四国犬の古典鑑賞26:昭宝号(プロフ編) | 未整理箱。古い四国犬の話でも入れておこうか

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主なテーマは以下です。
■二代目の箱「長春系四国犬の回顧録」
■三代目の箱「気が付けば犬がいた件」
■「遺伝子のつづら」(毛色で悩んでみる)
■「表現のつづら」(たぶん雑談)


【四国犬の古典鑑賞】

現在の日本犬中型 四国犬に影響をあたえた犬。一石を投じる犬。


26:昭宝号(プロフィール編)


未整理箱。古い四国犬の話でも入れておこうか-昭宝号カラー
角吻と目切れの良さが印象的。毛色も派手な表現だった。
毛色についての参考記事はこちら


犬名: 昭宝号[しょうほう-ごう](S.44.9.20生/日保籍中型第66025号)

作出犬舎: 如月荘 父・長剣号(古典鑑賞12 ) /母・春駒女号

※同胎犬情報: 66024駒二狼号,66026剣春号


賞暦: なし


毛色毛質: やや短毛気味の黒胡麻。綿毛,剛毛共に充分。額に朔あり。頭頂から後頭部にかけて筆でひと掃けしたような白斑あり。左手に白足袋、尾の先に白毛あり。


顔貌体躯: 丸頭に太目の角吻,切れの良いアーモンドアイ。体高53~54cm程(同胎の中で一番大柄),強い筋肉の張り

鑑賞ポイント: 切れの良い目型と鋭い光を放つ目の色が印象的な顔貌の個性的な一頭。四肢が伸びやかでスケールの大きな犬で、大柄な体躯にしっかりとした吻、体躯にゆるみのない筋肉の“張り”があり、皮膚が身体に張り付いたような印象を受けた。


遅くなりましたが、皆様本年もどうぞよろしくお願いいたします。
私は日本犬を知るということは“本物の日本犬”を数多く見ることではないかと思っています。

しかし現代では、写真でしか見ることができなくなってしまったのかも知れません。その古い犬の写真もなかなか皆さんの目に触れることがなくなってきているように感じています。

当犬舎にお越し頂いた方には、当方に残っている資料はいつでもご覧いただけるようにしておりますが、記事の方でも出来るだけお見せしていきたいと思っております。

今後とも四国犬の保存は留まる事無く続けて参りますので、皆様のご指導とお力添え頂きますようお願い申し上げます。



さて、今回はリクエスト頂いておりました昭宝号です。

この犬は比較的新しく、今から40年程前の昭和44年に(時代背景として)如月荘さんが松本克郎先生亡き後、先生のご指導を離れた交配で作出されました。

血統の構成は下の血統書画像(部分)をご覧ください。


昭宝号は身体に朔を初めとする少々の白斑と独特の目の色などによって、個性的な風貌をした犬でした。

現在の日本犬保存会展覧会では日本犬標準(審査標準)に合わないとして、このような四国犬を皆さんが目にすることは少なくなっているかと思います。

しかし血統書をご覧くださればお分かりいただけるかと思いますが、生粋の長春系四国犬です。


未整理箱。古い四国犬の話でも入れておこうか-剣春血統書


それでは、その被毛から見て参りましょう。

画像では被毛が非常に短く感じられるかと思いますが、実際は剛毛も綿毛も充分ありました。このように感じるのは筋肉に強い張りがあり、体躯そのものがカタかったからです。かの楠号が昔そのように言われたのと同じようなものだと思います。

毛色に関しては子犬の時から色素がはっきりとしており「黒」「赤」「白」それぞれが際立っていました。人は色からの印象を強く受けるそうですが、そのせいでしょうか同胎3頭の中でも昭宝号が一番派手に思われました。

ちなみに、このような被毛を持つ長春系の多くは、生後2ヵ月くらいから剛毛が生え始めます。小さな子犬の身体に大人の長さの毛が生えるのでその時期は少々長毛気味に感じますが、そのままの毛の長さで身体が大きくなりますので、成犬になると写真のように落ち着きます。

良い画質のものが残っておらず恐縮ですが、昭宝もこの写真のように子犬の時は長毛ぎみに感じられました。


未整理箱。古い四国犬の話でも入れておこうか-昭宝号子犬時代
朔は成長するにしたがって徐々に目立たなくなる。

もっともこの子犬時代に長毛ぎみに見える長春系のタイプは、現在あまり見られなくなりました。残念なことです。


もうひとつ、昭宝号の表現には大きな特徴があります。それは「目の色」です。この犬の独特の目の色は当時私達のグループの間では「やや薄い茶目」と言われました。

現在では濃茶褐色で濃い色が至上のように思われていますが、この犬が生きた時代頃までは目の色にも様々なバリエーションがありました。当時の私達は「金目,銀目,赤目,茶目,黒目」などと呼び分けて、目型と併せて目の色に関しても色々と議論したものです。

そして、目の色は単に色やその濃さだけでなく、その輝き=眼底からの反射と水晶体の透明度が重要なのです。

未整理箱。古い四国犬の話でも入れておこうか-昭宝号目の表現
順光で撮影。眩しかったのか少し顔をしかめているようだ


今でも悪い例として「真ちゅう目」などと言われたりしますが、これは「金目」が濁って輝きが少ないものを指したものでした。(現在では濁って色素の薄い目のこと全般を指して言われることもあるようです)

いくら色が濃くて黒々としていても、ボタンでできたぬいぐるみの目のようなものは透明度が低く、眼底からの反射が少ないので駄目なのです。

ただ、目の色は見る角度や光線の具合で見え方が大きく左右されるために、展覧会のような場での審査判定は非常に難しいものだと思います。それ故にその基準は徐々に「濃茶褐色」という一元的な表現へ統一されていったのではないでしょうか。


このように昭宝号は現在の審査標準からは若干離れた表現をしていましたが、標準にそぐわない表現であっても見る者を惹きつける魅力を持っていました。

この時代では、こういった表現もその犬の「良い性能」を充分に表わすものならば、それはその犬の「個性」として鑑賞されていたのです。(be-so)


_______ブリーディング編へつづく



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