【旅する占い師】ロジウラブックス営業雑感 -27ページ目

【旅する占い師】ロジウラブックス営業雑感

北海道から鹿児島に移住して10年経ちました。
☆旅する占い師!☆
鹿児島市 名山町バカンスを中心に県内各地のイベント等に出店しています。
タロット占い10分程度¥1000~

彼女との新しい関係 - 「お互い、いい人生を歩もう」

週末のランチタイムが終わり、店内に静けさが戻った午後。
厨房で食器を片付けていると、ナオキがそっと俺の肩を叩いた。

「ユウスケさん……あの、今日お客さんに……麻衣さん、来てます」

一瞬、心臓が跳ねた。
麻衣──元彼女の名前を聞くのは、最後に会ってからまだ日が浅いというのに、妙に遠い記憶のような感覚がした。

「そうか……」

驚きも、動揺もなかった。
今はもう、不思議なくらい落ち着いていられる。

俺はエプロンを外し、ホールへゆっくりと向かった。

 

そこにいた彼女は、以前よりもどこか柔らかい表情をしていた。
そして、俺を見つけると微笑んだ。

「こんにちは」

「来てくれたんだな」

「ええ。あの時、“またどこかで”って言ったけど……やっぱりもう一度、ちゃんと会って話したいと思って」

「嬉しいよ。ありがとう」

二人で店の奥のテーブルに座り、静かな午後の日差しが窓から差し込んでくる中で、ゆっくりと話し始めた。

「正直に言うとね……テレビで見たとき、涙が出そうになったんだ」

「え?」

「頑張ってる姿を見て……ああ、この人はちゃんと前に進んだんだなって。私が離れたあとも、ちゃんと自分の力で立ち上がったんだってわかって……なんだか嬉しかった」

「ありがとう。
お前に別れを告げられたときは、正直……
もう全部終わりだって思ってた。
でも、あれがきっかけだったんだ。
俺は、自分で変わらなきゃいけないって初めて本気で思えた」

「私も、あの時は弱かった。未来が怖くて……一緒にいれば不安が募るばかりで、支えるどころかお互いに重荷になってしまっていた」

「うん、わかるよ」

「でもね……今のユウスケを見て思ったの。きっと、“お互いに必要な時間”だったんだって」

俺は頷いた。

「本当にそうだな。あの時、無理に繋がっていたら……きっと今の俺はいない」

「うん。だからこそ、今日来て伝えたかったの。もう一度、“お互い、いい人生を歩もう”って」

胸が熱くなった。
でも、不思議と寂しさはなかった。
代わりに、心から晴れやかな気持ちになった。

「俺もそう思ってた。お互い、それぞれの道をしっかり歩いていける気がするんだ」

「ユウスケなら大丈夫だよ。きっともっと大きな人になる。私はそれを遠くから見守ってる」

「ありがとう。お前も、自分の人生を大事にしてな」

「うん、私も負けないよ」

麻衣は立ち上がり、鞄を肩にかけた。

「そろそろ行くね」

「また、どこかで会えるかもしれないな」

「そうだね。でもその時はもう、“元恋人”としてじゃなくて……
人生を楽しむ同士として会いたいな」

「それが一番いいな」

麻衣は微笑んで、
静かに店を後にした。


別れのあとに残ったもの

ドアの閉まる音が響いたあと、胸の中に広がったのは不思議なほどの温かさだった。

「お互い、いい人生を歩もう」

その言葉は、過去を許し、未来を肯定する言葉だった。

恋人としては終わった関係。
でもそれは、“すべての縁が終わった”ということではなく、新しい形に生まれ変わったということだ。

これから先、もう彼女を失った悲しみを抱えて生きるのではない。
「別々の道を選んだからこそ今がある」という事実を大切にできる。


その夜、スクリーンに映したもの

アパートに戻り、またタロットカードを手に取った。

もう未来に迷いはないけれど、“確認”ではなく“感謝”の気持ちを込めてカードを引いた。

──「節制(Temperance)」

意味は、「調和」「バランス」「自然な流れ」「成熟」

「もう、焦る必要はない。全ては自然に流れていく」

カードが教えてくれているようだった。

そして、心のスクリーンに映したのは、これまでとは少し違う映像。

──広い厨房でスタッフに囲まれ、
お客さんと会話しながら料理を提供している俺。
隣には、支えてくれる誰かの存在も感じられる。
過去ではなく、これから出会う新しいパートナーかもしれない。

