第79話 騒がしい要塞
これ以上Y4と同じ建物を使うのに嫌悪感を抱いたSS施設局は東戸塚基地の建物を撤去して、突貫工事で強化ガラスのはめ殺しの窓を明かり取りに配したコンクリートの塊といった基地を建てた。コンクリートが固まり、基本的な電気工事が終わるとY4は強制的に引越しを余儀なくされた。
「なんなんだよ、このやたらと重い扉は……」力自慢のヤツをもってしてやっと開くといった感じの防御扉を開くと、控え室にY4の道具一式が沢山のダンボールに詰められて無造作に置かれていた。横を見ると壁はコンクリートの打ちっぱなしで、下もコンクリート剥き出しだ。上を見ると照明は剥き出しの蛍光灯だ。
「さすがは最新鋭。テレビ線はデジタル対応ですね」ゴキューが言った。
「これで備品のテレビでデジタル放送が見れる」ネジが言った。
「コンピュータ回線はフレッツ光。モデムも設置済み」ゴキューが言った。
「さすがは工業高校出身、ありがたいねぇ……」トモティンが感心した表情で言った。
「プレステは……ちぇっ、使い古しのプレステ2だ」ダンボールを開けたコースケが落胆しながら言った。
「家具一式は運び込まれているようだ」ネジが積み重ねられた荷物を一つ一つチェックして言った。Y4と車両班の計6人はダンボールの山から家具を掘り出し、設置すると家具に一つ一つ荷物を収納した。
「ガン・ロッカーがやたらと重いと思ったら中身が入ったままだ。暴発したらどうするんだ?」ヤツがガン・ロッカーを運びながら言った。コンピュータのスペシャリストではないネジだが、マニュアルと格闘しながら接続に成功した。タクオは広すぎた兵舎が4人部屋になったので大喜びで4人分のベッドとクローゼットを運び入れている。タクオはついでに当直の仮眠室のベッドも搬入した。
「おっしゃー、基地完成!」1930時頃に基地の引越しが完了し、コースケが喜びの声をあげた。
「腹へったぁ……」ガレージの整理をしていたマサキとゴキューが油で汚れたコットン製の作業用戦車兵服姿で待機室に現れた。
「そばでもとるか」トモティンが言った。
「引越しそばか、いいね」ネジが言った。一行はざるそばと天婦羅を人数分注文し、到着すると恐ろしい勢いで食べはじめた。人数分あったそばと天婦羅があっという間になくなった。
「で、今日の当直は?」コースケがトモティンに尋ねた。
「ネジさんとお前。あと自動的に当直体制のタクオだ」トモティンが言った。
「了解。アパートに帰るのも怖いからちょうどいいや」コースケが言った。(つづく)