「皇帝ペンギン」
La Marche de L'Empereu
よちよちと歩くペンギンの可愛らしさとは裏腹に、その生態は壮絶だ。
1つの命を守るって、やっぱり命がけなんだ。
求愛のダンスの果てにメスが身篭ったたまご。
やがてそれが産み落とされる。
極限の寒さの中、たまごが外気に耐えうる時間はほんの数秒。
その間に、オスは上手にメスからたまごを受け取り、
自分のお腹で暖める事ができなければならない。
オスが下手なためうっかりひびの入った殻は、二度と元には戻らない。
無言のままにたまごを見つめる、虚ろな目のメス。。。
メスがえさをお腹一杯蓄えて海から戻るまで、オスは90日ずっと
たまごを抱えて耐えなければならない。
じっと動かず、数え切れない程の同じオス達と共に、猛吹雪に耐える。
何も食べず。口に入るのは新雪の水分だけ。
早く妻に帰ってきて貰わなければ、この子の命が危ぶまれる。
妻も海でアザラシ等の「怪物」に襲われればわが子の顔を見る事もない。
そうしてこの世に生を授かる、ふわふわのグレーの赤ちゃん。
尊くて太陽に産毛をきらきらとさせている。
子育て、巣立ち、別れ。夫婦でさえ来年まで会う事もない。
そうして彼等は命を繋いでいる。
涼しいつもりで見た映画なのに、思わず肩に力が入ってしまった。
マイナス40度の世界に、何よりも暖かな生命が宿っている映画。