その時の俺は、穏やかで、堂々としていて、どんな瞬間も楽しんでいる姿だった。

「いい人生を歩もう」

それは自分自身への言葉でもあった。

俺はカードをそっとテーブルに戻し、大きく深呼吸した。

過去に感謝し、今を味わい、未来を信じて進む。

その全てが、やっと自然にできるようになった自分がそこにいた。

自分の未来を予言するタロット - そこに現れたのは「太陽」のカード

不思議な男の正体が、自分自身の“内なる導き手”であったと気づいた夜。
胸の奥に、これまで感じたことのない静かな力が灯っていた。

もう、誰かに頼る必要はない。
恐れや不安に飲まれることもない。
俺は、これからの人生を“自分で描き”、“自分で創り出していく”んだ。

その決意を胸に、アパートへ戻った。

窓際に置いたタロットカードのデッキが、月明かりを浴びて静かに光っているように見えた。
何度も人の未来を占ってきたこのカード。
でも今夜は、誰かの未来ではなく、「自分自身の未来」 を見てみたくなった。

「今の俺の未来には、何が待っている?」

そう問いかけながら、デッキを両手で包み、ゆっくりと深呼吸する。

心を鎮め、“未来を知りたい”という焦りを捨てて、ただ、今ここにいる自分の感覚を味わう。

そして、静かにシャッフルを始めた。
カードの一枚一枚が指の間を滑る感触が心地よい。

「俺は、これからどう進んでいく?」

十分にシャッフルした後、デッキの上から一枚をそっと引き、
胸の前でゆっくりと裏返した。

そこに現れたのは──

「太陽(The Sun)」

思わず息を呑んだ。

「太陽……」

このカードは、タロットの中でも最もポジティブで、純粋な“祝福”を象徴する一枚。

輝く太陽の下、無邪気に馬に乗って喜ぶ子どもの姿。
それは、成功、幸福、自由、生命力、そして純粋な喜びを意味している。

57年生きてきて、何度も挫折し、不安に押し潰され、孤独に苛まれ、未来を恐れてばかりいた俺が、今、自分自身に向けて引いたカードが「太陽」だなんて。

「これが……俺の未来?」

胸の奥から熱いものがこみ上げてきた。
本気で泣きそうになった。

「ああ、ようやくここまで来たんだな……」


太陽のメッセージ

「太陽」のカードは、こう教えてくれている。

“お前は今、正しい道を歩いている。
心配はいらない。
自分を信じ、輝いていい。
これから先に待っているのは、成功と喜びと、愛に満ちた人生だ。”

──昔の俺だったら、
「そんなうまい話あるかよ」と思っていただろう。
だけど今は、心の底から素直に受け取れた。

そうだ、もう恐れることはない。

過去に何度転んでも、何度しくじっても、何歳からでもやり直せる。
いや、むしろここからが本番だ。

父もそうだった。
彼自身も一度はスピリチュアルに頼り、
挫折して、それでも家族を守り、背中で何かを教えてくれた。

元彼女も「あなた変わったわね」と言ってくれた。
それは、俺が変わった証拠だ。

不思議な男──内なる導き手も
「もうお前は自分で進める」と言って姿を消した。

そして今、自分自身に引いたカードが「太陽」。
これはもう、全てが繋がっている。


太陽のように生きると決める

机の上にカードをそっと置き、俺はもう一度目を閉じて心のスクリーンに映した。

──満席の店内で、お客さんたちが笑顔で食事を楽しみ、スタッフたちも輝くような笑顔で働いている。
料理を運ぶ俺の手は力強く、キッチンから漂う香りは、まるで“幸せ”そのもののように広がっている。

