すすきのLOVERS1989

すすきのLOVERS1989

1989年。すすきので水商売の世界に飛び込んだ21歳の「ヒィ」。移り変わっていく季節と恋と友情・・・
実体験をベースとしておりますが、ストーリー、人物名などは全てフィクションです。

主な登場人物。




ヒィ・・・21歳。1989年3月の終わりに札幌すすきので夜の世界に飛び込む。


ナオ・・・22歳。ヒィが好きな女性。


ハマー・・・21歳。ナオの前彼。


リョウ・・・21歳。ナオの元彼。


マスター・・・31歳。ヒィが働くパブBの経営者。


ノリさん・・・26歳。パブBスタッフ。


キクさん・・・25歳。パブBスタッフ。




アメブロで4つのブログを更新中です。


すすきのBEATの営業雑感


すすきのLOVERS1989


すすきのBEATの株・FXトレード日記


すすきのBEATの楽しくサッカーしようよ

Amebaでブログを始めよう!
骨折した右膝もだいぶ良くなり、

そろそろ仕事復帰できそうなこの頃。

なかなかこちらのストーリーは進展させることが出来ませんが、

ヒィの中学生時代を別ブログにて書いています。

すすきのBEATの楽しくサッカーしようよ

このブログにはサッカー関係の記事も書いているので、

興味のある方はぜひよろしくお願いします~♪

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「どのくらい向こうにいるつもりなの?」

「さあなぁ。3年は戻って来ないと思うけどな」

「3年かぁ・・・」

「いや、楽しすぎて戻って来ないかもな」

「そうだよな。俺だって今の仕事いつまで続けるかわからないし、

先のことなんてわかんないよな」

「うん、わかんない」

スナックPは平日だというのにほぼ満席。

ヒィとハマーはほったらかし状態だった。

時折、ママのタマさんとヒロさんがビールを注ぎに来ては、

「ごめんね、ハマー最後の日なのに」

などと申し訳なさそうにしていた。

そして、また新たな客がドアを開けたのをきっかけに、

店を変えることにした。

「後で元気あったらまた来るねー」

廊下に出た二人は迷わず、

「じゃあこっちだな」

「そだね」

同じフロアのパブBのドアを開けた。

店に入った途端、

「遅いよー」

「待ってたよー」

などの声が飛ぶ。

キクさんやマスターが、

ハマーが最後に飲みに来る日だからといって、

常連さん達を集めていたのだ。

思いがけない飲み仲間の面々が揃い、

二人でじっくりと飲むつもりが、

いつも通りの大騒ぎになりそうだった・・・


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西の方に明るさが残る19時半。

ハマーと約束の時間だ。

ヒィは大通附近で時間をつぶした後、

待ち合わせの地下鉄すすきの駅に来ていた。

ハマーも遅れることなくやって来た。

「どこ行く?」

「今日は今まで行ってた店に顔出しおきたいな」

「そっか、ていうことは要するにいつも通りってことだな」

二人は南5条西6丁目に向かって歩き出した。

ヒィがパブBに出勤する時のように、

ビルの裏口から入り、3階へ階段で上がる。

出勤の時と違うのは、

パブBではなく、同じフロアにある、

スナックPのドアを開けたことだ。

今日もいっぱい飲んじゃいそうだな。

ただ、明日出発するハマーの都合もある。

「何時頃まで飲めるの?」

一応ヒィは聞いてみた。

「朝までに決まってるべ」

ハマー即答。

とにかく夜はスタートした。


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札幌にも夏の陽射しが照り付けてきた7月11日。

この日のヒィは休みだ。

午後、なんとなくすることもないので、

大通公園をぶらぶらと歩く。

夜は、明日関東に出稼ぎに行ってしまうハマーと、

最後に飲むことになっている。

夜にはまだ時間があるなぁ・・・

ヒィはベンチに腰掛けた。

木々の緑の隙間から突き刺してくる陽の光と、

噴水の飛沫が重なり輝いていた。

先月、ハマーが関東に、

ナオがO市に行ってしまうと聞いた時は、

まだまだ日にちがあるな、

なんて思っていたのに。

過ぎて欲しくない時間というのは、

砂時計の砂がなんの未練も無く、

あっさりと落ちていく。

そんな瞬間に似ていた。

今のまま、

今のままがいいよ。

そんな思いで、

ヒィはただベンチでじっとしていた・・・


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みなさま明けましておめでとうございます。

年末から年明けにかけて、

転勤、引越し、そして骨折と(笑)

