本屋にたまたま行ったらあったので購入。サンエイムックの大解剖シリーズというと去年買った北斗版を思い出す。あれはシャチの拳を「南斗琉拳」と誤植ってたり、ヒルカの絵が全然別人になってたりしていたのでもう買わずにスルーするかあ・・と思っていたのだが、冒頭のコミックスカバーコレクションとカラーイラストにひかれました。
ところがところがこれが予想外に内容が充実している。特に俺はリアルタイム時は幼稚園だったので、
「キン肉マンが電話を止めた事件」とか放送局の事情など当時の情報が書かれているのが嬉しい。
しょうもない間違いやデタラメな記述もない。
特に「キン肉マンの謎」のコーナーが素晴らしい。
1 キン肉族とは?
2 開祖シルバーマンとは?
3 超人閻魔とは?
4 マグネット・パワーとは?
5 超人強度とは?
6 火事場のクソ力とは?
上記の6点を考察しているが、これが実にコミックスを丁寧に読み込んでるなあという気概が伝わってくる内容で、正直いまいちわかってなかった新シリーズの始祖たちへの理解が深まった。
あと「ライバル超人必殺技BEST15」で当時のジャンプのみに掲載されていたイラストを用いて説明してるもよかった。多分タッグ編のあたりで掲載されたものだと思う。
そして「超!超人名鑑」は312人のキャラを紹介しているのだが、アームストロングやペーパーミイラはまだしも、ゴッド・シーサーとかプレーヤーマンとかアイアン・コマンドとか、扉ページのみに登場した読者考案超人まで網羅してるのには恐れ入る。
こんなん知らんて・・
「キン肉マンVSウォーズマン」の原画収録はもう文句なし。
むしろ、キン肉マンの「完全版」を早く出してほしい。当時のカラーページ再現はもちろん、扉も全部収録で。
「キン肉マン休載期間の週間ゆでたまごニュース」も貴重。たしかコンビニ本にも掲載されてた気がするが、こうして日の目を見るのはよい。
一番驚いたのは、「嶋田隆司・高橋陽一ビッグ対談」の中のゆで御大の一言。
「アニメで難しいのは展開が原作に追いついてきたとき。アニメもこっちもお互い気を遣ってペース調整しなきゃいけなくなると要注意ですよね。(略)どちらもベストなものを作れなくなるという・・
だから僕らの場合は王位編にアニメが入ろうかというところで話をして、ここからは原作トレースじゃなくてオリジナルでやってくださいってお願いしたんですよ」
え!?マジ!?俺、腰痛事件を受けて調整したものとばかり。
ちょっと調べてみると、このムックによればゆで御大が休載したのは85年の夏から秋の3ヶ月。
その間、アニメはというと・・・
第106話:「崩壊!マウンテンリングの巻」
放映日:1985年8月18日
第107話:「ピラミッドリング出現!の巻」
放映日:1985年10月6日
なんとちょうどタッグ編のパート1とパート2の境目であった。
つまりアニメが追いつきぎみだったところ、御大が休載したので一ヶ月半放送中止して、ピラミッドリング編というアニメオリジナル要素を入れて調整を図ったと。
腰痛事件を受けて、それで急遽ピラミッドリング編を作ったというわけか・・それならば数多い矛盾や無理やりな展開も納得がいく。ピラミッドリング編を酷評する前にこのあたりの事情は考慮せねばなるまいて。
そしてゆで御大がジャンプに復帰したのが85年11月12日。アニメは・・
第113話:「マスク狩り・残り30秒の巻」
放映日:1985年11月17日
第119話:「光輝くトロフィー!の巻」
放映日:1985年12月29日
なるほど、ゆで御大の言っていることは間違いではない。まだゼブラと決着がつくかどうかのあたりでアニメがタッグ編を終了してしまい、このままじゃすぐ追いつかれてしまうのは明らかなので完全アニオリでいってくださいとお願いしたということだろう。
アニオリの極悪超人編は設定自体はちゃんと考えられていただけに、放送枠が変わったゆえの打ち切りが哀しい。せっかくゴールデンに移行したのに・・
推測でしかないが、野球で潰されまくってすっかり子どもたちの関心をひけなくなったので視聴率が急落して打ち切られたんじゃないかと思う。
第126話 放映日:86年4月29日
127話 5月20日
128話 5月27日
129話 6月17日
130話 7月 1日
131話 7月15日
132話 7月22日
133話 7月29日
134話 9月 2日
135話 9月16日
136話 9月23日
137話(終) 10月1日
飛び飛び放送なのがおわかりいただけるだろう。何より子どもアニメなのに
夏休みの8月に一回も本編が放送なしとか信じられない。
このあたりの事情をぜひ当時の東映スタッフからお伺いしたいものだ。
あ、途中から本の感想じゃなくなってしまった・・北斗本よりはるかに良い内容なので買いです買い。