「俺は太陽だ。自分自身が光り、周りを温め、希望と元気を与える存在だ」

そう決めた瞬間、胸の中の何かが弾けたように感じた。

もう、どこかで恐れていた「どうせまたうまくいかなくなるんじゃないか」という声は消えていた。

うまくいく未来を信じるのではなく、“うまくいく未来を生きる”
そう決めることが、本当の現実を動かす。


翌朝の奇跡

翌朝、いつものように店に向かうと、店の前に並んでいるお客さんの数がこれまで見たことのない長さになっていた。

「ユウスケさん、今日は予約もキャンセル待ちでいっぱいです!」

ナオキが興奮した様子で駆け寄ってくる。

「地方の情報番組で昨日の放送が再放送されたらしくて、
一気に問い合わせが殺到してます!」

「そうか……」

嬉しさと同時に、落ち着き払った自分がそこにいた。

「これが“太陽”の現実か。」

まさに、心に映した映像通りの光景が目の前に広がっていた。

俺は厨房に立ち、「さあ、今日も最高の一日が始まる」と心の中で宣言した。

もう、迷わない。
俺は太陽だ。
輝いて生きていく。
そして、その光で周囲を温め、笑顔を広げていく存在として生きていく。

カードがそう示してくれたように。
いや、俺自身がそれを“選んだ”のだ。

「よし、始めよう」

背筋を伸ばし、包丁を握る手に自然と力が入った。

人生は、ここからさらに輝きを増していく。
もう疑いはない。
俺は、自分自身の運命の太陽だ。

22. 不思議な男の正体 - 彼は一体何者なのか?

日々、店は少しずつ形を変えていった。
「占い×料理」という奇抜な試みは話題となり、テレビやネットニュースにも取り上げられるようになり、遠方からもお客さんがやってくるようになった。

本当に、あのとき“スクリーン”に映した通りだ。
「流されるだけの人生は終わりだ」
そう決めてから、現実は面白いように変わっていった。

けれど、一つだけずっと心に引っかかっていることがあった。

 

──あの男は、一体何者だったのか?

最初に会ったのは、人生どん底のとき。
駅前のベンチで缶コーヒーを飲んでいた俺に、「お前の人生はこれからだ」と声をかけてきた。

二度目は、商店街で再び姿を現し、「人生を再編集しろ」と言い残して去っていった。

まるで物語の中の“導き手”のようだった。
本当にただの偶然だったのか?
それとも──


再びその影が現れる

ある日、いつものように店を閉め、帰路に着く途中。

ふと、あのときと同じ商店街の角を曲がった瞬間。
そこに、あの姿があった。

ベージュのコート、小柄な体格、鋭い眼差し。

間違いない。
あの男だ。

「……あなたは、一体何者なんですか?」

自分でも驚くほど、自然に口をついて出た。

男は薄く笑った。

「ようやく、その質問をする気になったか」

「ずっと気になってました。あなたは何者なんですか?なぜあんな時に現れたんですか?」

男は、少しだけ顔を上げ、満月を見上げた。

「私は、お前の“内側”だよ」

「……え?」

「お前自身の中にいる存在だ。
お前が無意識の奥底で知っていること、本当は気づいていることを思い出させるために、姿を現したに過ぎない」

「俺の中に……?」

「そうだ。人は皆、自分の中に“導き手”を持っている。でも、多くの場合その声に気づかない。お前は、あまりにどん底に落ちたからこそ、ようやく耳を傾けることができたんだ」

「……」

男はゆっくりと歩き出し、俺も無言でその後を歩いた。

「お前は、もともとわかっていたはずだ。人生は、自分で創るものだと。ただ、恐怖と不安がそれを覆い隠していただけだ」

「それを思い出させるために……あなたは現れたんですか?」

「そういうことだ」

男は立ち止まり、振り返った。

「もう、私の役割は終わった」

「終わった……?」

「お前は、もう自分でスクリーンを選び、自分で行動できている。私は、ただのお前の“影”だ。お前が信じて進み続ける限り、もう二度と姿を現すことはないだろう」

「あなたは……本当に俺自身だったんですか?」

男は小さく頷いた。

「恐怖と疑いを超え、自分の力を信じたとき、人は本当の意味で“目覚める”。それを教えに来ただけだ」

「……ありがとう」

心の底から、その言葉が出た。

「いや、礼は不要だ。お前が自分で気づいたことだ」

男は歩き出し、交差点を渡っていく。

その背中が少しずつ遠ざかっていく。

「……もう会えないんですか?」

叫ぶように問いかけた俺に、男は振り向かずに言った。

「会いたければ、いつでも自分の中を覗けばいい」

その言葉を最後に、男は人混みの中に消えていった。


本当の意味で、目覚めるとき

帰り道、胸が熱くなった。
あの男は、
本当に俺の中にいた存在だったんだ。

「恐怖を超えろ」
「未来を自分で決めろ」
「スクリーンを自分で選べ」

すべて、最初から俺自身がわかっていたことだった。

ただ、誰かに教えてもらわなければ行動に移せなかっただけだ。

もう、大丈夫だ。
自分の中に“答え”はある。

タロットカードを持つ手が、
これまで以上に自信に満ちて感じた。

俺は自分の人生の“皇帝”であり、そして“魔術師”だ。
自分の現実を創り出せる力が、本当にある。

あの男は、もう現れることはないかもしれない。

でも、もしまた迷った時は、目を閉じて自分の内側に問いかければいい。

「本当は、どうしたい?」
「本当は、何を選びたい?」

その声は、いつだって俺の中にある。

満月が高く輝く夜空の下、心の奥底から湧き上がる確信とともに
俺は静かに笑った。

「これからは、自分が“導き手”だ」

そう、はっきりと決めた夜だった。

 