さまざまな出来事に見舞われまして、

ようやく本日、札幌の新居でネット開通しました。

右膝骨折のため1ヶ月ほど療養する予定なので、

ぼちぼちストーリーも書き始めたいと思ってます。

今年もよろしくお願いします。

みなさんに良いことありますように。
ただでさえ年末で慌しいこの時期。

転勤で、年内に引っ越せと・・・

また札幌市民になります。

すすきの近いのはいいけど、

忙しくて全然荷物まとめられないよ。

とりあえず部屋はなんとか決まった。

書類上の不備が無ければ、

12月24日に引渡し。

それから荷物を運ぶのだけれど、

年内の休みは24日が最後・・・

どうする???


なので、

引っ越して、

ネット回線が引けるまでの間、

更新をお休みします。

再開はたぶん1月中旬くらいかな。


引越し先の部屋は、

ストーリーと同じく5階。

エレベーター有り(笑)

見晴らしが良い部屋です。



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「ねえヒィ・・・」

ナオがヒィの顔を見つめて話しかける。

「なに?」

「私ね、7月で今の病院を辞めて、

お姉ちゃんの住んでるO市に引っ越すんだ」

「えっ・・・」

突然の知らせだった。

「そ、そうなんだ。7月いっぱい?」

「有給消化するから、

出勤するのは7月の前半くらいまで」

「そっか、遠いね・・・」

「うん、ちょっと遠い」

札幌からO市までは車で3時間半以上かかる距離だった。

ヒィは久しぶりにナオに会えたうれしさも、

どこかへいってしまった。

ナオが鍵を置いていったあの日。

もうその時はこのことを決めていたんだな。

「それまではちゃんとここに来るから。

さ、飲も飲もー」

ナオが珍しく明るく振舞った。

勢いにつられてヒィはビールを一気に飲み干す。

土曜日の忙しい営業ではあったけれど、

マスターもキクさんもいる安心感からか、

つぶれてもいいや・・・

もう何杯目かわからなくなって、

呂律も回らなくなるほどにグラスを空けていった。


めぐるのセブとゆかいな仲間たち 石井めぐる / 石井めぐる



このストーリーはフィクションなのだけれど、

現実の思い出をベースに書いているので、

1989年当時の状況を懐かしく思い出したりしている。

店で流れていたカラオケ、

どんな曲が流行っていたのだろうか。

女性客は、

工藤静香の「恋一夜」「嵐の素顔」だったり、

プリンセス・プリンセス「Diamonds」「世界でいちばん熱い夏」など。

男性客は、

ZIGGY「GLORIA」

爆風スランプ「Runner」「リゾ・ラバ~resort lovers~」

などをよく歌っていたような気がする。

ナオがよくヒィにリクエストしていたのは、

チェッカーズ「Cherie」や、

近藤真彦「夕焼けの歌」なんかだったなぁ。

「夕焼けの歌」は、

今思い出すといい歌だったなぁと、

歳を重ねてから改めて感じたりしている。

で、YouTubeで検索したりなんかしてみたのだけれど・・・

・・・・・・



思い出の中にしまっておいたほうが良さそうだ(笑)

