第53話 ネゴバの戦い(その1)
早朝、ワザズミを八頭立ての馬車で出立したトモキチとモト、アツ、ボムソク、スンジン、ハジメ、スゲ、ウッチーは夕刻、ネゴバに到着した。ネゴバの温泉宿のエコノミールームに宿泊することになった一行が打ち合わせをしていると宿の外からオークの金切り声が聞こえた。
「オークたちはこの村の温泉宿全てに課税しているようです。しかもかなりの高額だ」オーク語を理解できるエルフのスンジンが言った。
「どうせ明日には無い命だ。行くぞ」モトが装備を整えながら言った。
「でも、この村の問題に干渉しちゃっていいんっすか?」一応装備を整えながらスゲが言った。
「じゃあ、村人たちが苦しみつづけてもいいの?」装備が整ったウッチーが言った。
「なんてことだ。逆らった村人が殺された」装備を整えながらスンジンが言った。
「さっさとしろ、オークが帰っちまうぞ」モトが言った。
「僕とボムソクはすぐ出られるよ」アツが言った。それを聞くか聞かないかの間にモトは外に飛び出していた。
「なぜ村人を殺した」モトが共通語でリーダーのオーク、ヴルバッグに言った。
「こいつらが納税しないからだ。ここの領主は俺たちオークの長、ヴラシュナック様だ」オークのリーダーが共通語で言った。
「そうか。じゃあ、貴様らを倒すまでだ」モトはファイアボールの呪文をオークの集団に向かって唱えた。ヴルバッグの背後で巨大な爆発が起こり、手下は5体を除き、みな、黒焦げになっていた。生き残った5体はまだ戦意を示している
「悪魔め、殺してやる」ヴルバッグはそういうと先端が広くなっているオーク特有の剣でモトに斬りかかった。が、モトのいかにも装甲が厚そうな鎧に剣は弾き返された。生き残ったヴルバッグの手下も斬りかかってきた。が攻撃を命中させるどころか自分が振りかざした剣の重みでぐるぐる回っている手下もいる始末だ。ヴルバッグは目を覆った。
「死ぬ用意は出来たか?」モトがヴルバッグに言った。
「貴様何者だ?」ヴルバッグが言った。
「湯治客だ、他の何に見える」モトはそう言うと長剣をヴルバッグの肩口に振り下ろした。ヴルバッグは一刀両断された。(つづく)