
ブログネタ:久々に会ってもあの頃に戻れる仲間はどの時代の人?
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久々に会ってあの頃に戻るどころかあの頃と姿形が全く同じだったらそりゃビビるわな。
「ドリアン・グレイ」
Dorian Gray
1枚目のポスター、良く見ると右側と左側の顔が違うの!上手いよこれ。
言わずと知れたイギリス(劇にして激)作家であるオスカー・ワイルドの小説「ドリアン・グレイの肖像」の映画化。
多分3度目くらいじゃないかなー。これは最新作で、2009年のオリヴァー・パーカー監督の作品。
来日を待ってたんだけどとうとう来なくて、漸く満を持してのDVD化。いやあここまで長かったー・°・(ノД`)・°・
主演は、主人公のドリアンを、カスピアン王子のベン・バーンズ、ヘンリー卿をコリン・ファース兄貴。
ファース兄貴、英国王よりもこういう、若者を悪の道に誘い込む役の方が生き生きして見えたのは気のせいかwww
まあね、見れば解る訳ですよ。どうしてこれが未公開だったのか。
時代が19世紀イギリスですから、放蕩と頽廃の都な訳でして、そんな中で田舎から出てきた純朴な美青年が
転がるように堕落して行くとしたらそりゃあ、いわゆるカリギュラな世界しかない訳ですよ。
愛欲って言葉があるけど、愛すらなく、欲の絡みしかない世界の中へ主人公は堕ちて行く。しかもそこは阿片窟。
なもんで、そりゃあ映倫的に、これはいいのかっていうねwww そういう映像満載ではあります。
でも、もーっとどぎつい映画沢山あるので、別にこれを未公開にしなくても、とは思うけどね。
原作を読んで久しく経つのだが、ディテールはどうもかなり原作と違う感じがする。シビルの死の原因とか。
ヘンリー卿の娘とか出てきたっけかなー(しかも存在が結構ウザいw レベッカ・ホールは好きなんだけど)。
それと、バジルの死体に絡むシーンにアランが出てこないし、シビルの弟が映画では兄になってたりね。
屋敷の持ち主だった祖父に、自分が生まれたのが原因で母の死を招いたという事で虐待を受けていたり、
その虐待を受けていた部屋が例の屋根裏だったという設定もあったりで、オリジナルでいいとこもあるんだけど。
なもんで、かなり端折っているように見えるけど、その癖実は結構後半長いw もったいぶってる感が否めなかった。
特に問題の肖像画、あれ、ぶっちゃけ1945年版の方がビビったぞwww もっと醜くしちゃってもよかったんじゃない?
まあ色々あるけど、でもそれはそれで楽しめばいいんじゃないだろうかと私は思う訳ですw
文学好き的にはかなりツボな部分が多かった。
シビルが演じていたのがハムレットのオフィーリアって事になってて、これはつまり彼女の自死にリンクする。
それに、シビルの死を知ったドリアンが言う台詞、「僕はサロメだ。愛を死に変えてしまう」なんてのは巧いよね。
それと!!!なんつっても唸ったのが、バジルの葬儀に際してドリアンが読む哀悼歌。
一応原書で確かめてみましたが、間違いありませんでした。17世紀形而上詩人ジョン・ダンの晩年の作、
「聖なるソネット(Holy Sonnets)」の10番「死よ、驕ることなかれ(Death be not proud)」の後半9~14行目。
Thou art slave to fate, chance, kings, and desperate men,
And dost with poison, war, and sickness dwell,
And poppy, or charms can make us sleep as well,
And better than thy stroke; why swell'st thou then?
One short sleep past, we wake eternally,
And death shall be no more, Death thou shalt die.
お前は運命、偶然、王、望みなきものの奴隷、
毒、戦争、病の隣人、
ケシの花や呪いの言葉もお前と同じように我々を眠らせるが
お前の一撃よりもマシだ。なのに何故お前は尊大でいるのだ?
ほんの少し眠りさえすれば、我らは永遠に目覚めたままだ、
それはもう死ではない。その時は死よ、お前こそが死ぬのだ。
ドリアンはこの時、自分の罪深さに薄々気づいていながらも、それに目を瞑ろうとしているかのように見える。
バジルを殺害した後、一瞬だが彼の眼に人間らしさが宿る、が、それはたちまち残酷さの裏に消える。
この詩は、バジルを殺害した事に対して恐れを抱くドリアンが、少しでも「死は死ではない」というパラドックスに
縋ろうとしている気持ちを表したものだと取る事も出来るし、今や文字通り死が死ではなくなってしまった、つまり
死を「老い」と置き換えれば、老いる事のなくなった自分に対しての畏怖の念と驕りとの入り混じった気持ちを
表しているとも取れる。老いに驕るな、と言っている自分こそが驕っている、というパラドックスが生まれる。
(実際、彼は途中全てを「恐れていない」状態になっている。これこそが生と死に対する、驕りだ。
まあそれが引き金になってついに狂気の沙汰になるんだけど)
さすがダン的というか、ダンを読んだことのあるヤツならここだけで酒の肴になる位興奮できる部分でもある←変態か
ドリアンの台詞にもあるけど、ヘンリー卿にとって彼は、コマだったんだろうな。自分が果たせなかった人生ゲームの。
それと、自分の生活におけるフラストレーションを、ドリアンという若者を操ることで発散していた節も、ない事もない。
ま、頭のいい暇なお金持ちのおっさんのやりそうな事やねヽ(;´Д`)ノ
でもそのゲームの駒に自ら進んでなったのは、ドリアンでもある訳だから、ヘンリー卿だけを責める事もできない。
第一ヘンリー卿は晩年、娘がドリアンの犠牲になりそうになる、という恐怖を味わう事になるんだしね。
でも、田舎から出てきた純朴な若者だもの、都会的で気の効いた事を言う年上の男性に憧れるのは普通よね。
となるとまあ、この勝負、どっちもどっちかなと。ただ、結局大損こいたのはドリアンの方になるんだけどね。
愛も欲も、男も女も、
結局は同じものに過ぎない。
快楽と幸福は別にして。
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