するめいかと歯医者と絵本「みんがらばー!はしれはまかぜ」 | 絵本読みたがり屋けんちゃんの 絵本あれこれ日記

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絵本のことや、保育園での仕事のことや、映画のことや、芝居のことや、気が向いた時に書きたいことをブラブラと書いています。

【するめいか事件】

かれこれ2ヶ月くらい前だろうか、

夜に近い時間の6時頃にパソコンをいじり

事務作業をしていた時の話です。

 

その日はかなりバタバタしていて、

心身ともに疲れ果ててたのです。

気を紛らわそうと、

するめいかを食べながら

仕事をしていました。

 

弾力と硬さを併せ持ったするめいかちゃんを

顎と歯でグイグイ食べていたら、

 

歯が欠けました。

 

あまりに突然で、

しかも何事もなかったように

自然とスポッと抜ける(欠ける)。

抜けた歯を見ながら呆然としましたよね。

 

何が起きた?

 

日常感がありすぎて、

歯が抜けたことのショックはない。

その歯をゴミ箱に捨て、

仕事に戻る。

 

 

【歯医者?行かねえっす】

毎日朝夕と歯ブラシをしていたのに、

なぜ抜けた?

と不思議に思いながら、

いつしか歯がない状態が普通に。

 

周りからは早く歯医者に行きなよ

言われてましたが、どうしても行く気にならない。

食事も普通に食べられるし、

歯がないことも気にならない。

せいぜい動画を編集していて、

 

歯がないじゃん、ダセー

 

と一人無関心にツッコミを入れるくらいのもの。

何よりね、

 

歯医者が

怖い・・・

 

あの歯医者独特の薬の匂い、

ただいるだけで聞こえてくるドリルの音、

口の中に入れられる器具の冷たさ、

何もかもが恐ろしい。

 

怖いものは遠ざけ、

なかったことにし、

随分と長い間そのままにしてました。

 

けれどふとした時、

歯がない状態って体にどうなの?

という疑問がわいた。

スマホで調べると目を覆いたくなるような

脅迫じみた言葉が並んでいる。

 

やべーー、じゃん?

ついに、歯医者に行くことにしました。

 

【あーーー・・・だと?】

予約もせずに行った歯医者。

白と所々にピンクの壁紙が貼られた壁は、

清潔感と安心感を感じさせる。

安心感を感じさせるからこそ、

 

​​​​​​​不気味・・・

 

この雰囲気は、

歯医者がもつ怖さを覆い隠すためのもの。

僕はビクビクしながら問診票を書き、

呼ばれ、歯医者特有のベッドのような椅子に座る。

 

歯医者は僕の口の中を見て一言

 

あーーーーーー・・・(°▽°)

 

おい、なんだその感想は・・・。

マズイのか?

僕の歯はそんなにマズイ状況なのか?

大変な作業をする治療が必要なのか?

僕は恐怖に染まる。

 

その時、予約をしていた方が来たようで

医者は一度席を外す。

あーーーー・・・

という不気味な言葉を置いて。

 

隣の人の診察が早く終わり、

あの言葉が何を意味するのか知りたいような、

知りたくないような、

完全に訳がわからない状態に陥る。

 

 

【骨を調べる・・・だと?】

隣の診察が終わり戻る医者。

あの人はこう言ってきた。

 

長い間放置してたでしょ。

骨の状態を調べるので

写真撮りましょう。

 

​​​​​​​待て、なんだそれ。

骨を調べる?

確かに放置してたけど、

そこまで悪いのか?

ああいや、悪いかもしれないから

写真を撮るのか・・・・。

 

写真を撮った結果、

抜けきれてない

部分の歯を

一刻も早く

抜きましょう

​​​​​​​ということに。

(歯の上部分だけが

取れたということらしい)

 

​​​​​​​【地獄の1分間】

抜く前にこんな説明を受ける。

 

麻酔は痛いけど、

抜くのは痛くないですからねー。

 

どんだけ脅すんだよ・・・

こえーよ、

怖いよー、

怖いんですけどーー!

 

歯茎に注射をするように

麻酔を入れるのだが、

本当に痛い。

 

​​​​​​​力めば力むほど

痛いですからねー

リラックスして

くださいねー

 

僕にとってこの言葉、

脅してるんだか

アドバイスしてるんだか

よく分からない。

 

とにかく力を抜こうと妄想力を

フルに稼働させる。

 

もしも、菅野美穂が僕のために

ハンバーグを作ってくれたら

どれだけ嬉しいだろうか。

もしも、菅野美穂とそのハンバーグを

二人きりで食べられたらどれだけ

幸せだろうか。

 

そんな妄想をするも、

歯茎に刺さる針の感触が

妄想を阻む。

頑張って妄想を続ける。

 

地上に舞い降りた天使の如き

笑顔を僕に向け、

豪快に笑う菅野美穂。

ナイフとフォークがカチャカチャと

音を立て、食事をする2人。

そうだな・・・お皿にのってるのは、

少し小ぶりなハンバーグが2つに

形の整った細長四角形のにんじん

というシンプルなもの。

 

そんな妄想を続けること1分間。

ついに地獄の時間が終わる。

歯医者の言う通り、

麻酔は痛いが歯を抜くのは

痛くなかった。

(完全に物理でゴリゴリ抜かれたのには驚いた)

 

​​​​​​​【覚悟を決めた】

ここまで腹をくくって、

覚悟を決めて頑張ったのは

初めてではないだろうか

と言うぐらいの体験。

 

ここで一冊。

 
この絵本は読み手に絵本が
全力で読めよーー!!
とエールを送ってくれる絵本。
 
事実、全力で読むともの凄い
エネルギッシュな読みの場が生まれる。
 
4歳クラスに読んだんだけど、
18人全員が息を呑み、
全員がこの絵本に吸い込まれてる。
(と、感じた)
 
読み終え絵本を閉じると、
心地よい疲れと
​​​​​​​読みきったという
不思議な達成感を僕を含め全員を包み込む。
 
僕は「ふーっ」と気持ちのいい息をはき、
子どもたちは伸びをしたり僕同様に
息をはく姿があった。
 
読むぞっ!と覚悟を決める
 
ことの大切さを感じさせてくれた絵本。
大袈裟に、
がんじがらめにする意味ではない覚悟。
絵本と真剣に向き合うことの
楽しさを教えてくれた絵本です。