 運命のスクリーンを変える - タフティメソッドを本格的に実践

父からの言葉、元彼女との再会、お客さんたちの笑顔、そして、カードが示した「皇帝」と「世界」

これらすべてが繋がっているように感じた。
決して偶然ではなく、すべては“必然”だったのだと思う。

俺はようやく腹の底から理解した。
人生は、流されるものじゃない。
自分の意思で、自分の映像を意識に映し続けた先に、現実は現れる。

 

その夜、店を閉めて帰宅した後、もう一度タフティメソッドの本を開いた。

ページをめくる手が止まった。

「スクリーンを意図して切り替えよ。
過去の自分の延長線ではなく、“なりたい未来の自分”を今この瞬間に映し、すでにそうであるように振る舞うのだ。」

今まではどこか「願い」のようにスクリーンを使っていた。
でも、本当は「願う」ものではなく
「決める」ものだとわかってきた。

「これからは本気でやってやろう」

自分自身にそう宣言した。


本格的な実践

タフティメソッドの本格実践。
それは、“未来の自分として、今この瞬間を生きる”ということ。

ベッドに腰掛け、目を閉じて深呼吸した。

「理想の自分はどうなっている?」

目を閉じたスクリーンに映したのは、活気に満ちた店内で、
満席のお客さんが笑顔で食事を楽しみ、「ユウスケさんの料理は最高だ!」
「今日も来て良かった!」
そんな声が飛び交っている映像。

厨房に立つ俺は堂々としていて、迷いも不安もなく、“自分の仕事に誇りを持つ男”として動いている。

そしてその映像の中の俺は、周囲から慕われ、自分自身を心から楽しんでいる。

次に、「その未来をすでに持っている自分だったら今、どう振る舞う?」
と自問した。

答えはすぐに浮かんだ。

堂々と、胸を張り、どんな状況でも余裕を持って行動する。
人の評価に惑わされず、自分のスタイルを貫く。
常に笑顔で、感謝を忘れない。

「なら、今からそれでいこう。」

目を開けた瞬間、胸の奥に力がみなぎってきた。


翌朝から変えたこと

次の日、店に立つと決めた瞬間から、全ての立ち居振る舞いを“未来の自分”として演じた。

厨房では背筋を伸ばし、どんなに忙しくても焦らず、「全てが完璧に回っている」という前提で動く。

ホールスタッフにも「今日も最高の一日になるからよろしくな」と笑顔で声をかけた。

不思議なことに、それだけで店内の空気が柔らかく、温かく変わっていくのがわかる。

「ユウスケさん、なんだか今日、めっちゃオーラが違いますね!」

ナオキが驚いたように言った。

「俺はもう、理想の自分で生きていくことにしたんだよ」

「……カッコよすぎます!」

ランチタイムには、これまで以上に笑顔で来店してくれるお客さんが増えた。
常連客が友人を連れてきてくれ、「ここ、絶対に来た方がいいって友達に勧めてたんですよ!」なんて声も聞こえた。

現実が、明らかに変わり始めていた。


「内側が変われば、外側も変わる」

夜、店が閉まった後、ナオキとコーヒーを飲みながら話していると、
彼がポツリと言った。

「なんか、ユウスケさん見てると思います。
自分で現実を創ってるってこういうことなんだなって。」

「……気づいたか?」

「はい。最初は不安げだったユウスケさんが、今はもう“この店の王様”みたいに落ち着いてて自信満々で……
お客さんもそれを感じ取って、自然と笑顔になってるんだと思います。」

