四国犬の古典鑑賞24:長龍号(プロフィール編) | 未整理箱。古い四国犬の話でも入れておこうか

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主なテーマは以下です。
■二代目の箱「長春系四国犬の回顧録」
■三代目の箱「気が付けば犬がいた件」
■「遺伝子のつづら」(毛色で悩んでみる)
■「表現のつづら」(たぶん雑談)

【四国犬の古典鑑賞】

現在の日本犬中型 四国犬に影響をあたえた犬。一石を投じる犬。

24:長龍号(プロフィール編)

長龍号01
日本犬保存会会誌 昭和25第2号に掲載された写真


犬名: 長龍号[ ちょうりゅう-ごう ] ( S22.5.9生 雄/日犬籍中型 第3537


作出: 銀鈴荘 父・長昭号( 慈美荘 籍2353 ) /母・くま号( 高知(銀鈴荘所有) 籍2851 )注:長龍号の母、くま号は高知の日本犬保存会非会員の犬舎で生まれ銀鈴荘に譲渡されている。

※同胎犬情報: 長俊号( 籍3538 ) 長智女号( 籍3539 )


賞暦: 第1回香川展/日保本部賞,第12回本部展/推奨,第13回本部展/農林大臣賞,第14回本部展/農林大臣賞


毛色毛質: 胡麻,毛色毛質共に良好,綿毛と剛毛のバランス良好,非常に平均的な胡麻毛

顔貌体躯: 丸頭と平頭の中間の頭部,丸吻と角吻の中間の吻,切れ長のアーモンドアイ,あぶらげ耳,インクの染みのような舌斑あり,体高51~52cm,太く開立が良い平尾,伸びやかな四肢

鑑賞ポイント: 本部展で数度に渡り松風号と争った長春系四国犬の勇。毛色毛質が優等生的であるが故に第一印象が弱く感じる面もあったが、非常に切れ長い目が特徴の
顔貌は目を見張るものがあり、腰高で伸びやかな四肢をもつ体躯に本川原産の血統の良さが表現されていた。

血統的には長春号に楠号と熊号を補完した強固な構成となっている。後に定太号の作出にあたって、大きな役割を果たした。


今回は秋の展覧会シーズン前ということで、昭和20年代に日本犬保存会の展覧会で活躍した正統派の長春系をご紹介いたします。


長龍号は陸奥号や松風号の時代の犬です。私はずいぶん昔に一度だけ長龍を見ることができましたが、まだ中学生でしたので昭和26年か27年のことだと思います。

父(初代)に連れられて見学した四国連合展だったでしょうか。参考犬として紹介されていました。
その時の長龍は若輩の私にも一目見て「ベタな長春系」とわかる姿をして佇んでいました。


■長龍号の顔貌

上記のプロフィールでも書かせて頂きましたが、この犬の一番の良さは顔貌、特に印象的な目にあります。

目の良さは表現の重要なポイントであり、これまでも【古典鑑賞】で目型の良さを特筆した犬が何頭かあったと思いますが、一口に「目型が良い」と言ってもそれぞれに特徴があります。

長龍の目型の特徴は目頭と目尻が大きく切れ込んでおり、杉良太郎の「八方流し目」のような目の表情が非常に印象的でした。


昭和26年度第6号会誌より
長龍号_会誌S26年度第6号
長龍号の特徴がよく表れている。


その他の頭部の特徴としては切れ長い目にマッチした大きな“あぶらげ耳”であったこと、また平頭気味の広い額とそれにちょうど釣り合う、これまた若干角吻気味のしっかりしたマズルが付いていました。それぞれに大きなパーツがバランスよく配置された表現といえます。


■毛色と体躯の表現

それに対して毛色は派手な方ではありませんでした。胡麻毛の色は赤くも無く黒くも無く、平均的な胡麻の色調です。

また、モノクロの画像でも四肢の先や頬などが淡い色で写っていることでお分かりいただけるかと思いますが、タンカラーが若干薄い色でした。同胎犬の長俊号の方が赤毛が強くタンカラーもはっきりしており、どちらかというと赤胡麻に近い胡麻だったと記憶しています。

ちなみにどちらの犬も毛色に濁りは感じられませんでした。


同胎犬の長俊号
長俊号


長龍号のもう一つの特徴はスリムで伸びやかな肢体にあります。中学生の私ですらはっきりと長春系であることがわかる、伸びやかでバネの強い四肢をもった体型をしていました。

ただ、このスリムさは高松の市内で飼われていたという生活環境や、戦後の食糧難の時代背景も関係していると思われます。穀物や芋ばかりで育った犬も珍しくない時代でした。(be-so)


_______長龍号『血統と展覧会編』につづく。



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