最近、星野源がすごく好きです。
聖お兄さんの映画は、映画館で見る気が全くしなかったので、まだ見ていませんけれど。

自由を感じさせてくれる音楽が好きです。
爆発するような芸術も良いけれど、
日常から別の日常へ引っ張り出してくれる芸術はもっと好きです。



その多寡はともかくとして、すべての文章はメッセージを内包しているものと私は信じて疑いません。
だから私は文章を書きます。
秋が嫌いなあなたへ。



春と秋の違いについて。

春はあけぼの。
山際の向こうにあなたが見ていたのは朝です。もうすぐ来るべき朝。
空気はいよいよ澄み渡り、
熱と光の奔流のひと粒めが立てる波の音を響かせます。
きんという短い金属音は、幾層もの暖かな毛布にくるまれ、鈍い反響を起こします。
残響が空気の中へ解けるまでの短い間。
その時間が春なのです。

秋は夕暮れ。
連なって鳥は徐々に遠ざかります。
夜の方向へ飛び去るのを、ゆっくりと見送ります。
ぽろぽろと零れていくように、空気が密度を落としていくのが見えます。
温度、花の香り、虫の声。
もう数えられるほどしか残っていません。
掴もうとした腕は虚空を撫でて、
足下には散り終わったきんもくせいが潰れています。
風に飛ばされることもできずに。

秋が終わったら次は冬で、
その次に春が来るなんていう保証はどこにもありません。

ダウンジャケットをぐるぐる巻いて震えるあなたに
山の向こうまで来ているはずの春を指差す通りすがりの、
その想像力の無い右人差し指が影を落とすのです。
それはとても暗い。

この隙間だらけの季節に、
僕はあなたに与えるべき熱を持ちません。

春の方向が分からない僕には、示すべき場所さえありません。。

僕は暗い安っぽいカンテラを右手に、
モールス信号のように振りながら、
同じ暗闇を見つめています。

この季節の空虚を前に立ち尽くすのはあなただけではないのです。




星野源 - 地獄でなぜ悪い
http://v.qq.com/page/s/0/g/s00133xsc0g.html
春は終わりから始まります。
だから、春という季節がいつ消えるのかを意識することなんてほとんどない。
気付いたら暑い日が来て、雨がたくさん降って、世界は様変わりしているのです。

夏は逆です。
始まった最初の日にだって、夜にはもう、ひぐらしが鳴きはじめている。
太陽が無数の黒点を浮かべるように、
夏の大気は数えきれない終わりの粒子を孕んでいます。
ある日、世界がぱったりと夏をやめるのではありません。
吸い込んだ終わりの粒子がある一定の高さを超えたとき、夏は消えるのです。
波がすぅっと引くように。
そして、後には湿った砂だけが残る。

よくよく見てみればわかりますが、
夏の終わりなんて、そこらじゅうに転がっています。
夕方の空と風の温度、
蝉の声量、
起きた瞬間の乾いた空気。

望む、望まないにかかわらず、夏の中心とでも言うべき空間から遠ざかっていきます。
いつの間にか置き去られるのです。
小学校の頃の夏休みがそうであったことを我々は知っています。
だからこそ、追いかけなければならないのです。



夏の終わり - 森山直太朗
h ttp://www.youtube.com/watch?v=3KwfNuzYmnM

しばらく冷却期間を置こうと思ったけれど、
やっぱり何か小説を書いてないと落ち着かないな。
ということで、次を書くことにします。

現状の目標は、12/31締め切りの文学界新人賞。多分100枚以内に収まるから。
今回書こうとしてるのは、現在の純文学が好みそうな、とても普通の話です。
決して新しい何かではない。
でも、楽しんで書けるとは思います。
そして多分読みやすい。ここは重要。

その前に250枚以内で何か面白いことができそうならば10/31の群像のほうに出しますが、
仕事やら何やらとの関係でちょっと厳しそう。
やりたいことは、100%の力を傾けられるときにやります。



ここからは多少、私信が混じります。

今日、とある人に、今回新人賞に出したのはどんな話かと問われました。
ストーリーは途中で飛んでしまうので即答できませんでしたが、

ざっくり言うと、距離に関する話です。
他者との距離を感じる話。
あとはベクトルも出てきます。高校の数学ⅡBで出てきた矢印。
ベクトルの足し算をしたとき、向きによっては大きさが小さくなるし、時には思いがけない方向が見えることもある。そんな感じ。

距離とは、
私とあなたの距離。
私と小説家さんたちとの距離。言葉まで含めると三角不等式。
そういうものを書こうとした横書きの小説です。こういう小説は絶対に縦書きじゃ無理、という形。

プロトタイプのまま出してしまったので、いかようにも手直しは可能。
あんまり他の人には見せたくないのよね、といったものです。

そんな回答でどうでしょうか。



スピッツ - スピカ
http://www.youtube.com/watch?v=skTm1_kwR8w