第57話 ソープオペラ
「そうです」ハジメが答えた。魔族のハジメはシンジが悪魔だと見破った。シンジは浴室へと入っていった。シンジが身体を洗い始めたのを見て、ハジメはいきなりバケツ一杯の古代石鹸水を浴びせた。
「何するんだ……ハジメ……」そう言うとシンジは灰色の液体を滴らせながら昏倒した。シンジが倒れるのを見て、ハジメはもう一杯の古代石鹸水を用意した。
「シンジ!どうした!」トゥーリオがやってきてシンジを起こそうとした。シンジは口から黒い液体を吐き出している。次の瞬間、背後からハジメがトゥーリオに古代石鹸水を浴びせた。同じく悪魔と化していたトゥーリオも昏倒し、口から黒い液体を吐き出した。
「あれ、俺、ここで何してたんだろう?」混沌の泥を洗い流され、人間に戻ったシンジが言った。
「混沌の泥を塗られ、悪魔になっていました。でももう大丈夫。シンジさんは人間のシンジさんです」ハジメが言った。
「俺が、悪魔に?」シンジが言った。
「はい。皆の話によると皇帝の言いなりになっていたと……今やレッズ重騎兵は19騎を残すばかりで、後は全てヴァンパイアになってしまいました」ハジメが言った。シンジはショックを受けた。
「なんか、悪い夢を見ていたようだ」トゥーリオが起き上がり、言った。トゥーリオも人間に戻っていた。トゥーリオはシンジから事の顛末を聞かされ、同様にショックを受けた。
「さて、どうする。撤退する事をどう教皇に切り出すか?教皇は我々を悪魔にして、最後の1兵まで玉砕させるつもりだったはずだ」シンジが言った。
「ヴァンパイアの巣窟を清める事を理由にレッズ騎士団を率いて方向転換しワラヴに逃げかえろう」トゥーリオが言った。
「それがいいでしょう」ハジメが言った。
翌朝、起死回生の反撃として、ヴァンパイアの巣窟を襲撃するといったら、皇帝は大喜びした。
こうしてレッズ重騎兵とシンジ、トゥーリオ、ハジメは大聖堂からの脱出に成功した。(つづく)