【暗黒卿クニと魔王の城】#15 ある悪魔の述懐 | Gangbear Official Blog

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「失ってみて初めて分かるぞ、人間として平穏に暮らすことのありがたさを」ユイチロが言った。

「俺は13年前に悪魔に殺された。きっかけはウラワのコマバ宮殿の教会の地下にある『2』と書かれた扉を開いてしまったところから始まる」ユイチロが語り始めた。

「『2』の扉からはありとあらゆる魔界の魔物が湧き出てきた。俺は人間として12体、悪魔として8体を倒した。だが、戦いの時にちやほやされた悪魔の俺は平和が訪れると警戒の目で見られた。全てを捨ててウエストバレーの城で魔物として生活していたところにやってきたのがモト様だった」ユイチロの物語はつづく。

「魔王を倒す方法はただ一つ。『死の指』か『死』の呪文を魔王より先に唱えるしかない。モト様のパーティーには魔術師がいない。俺は魔王に『死の指』を唱えて倒した。それ以降、俺はフリガン騎士団の一員として平穏な日々を過ごしている」ユイチロが幸せそうな表情を浮かべ、言った。

そもそもフリガンの騎士団は人間が半数いるかいないかである。

「悪魔になって大願を成就したらそのあとどうする。魔物として生きるのはかなりつらい。何しろ相手のほとんどは敵意満々だからな」ユイチロが言った。

「サンダー・ロアにあるフロンタの城を魔界にすればいい。あの城にも『2』の扉があるからな」ナオキソマが言った。

「追放されて頭がいよいよ暴走し始めたな」モトが呆れた顔で言った。

「まあいい。移転先が海兵城だとわかったからにはそちらにいく」ナオキソマは防具屋を物色していたクニの手を引くとウエストバレーを後にした。

「危ういな」モトがケイジに言った。

「危ういというより、痛い」ケイジが答えた。

「海兵城に密偵を送るか」モトが暫く思案した末、言った。(つづく)