【旅する占い師】ロジウラブックス営業雑感 -17ページ目

【旅する占い師】ロジウラブックス営業雑感

北海道から鹿児島に移住して10年経ちました。
☆旅する占い師!☆
鹿児島市 名山町バカンスを中心に県内各地のイベント等に出店しています。
タロット占い10分程度¥1000~

ロジウラブックスは6月から本格的に名山町バカンスにタロット占いで出店します。
基本的に水曜日、土曜日の14~19時です。
鹿児島市名山町3-20
名山町バカンス
@meizancho_vacance

14日(土)は、先月に引き続き薩摩川内市の寺山いこいの広場、山Cafeの占いdeナイトに参加させていただきます。

@yamacafeterayama


6月もどうぞよろしくお願いします🔮

 

『現実はただの鏡だった件について』

第一部:目覚めの第一歩

過去の自分にサヨナラ – 手放しの練習 #012

信介はその日、クローゼットの奥にしまい込んでいた段ボール箱を引っ張り出してきた。

「そろそろ、これと向き合うか…」

箱の中には、昔の写真、離婚届のコピー、転職先でもらった名刺の束、それに、もう二度と締めることはないであろうネクタイたちが、ごちゃっと詰まっていた。

「こういうのって、捨てどきが分からないよな」

ひとつひとつ取り出しながら、信介はため息混じりに呟いた。

写真には、まだ幼かった娘が写っている。

「おお…この頃は可愛かったなぁ。いや、今も可愛いけど」

手に取ったまま、しばらく見つめていたが、やがてふっと笑って、そっと写真を封筒に戻した。

「これは…残しとこ」
 

でも、他のもの。

特に、自分が失敗したときの名刺や、やたら高かったけど全然似合わなかった青いネクタイなんかは、見てるだけで胃のあたりがキリキリする。

「これはもう、手放してもいいか」

段ボールの中には、“昔の自分”が詰まっていた。

よく頑張った、でも報われなかった自分。
期待して、裏切られて、ひねくれた自分。
必死だったけど空回りしていた日々。

「あの頃の俺、ほんと不器用だったな…」

だけど、もうそこには戻らない。

スピリチュアル本にあった言葉を思い出す。

『手放しは、未来の自分を迎え入れるスペースを空ける行為である』

「なるほどなぁ」

昔の失敗、過去の後悔、それに“どうせ俺なんて”っていうお決まりのセリフ。

それ全部、段ボールの底にまとめて詰め込んだ。
 

段ボールの中身をもう一度眺める。

「お世話になりました」と、心の中で小さく呟く。

「ありがとな、過去の俺。じゃあ、そろそろ行くね」

そう言って、箱に蓋をして、ガムテープでペタリ。

「よし。今日はこれを処分しよう」

信介は車に箱を積み込んで、地域のゴミ処理施設へと向かった。

途中の道は見慣れた街並みだったが、その日は少し違って見えた。

道中、カーラジオから流れてくる懐かしい曲が、なんだか自分の過去をBGMにしてくれているようだった。

「あの頃も、この曲聞いてたな…」

到着した施設で係員に手渡すとき、少しだけ名残惜しさもあった。

「長い間、お疲れさん」

小さく呟いてから、背を向けて歩き出した。

でも、その瞬間。

なぜか、ちょっとだけ胸が軽くなった。

「こんなに簡単に、片付くもんだったのか…?」

いや、本当は簡単じゃない。

写真を捨てることも、ネクタイを手放すことも、本当は少しだけ怖かった。

「自分の一部を捨てるみたいでさ」

それでもやってみたら、不思議と心が広くなった気がした。
 

処理場からの帰り道、信介はふと公園の前で車を停めて、ベンチに腰を下ろした。

春の風がふわっと吹いて、花壇のチューリップがゆらゆら揺れていた。

「次は、何を入れようかね」

そうつぶやいた時、背中にあたる日差しが、やけにあたたかく感じられた。

帰宅後、押し入れを開けて、空になったスペースをのぞく。

そこにはもう、過去の箱はない。

「ここ、空けとこう。未来の俺が、なんか面白いもん持ってくるかもしれないから」

信介は、カラになった心の棚を前に、ゆっくりと笑った。
 

『現実はただの鏡だった件について』

第一部:目覚めの第一歩

現実の仕組み – 意識が作り出すシナリオ #011

日曜日の朝。

信介は、久しぶりにちゃんとした朝食を作った。

焼いた食パンにバターを塗って、インスタントだけど温かいスープも添えた。
ゆで卵はちょっと茹ですぎて固かったけど、それでもいい。

「こういうの、何年ぶりだろうな」

テレビをつけず、静かなキッチンでひとり、コーヒーをすすりながら、信介はぽんやりと窓の外を眺めた。
 

曇り空。
風もなくて、町全体がのんびりと伸びをしているような空気。

「俺の人生って、なんでこうなったんだっけ?」

思い返せば、努力もしてきたし、我慢もした。

あの上司に理不尽な怒られ方をしても耐えたし、家庭でも黙って皿洗いをしてきた。

だけど、結果はいつも空振り三振だった気がする。
 

「やっぱ運がないのかなぁ」

そんなふうに思いかけて、ふと昨日読んだスピリチュアル本の言葉が脳裏をよぎった。

『現実は、意識が作り出している。』

「え? 意識? 俺のこれが…?」

パンをかじる口が、ふと止まった。

「意識って、あの頭の中でぐるぐるしてるアレか?」

信介の頭の中では、朝から“今日の天気どうかな”“洗濯すればよかったかな”“娘と次いつ会えるかな”といった考えがぐるんぐるん。

「こいつらが…現実を作ってるって? 嘘でしょ?」

でも、よく考えてみたら、いつも“うまくいかない気しかしない”ときって、本当にうまくいってないし、
“たぶんいける!”って思ってた時だけ、ほんのちょっとだけマシな現実が来てた気もする。
 