あ、フミヤはやっぱり歌うまいね♪



ヒィは空いたボックス席に、

ハマーとナオを案内した。

とりあえず3人でビールで乾杯する。

ナオと、

前彼のハマーと一緒に飲むのは変な気分だ。

だけど何故か嫌ではなかった。

「元気に・・・してた?」

当たり障り無く聞く。

「うん、なんにも変わりないよ」

それ以上、言葉が出てこなくて、

ちょっとの間、沈黙してしまった。

「俺カラオケでも歌おっかな」

ハマーが気を利かせて、

カラオケを頼み、

得意の松山千春を歌い始めた。

カラオケの大きな音で沈黙は目立たなくなり、

ヒィはハマーに感謝した。

ナオの顔を見ることができて安心し、

お互いの表情で、

なんだかわかりあえている気がした。

営業中でなければ言葉は必要なかったのだけれど、

今ここで黙っているのは不自然だった。

ヒィは必死に言葉を探す。

「あ、あのさ、明日は休みなの?」

「うん、休みなんだけど、

深夜だから夜12時から仕事なんだ」

間の抜けた質問だったかなぁ。

なんとか会話を続けようと糸口を探す。

「いらっしゃいませー!」

マスターの声が響いた。

入り口に立っていたのは、

ナオの元彼のリョウちゃんだった。

リョウちゃんがこっちを見て、

苦笑いをする。

ヒィも曖昧な笑顔を返した。

マスターが応対し、

職場の同僚5人で来店したリョウちゃん達を、

別のボックス席に着ける。

マスターがヒィとナオとハマーの席を横切る時に言う。

「なんだかマージャンでもできそうなメンツが揃ったな」

「ちょっと居心地の悪い店ね」

舌を出しながら照れたようにナオが言った。

そう、

ナオと関係のあった4人の男が、

土曜日の深夜、

パブBに揃ってしまっていた。

ただ、4人の男全てが、

不思議な気分ではいたのだけれど、

何故か不快ではなくて、

妙な連帯感というか、

今でもナオのことを気にしていて、

そして好きでいることは一致していた。

ナオを含めた5人の糸の輪が絡み合い、

一番小さくなった瞬間がここにあった。


おっきな愛 / 篠崎愛

6月24日、

給料日後の土曜日は書き入れ時だ。

2週間前に電気を止められてからは、

店の家賃の支払いも滞らなかったようで、

無事にパブBの営業は続いていた。

20時、

まだポツリポツリとしか客がいない時間に、

ハマーが一人で来た。

カウンター席に着き、

ビールを注文する。

「ちょっと早いけどヒィも飲めよ」

「ありがと。いただきまっす」

ヒィとハマーはグラスを合わせ飲み始める。

「あのさ、俺、関東に就職することにしたわ」

「えっ!?」

「ガソリンスタンドじゃ給料安いしさ。

しばらく向こうに行って稼いでくるわ」

「そうかぁ。寂しいなぁ」

「ナオとはうまくいってんのかい?」

「あ・・・い、いや。なんとなくダメな気がする」

3週間前に鍵を置いていったナオとは、

それ以来会っていなかった。

「連絡も取ってないのかよ。ダメなヤツだなぁ」

「ああ。そうだな、ホント」

「元気出せよ。とりあえず俺が行くのは、

7月半ばだから。

それまでは毎日来るよ」

「マジ?!」

「ウソに決まってるべ」

「あはは、そうだよな。

金続かないよな」

「うん、金無いから出稼ぎだし。

けど、できるだけここに来るよ」

「うん」

「いらっしゃいませーっ!」

キクさんの声が響く。

団体だ。

一気に店内が騒がしくなる。

次第にヒィは対応に追われていった。


午前2時過ぎ、

ようやく店内は落ち着きを取り戻した。

ハマーは日付が変わる前に、

同じフロアのスナックPに場所を移していたのだが、

突然またパブBに戻ってきた。

「おう、おかえり、あっ!・・・」

ナオが一緒だった。

ナオはスナックPで飲んでいたらしい。

「Pにいたから連れてきたよ」

「い、いらっしゃい。久しぶりだね」

ぎこちなくヒィは何とか言葉を発した。

「うん、久しぶり。

会いたくなかったわけじゃないんだ。

ただなんとなく時間が過ぎちゃって」

そう。ただお互いに、

なんとなく時間だけが過ぎてしまっていたのだけれど、

顔を合わせた瞬間に、

過ぎていった時間なんて何処かへ飛んでいってしまっていた。

目の前に、

会いたかった大好きなナオがいる。


熊田曜子::4 Pices BOX