理人としての血が流れている らしい。

だが、現実は甘くなかった。

「ユウスケさん、この店、ちょっとピンチなんですよ」

「ピンチ?」

「ええ……お客さん、思ったより少なくて」

ナオキの言葉に、俺は店内を見渡した。

ランチタイムだというのに、客は数組しかいない。

「こんな状態が続いたら、マジでヤバいです……」

「なるほどな……」

ただ料理を作るだけじゃダメだ。

俺は、どうにかしてこの店を立て直す方法を考えなければならなかった。


タロットを思い出す

夜、部屋に戻って一息ついた俺は、ふとタロットカードを手に取った。

「……そういえば、俺、占いもやってたんだよな」

ここ最近は、タロットなんてすっかり忘れていた。

だが、俺はかつてタロット占い師として生計を立てようとしていた

結果的にはうまくいかず、店を畳むことになったが、それでもタロットの知識は俺の中に残っている。

「タロットで、この店をどうにかできないか?」

そんな考えがふと頭をよぎった。

俺は何気なくカードをシャッフルし、一枚引いてみた。

──「カップのエース」

「……カップのエース、か」

これは、「新たな感情の始まり」「心を満たすもの」「愛情や幸福」を意味するカードだ。

「もしかして、この店に必要なのは、ただの料理じゃなくて、“心が満たされる何か” なのか?

俺はしばらく考え込んだ。

料理が美味しいだけでは、人は集まらない。

それだけじゃ、他の店と変わらない。

「占い×料理」

──この発想は、俺の中で少しずつ形になり始めていた。


タロットで“本日のおすすめ”を決める?

次の日、俺はナオキに提案してみた。

「ナオキ、この店、ちょっと変わったことをやってみないか?」

「変わったこと?」

タロットで “本日のおすすめ” を決めるってのはどうだ?

ナオキは目を丸くした。

「タロットで……? 料理を?」

「そうだ。お客さんの中には、占いが好きな人もいるだろうし、“今日はどんな料理が出てくるんだろう” って楽しみにしてくれるかもしれない」

ナオキはしばらく考え込んだあと、面白そうに笑った。

「……アリかもしれませんね!」

「だろ?」

こうして、俺の新しい試みが始まった。


占い×料理の新メニュー

俺は、タロットカードをシャッフルし、一枚ずつ引きながらメニューを考えることにした。

例えば──

「太陽」 → 明るく元気な気分になれる「スパイシーチキンカレー」
「月」 → じっくり味わう「きのこのクリームパスタ」
「星」 → 軽やかで爽やかな「レモンハーブチキン」

そんな風に、その日の「運勢」に合わせた料理を提供する。

店の入り口には**「今日のおすすめ料理は、タロットが決めました!」** という黒板を立てかけた。

「これで、お客さんの反応がどうなるかだな……」

俺はそう呟きながら、料理と占いの融合 という、新しい試みにワクワクしていた。

57歳にして、新たな挑戦。

この道が正しいのかは分からない。

でも、「運命の輪」 は、確かに回り始めている。