「うーん…まさかとは思うけど…」

信介は、食後のコーヒーをもう一口。

「じゃあ俺のこの、根暗でビクビクな意識が、根暗でビクビクな現実を作ってたってことか…」

思わず、笑ってしまった。

「どんだけ真面目にネガティブやってんだ、俺は」

思い出してみれば、若い頃は“こうなりたい”ってよく想像してた。

自分が出世して、家族に囲まれて、週末はキャンプして、夜は焚き火を囲んでホットコーヒーを飲んでる、そんな絵。
 

「なのに、だんだん想像するのもやめたなぁ」

今じゃ、明日の自分すら想像できてなかった。

「意識が現実を作るって、そういうことかもしれないな」

意識が描く未来の絵。それがシナリオになって、現実という映画が映し出されてる。

「ってことは…俺、脚本家?」

なんだかちょっと照れくさいけど、悪くない役職だ。

「どうせなら、喜劇でいきたいよな」

シリアスばっかりの人生より、ちょっと笑えて、ちょっと泣ける、そんな感じがいい。

「これからは、“失敗者・吉田信介”じゃなくて、“復活の吉田”ってシナリオにしようかな」

信介は、ノートを開いてペンを手に取った。
 

『現実は、今日から書き直します』

そう書いた字は、ちょっと震えていたけど、どこか嬉しそうだった。

そして、続けて書いた。

『登場人物:吉田信介、56歳、バツイチ、元営業部長、現在再構築中』

『物語のジャンル:感動的ヒューマンドラマ、時々コメディ』

「娘との関係も、回復へのプロット進行中…と」

信介は、思わずにやけてしまった。

その日一日は、特に大きな出来事はなかったけれど、
いつもより少しだけ、背筋が伸びていた。

『現実はただの鏡だった件について』

第一部:目覚めの第一歩

期待と失望 – なぜ叶わないのか? #010

会社帰りの信介は、コンビニで買ったおにぎりを片手に公園のベンチに座っていた。

夜の風が少し肌寒くて、スーツの上着を合わせる手が自然と動いた。

「ケーキは食べたけど、夕飯まだだったな…」

ポケットからスマホを取り出して、SNSをなんとなく開く。

同世代の知り合いたちが投稿する「うまくいってます」報告。
昇進、再婚、趣味の充実。

「…みんな順調そうに見えるよなあ」

ひとくちおにぎりをかじる。

「俺も昔は、こんな人生になるって思ってなかったんだけどな」
 

気づけば、また “例のあれ”が始まっていた。

そう、「期待と失望」のループだ。

あの頃も、何かに期待しては、見事に裏切られていた。
新しい上司、新しいチャンス、家庭での希望。

だけど全部、思い通りにはいかなかった。

「何で俺の期待って、ことごとく裏切られるんだ?」

ベンチにもたれかかって、空を見上げる。
木の間から見える星が、やけに小さくて遠く見えた。
 

ふと、思い出した。

あのスピリチュアル本の一節。

『期待は、失望の母である。現実は、あなたの“今”の波動に忠実である』

「…期待が高すぎると、現実はしょんぼりするってことか」

信介はスマホを握りしめたまま、ぽつりとつぶやいた。

「でも、期待しなきゃ夢も叶わない気がするし…」

その時、頭の中でちっちゃい自分が、手を腰に当てて言った。

『だからって、期待だけして動かなかったじゃん、あんた』

「うっ…」

図星である。

「そりゃまぁ…期待するだけして、何もしなきゃ、そりゃ失望するよな…」
 

信介はおにぎりを最後の一口まで食べ終えると、ゴミをきちんと畳んで袋にしまった。

「期待って、まるでおしゃれなパッケージのラーメンみたいなもんだな」

見た目だけは夢がある。
けど中身が伴ってないと、食べた後に「…あれ?」ってなる。

「やっぱ、動かなきゃ、だよな」
 

そして、“期待するクセ”の裏に、もうひとつのクセがあることに気づく。

「叶わなかった時のために、最初から“ダメ元”って思い込んでる自分」

そう、それだ。

「どうせ無理」「叶わなかったら恥ずかしい」「傷つきたくない」