「そうかもな」

心のスクリーンにどんな映像を流すか。
それは、自分だけでなく周囲にも影響を及ぼす。

人は、言葉よりも、目の前の人の“エネルギー”を感じ取る。

俺が未来の自分として生き始めたことで、周囲も自然と引き込まれ、店全体が一つの流れに乗っている。


夜の決意

アパートに帰り、窓の外の月を見上げながら、心の中で再び誓った。

「もう二度と、流されるだけの人生には戻らない。
これからは、自分が創る。
自分の現実は、自分で選び、自分で決める。」

それは口先だけではなく、心の奥から震えるような決意だった。

57歳。
遅すぎるなんて言葉は、もうどこにもなかった。

これからは、俺が未来をデザインする。
俺が映したスクリーンの通りに、世界が形作られていくのを
この目で見届けてやる。

その夜、夢の中でも俺は満席の店でお客さんたちに笑顔で囲まれ、
「また来ます!」
「最高でした!」
と声をかけられていた。

目が覚めたとき、夢じゃないとわかっていた。

それはもう、確実に“現実”になり始めていたからだ。

 

人生を自分で創る決意 - 「もう流されるだけの人生はやめよう」

父の思いがけない告白を聞いた夜、実家を後にしてアパートへ戻る道すがら、胸の中にずっと残っている言葉があった。

「お前が信じた道なら、最後まで貫け。誰かに押し付けたり、依存したりするんじゃない。自分で決めたことなら、自分で責任を取れ。」

あの父が、あれだけの思いで俺を見てくれていたこと。
そして父自身もかつて「信じる力」に挑んでいたこと。
それを思い出すだけで、胸が熱くなる。
 

57歳、ようやく掴みかけた新しい人生。
だが、今までの俺はどこかで「流れに流されるだけ」で生きてきた。

料理の世界でうまく行かなければ辞めて、占いに逃げて、うまくいかないことを年齢や時代のせいにして、ただ「しょうがない」と諦めてきた。

でも本当は、「自分で決めて」こなかっただけだ。
自分で決めずに、流れに任せて生きていた。
何か起きても「たまたま」と言い訳して、失敗すれば「運が悪かった」と言い聞かせてきた。

けれど、父は最後にあんな言葉をくれた。
「お前の人生はお前が作るんだ」

──俺は、この言葉を聞くために
ここまで転がり落ちてきたのかもしれない。
 

夜の静かなアパートに帰り着き、薄暗い部屋の明かりをつけずに
そのまま窓際に腰を下ろした。

タロットカードをそっと取り出して、デッキを両手で包むように持ちながら目を閉じた。

「もう流されるだけの人生はやめよう。」

心の奥で、はっきりとその声が響いた。
 

これからは、
自分で望む未来を描き、
自分で選び、
自分で創る。

もう誰かの期待に応えようと無理をするのではなく、世間に合わせて生きるのでもなく、
「自分が本当にやりたいこと」を形にしていく。

深呼吸して、カードをシャッフルする。
そして一枚、ゆっくり引いた。

──「皇帝(The Emperor)」

そのカードに描かれていたのは、堂々と玉座に座る王の姿だった。
 

「安定」「権威」「自分の王国を築く」
という意味を持つカード。

「自分の人生を、自分の王国として築け。」

カードが俺にそう言っている気がした。

自分の王国──それは、自分で舵を取り、自分でルールを決めて自分の責任で繁栄させる場所だ。

もう言い訳はできない。
このタイミングで「皇帝」が出たことも、偶然なんかじゃない。
 

翌朝、俺は早く店に向かい、開店前に厨房で再びカードを取り出した。

「今日は、どんな料理を作る?」

カードを引く。

──「世界(The World)」

「すべてが完成し、次の段階へ進む時。」

俺は笑った。

「OK。今日は“世界”を味わえる料理を出してやろう。」

“世界”にちなんで、彩り豊かで、香り高く、誰もが笑顔になれるスペシャルプレートを作ることにした。
世界各国のスパイスを調合し、和と洋を融合させたオリジナルソースを作り、彩り豊かな野菜を添えて、メインは贅沢な鴨肉のロースト。

 

開店して最初のお客様が入ってきた時、俺は堂々と声をかけた。

「本日のおすすめは、“世界の祝祭プレート”。心も身体も満たされる一皿です」

お客さんの目が輝いた。

「それ、ください!」

その笑顔を見た瞬間、ああ、これが“自分で創る人生”なんだと心から思った。

もう、流されるだけの人生はやめよう。

 

これからは、俺が決める。俺が創る。
俺が、自分の人生の皇帝だ。

胸の奥から湧き上がるこの力強い決意は、今までのどんな挫折や不安をも静かに溶かしていった。

厨房の奥でふと、父の声が聞こえた気がした。

「ユウスケ、お前ならやれる。」

「……ああ、親父。俺はやるよ。」

そう呟き、俺は火を強め、
最高の一皿を完成させるために手を動かし続けた。