そんな思いが、期待の奥にこっそり座っている。

それじゃあ、叶うもんも叶わん。

「よし、もうちょっとマシなクセにしよう」

信介は立ち上がって、夜道を歩き出した。
 

「願うなら、動け。
信じるなら、やってみろ。
そして、期待より“選択”しろ」

どこかで聞いたようなセリフを、ぶつぶつ言いながら歩く56歳。

でも、その足取りは、前より少しだけ軽くなっていた。
 

『現実はただの鏡だった件について』

第一部:目覚めの第一歩

過去のパターンを断ち切る – 反射する過去の影 #009

駅前のカフェ。
テーブルの上には、まだ湯気の立つコーヒーが一杯。
信介はそれを見つめながら、娘の姿を探していた。

時計を見ると、約束の時間まであと5分。

「こういう時に限って、緊張で時間が進むのが遅く感じるんだよな…」

周囲の会話がまるで遠くの出来事のように聞こえる。
まるで自分だけが、ひとり別の次元に取り残されているような感覚。
 

昨日までは、“また会える”というメッセージに少し浮かれていた。
だけど今は、過去の記憶がじわじわと蘇ってきて、胸のあたりに重たくのしかかってくる。

「パパなんていなくても平気だよ」

あのときの娘の表情。
冷たくて、でもどこか無理してるような。

「また同じことになるんじゃないか…」

そう思った瞬間、心の中にある“いつものパターン”がムクムクと頭をもたげた。

期待して、失望して、自己嫌悪に陥る。

がっかりされる前に、自分から身を引こうとする。

「どうせ俺なんて」

何度も繰り返してきたセリフ。

まるでそれが、自分の人生の呪文みたいになっていた。

だけど。

今日は違う。

“いつものパターン”を断ち切るって決めたんじゃなかったか?

自宅のノートに書いたあの言葉が、ふと脳裏をかすめた。

『俺の人生は、これからだ』

深呼吸をひとつ。サングラス越しじゃない、この世界をちゃんと見ようと目を凝らす。
 

テーブルのコーヒーをひと口。
少し苦みのある味が、今の自分にはちょうどよかった。

そのとき、カフェのドアが開いた。

「パパ…来てたんだ」

娘が立っていた。
昨日より少しだけラフな格好で、でもどこか表情が和らいでいる。

「…来たよ」

ぎこちないけれど、それでも笑顔になって言ってみた。

娘は席に座り、メニューを開きながらぽつりとつぶやいた。

「パパってさ、昔からすぐ自分のこと責めるよね」

「そうかもな…」

「私、あのとき“いなくても平気”って言ったけど…ほんとは、そうでもなかったよ」

信介は息を飲んだ。

一瞬、過去の影が、カフェの窓に映ったような気がした。

「でもね、私も最近、ちょっとずつ考え方変えようとしてるんだ」

その言葉を聞いた瞬間、胸の中で何かがほどけたような気がした。
 

カフェの中は穏やかな音楽が流れていた。
ふと周囲に目を向けると、隣の席では若いカップルが笑い合っている。
向かいの窓際では、老夫婦がゆっくりとコーヒーを飲んでいた。

「この場所って、案外いろんな人生が交差してるんだな」

信介の中にあった重たい影が、少しずつ色を失っていくのを感じた。

自分の中に染みついていた“反射する過去の影”

それは、思い込みだったのかもしれない。
 

娘の前で、少しだけ背筋を伸ばしてみた。

「俺もさ、今までの自分のクセ、変えていきたいと思ってるんだ」

娘は驚いたように目を見開いたあと、ふっと笑った。

「じゃあ、まずは一緒にケーキ食べよ」

「いいね、そうしよう」

信介はメニューを開きながら、何年ぶりかで「どれにしようかな」と迷う自分に気づいた。

「昔は、娘とスイーツなんて気恥ずかしくて頼めなかったのにな」

ケーキが届くと、娘は嬉しそうに写真を撮ってSNSにアップしていた。

「パパの顔は載せないから安心して」

「…いや、載せてもいいよ」

そのひと言に、自分でも驚いた。

娘はちょっとだけ驚いた顔をして、でもすぐに笑顔になった。

その瞬間、カフェの窓に映るふたりの影が、少しだけ明るく見えた。